暇人の雑記帳
読むー好きな作家などについての寸評
エッセイ・雑文
<注目する作家>
大江健三郎
カズオ・イシグロ
北杜夫
鷺沢萠
高橋和巳
多和田葉子
野間宏
村上春樹
<1968-1972>
1968に関する本
1972に関する本
<文学史・文壇史>
文学史、文壇史について
文学史
文壇史
<最近読んだ作品>
五木寛之
大下英治
沢木耕太郎
新海均
岡崎武志
石原千秋
漱石と日本の近代
梯久美子 著
島尾ミホ伝『死の棘』の謎
ノルベルト・フライ 著1968年 反乱のグローバリズム
<トピックス>
英語で読む村上春樹
数年前まで殆ど海外の小説は読まなかった。それは、翻訳という介在があるからであるが、同時に小説の中に書かれた環境や作家の置かれた環境を理解するには努力がいるからである。
しかし、最近は翻訳も昔と違って直訳的でなくなり、最初から日本語で書かれた作品と変わらないほど優れた文学表現となっている作品も多い。またインターネットの発達で、世界の文化や環境もリアルタイムで知る事ができるようになった。だから、少しずつではあるが、海外の作品も読むようにしている。
<作家別>
ア行
ジャック=ピエール・アメット
カ行
トルーマン・カポーティ
タ行
ピート・デクスター
ニコール・キッドマンが主役で出る同名の映画の人間関係が複雑そうなので、それを見る前に読んだ。読んで見るとさほど複雑ではなかった。登場人物は限られている。主人公である語り手の「ぼく」、ジャック・ジェイムズ。そして死刑囚の冤罪を晴らすために調査に乗り出す「マイアミ・タイムズ」の記者である、兄のウォード。同僚のヤードリー・エイクマン。死刑囚のヒラリー・ヴァン・ウェッター。文通でヒラリーと婚約したシャーロット・ブレスなどである。
予め想像していた内容とは違い、この小説の主人公は兄のウォードだと思えた。彼はひたすら真実を求め、しつこく調査する。しかし、その途上で水兵二人に襲われて、大けがを負い、片目を失う。
彼の入院中にヤードリーが確実な証拠もないのに町の風土や体質によりヒラリーが犯人と決めつけられたとしたセンセーショナルな記事を作ってしまう。それが、ピューリッツァー賞を受賞する事になる。一方、元同僚でウォードの記者スタイルに惚れ込んでいる小さな新聞社「マイアミ・サン」の記者であるヘレン・ドルーが、記事の信憑性を追求すると共に、ウォードが怪我を負った事情を暴く。
ウォードはなおも真実を求めて調査を継続するが、次第に酒浸りとなり、最後には溺れ死んでしまう。
この小説は真実と事実を求める新聞記者の物語であると同時に、米国のジャーナリズムの問題を指摘している物語でもある。
決して南部のプアーホワイトの若者が年増の女に惚れる話しではない。
だから、真実を追究する姿が淡淡と語られるが、正直盛り上がりに欠ける。盛り上がるのは兄弟二人で湿地に住むヒラリーのおじ、タイリーに会いに行く場面と兄が襲われる暴力的な場面だけだ。
この物語はフロリダの物語であり、ニューヨークなどの北部の物語と異にする雰囲気を醸し出しているが、日本人の私にとっては正直その雰囲気の何たるかは分からない。
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