読書について

 

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エッセイ・雑文

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大江健三郎

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<1968-1972>
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五木寛之

怨歌の誕生

 

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<トピックス>

高橋たか子死去

第7回大江健三郎賞
公開対談


英語で読む村上春樹

ブレヒトの恋人
(ジャック=ピエール・アメット 著)

brechtbook brechtex

 書店で“ブレヒト”と“2003年ゴンクール賞受賞作”という文字が目に飛び込んで来た。その所為で、ついつい衝動買いをしてしまった。
 話はなかなか面白い。ブレヒトが亡命先から東ドイツに戻るところから始まる。ブレヒトの言動をチェックするために、当局よりマリア・アイヒという女優がブレヒトの劇団に送り込まれる。予想した通りに女好きのブレヒトに気に入られ、“愛人”となる。次々と情報は送られるのであるが、何故か次第に無意味な情報が多くなる。どうしてそうなったかは、この小説ではつまびらかにされない。マリアはブレヒトを愛してしまったのか…?
 一方、当局のハンス・トロウは次第にマリアが好きになってしまう。しかし、仕事に忠実なハンスは心をオープンにできない。ついに明らかにするのであるが、その時はマリアを西ドイツに逃がす時となってしまう。

 ベルリンの壁が崩壊したから書けたのであろうこの話は史実に基づいているのであろうか、あるいは全くの虚構なのであろうか。いや、そんな事はどうでも良いのかも知れない。あった様な話で良いのだろうから。

 それにしても、翻訳本はいつもながらに何か物足りない。文章が美しくない。そして流れがぎこちない。

 でも一番大事なのは、作者アメットが“何を書こうとしたのか?”だが、私には理解できなかった。
 「訳者あとがき」に訳者は、“ブレヒト風ブレヒト小説”と書いている。また、作者は“わたしが意図したブレヒト風‘異化’”との言葉を残している。ストーリーよりもこの事が大事なのだろうが、凡人の私にはその半分も理解できなかった。