別にこういう本しか読まないってわけじゃない。ただ99年に読んだ本から、「ミステリとは言えないもの」、「99年刊行じゃないもの」、「つうか小説じゃないもの」を除くと、講談社の作品しか残らなかったのだ。ホントは田中雄二『電子音楽・イン・ジャパン』(アスペクト)と隆慶一郎の諸作品こそが、去年の収穫だったんだけどね。
『カニス』や『ハサミ男』のように、主人公がマスコミ業界から脱落していく作品が印象に残ったのは、自分の境遇とどこかしら重なりあうものがあったからかもしれない。10年前に新保博久が新本格第一世代に対して向けた、「30代の男性が描けていない」という批判に、この歳に・ネってようやくうなずけるようになったり。
ともあれ「知らずに買ったダサい本」(筒井康隆)と出喰わさずに済んだ程度には、千世紀最後の年の読書生活は幸せでありました。 |