タイトル |
著者名 |
投票得点 |
『プリズム』 |
貫井徳郎著 |
+5点 |
一つの事件を巡って構築される多数の論理。バークリーを意識したその実験的な作風に加えて、現代という時代をしっかりと捉えたエンターテインメント性も加味。時代を超えて是非とも読み継がれて欲しいミステリ。 |
『ハサミ男』 |
殊能将之著 |
+5点 |
'99年の本格ミステリを総括して「新人賞」を受賞すべきはこの方。
その構造やトリックもさることながら、これほど「現代」を切り裂いて読者の前に提示出来ている作品は、近年でも稀ではないか。 |
『沙羅は和子の名を呼ぶ』 |
加納朋子著 |
+5点 |
短編集収録作品のうち、半数はミステリ、半数は幻想、及び普通小説的味わいであるが、全体を通しての「優しさ」に強く惹かれる。
'99年に発行された作品のうち読み終わった後、もっとも「ほっ」となごんだ作品。 |
『象と耳鳴り』 |
恩田陸著 |
+5点 |
幻想畑と思われていた恩田さんがしっかりとミステリも書ける、と確認させてくれた意味と、都市幻想や噂というファンタジーで使用していたガジェットを作品内に巧く取り込んだという意味の二重の意味で印象に残る。 |
『どんどん橋、落ちた』 |
綾辻行人著 |
+5点 |
行き詰まり感の漂う「新本格」の枠に対して、御大とも言える綾辻氏が送りつけてきた挑戦状。そしてまた一つの回答。
論理の重視という姿勢が行き着くところを、自らが提示してくれた、という解釈。 |
『法月綸太郎の新冒険』 |
法月綸太郎著 |
+5点 |
「法月綸太郎が帰ってきた」
ここ数年、悩んでいる姿ばかりが目に付いた法月綸太郎が、悩みを捨て本格ミステリに戻って来たとき、オーソドックスでかつオリジナリティのある、中短編集が出来上がった。奇をてらわないストレートさが、やはり魅力だろう。 |
『忌まわしい匣』 |
牧野修著 |
+5点 |
(広義のミステリーとしてホラー作品に投票します)
狂気の持つ一瞬の煌めきを言葉の羅列でしかないテキストから浮かび上がらせ読者の脳裏に叩き込んで嫌で厭でイヤな最高の気分にさせてくれる牧野修の凄さが如実に現れた短編集。 |
『蘆屋家の崩壊』 |
津原泰水著 |
+5点 |
(広義のミステリーとしてホラー作品に投票します)
豆腐好きの登場人物にクスっと笑わせられながら、普通に小説を読んでいるつもりがいつの間にやら周りは暗く星も見えず前後を見渡しても人っ子一人いなくて何やら背中にじんわりと汗をかきせめて灯りをでなければ人をと彷徨い歩いて気づくともっと奇妙な場所に出てしまうような作品集。 |