JMAI 2000

インターネットで選ぶ日本ミステリー大賞 2000
Japan Mystery Award on Internet 2000

たかはし@謎宮会
(各種スタッフしたっぱ)
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タイトル 著者名 投票得点
流れる砂 東直己著 +4点
同じ作者によるススキノ探偵シリーズとはうってかわって、ユーモラスな面がまったくない、極めてシリアスなシリーズ、私立探偵・畝原ものの第二弾。

期待には若干劣るかもしれない(ラストに何かすごい展開があることを期待していたので。「渇き」のラストのあれには心底驚かされたし)が、やはり面白かった。地方都市の雰囲気、独特の味のあるキャラクター、現実世界とスムーズに結びついているようにみえるという意味でのリアリティ、無駄口をたたいたりしない主人公、離婚はしたが一人娘は男手一つで(周囲の協力も得ながら)育てている、といった設定の面白さ(ネタとかは多少使い回しの感があるかも)。
様々な魅力に溢れている、良質のハードボイルドだと思う。

安っぽい感傷や、無駄なへらず口や、嘘くさい巨悪や、変に派手なアクションなどはいらない、という方にはぜひ勧めたい。ただ、どうしてもシリーズを追って読んでほしい(そうでなければ「流れる砂」で揺さぶられるものが半減しかねない)ので、「待っていた女・渇き」(ハルキ文庫)から続けて読んでほしい。特に「渇き」は、分量もストーリーも短いが、闇は深い。また、このシリーズは読後感も良くない。楽しめる話ではないのだ。そしてまた、何か飛び抜けて悲惨だったりするわけでもない。普通に陰惨なだけだ。

# それにつけても主人公の兄貴よ(;_;)

法月綸太郎の新冒険 法月綸太郎著 +4点
そうか、これが新本格だったんだ、というのを思い出した。
塔の断章 乾くるみ著 +3点
一読では『ふーん』という感じだったのだが、後日某所で、本作のとある仕掛けの話を聞き、ひっくり返った。
くくくくやしすぎ(<気づかなかったので)。しかし作品内で言及されない伏線が如何にすごくても……という気もしないのではない。
もったいないよなあ。
長野・上越新幹線四時間三十分の壁 蘇部健一著 +3点
中編と短編二つ。はっきりいって表題作と最後の短編だけなら別に評価しなくても、と思わないでもないが、真ん中の作品『指紋』は秀作。蘇部健一らしからぬ(失礼)鮮かさ。
本格好きなら読んで損はないでしょう。でも個人的には前作の空耳アワーギャグも恋しかったり(^^;
カナリヤは眠れない 近藤史恵著 +3点
ふっと肩の力を抜きながらも、しっかりラストは決めてくれる。
さすがである。『アンハッピードッグズ』もミステリじゃないが、楽しませてくれた。

[あなたが選ぶ日本ミステリー大賞特別賞]
特別賞名 ノンフィクション部門賞
受賞作、受賞者等 『エンサイクロペディア アワサカナ』怪の会 編
授賞理由 残念ながら泡坂読みではないため、その真価が理解できたとはとても言えないのだが、労作であることは伝わった。すばらしすぎ。

[その他書きたいこと(総評、感想等)]
基本的には落ち穂拾いのつもりだったのですが、法月はやっぱり落とせなかったので入れてしまいました。
来年(今年)は松尾由美の新作に期待。
あ、順調に更新が遅れている謎宮会(http://www.inac.co.jp/~maki/meikyu/)、さらに順調に発行が遅れている甲影会(http://www4.big.or.jp/~yosimasa/)の別冊シャレードもよろしく :-)

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