読書について

 

<作品寸評>
日本の文芸作品
 芥川賞作品

海外の文芸作品

エッセイ・雑文

<注目する作家>

大江健三郎

カズオ・イシグロ
北杜夫
鷺沢萠
高橋和巳
多和田葉子
野間宏
村上春樹

トルーマン・カポーティ

<1968-1972>
1968に関する本
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<文学史・文壇史>
文学史、文壇史について
文学史
文壇史

出版史

 

 

<批評>
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<最近読んだ作品>

五木寛之

怨歌の誕生

 

大下英治

悲しき歌姫

 

沢木耕太郎

流星ひとつ

 

新海均

カッパ・ブックスの時代

 

岡崎武志

蔵書の苦しみ


石原千秋

漱石と日本の近代


梯久美子 著
島尾ミホ伝『死の棘』の謎


ノルベルト・フライ 著1968年 反乱のグローバリズム

 

<トピックス>

高橋たか子死去

第7回大江健三郎賞
公開対談


英語で読む村上春樹

<ビューティフル・ネーム>

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 古代稀なり、という歳になった。昔なら亡くなってもいいような歳になり、好きな(好きだった)作家が書いた小説を読んだり、好きな女優が出演している映画を見なければと思った。
 鷺沢萠の晩年の著作については、急ぎ集めたものの、読んだか読まないか分からなくなっていた。この本は、以前一度読んだような気がするが、彼女(?)が出した最後の作品集なので、読まなければと思い読んだ(2019年5月?読了)。
 読み始めて気が付いたのだが、ビューティフル・ネームとは、作品に出てくる在日韓国人・朝鮮人の名前の事なのだ。「眼鏡越しの空」ではチュー先輩である春純(チュンスン)という名とともに、自分では気に入ってなかった主人公の奈蘭(ナラン)という名前も。この作品集の中でもっとも多くのページ数を費やしているこの作品は、彼女が死んだ数ヶ月前の文芸誌に発表されたものである(新潮2004年2月号)(惜別は同年の4月11日であった)。2作目の「故郷の春」では、主人公の姜江以士(きょうえいじ:カンカンイサ) という名前。3作目の「ぴょんきち/チュン子」(未完作品)は、三部作の最後の作品になるはずだったもので、冒頭部分がパソコンから発見され、収録されたものだ。チュンスンが出てくる。最後に掲載されている「春の居場所」もパソコンから発見された未完作品である。男女の主人公二人は在日ではなく、芽衣子(メイコ)と善行(ゼンコー)という名前で、若い二人の交友を描いている。同名の堀北真希主演の映画を見たのだが、ストーリーはこの小説のようではなかった気がする。
 三部作が完結していないので、この作品の良し悪しは問うことはできないが、彼女の意図は感じられた。この作品集は、亡くなった年の5月に発行された。亡くなってしまったのはなんとも惜しまれる。もっともっと活躍して欲しかった。