暇人の雑記帳
読むー好きな作家などについての寸評
エッセイ・雑文
<注目する作家>
大江健三郎
カズオ・イシグロ
北杜夫
鷺沢萠
高橋和巳
多和田葉子
野間宏
村上春樹
<1968-1972>
1968に関する本
1972に関する本
<文学史・文壇史>
文学史、文壇史について
文学史
文壇史
<最近読んだ作品>
五木寛之
大下英治
沢木耕太郎
新海均
岡崎武志
石原千秋
漱石と日本の近代
梯久美子 著
島尾ミホ伝『死の棘』の謎
ノルベルト・フライ 著1968年 反乱のグローバリズム
<トピックス>
英語で読む村上春樹
朝日新聞(2013年1月30日付け朝刊)の松浦寿輝の以下の様な文芸時評で興味を持ち、読んで見た。
「「余は支那人や朝鮮人に生れなくつて、まあ善かつたと思つた。彼等(かれら)を眼前に置いて勝者の意気込を以(もつ)て事に当るわが同胞は、真に運命の寵児(ちょうじ)と云(い)はねばならぬ」――こうした言葉を含む夏目漱石の「幻の原稿」を明治四十二(一九〇九)年十一月の『満洲日日新聞』から発掘した黒川創は、それを巧みに組み込んだ興味深い小説を発表している。
「暗殺者たち」は、日本の作家がサンクトペテルブルク大学の日本学科の学生相手に行った講演という体裁をとる。ハルビン駅頭での伊藤博文の暗殺、その犯人の安重根の生涯、翌四十三年に起こった大逆事件、それに連座して死刑になった幸徳秋水や管野須賀子の運命など、錯綜(さくそう)した話題をめぐってうねうねと続くこの作家の講演は、そうした生臭い政治的諸事件が漱石の小説に落とした微妙な翳(かげ)りを丹念に拾い上げつつ、明治末年の混沌(こんとん)とした時代状況の一面に光を当てている。……」
これは一体、小説なのだろうか?それとも評論なのだろうか?そして史実通りなのだろうか?それとも、かなりフィクションがあるのだろうか?知識不足の私には分からない。しかし、面白く読めたことは確かである。
だが、ロシアの学生に行った2時間の講演という設定にしては、話が難しすぎるし、長すぎる。
暗殺者(テロリスト)とは、誰のことなのか?作家が女子学生の質問に答えて言う。「本当にテロリストと呼ばれるに値する行動を取れたのは、伊藤博文と安重根、この二人だけだということなんです。」
では、何故、管野須賀子、幸徳秋水、荒畑寒村について長々と色々なことを話したのだろうか?ドストエフスキー、夏目漱石、西園寺公望、エリセーエフ、杉村楚人冠などは、単なる筋書きの一端を担う<通行人>に過ぎないのだろうか?
私には、この作が未だ完成稿とは思えない。定本となった時、あるいは続編が書かれた時、再度読んで見たい作品である。
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