>

映画の思い出について

 

<映画寸評>
日本の作品
欧米の作品
アジアの作品
ATG作品
文芸作品(原作もの)

 

<ドラマ寸評>
日本の作品


<注目する女優>
イングリッド
     ・バーグマン
コン・リー

ジャンヌ・モロー

ジーン・セバーグ
ニコール・キッドマン
フェイ・ダナウェイ

浅丘ルリ子

芦川いづみ
栗原小巻

黒木瞳

関根恵子

高峰秀子

中谷美紀

成海璃子

樋口可南子

真木よう子
宮沢りえ

吉永小百合

若尾文子

 

<注目する男優>

石原裕次郎

<注目する監督>
イム・グォンテク

チェン・カイコー

大島渚

小栗康平

小津安二郎

黒澤明

木下惠介

熊井啓

イングマール
    ・ベルイマン

<最近観た映画>

無伴奏

キャロル


 

<最近観たドラマ>

コントレール〜罪と恋〜
(NHK ドラマ10)

ガラスの家
(NHK ドラマ10)

 

<トピックス>

八重の桜の史実と創作

「三國連太郎」で逝く

gekiryu 朝日新聞のテレビ版の番組解説を読んで面白いと思って初回を見た。未だ初回なので展開は見えない。修学旅行中、バスの中から忽然と女生徒が消えるなんて事はありえない事だが、そこはドラマなので飲み込まざるを得ない。
 田中麗奈、ともさかりえ、国仲涼子、桐谷健太、山本耕史と、油の乗りきっている中堅俳優が同級生役を演じる。しかし、彼らはいずれもプライベートな問題を現在持っている。

 失踪した冬葉からのメールに誘われるように20年振りに集まった5人の同級生。メールは誰がどこから打ったのか?そして、その夜一緒に消えた桐谷演ずる東萩とともさか演ずる秋芳の間はどうなるのか?お金に困り身体を売っている国仲演ずる河野はどうなってしまうのか?田中演ずる三隅の離婚問題は?そして山本演ずる鯖島の女性問題は?

 今後のストーリーに興味は尽きない。

 原作は柴田よしき、脚本は吉田紀子。

 

 因みに、このドラマは、結構NHKが力を入れている「ドラマ10」の枠である。2010年には、「セカンドバージン」がNHKドラマとは思えないほど世の中の話題となった。私としては昨年(2012年5月〜7月)の「はつ恋」以来、久しぶりに見る事になる。

 

番組のHP:激流〜私を憶えていますか?〜 |NHKドラマ10

 

<第2回>
 それぞれ問題を抱えた同級生5人。美弥(ともさかりえ)のところに再び不審なメールが届く。今度は「どうして冬葉を探してくれないんですか?」と書かれている。貴子(国仲涼子)を除いた4人は故郷の島に行き、冬葉の母を訪ねて不審なメールについて報告する。
  詳しいストーリーはNHKのHPを参照して欲しいのだが、このドラマを回しているのは、どうやら三隅(田中麗奈)らしい。彼女は、修学旅行前日に冬葉が学校帰りに電話ボックスから誰かに電話するのを目撃したのを思い出す。そして、冬葉がフルート演奏する時に誰かが必ずピアノ伴奏していたのも思い出す。その演奏者は賀来千香子演ずる音楽教師なのか?また、冬葉はナガチ(長門)が好きだったのでは、と美弥が言い出す。もう、冬葉の失踪から20年。ナガチと美弥は主婦殺人事件の関係者と警察ににらまれている。東萩(桐谷健太)は、その捜査員の一人。一体、これからどうなっていくのだろうか?
 良く考えてみれば、メールが届くという事は、その差出人は女性3人のアドレスを知っている人になるはずだ。では、一体誰と誰が知っているのだろうか?

 

<第3回>
 このドラマはミステリー風ではあるものの、35歳を迎えた同級生達の人間ドラマであると思うのだが、やはり東萩が捜査官の一人となっている世田谷主婦殺人事件が、ストーリーの行く末を左右しているように思う。榎木と美弥、そしてナガチはその事件の容疑者。ナガチはいつ現れるのか?手帖に載っていた女とは?カトレア会は絡むのか?
 彼らは20年前の事を少しずつ思い出す。それが冬葉失踪事件の鍵になるのか、それとも主婦殺人事件の鍵になるのか?あるいは両方か?
 <美術の自由研究の時間に冬葉が誰かに向かってカッターナイフを突き出した>
 <冬葉が好きだった旭村先生と女性が一緒に歩いていた>

 『貴子とサバがああなってしまったのは、自分の責任。冬葉の時とと同じだ』、と三隅は言う。『冬葉の時と同じ』、とはどういう意味か?貴子とサバの身の上に何が起こるのか?

 そして音楽の毛利先生(賀来千香子)が、冬葉の母(田中美佐子)に”蓼科に行った事があるか”、と何故聞くのか?
 貴子のパトロンとなった大林(カンニング竹山)が殺されたのも関係するのか?

 物語りは彼ら5人の人間模様を描きながら少しずつ動き出す。

 

<第4回>
 貴子のスポンサーである大林が殺され、貴子は容疑者として指名手配される。そんな時、冬葉からまたメールが届く。貴子の身辺状況が分かっているようなメールだ。たびたびのメールに貴子はショックを受け、倒れ、入院してしまう。
 毛利先生が彼女らの前に現れて、蓼科行きの話しをする。三隅とサバの逢瀬を木陰から女が見ている。その女は誰だ。そして、毛利先生は蓼科に行き、車椅子に乗った旭村先生に会う。美弥は東萩に貴子を助けてくれ、とお願いする。
  メールアドレスと書かれた内容の事を考えると、メール発信者は限られると思うのだが、未だそこには進展はない。東萩だけが日常生活に破綻がないというのは、頷けない。
  一体、このドラマの主題は何なんだ。ミステリー(謎解き)なのか、友情なのか、愛なのか、35歳になった者たちの人間模様なのか?
 ふと思った。彼らは中学時代の仲間だ。島の子供なので、大人びた交流はない。しかし、この設定が私には理解できない。何で中学なのだ。もしこれが高校の同級生ならば、個々のもっと熱い交流があり、未だそれぞれの記憶に残っているだろう。今は殆どの若者が高校卒業では就職せず、上の学校に行く。だから、中学の同級生の交流というのは薄いのではないだろうか?高校の同級生の17年後であれば、変な行方不明事件などを盛り込まずとも、もっと面白く、熱いドラマになっていただろう。

 

<第5回>
 貴子は警察に任意同行され、取り調べられ自分がやったと言ってしまう。しかし、実際の犯人は夫であり、自首したことで大林の殺人事件は落着する。
 世田谷主婦殺人事件も解決の方向であり、いよいよ真実に近づく気配がある。
 今度はサバに冬葉からのメールが届く。そして20年前の新事実を思い出すが、元の彼女に刺されてしまう。
 音楽教師の毛利は蓼科に行き、旭村に会う。旭村は言葉がしゃべれず、車椅子に乗っている。彼の身に何があったのか?冬葉と関係あるのか?冬葉は生きているのか?
 三隈が追いかけるフルート奏者ナオミのマネージャー佐伯マリは冬葉なのか?
 美弥の弟は何故ホテルに居たのか?
 謎は多い。サバが思い出したのは美弥の弟の事ではないか?しかも、メールという手がかりからすると美弥の弟が絡んでいる可能性が高い。そして、毛利との関係は?
 サバは死んでしまうのか?三隈との愛は成立するのか?
 35歳にして人生に色々な事が起こりすぎるこのドラマは、まさに激流である。友情よりも愛よりもミステリーが主題になりつつある。

 

<第6回>

 サバはルミに刺されるが、三隈の救出で一命を取り留める。サバが思い出したのはESS主催の英語劇「Do you remember me? (私を憶えていますか?)」。シナリオも劇中歌の作詞も毛利先生、フルートは冬葉、主役はナガチ。毛利先生は20年振りに何故母校に戻ったのか?蓼科に居る旭村先生は何故おかしくなったのか?その謎を解くのは「あの人」らしい。
 ドラマはバタバタ感がなくなり、少し落ち着いてきた。
 旭村先生と並んで歩いていった後ろ姿の女性は冬葉の母ではないか?だから、その話が出た時に、冬葉は突然カッターナイフを持って立ち上がったのではないか?
 最後に冬葉の実家に現れた後輩は、顔を覚えていないが、美弥の弟では?そうなら、美弥の携帯を盗み見すれば、同級生たちのメールアドレスも入手できる。では、「悪意がある」と思われるメールを何故に出したのか?
 次回は第7回「悪女の告白」。いよいよ本格的に動き出す。
 世田谷主婦殺人事件の首謀者の榎木はどう絡んでいるのか?ナガチとナオミの通訳兼付き人の佐伯マリはどう絡んでいるのか?そして、三隈とサバの愛はどうなるのか?
 ところで、いつも思うのだが部分的に台詞を捉えると田中麗奈も田中美佐子も下手ですね。今回、三隈がサバの元妻に怒る場面の台詞は駄目でした。それに比べれば、サバの元妻役の須藤理彩やルミ役の佐津川愛美は味を出していると思う。

 

<第7回>
 冬葉は死んでいました。冬葉の母と恋仲になった旭村先生と婚約者の毛利先生の痴話喧嘩を止めようとして、旭村先生に突き飛ばされ、池に向かって坂道を転げ落ちて死にました。救急車を呼びに行った旭村先生は帰らず、救急車も来ず、毛利先生が自分の思いのために山に埋めてしまいました。冬葉は探しても、もういませんが、ではメールは誰が出したのか?明らかです。美弥の弟です。
 しかし、このドラマは何が主題なのでしょうか?
 冬葉の母が惑ったのが今の自分たちと同じ頃と知って、貴子は言います。「大人ってなってみると、ぜんぜん大人じゃないね。むしろ、大人になればなるほど」 。脚本家が言いたいのは、この事でしょうか??

 

<第8回(最終回)>
 メールの犯人は、美弥の弟と冬葉の母でした。理由は「妬み」でした。
 美弥の弟は、実家が借金だらけで母が死の床にあるのに実家を顧みない姉に対して、冬葉の母は、5人が冬葉のことをすっかり忘れ、自分たちは幸せな生活を送っていることに対して。
 だから、母は東萩以外の4人にメールを出し、また周りの人をそそのかして彼らを不幸にした、という。こんなの狂っています。冬葉は自分だけの物という毛利先生も狂っています。一体、このドラマは何を訴えたかったのでしょうか?
 前回、貴子は言いました。「大人ってなってみると、ぜんぜん大人じゃないね。むしろ、大人になればなるほど」。彼らは大人になれなかったのです。

 現在を基準に20年前と言えば、1993年です。毛利先生や冬葉の母は35歳くらい。彼女らはバブルを享受しました。しかし、美弥たち5人は、謂わば「就職氷河期世代」。35歳で比較する経験が違いすぎます。お互いに世代を誤解しています。もし、理解し合えないとするならば、日本の将来はないかも知れません。ちょっと大げさでしょうか?

 人は自分が幸せであるならば、他人を忘れるのでしょうか?私はそうは思いません。自分が不幸せだから、他人の事を考える余裕もなく思い出せないのでしょう!違いますか?

 

 原作は柴田よしき(女性)、1959年10月生まれで現在は53歳。脚色は吉田紀子で、同じく1959年12月生まれで53歳。彼らは毛利先生や冬葉の母の世代です。
 毛利先生を演じた賀来千香子は1961年10月生まれで現在は51歳、冬葉の母を演じた田中美佐子は1959年11月生まれで現在53歳。彼女らはみんな同世代です。

 田中麗奈は1980年5月生まれで33歳、ともさかりえは1979年10月生まれで同じく33歳、国仲涼子は1979年6月生まれで34歳、山本耕史は1976年10月生まれで36歳、桐谷健太は1980年2月生まれで33歳、みんな役に近い年齢です。

 原作者や脚色者、制作者の以下のページに書かれています。

 http://www.nhk.or.jp/drama10/gekiryu/html_gekiryu_midokoro.html