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映画の思い出について

 

<映画寸評>
日本の作品
欧米の作品
アジアの作品
ATG作品
文芸作品(原作もの)

 

<ドラマ寸評>
日本の作品


<注目する女優>
イングリッド
     ・バーグマン
コン・リー

ジャンヌ・モロー

ジーン・セバーグ
ニコール・キッドマン
フェイ・ダナウェイ

浅丘ルリ子

芦川いづみ
栗原小巻

黒木瞳

関根恵子

高峰秀子

中谷美紀

成海璃子

樋口可南子

真木よう子
宮沢りえ

吉永小百合

若尾文子

 

<注目する男優>

石原裕次郎

<注目する監督>
イム・グォンテク

チェン・カイコー

大島渚

小栗康平

小津安二郎

黒澤明

木下惠介

熊井啓

イングマール
    ・ベルイマン

<最近観た映画>

無伴奏

キャロル


 

<最近観たドラマ>

コントレール〜罪と恋〜
(NHK ドラマ10)

ガラスの家
(NHK ドラマ10)

 

<トピックス>

八重の桜の史実と創作

「三國連太郎」で逝く

浅丘ルリ子

 浅丘ルリ子というと石原裕次郎や小林旭の相手役であり、日活全盛期のスター程度の認識しかなかった。だから、殆ど彼女の出演した映画は見たことがなかった(そのように認識していた)。
 ちょっと前だがテレビで放映された彼女主演の「愛の渇き」(原作:三島由紀夫)を見た時、”あれっ、ちょっと違うな”、という印象を持った。何が違うかというと、彼女は顔とスタイルが良い人気スターという事で起用されていると思ったからだ。 結構演技が良かった。それで、彼女の出演した他の映画を見てみたいと思うようになった。

 彼女の出演作を見ると、私は「私が棄てた女」や「戦争と人間」、「男はつらいよ」を製作当時見ている。多分、初出演の「緑はるかに」も学校でクラス揃って見に行った記憶がある。

 そして2013年現在、彼女は未だ現役である。今後にも期待したい。

 

愛の渇き(1967年作品)

 文芸作品(原作もの)のページを参照のこと
(2013年日本映画専門チャンネルにて視聴)

 

女体(1969年作品)

 浅丘が日活専属契約を解消し、石原プロに所属していた時代の作品で、配給は大映。監督が増村保造である事から期待をして見た。しかし、これはB級というかC級映画ではないか。浅丘は撮影時は28歳か29歳。15歳から映画に出ているので14、15年のキャリアになるが、それまでの役柄と違うせいか演技がちょっと不味い(家の奥さんは”くさい”と言った。表現はちょっと合わないと思うが、そんな感じだ)。この時代の浅丘には、未だ悪女が演じられなかったのだろう。
 それにしても浅丘は日活時代のふくよかさが無くなって、やけに痩せている。下着姿が何回も出てくるが、あばら骨が出ていて魅力に乏しい。おまけに踊りのシーンも出てくるが、何の踊りか良く分からない。
 学園紛争が出てくるので、68年前後の時代設定の様だ。女が男並みの主張をし始めた時代だ。浅丘の演ずる女はその一面を示す言葉も放つ。岡田英次演ずる男が「戦中派にとって戦後は余計な人生だ」と言うが、戦後生まれの我々は何の共感も覚えない。脚本を書いた池田一朗(小説家 隆慶一郎)が学徒出陣の戦中派なので一言言いたかったのだろう(池田一朗は北大路欣也主演の”ボルネオ大将”も書いているが、こちらもC級である)。因みに監督の増村も同年代。その増村は”曽根崎心中”などを撮っており、男と女の愛憎のためなら死んでもいとわないという個人主義的人間観に貫かれた映画を多く撮ったらしいが、この映画のストーリーもそのラインに乗ってはいる。1952年にイタリアに留学し、フェデリコ・フェリーニやルキノ・ヴィスコンティらに学んだというが、それよりもヌーヴェルヴァーグ調か?
 岡田の妹役の梓英子が若い。当時21歳、何とも言えず初々しい。(2013年日本映画専門チャンネルにて視聴)

(あらすじ)
 浜ミチ(浅丘ルリ子)は挑発的で魅惑に満ちた女である。大学理事長小林卓造(小沢栄太郎)の息子行夫に強姦されたミチは、慰謝料として二百万円を要求したが、行夫の姉晶江(岸田今日子)に侮辱的な扱いを受け小林家に激しい敵意を抱いた。一方、スキャンダルを恐れた卓造は婿である秘書の石堂信之(岡田英次)に処理を一任、信之は妻晶江の意志に反して二百万円を支払った。ミチは思いやりのある信之に愛を感じふたりは激しく求めあった。ある日、ミチが信之との情事を告げて晶江をはずかしめた。それを知った信之は、ミチが他の男とも交渉のあることを目撃、彼女と別れる決心をした。信之のみた青年は五郎(川津祐介)という画家だった。信之はミチを捨てられなかった。そのため五郎から手切金を要求され、卓造から預っていた裏口入学金の一部を流用して支払った。だが、五郎はミチと別れないばかりか、金の出所を追求するとうそぶいた。信之はそんな五郎を誤って殺してしまった。やがて保釈され信之は、妻を捨て、職を捨ててミチとの愛の生活に飛込んだ。たが、バー経営が行きづまり、加えてミチの束縛を嫌う奔放な性格からふたりの間に亀裂が生じた。ミチはやがて信之の妹雪子(梓英子)の婚約者秋月(伊藤孝雄)に心を寄せるようになった。清潔で男性的な秋月は、ミチの誘惑を拒んだか、ミチは自分の愛を殺すことが出来なかった。深夜のドライブに秋月を誘い出したミチではあったが、無理心中に失敗。そして信之にも去られてひとりぼっちになったミチは「また素敵な男を見つければいいわ……」と咳いた。ミチは酔った。そして、よろける足でガス管をひっかけ、永遠の眠りについた。

 

華やかな女豹(1969年作品)

 ストーリー(以下のKINENOTEのあらすじを参照の事)は他愛ない。浅丘と二谷英朗を中心とした恋の鞘当てや松原智恵子との異母姉妹の話があっても余り重要ではない。これは浅丘の映画だから。パリを歩く、車(多分、日産のフェアレディZ)を運転する、ヘアスタイルやファッションを次から次へと変える、まるで彼女のワンマンショーだ。その美しさは、たとえて言えばオードリー・ヘプバーンだ。彼女のファンにとっては垂涎の作品である。彼女28歳か29歳の作品である。
 学生の駅前でのビラ配り(ちょっと実際と違う感じ)、玄関のチャイム、公衆電話、道路の状況など1968、9年頃はこんな感じだったのか、と思い出させる作品でもある。富士山がたびたび出てくるが綺麗である。(2013年日本映画専門チャンネルにて視聴)

(あらすじ)
 パリ。藤島杏子(浅丘ルリ子)は、清宮秀明から母への手紙を受取った。一人娘の令子(松原智恵子)の後見人になって欲しいという内容だった。杏子の母はすでに亡くなり杏子は母の心の恋人だった秀明の娘に逢いに東京に帰った。秀明も手紙を出した後、亡くなって、令子は、父の弟子達に囲まれて幸せだった。杏子は、その青年たちに近づいた。テスト・ドライバーの生田、現代学生の片岡、抽象彫刻家の金丸、陶芸を志す滝口、青年たちは、皆杏子に惹かれた。そんな頃、杏子の恋人福永敬次(二谷英朗)がパリから帰国した。突然帰国した杏子の態度が解せず、後を追って来たのだ。そして、杏子の友人シモーヌ・三木と共に杏子をなじった。しかし杏子は、悪徳画商から騙されそうな令子を、かげながら敬次とそれを防いだ。その時、令子は敬次の大人の男の頼もしさに惹かれた。令子は敬次と箱根にある彼の別荘に泊った。それを知った杏子は、別れを告げに、二人を訪ねたが、敬次は居ず、令子は、敬次の愛している人は自分ではないと語り、杏子は安緒した。一方、令子の許へ急いだ金丸と生田は、事故を起して重傷を負い、金丸の車に同乗した滝口も負傷した。病院へ駈けつけた令子は、滝口の無事な姿に涙を流した。やがて令子は、シモーヌから、杏子と令子は姉妹だっだと聞き、茫然とした。杏子は遂にそれを告げずに、令子の前から姿を消したのだった。横浜を出航する豪華客船P・W号で、杏子と敬次の心はやっと結ばれた。