風のささやき

詩編:心の欠片

詩編:心の欠片

心の欠片

一日の終わりに

一日の終わりに

苦しさ

一人部屋にいて

鉛筆の匂い

鉛筆をけずる

戸惑いとしおれた花

しおれた花よ

胡桃

固い殻に力を込めて割る

僕は渋柿

熟した柿を食らう

いたわりの手

笑いを

僕の影

影の中から僕の影がまた生まれてくる

祈りはられた道

落ち葉

懺悔の詩

生かされてあるこることが

想い

この体も 骨も 血も

境目

暗い夜の底には

知っているけど

時々は聞きたくはないよ人の言葉

高原にて

白い骨が地面から突き立つような白樺の林

せせらぎの深紅

清らかな山のせせらぎに

夏の紙飛行機

陽射しに身を焦がし

寂しさ

僕の骨は 寂しさで

青い絆創膏

夏の空を眺める

砂嵐

砂嵐に邪魔されるように

微笑み

あなたが微笑んだ

思い

心の 水彩絵の具を指先に

子供と白髪頭

子供たちは今日に

探す

少し気分が良くて

人は

本当は、消えてしまうこと

何度食べても

何度食べても

これはこれ

風に

僕の腕を引きどこかへと誘う風よ

幸い

幸いが続くことは無い

幸せの波紋

さよなら

馬鹿だね

また今日も

言葉

この詩のために

足の裏の祈り

乾いた大地を踏み荒らし

ある日

この指の先から豆のつるのように

明日への花束

どうせ散るのならば

この世

無色透明な風が弔う

戯言

酔っ払いの くどい戯言だ

疲れて重い足取りにも

しばらくは

しばらくは 眠っているがいい

詩に

自分の歌に

終わらない一人遊び

投げやりな言葉の鋭利な刃物

寂しさの種

寂しさの種を

ただ一度きり

今日の陽射しも 空の青さも

橋の蜘蛛

橋の欄干の蜘蛛の食す

初夏の空に

羊雲の群れから

夕立

空がおびえている

夢に

夢に裏切られて 一人

毎日の遺書

一息ごとに 気持ち 移ろえば

風柔らかに

風柔らかにこの身を吹けば

冬のけやき

けやきよ

戯れ

強い風が

指先から

悲しくて

春の別れ

新しい春が運んできた

雪の街に

生が悲しみの日

小鳥

あなたは小鳥

弱い炎

あまねく散らばる悲しみは

夕暮れ

夕暮れる窓辺に

四月

陽ざし穏やかな明るい街を

光の花束

暗い気持ちの続く

住宅街

ときどき

秋の蚊

力無い

冬の木立

誰も悪くはないのに

紙風船

紙風船に

秋の溜息

秋は一人を誘い

ため息

時に