風のささやき

せせらぎの深紅

清らかな山のせせらぎに
鋭い笹の葉で切った 指先を洗う
脈打つように 痛みは火照る

一人 木漏れ日の林に跪く
清冽な清水を鮮血の小波が汚す
苔むした岩肌も
寂しいほどに冷たい

水に溶け薄れゆく深紅
僕の血をこのせせらぎに舐める
河鹿や沢蟹がいるのだろうか

体を巡り 流れだすこの血の
どこに 苦しみは潜んでいるのだろう

せせらぎにゆだねる指先
苦しみがこの体から全て
洗い流されてしまえば と