あなたへ
みなもと
- 浜顔と君といる海夕暮れて愛しさ波に重ね揺られる
- 立ち止り笑った顔の雪だるま写すあなたを心に写す
- 手を取れば赤らむ君の頬眩し嬉しさ恥じらいそれとも夕映え
- 幸せな微笑咲いて黒髪の束ねた花より香る食卓
- いつまでも胸にはあなたの笑い顔温かくあり優しさの糧
- 君横に目覚める朝日柔らかくいつまで見ても寝顔飽きない
- いつまでも話していたい人といる尽きぬ言の葉湧き水の調べ
- 目を細め笑い切る人美しく心の澱捨て僕も笑おう
- 真っ白な浴衣に咲いた紫の花身に纏う爽涼の君
- 蝋燭のようにあなたの温かな言葉は僕の生きて行く糧
- 傷ついたあなたを優しく癒したい思いのたけの犬の舌のよう
- 手をつなぐあなたの顔も夕映えてひっそりと咲く幸いの花
- 姿なく胸甘くする金木犀君の笑顔にかなわぬまでも
- 波際に微笑むあなたの目に映りすべてが愛しく姿を変える
- 夜桜や君の可憐に触れるよう小枝手折りて窓辺飾らん
- 寒い日にあなたの手をとる暖かさ枯葉を鳴らしいつまでも歩む
- 宵闇に標となりぬ百合の香は僕の手を引くあなたにも似て
- あなたからもらった小さなお土産に華やいでいる僕の部屋
- 微笑みはあなたの魔法あっけなく僕はかかるよ胸が高鳴る
- また一つあなたが豊かに実りゆく言葉をそっと捧げられたら
- お守りはあなた 胸にはその笑顔 ホカホカとして優しさの糧
ためらい
- さえずりは、いつまでいいの、ねえ、あなた、いつまでこの声、聞いてくれる
- 人といて人恋しくてその人はいつ会える人思い聞いてよ
- 知りすぎて悲しく恋の散るを知り知りはじめの頃我を羨む
- 木犀や忘れた人を思い出し甘くなりけり手向けの香り
- 手を伸ばしあなたを探す夢を見る繋ぐはずなきあなたと知るも
- 君のこと知らないままの僕がいる知る術もない笑顔に見入る
- 花の香の春の公園華やぎといないあなたの寂しさ二つ
- 一面の花畑の夢目が覚めてこの手の先を誰とつながん
- 雨初めつつじの香水傘の波君の似姿胸は火照りて
- 僕のこと忘れぬ傷を君の胸残したかった別れ行く日
- 虫歯疼くように君に会いたくて落ち着き失くしてる春浅し
- もう君と夢の中でもさようなら人の知らない逢瀬の終わり
- 何もなき壁に絵飾る寂しさは埋まるはず無しあなたを思う
- 輪郭も物音も雪に失くしてる街に色なす君の唇
- クリスマスツリーの下の待ち人になり君捜す息白く弾む
- 香をたき夜のしじまを一人おりあなたの香りを紛らわしおり
- たおやかな枝垂桜は君に見え寄り添う月が僕であればと
- 降る雪は銀幕に君見るようにどこまで積もるこの愛しさは
- 街に雪しびれ起きれば恋しくて温もりくれるあなたの隣
- 君は今 何をする人 白き息 消える冬空 面影 結ぶ
- 嫉妬して君の肩には牡丹雪 厚かましいやつ 盗み見た君
- 浴衣着て頬赤らめた横顔は提灯の灯と迷い鎮めて
- 君の住む街に来ている後ろ髪 引かれ去れない 会いた過ぎてる
- 別れには慣れたふりして本当は痛いよあなたの瞳に会いたい