風のささやき

香をたき夜のしじまを一人おりあなたの香りを紛らわしおり

夜一人で部屋にいました
気分を落ち着けようと
買ってきたばかりのお香の封を切り
火をつけました

煙とともに部屋に立ち込める甘い香り
買ってきたのはカモミールの香りでした

その香りが側にいない
大切な人の香りを
紛らしてくれるのではと思っていたのですが

その人の面影は胸に迫るばかり
紛らわせないほど大きくなっている
僕の中のその人に戸惑うばかりでした