風のささやき

秋にうたう

秋の風景のイメージ

こころもよう

あること

ふうけい

誰のため木々紅葉す一葉ごと移ろう宴酔わせるばかり 秋寒し日曜の朝起きもせず布団被ってひそひそ話 子は遊ぶ白粉花の落下傘ちぎれど尽きぬ命なるかな 雨降りや金木犀の香水は散りゆく花と水面へ失せぬ 秋彼岸墓に行くには日長雨買い物に出る彼岸花いた 葉を染めて錦と織りあげ金の陽にさらす全ては秋の手仕事 10月も終わる空の陽金の波鰯雲燃す今日でさよなら 定め知り虫は一夜を鳴きにけり明日は冷たい土に帰らん 虫の羽濡らした雨の余韻あり草の香満ちて落ち着くを知る いつの間にお喋り止めた青い空沈黙守り静けさの秋 コスモスは色無き風の通る道空へと踏まれ花びら散らす 噴水は秋空色の一色で水は素直だ自分を持たず 虫籠や鍬形虫は姿消し子供覗かぬ秋風ぞ住み 枝先の争い忙し赤とんぼ身にしむ寒さ苛立ち隠せず 虹の立つトンビ羽ばたくその方へ頭傾げる曼珠沙華 電線に一直線に赤とんぼ夕べの祈りに羽を垂れおり 澄んだ空編隊を組み赤とんぼ寂寞落とす爆撃機のよう 空き店舗 君は気丈だ朝顔よ 捨てられて朝 咲かす大輪 晩秋の花壇に残る花の色夕映えの他さわる者なし 一人いる秋の夜長の寂しさよ赤きストーブ見つめ続ける なすがまま雨に散る花 金木犀 甘い香りも ちぎられている 雑音やこの街人の声だらけ かけらもなくて胸すく秋空 つい前に芽吹いたばかりの銀杏の葉ポトリと落ちてもう秋の風 朝顔が蔓を伸ばして柵を越え秋空の花器咲き誇ろうとす