風のささやき

秋の空飛べるトンボは寄る辺無く天差す僕の指に止まれよ

湖の畔を散歩していました
空は湖と同じような青い色合いを湛え
風景が青さに包まれています

僕の頭の上には当ても無く飛んでいるトンボ

空と大地とが混ざり合ってしまったような風景に
寄る辺を無くしているようです

僕は指先を天へ向って伸ばしました
寄る辺の無いトンボが止まるのではと
そんなことを思ったからです

けれどトンボは僕の指には止まることなく
空を彷徨ったままでした