風のささやき

晩秋の河原に立てる蚊柱は世迷い人の群れるがごとし

子供を連れて河原を散歩したのですが
ところどころで
この季節には珍しく思える
蚊柱が立っていました

細い一本道だったので
手を振って蚊柱を散らすように
歩いていったのですが

散らされた蚊は
元気もなく空に漂い
息絶え絶えの様子

まるで行く場所をなくし
仕方なくそこにたむろしているようで

地に落ちて行くことを待つだけの
寂しい集団に見えて

乱暴なことをして悪かったなと
後ろを振り返って見ていました