風のささやき

虫の声聞く耳もたぬ群集は寂しき群れなり我飲まれるなり

ここのところ虫の声が殊更に大きく聞こえます
残り少ない時間を惜しんで鳴いているようです

けれどその声に気づかないのか
それともまるで聞こえていないのか
どこか暗い顔をして足を速める人の群れ

わずかな時間でも耳を傾ければ
心慰められるものがあるのにと
少し寂しくなります

けれど僕も人の波の中では
後ろから来る人に気を使いながら
いつの間にか足を速めている者

人のことをとやかく言っている場合ではないなと
反省してしまいます