風のささやき

柿の実の落ちる今年も秋にあり迷い深まる夕べに凍える

年を重ねるごとに
すべてが正しくもあり
間違っているようでもあり
生きることへの迷いは
深まっていくようです

そうして肌の上に
冷たさを感じる秋の夕暮れ時は
特にそんなとまどいで
胸が一杯になります

何時の間にかすっかりと熟れた柿の実が
無造作に地面に落ちていました
目に見える一年の実りです

それに引き換え僕は
何かを実らせることができたのだろうかと思うと
首もとの風が余計に冷たく感じられるばかりでした