小いけのカレー

 奥尻から戻り、一路函館へ。
 函館は、函館山に寄り添うように発展している港町。明治時代の古き良きレンガ造り建物が、サンフランシスコのような坂のある風景にしっくりとよく馴染んでいるところである。

 函館山の中腹には、風致地区が残っている。風致地区では、景観を重んじるため、建物を許可無しに壊したり建て替えたりする事が出来ない。
 観光客である私たちは、明治時代に建てられた建物が残る美しい街を、函館山のロープウェイで堪能することが出来る。それはとても心躍る瞬間なのだが、実際にこの地区に暮らす人は大変なようだ。

 雨漏りがしようと、雪害が厳しかろうと、お役所の許可がなければ補修することもままならない。年老い、そこでの暮らしが困難になったとしても、建物を売ることはおろか、寄贈することさえも困難だという。
 彼らは、自分の街を慈しみ、そして助け合い(…これじゃまるで結婚式の文言と一緒だな)ながら、何とか生活している。彼らを援助する公的な機関はなかったと思う。
 規制するばかりではなく、援助措置というのもセットで考えないと気の毒だなぁと思いつつ、美しい町並みにゆっくりと流れる時間を堪能した。


 函館のごはん屋さんといえば、私とノブは『小いけのカレー』しか思いつかない。
 ここは、炭火でじっくり煮込んだカレーがウリなのさ。…しかし、舌はしびれるし、胃はスーっとするし、唇はチョーさんになるほど辛い!痛いっ!
 …けど、なんで何回も行っちゃうのかしら?もしかして、私ってばマゾ??何だか知らないが、癖になるのよ、このシゲキが。

 …さておき。
 ここのメニューで面白いのは『トルコ』ってのがあること。風呂じゃありません。当然の事ながら。
 これはトルコライスのことで、長崎が発祥の「洋食盛り合わせプレート」みたいなもの。ナポリタン・ピラフ・トンカツが1つの皿にどかっと盛ってある、非常にジャンキーな食べ物である。
 それがだんだん変化をとげて、今じゃトンカツの代わりにエビフライが乗っかったり、店や地方によって色んなトッピングでバリエーション豊かな食べ物になっている。

 私たちが頼んだのはハンバーグトルコ。
 ナポリタンはケチャップにしては酸味の効いたキトキトした味。ピラフはカレー粉か少し振ってある。その上にやわらかくてお肉の味がしっかりした巨大なハンバーグ!
 …もう「これでもかっ!」って感じで、お腹いっぱい。それで850円!

 うぇ〜い。ゴチソウサマでした。

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