奥尻津波館

 ここの人たちは、夜ごはんに刺身なんか食べない。「夜にはぁなると、鮮度悪くなるさぁ?」一番オイシイのは漁でとった直後で、弁当箱にごはんだけ詰めていって、獲ったその場で醤油につけて食べる。…それは無理にしても、とにかく、刺身は朝!朝食以外で食卓に上ることはないんだって。

 …というわけで、朝食には水野さんが漁で獲ってきた(現役の漁師さんでもあるのだ)ぴかぴかのイカ。
 大好きなイカを勢いよく平らげたノブに挑戦するが如く「まだあるぞ」と笑顔でイカ刺しのおかわりを持ってくる水野さん。上手く断らないと、次から次に活きのいいイカ刺しを持ってきてくれる。…まさに、わんこイカ状態。

 苦しいくらい満腹のお腹で、青苗地区にある『奥尻津波館』(右上写真)へ。
 ここは、青苗でも岬の一番突端にある。震災があるまで、岬の突端には青苗の町があった。しかし、津波と震災後に起きた火事で壊滅的な被害を受け、町は跡形もなくなった。青苗のシンボルの灯台も、根本からぼっきり折れて、震災後に再建した。復興後は防波堤・防潮堤に守られた所に町が丸ごと移動。誰も住まなくなった突端部に、約11億円かけて(!)『奥尻津波館』が建った。

 ノブから話を聞いてはいたが、震災時の様子は私の想像を遙かに超えてすさまじかった。
 震災時の再現フィルムと震災後の実写映像。…それは、第二次大戦の東京大空襲を彷彿とさせた。空襲直後のフィルムとすり替えられても、分からない。教科書と違うのは、それがカラー映像であるということ。

 よくもまぁ、こんな状況で生き残ったもんである。

 地震は、ユーラシアプレートが地中に引き込まれる力に北米プレートが反発して起きたのが原因だと言われている。
 深さ34kmと、比較的浅いところで起きた直下型の地震であった。

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