水野さんの話
ノブの被災時の話しは、本人が書いたものがあるのでそちらを読んでみて下さい。
今回、ノブと水野さんは、初めて被災した時のことを2人で語り合った。その時、水野さんから聞いたことを書いてみたいと思う。
震災の時、水野さんは民宿から少し離れた母屋の方で寝ていた。
地震は、どんっ!と、激しい突き上げ(縦揺れ)があった後に、ぐらぐらと横揺れがきた。
地震の瞬間、彼は「島が爆発した!」と思って飛び起きた。その直後に横揺れが来て、始めて地震だと悟ったという。
当時、島には震度計がなかった。その後の調査で、震度6の烈震であったとされている。
立ち上がったが、真っ直ぐに歩くこともままならない。やっとの事で窓までたどり着くと、外に出て民宿に走った。
お客さんは、当時2組(含:ノブ)が投宿していた。水野さんは怒鳴った。「早ぇぐしろ!地鳴ってるスケ、津波ハー来っかもしれねぇぞ!」
そして、自分はとっさに海へ走った。漁師である本能が、海へ足を向けさせた。恐怖感は全くなかった。
浜へ行くと、海は言葉に出来ないような不気味な音を立てていた。一足先に浜に降りていた弟は、船の縁をつかんでぼーせんとしている。海面が大きく迫り上がってくるのが見えた時、弟を船から引っぱがして叫んだ「逃げれー!」
夢中で高台に逃げている最中に、津波の第一派に飲み込まれた。
暗闇の中、波間に奥さんの悲鳴が聞こえた。クロールで声のする方に泳いでいくと、大きくかいた手が偶然奥さんの肩先に当たった!…彼女を介助する形で、灯台に向かって泳ぎつづけた。
波の勢いに乗る形で、うまく岸にたどり着いた水野さんは、奥さんをベルトに掴まらせ、自分は手近に生えていた草をぐっとたぐり寄せた。
津波は、打ち寄せる波より、引き波の方が威力が強い。両手に力を込めた水野さんだが、草は根っこからぶちぶちと音を立てて切れ始めた。(…もうだめか!?)そう思った瞬間、波は身体から急速に離れていった。
水野さんがつかんだ草は、半分が土からもげていた…。
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