大阪大学

コミュニケーション デザイン

地域に協働の公共空間をつくって

2006.1.25

N-Pocketの

中間支援組織としての立場

市民自身の力で地域社会の全体像を描き出せるよう、地域のニーズに耳を傾け、多様な市民活動の誕生を支援する。

障がいのある人、在住外国人、子ども、高齢者の自立を支援し、当事者が提起した問題を、市民と共に解決できる社会をめざす。

市民・企業・行政などの多様な機関が連携し、縦割り行政の枠組みを超えて、地域の具体的な課題に取り組む仕組みを提案する

協働事業を通して、新しい市民参画のプロセスを開発し、行政との“政策連携”を実現する。

職場・家庭以外に、すべての人が自分らしさを発揮できる
“もう一つの居場所”を市民のネットワークでつくりだす。

静岡県西部障害者 マルチメディア情報センター

浜松外国人医療援助会(MAF)

SL高校編

地域課題:浜松市は全国で最もブラジル人人口が多い。
その子弟の不就学は本人のみならず家族や
地域社会にとってさまざまな問題を抱える。

この問題の解決の糸口に、ミューラル作成活動を通して、
困難を克服して学ぶ外国人高校生の存在を、外国人の
子どもたちや浜松市民にも伝えようと、この事業を企画

わかものたちの多文化共生 全国交流会
外国人の子供と親のための「高校進学ガイダンス」も開催

静岡大学社会教育実習の大学生と 日系高校生によるビデオアート 「わたしのルーツ わたしの希望」

N−Pocket 三事業 連携の構図

静岡県との協働;2001年〜2005年
委託事業を核にしてネットワークを広げた協働事業
静岡県健康福祉部委託事業
障害者マルチメディア情報センターの管理運営

静岡県商工労働部就業支援室&健康福祉部障害福祉室
障害者(知的)就労支援ネットワーク体制づくり事業

静岡県土木部浜松土木事務所
一級河川安間川河川整備構想策定事業

3事業は5年目を迎える ⇒ 受託事業から政策連携へ

行政との協働事業 1

安間川 河川整備構想 策定事業
        2001年7月〜2002年5月
整備構想に係る意見集約業務
        2002年7月〜2005年11月
静岡県浜松土木事務所 委託

他団体と連携して

安間川に親しむイベントを開催

写真撮影会‥興誠高校写真部
●植物観察会‥遠州自然研究会
●水質調査‥‥浜松環境ネットワーク
●カヌー遊び‥ ハママツカヌー
●ネイチャーゲーム‥ 遠州ネイチャーゲーム協会
●魚観察会‥‥浜松水辺を愛する会
●ソーラーボート‥ 浜松城北工高環境クラブ
●バード・ウォッチング‥ 日本野鳥の会
●取材劇上演‥ 浜松大学すなこゼミ

市民原案 基本指針

1 安間川を地域の文化・自然資源として再生する

2 洪水の防止を河川整備構想の最優先事項にする

「@床上浸水を100%防止する A日常的には床下浸水は起こさせない」

3 流域全体の責任で水循環の仕組みづくりに取組む

官民が一体となり、一挙に安間川に雨水を流入させないための貯留方法を流域全体に広げる努力をしなければならない。
雨を川にではなく、地下水に戻す「水循環のしくみ」を、地域住民の理解と参加を得て実現することも課題である。

4 安間川の自然生態を回復する工法を採用する

5 行政と住民の役割分担を明確にして協働する


治水事業から 学校と地域住民・自治会との連携へ

N-Pocket さんもういなくなるの?
市民だから仲間だからやめられない
地域が自立するまでがんばろう
信頼のネットワークがあと一歩でほんものに
行政も市民も止めないでコール!

自主事業として引き継ぐ

N-Pocketは総事業費の三分の二を捻出

@ 流域の小学校と総合的学習で2年間連携

2002〜3年国際交流基金&日本たばこ助成:   1230万円

A 地域住民の組織化と意識の喚起

“水辺再生まちづくり事業”
溜めタル君プロジェクトに発展
2003〜4年   文部科学省助成:            270万円

B 雨水貯留による洪水防止と水循環の保全 

2004〜2005年 河川整備基金助成:          300万円

C 水の自立都市を目指して

2005〜6年  TOTO水基金助成:            100万円

自主事業として5年間で合計1900万円投入
静岡県900万円(300万円×3:1年おきの5年間)

現場を共有し共に学ぶ

休日にもかかわらず、地域の人や、県浜松土木事務所、浜松市河川課、下水道課の職員もイベントに参加し現場を共有しました「この子たちのためにもがんばりたい!」

安間川宝探し PART2

グリーンウォッチング      &ユニバーサルデザイン
〜SEEDS OF DREAMS 〜  安間川に夢の種をそだてよう

自主事業 1 サービスラーニング

5年生の総合学習と連携

サンフランシスコ視察 校長、5年生の教諭2名

自主事業 2 水辺再生まちづくり 生涯学習モデル支援

手づくり雨水貯留マス 「ためタル君プロジェクト」

フラッグ アート ためタル君応援旗

SL保育園編

地域の家々で雨水を溜めて活躍する、通称“ためタルくん”が果たす役割を園児にもわかりやすい「治水の紙芝居」にして・・・「ためタル君一座を旗揚げ」

ためタル君第44号

安間川の治水問題(地域の課題)

他の二つの事業と並行させて、複合的な取り組みを行うことにより、相乗効果をもたらすことができた。

拾ったゴミの量がタイムに反映

子供たちの成長

個人差はあるが子どもたちの意識は着実に変化
今までの授業ではおとなしかった子どもも体験活動を通して積極的に発言
川に対するマイナスイメージが払拭され、親しみやすさや思いやり、地域への帰属意識が高まる
問題を解決しようとする意欲と能力の向上
ダイナミックな活動に参加し、社会貢献する喜びを理解
他者や社会へ積極的な働きかけられるように変化
見通しを持って主体的に活動し、計画的に行う児童の増加
学習内容を自覚的に意識する力の芽生え
* 子どもたちが地域の課題に関わることにより、地域の大人が励まされ地域への連帯感や頑張ろうとする意欲が喚起された

SLの実践でN-Pocketの果たした役割

安間川での学びの場の確保
河川計画という公共事業へのこどもの参加の機会を創り出す
専門家、地域のボランティア、NPOスタッフなどの人材の紹介
各種の情報を提供 特に安間川に関する情報
N−Pocketの他の事業と連携し、現場で学べるコンテンツを用意
教科に連動したカリキュラムを提案
教員に対してサービス・ラーニングの理解を助ける啓発活動
アメリカへの視察研修の機会を提供(校長先生+5年生の先生2人)
国内外のサービス・ラーニング専門家を講師に招いて研修会を主催

課題ふたたび

安間川を接点にした学校と地域との連携
・地域の課題を子ども達と
・水辺の体験プログラム

安間川河川整備構想策定事業の 構造的に優れていた点

プロポーザル方式の自由度が高かった
コンセンサス会議の人選を全面的に任された
専門家の選任もN-Pocketの責任に任された
行政の持つ情報がタイムリーに提供された
計画のゴールを、誘導されなかった
新しい公共セクターをイメージしていた
県河川行政の先見性
“行政担当者の忍耐と市民に対する信頼”

ほんとうの協働に  →  N−Pocket の決意

土木事務所が洪水に対する行政の見解を 披瀝しようとした時に 待ってくださいと。
住民の中に入り 情報を収集。
問題の全容を独自の調査で把握 その後 土木事務所にレポートを提出 双方の問題意識が一致していることに驚く
この時の自主的な調査活動がその後の
住民・行政・N−Pocket の 相互の信頼の基礎になる

協働事業によって生み出されたもの

1 プロセスの共有 →  現場で事実を確認

住民と行政職員の意識変革

2 情報の共有 →   各種行政機関の連携実現(施策の総合化)

住民の経験が行政の情報を補完
合理的で公平な判断 → 整備計画に反映

3 役割の明確化 →  行政・地域住民の責任分担

行政:床上浸水は100%防止
住民: 床下浸水は許容→住民の努力へ

4 治水事業に反映→ 緊急治水対策事業の予算化

モデル事業に発展
浜松市河川課に河川計画室誕生
氾濫シミュレーションの適用(ポンプの配置)

5 流域の総合治水計画に発展


対等な立場 相互の異質性を尊重 情報公開 信頼関係の構築

N−Pocketによる学びの方法論 “市民はどのようにして学ぶか”

現場を共有
経験と情報を共有
現場で事実を確認⇒ 問題の共有
行政情報と市民の経験・情報との照合
歴史に学び将来を展望
民主的な議論の場を通して自分の立場を確認⇔問題との関わり方を学ぶ
私(個人)から私達(組織)に意識転換
計画が動く ⇒ これは本物 ⇒参加を実感
個人⇒公人⇒市民への成長

NPOの潜在的な力

私たちも市民-------水平な関係
ボランタリーに関っていることへの共感
地域の多様な資源情報を集約する力
ネットワーカーとしての人・組織をつなぐ力
素人ゆえの率直さ⇒なぜ?学ぶ姿勢
問題解決力⇒無から有へ(ひたむきさと楽天性)
ビジョンを構想する力(市民社会への展望=プラットフォームの構築)
公益性⇒専門家の協力(このためなんです助けて!)
情報公開⇒公開性・透明性⇒公平・合理的判断

何故NPOが合意形成に有効か?

官対民と公(=public)で
戦後の日本の構図 < 官 民>
二重構造
21世紀の構図 <官 公 民>
三重構造(中間的な役割をになう 公=NPO )
*まちづくり ⇔ 合意形成 ⇔ 判断力の醸成 :学びの体系的な仕組み

公 =NPO ⇒ 新しい公共の担い手
公による制御 官による制御は異質
公による合意形成 市民の責任を導く
公による計画参加 縦割りの壁を破る
公 生活者である市民ゆえの総合性

SL中学校編

付属中学校の要請によりN−Pocket がコーディネーターに
3年生全員が4~5人のグループを編成
関心のある地域の課題を研究
NPOに出向いて実際に体験活動(3ヶ月)
結果をまとめて校内&地域住民に発表(1~2年生は聴衆に)
授業では子供たちの意識をここまで変革できないと高い評価を

サービスラーニング実践 アメリカ編

SLが20年以上継続できた理由

多様な能力、多様な背景の子ども達の能力を発展させられる
子ども達が、地域社会の発展のための重要なパートナーであることが解ってきた
両親・地域・学校を一つにできる力をSLは持っている。家庭は子どもが学習する上での重要経験の場である
学習態度の向上、出席率の改善、問題行動発生率の低下に効果
教師の専門家としての資質の向上があり、個人的な人生も豊かになったという先生側の評価

2003年 “Mural”による

地域の支援団体・学校・当事者の若者との連携

ロールモデルとなる「日本の高校へ進学した子どもたち」を、次世代の多文化共生のリーダーとして育てる
日系人の高校生を公募し、地元の芸術系高校と協力して、Mural Project(ストリート・アート)を実施

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www.yuko-yamagcti.net