山口ゆうこが取り組んできた社会活動(Social Inclusion/Communication Design)の記録。
「まちづくりリーダー」に関心を寄せられた120人のみなさまは、どのような思いで「まち」を描いておられるのでしょうか。私は、実はかつてはハードのまちづくりに、十数年間、職業として関わった経験がありまして、その限界を感じて、“人々の暮らしを構成する多様なテーマ”、とりわけその“中心にいる当事者達の課題に寄り添う”ことによって、まちのあり方を探る方向に見の置き方を変えた一人です。
まちづくりとは、人々の暮らしがどのように展開されれば、より多くの市民が、安定した幸せな人生を送ることができるのかという課題に答える手続きの総体をなすマネジメントだと思っています。
もちろんそこでは法律や制度が重要な役割を果たすのですが、制度や法律の基調をなす精神そのものも、その国や地域に住む人々の希求する考え方の合意の反映であることが、民主主義社会の基本にあると信じているからです。
浜松NPOネットワークセンターは、N-Pocketという愛称をもっています。市民の“こうなったらいいな”という思いや夢が、N-Pocketに飛び込むと、それらは具体的な事業に姿を変え、参加する多様な団体・NPO・専門家集団のネットワーキングにより、行政には許されない試行錯誤やチャレンジの結果、従来には無い問題解決のプロセスを通して、参加した市民だけではなく行政職員の意識変革をも引き出して、その結果新しい施策が生まれ、緩やかな社会的な変革が興っていくという私達の活動のビジョンが、この名前には込められています。
この7年間、私達は、このビジョンに忠実な成果を挙げてきたことに安堵しています。N-Pocketは中間支援組織であることに特徴がありますが、私達の活動には大きく分けると二つの事業があります。その一つは、多様な市民活動団体の誕生に寄り添い、その後の情報提供や対等な関係で組織の維持・成長を支援することです。もう一つは、NPOのモデル開発事業とネットワーキング事業です。これには、自主事業と、行政との協働事業があります。詳しくは、ホームページでご覧いただけますが、活動対象を「こども・障害を持つ人・在住外国人・高齢者」に絞っています。平均的な暮らしを送っている人々よりも、とりわけ社会的なサービスを必要とする人々(People with special needs)に寄り添う事業を興して、問題を喚起し、当事者のみならず、参加する一般市民の自立をも促していこうと考えているからです。“お上”に幸せを預けてきた日本人が、自分達の幸せ像は自ら描き、実現のプロセスを共に創り出していけるという意識変革を経験することはきわめて重要だと思っています。「知的障害者の就労支援ネットワーク体制づくり事業」「障害者のためのマルチメディア情報センターの管理運営事業」「一級河川安間川河川整備構想策定事業」いずれも3年を経過した静岡県との協働事業ですが、これらの事業はそれぞれ関わった市民も、行政機関も異なりますが、先述したように従来には無いプロセスにより多くのネットワーキングを産みだし、現在もその波紋を広げています。
中間支援組織の特徴は、環境問題、障害者福祉等々、個別の課題に取り組むテーマ別集団ではなく、ジェネラリストとして、これらの専門的課題に特化した団体を時宜に応じて繋ぎながらプラットフォームを形成して、問題の解決や提案にむけて離合集散するしくみを創造している点にあります。それは、N-Pocketが、テーマ別集団を基礎にして、地域の全体像である“まちの自画像”に対して、責任を負おうとしている組織だからです。今、地域のニーズがどこにあるかを意識しながら、行政をはじめ議会、自治会、市民活動団体とバランスをとりながら、日本らしい地域社会のあり方を模索する試みを続けて行きたいと念じています。@社会像を構想する力 A方法論に対する固有の理念 B人を信頼できること C楽観性と粘り強さ D専門性 が、リーダーには必要だと思っています。しかしこの力は、経験により身につくものです。私達のまちづくりの理念に賛同される“リーダー”の皆様、どうか力を貸してください。NPO活動は、他では味わえない生きる豊かさを秘めています。
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