ソシアルインクルージョン

2005.1.13

多文化共生の試み

アートとソーシャルインクルージョン

特定非営利活動法人
浜松NPOネットワークセンター

日本で最多の日系南米人が居住する 浜松の現状

人口60万人の3%が外国人
日系ブラジル・ペルー人は日本で最多の14、000人が居住
平均居住年数は、10年
「デカセギ」と言われる彼らの多くは派遣会社による間接雇用
労働者の身分はきわめて不安定
健康保険加入者は四分の一
義務教育就学年齢児童の20%、約300人が学校に行っていない

N−Pocket の 多文化共生事業

外国人のための保健セミナー
外国人のための無料検診会(9年目)
路上演劇祭
外国人の子供のための演劇ワークショップ
「外国人医療支援団体全国交流会」の開催
「外国人教育支援団体全国交流会」の開催
学校へ行こうよ!シリーズ:
      日系高校生による「ミューラル」の作成
学校へ行こうよ!シリーズ:
      日系高校生によるビデオ作品 「私のルーツ 私の希望」
「在住外国人おやこの為の高校進学ガイダンス」の開催
大人の受信者の50%が要二次検診。
実際に受信するのは10%にすぎない。

1995年〜2004年外国人の為の無料検診会

N−Pocket の アート活動を支える考え方

市民活動は 自分たちの思いを伝える表現活動だ
アートは、軽やかに楽しく、多様な市民の参加を促す力を持っている
アートは、言葉とは異なる次元で、問題の本質を伝える力を持っている
アートを創造する過程は 優れた対話・相互理解の機会だ
事業のテーマごとに、ふさわしいアートによる表現方法があるはず
アートの力を借りて “こうなったらいいな” という市民の思いを
社会的な力に変えるしくみをつくりたい

Art at Work 直径2mの地球ボールに願いを書く

N-Pocketのアートによる多文化共生事業の基本理念

お互いの母語・母文化を尊重すること
異質な文化が共存する社会は豊かである

アートは交流・対話のツール
言葉の壁はアートで乗り越えられる
アートはその国の歴史そのもの (=アイデンティティー)
アート活動を通して、相互の理解・尊敬が生まれる

異質な文化の接点から新しい表現活動が生まれる
       感動→触発→融合→創造

2000年 路上演劇祭

この活動を契機にアートによるソーシャルインクルージョンを学ぶ

ブラジルの識字教育の指導者

パウロフレイレとアウグストボアールの思想が浜松に

・プレワークショップ
  +子供の表現活動;子供のためのワークショップ
  +ジェンダーと身体表現;高校生のための演劇ワークショップ
  +身体表現のためのワークショップ
  +アクロバットと道化
  +取材劇よるまちづくり
  +紙で作る衣装と仮面

・オフィシーナ・ブラジルによる四部構成の無言劇 (路上上演) 

・メキシコ劇団「ギジェルモディアスと仲間たち」とモイセス・ミランダ
・韓国「Arts for living] の参加

・高校演劇部 大学 砂山商店街 一般市民 大学生 の参加 
・シンポジウムの開催 : 「路上演劇祭」から学ぶこと

( トヨタ財団の助成事業 )

主宰者 ジルソン サントス氏

「抑圧されし人々の演劇 :
Theater for the Oppressed People」 一冊を持って来日

路上演劇の主題 :共に生きる社会
    「 誕生  死  障害  女性差別  性  」 を 群舞で表現

ブラジルの成熟した思想・文化・表現 に圧倒される

「自己と向き合って、自らの肉体で表現する」ことを始めて体験

表現活動のあたらしい種が 浜松に播かれた

学校へ行こうよ!シリーズ第一弾

ミューラルの作成

1.祖国での家族との幸せな暮らし
2.日本に来た戸惑いと不安
3.祖国のことを時々懐かしく思い出す
4.言葉の壁に悩む
5.学校でのいじめを克服
6.壁を破り乗り越えてきた私たちの姿と勇気
7.高等学校にたどり着いた喜び
8.学ぶから未来に希望がある
9.後輩たちへ : あきらめないで!

ミューラルで表現された内容(向かって右から左へ)

くつろぎながら自己紹介する高校生たち

仲良くなってミュラーるのポーズの検討を始めた日系高校生
”未来の希望に向かって”

”歌手になりたい”未来の夢を
等身大の姿に表した日系ブラジル人の高校生

サンフランシスコでミュラール研修




サンフランシスコのワークショップで
ミュラールアーティストの指導を受ける高校生たち

帰国報告会で最終案を決めているひとコマ

コミュニティ・ペインティング・デイ
大勢の市民・学生と一緒に作業

完成したミュラル たて11mx2.7m
18枚のコンパネを繋いでいるため持ち運びが可能

国立民族学博物館主催:他民族ニホン在日外国人の暮らし展 出展
(社)日本イベント振興協会
「日本イベント大賞 特別賞:国際交流奨励賞」受賞(2004年)

ミューラル事業の成果

ミューラルという新しい表現を浜松市民が好意的に受け容れた 
事業を通して日系高校生のリーダーが育った
制作をサポートした日本の芸術系高校生が日系高校生の立場を深く理解し、自分の悩みがちっぽけであることを知る。(双方向の対話へ)
ミューラル作成の技法が、浜松の財産として残された。
多文化理解教育に、新しい対話の手法が誕生した。
    (小中学校の総合的学習に普及させたい)
多くの市民、市長を始め行政職員、先生達が、日系高校生の存在と彼らの活躍を知る機会になった。
新しいリーダーの活躍で、「全国多文化わかもの交流会」を開催
高校進学ガイダンスの行政との共催
彼らのルーツが日本の歴史そのものであることを知る
      彼らのルーツを共有しよう!→  ビデを作品の制作へ繋がる

日系高校生のビデオアートを制作

ミューラル事業でパートナーになった日系高校生の
  「私のルーツ 私の希望」 を ビデをアートに作成

静岡大学社会教育専攻の大学生8人が、ビデオアート作成  の技術支援で協力:日本の多文化問題の理解者に

高校生は大学生との交流で、進学に希望を燃やすように

学校へ行こうよ!シリーズ第二弾として、
   広報活動に活用:小学校中学校で上映していく予定

何より4人の歩んだ苦難の道と、それを克服してきた強さと明るさに
  見る人皆が感動、外国人の問題に目を向けるきっかけになっている。

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