デンパサール

 11:30すぎ、バリの州都「デンパサール」へ。
 …この国の人々が日常的に生活している場を見てみたかったので、スワルバに袖の下を渡して(Rp.ではなく、$で要求される。ちなみに2人で$10)市場に連れていってもらう。


 昭和30年代くらいに作られて、今となっては廃墟となってしまった病院のような建物。
 途中で作るのを放棄したらしく、鉄筋がむき出しになって錆びついている。ドアはない。窓もない。天井は高い。

 1軒のスペースは大きくて2畳。そこに、駄菓子屋のごとく品物が堆く積まれている。

 1階は主にフルーツ、野菜コーナー。
 おなじみのバナナやリンゴがあるかと思えば、見たこともないような巨大なフルーツが並んでいたり、ナッツ類が積まれていたりする。
 果物の切り口には(果物を切り売りしているらしい)山のように蝿がたかっている。店番のおばちゃんは、追い払おうとする気配がない。やる気のない、生気の感じられない、死んだ魚のような目つきをした店番の人々。


 2階は主に肉・魚のコーナー
 …すごい臭い。あちこちで食品の腐っている臭いが充満している。
 
 鶏肉は、羽をむしったままの状態で、まるで置物のように(何年もそこに置き去りにされているような感じで)何羽もぶら下がっている。薄暗いし、ちょっと恐い感じ…。

 1階も2階も、そんなものに混じって民族衣装が売られている。
 一応ショーケースに入ってはいるものの、市場全体に蔓延しているやり場のないどんよりとした感情というか、情念のようなものが宿命的に染みついている感じがして、購買意欲があおられることはなかった。


 3階は雑多に色々売っていた。鉄筋の屋根がないので、みんな幌を張っている。
 …暑い。お昼休みならしく、あちこちでご飯を食べてる人がいる。

 興味津々で覗いていたら、恨めしげな視線を返された。
 怖くなったので、なるべく彼らとは視線を合わせないようにすることにした。
 日本人はみんな裕福だと思っている眼差し。「違うんだぁぁぁ!!」って、言っても通じないんだよね。はぁぁ。

 3階には見あたらなかったが(だって、テント張りだもんね)、1・2階には、あちこちの柱や壁に飾り棚が設置されていた(上の写真、左奥にかすかに見えるかな??)。日本式に言うなら「神棚」。上にはチャナン(神様への供え物。バナナの葉で編まれた10センチ四方の籠の中に、花や果実、お香などが乗っかっているもの)が置いてある。

 店に並んでいる品物は、腐る寸前もしくは、もうとうに朽ち果てているのではないかというものばかりなのに、チャナンだけは新鮮である。
 スワルバ曰く「(バリの)人たちはいつも祭りの準備をしている。祭りの合間に普段の生活を営んでいる。」と、いうこと。…納得だよ。

 庶民の生活ぶりを見てみたい、という好奇心から市場を覗いてみたのだが、スワルバ曰く、ここで買い物する人は庶民でもずいぶん下層の人々なんだとか。ごくごく一般的な人は、やはり衛生面の問題からこの市場では買い物しないらしい。


 デンパサール市場を後にして、ブサキ寺院に向かう。

 途中、ブッキ・ジャンプールというライステラス(段々畑の水田版)が見える高台でお昼ごはん。
 絶景ぃぃぃ!!すごい。山のずぅぅっと下の方まで、見渡す限りのライステラス。

 日本のように、急な斜面に無理矢理猫の額ほどの畑を作ってるのとは異なり、なだらかな斜面にゆったりとした水田がもうけられている。畔には椰子のような南国ムードを盛り上げる木が所々に植わっている。
 目が痛いほどの鮮やかな緑。

 ごはんを食べ終わってから、またバンで移動。ドナドナの気分だよ。やれやれ。

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