ケチャック・ダンス
ケチャック・ダンスは、バリ古来の土着宗教の太陽崇拝と、海から魔物は陸に上がってこないように祈る儀式が発展したもので、ドイツ人によって考案された。
ケチャック・ダンスは、舞台上に大道具が一切配置されていない。
…と、いうのも、森の木や、王宮内部の様子、果ては玉座(左写真。暗かったので、うまく撮れなかった。ごめんなさい…)に至るまで、30人から成る人間(男性)が組み体操のように体で表現するのだ。
その際、男たちは「チャッ、チャッ」と、言いながら小刻みにリズムを取っている。
…これが、例えば森に風が吹いているときは「うゔ〜ぅ」という唸り声でゆっくり体を動かしたり、王様が玉座に座っている様子を表すときは、何人かで櫓を組んでその上にダンサーを乗せてみたりする。
フォーメーションを変えたり、リズムや音量を変えることで、大道具や効果音の代わりを果たしているのだ。すごいすごい。
さて、物語の内容は、王子(写真左)、王女(写真中央)、王子の弟、金の鹿、悪魔の化身である隣国の王様(写真右)で構成されている。
ある時、城を追い出された王子とその弟、王女の3人は、金の鹿を見かけた。王女は王子に、その鹿を生け捕りにしてほしいと頼む。王子は弟に猟の間の王女の身辺警護を頼む。
しばらくすると、王女には森の奥から救いを求めるような声が聞こえてきたような気がした。その声を王子のものだと思った彼女は、王子の弟に夫を助けに行くように促した。…そして、一人になった王女を、悪の大王はさらっていってしまう。
王子は、猿王(神様)を中心とした猿軍に導かれ(この辺が非現実的でバリっぽい)、敵国を攻撃。見事勝利を収める。無事王女を救い出しましたとさ。めでたしめでたし。
…という話し。
一応、物語の内容を日本語で書かれた紙切れが手渡されるのだが、日本語自体がかなり怪しいし、王子の役を女の人が演じていたりするせいで、かなり分かりづらかった。
バリのダンスは、女の人が腰をくねくねしながら目をぎょろぎょろさせて、指先勝負!っていう感じのストーリー性のないダンスをするもの(後に、これはレゴン・クラトンを想像していたらしいと判明)だと思っていたので、男の人は出てくるは、ストーリーはばっちりあるは、ドイツ人が考案したものだは(君が代みたいなものだね)、色々びっくりさせられた。
移動。金銀細工の村に寄る。そこで銀細工を見る。
ここでも、店に入った瞬間にミネラルウォーターを振る舞われる。
…確かに、種類も豊富だし、細工も細やかなものが多いとはいえ、値段が日本で買うのと同じか、むしろ高い位なのには参った。吉田美和似のお姉さんが、へたくそな日本語を駆使してぐりぐりと売り込んでくる。
辟易しながらも、しっかりリング(ごつめで、バリの花を彫ってあるもの)とペンダントヘッド(バリの女の人が踊っている姿をモチーフにしたもの)を買ってしまった(7000〜8000円くらいだった気がする…。高かった!!)。
移動。ウブド郊外の「ネカ美術館」に行く。
ここは、絵画収集家であるステジャ・ネカ氏(勝手に「社長」と命名)によって1982年に開設された美術館である。
バリ絵画の変遷(西洋の影響を受けながらも独特の作風を生かしたウブド・スタイルが確立されるまで)が分かりやすく展示されていたり(私には絵心というものがさっぱり無いのでよく分からない)、絵の他にバリの儀式や舞踏を納めた写真なんかも展示されている。
この美術館に納められている作品は評判になり、日本の岩手と東京でも公開されたことがあるらしい。
でも、見ていて辟易したのは、「社長」の絵が多いこと。
きっとお金を積んで、インドネシアにおける著名な画家たちに描かせたのだろうけど、展示されているもののうちの3分の1くらいは「社長」が咬んでいる。
右を向いても「社長」。左を向いても「社長」!「美術館」というより、「社長屋」という感じ。
やれやれやれ。
閉館間際までそこにいて、それから移動。バリ・スタイルの絵画を売る店に行く。
店を案内してくれたのは、まだあまり客あしらいに慣れていなさそうな若いお兄ちゃん。
色々悩んだあげく、25p×20pくらいの絵を購入。始め$150だったのを、何と$45までまけさせた!うぅむ。やれば出来るものである(笑)。
今日の買い物で学んだことは、大抵どこの店に行っても客あしらいに慣れている感じがして、外国人からぼったくることに何の抵抗も感じていない人が多い、ということ。
気をつけないと、あっという間に身ぐるみをはがされてしまう。こわいこわい。
←back / Topic「インドネシア」へ / next→
1.バリ島へ 2.南の島の洗礼 3.インドネシア料理 4.つれづれ
5.ウルワトゥ寺院 6.ケチャック・ダンス 7.レゴン・ダンス
8.続インドネシア料理 9.ジュナンサリ 10.バロン・ダンス
11.デンパサール 12.ブサキ寺院
13.Kafe 14.ヤマモト
15.安物買いの銭失い 16.ティルタ・ウンプル 17.タナ・ロット
18.最終日 19.幕切れ EXIT!