バロン・ダンス

 ホテルに帰って、以前から気になっていたBarへ足を運んでみる。
 ドア越しに生バンドが演奏する音が聞こえてくる。ドアをくぐると大盛況の様子。barはカウンターが好きなのだけれど、空いていないので仕方なくテーブル席へ。

 涼しい風が吹き抜けるバリっぽい感じの建物。
 家族連れの外国人がみんなそろってやってきて、お父さんと子どもが一緒にビリヤードやっている。
 バンドは、決してうまいとは言い難いが、懐メロと流行のものを織りまぜて演奏しており、それにあわせて老夫婦がフロアで踊っている。
 寝っ転がることのできる2畳くらいのスペース(さながら、巨大ソファー)には、お母さんと子供がころころしてる。

 みんな親密な一体感のあるムードで、お酒とその場の雰囲気を楽しんでいる。大人が飲んでる横で、子どもがパフェ食べてたりもするのが微笑ましい。

 とりあえず地元のお酒アラッ(Arak)を使ったカクテルを頼んでみる。
 椰子の樹液から造られるお酒をトゥアック(Tuak)といい、それを蒸留させたものがArakである。

 頼んだカクテルは、Arakとパイナップルジュース、その他いろいろが入っているらしい。
 あっさりとしていてなかなかおいしいが、ジュースっぽくて、あまりお酒という感じがしない。どれも美味しいけど、ジュースみたいだ。

 …ちなみにカクテルは1杯Rp.10,000〜13,000。高くても140円くらいということ。死ぬ気で飲んでも一人1,000円行かないくらい。
 日本のBarなんて、1杯1,000円くらいだもんね。安いっ!日本でもこのくらいでお酒が飲めたら幸せなのになぁ。

 すっかり気持ちよくなって、部屋に戻ったら、即寝た。


 10/2 晴れ。…若干寝坊した。朝ご飯食べそびれたまま観光へ突入。ひぃぃぃ。

 今日は朝からバロン・ダンス見学。バリ舞踏は、バロン・ダンスに端を発している。
 もともとチャロナンという宗教儀式だったものを、外国人の手によりショーの要素を加えられ、1時間ほどの長さにまとめられたものである。


 王子は死神の生け贄として捧げられることになった。
 王子を愛していた王妃(王子の母親)は、首相とともに悲しみに暮れていた。

 死神は、生け贄を出し渋る王妃と首相に呪いをかけ、死神の家の前の木に王子を縛り上げるようにし向けた。

 木に縛り付けられた王子を哀れに思ったシワーの神様(幸運の神)は、王子を不死身にする。

 そこに死神(写真)が現れ、生け贄の儀式を始める。
 …しかし、王子は不死身なので、どうすることもできない。

 敗北した死神は、王子に「自分を殺してくれ(それによって天国に行くことができるから)」と懇願し、受け入れられる。

 それを見ていた死神の第1弟子のカレカは、自分も同じように殺してくれと懇願するが、王子はこれに同意しなかった。カレカは、巨大な動物や鳥に変身して王子に戦いを挑むが、いずれも負けてしまう。そこで、カレカは最後の力を振り絞って悪魔の女王「ランダ」に変身する。

 このままでは王子は「ランダ」にかなわぬと悟り、真実の神「バロン」に変身する。

 2人が戦っているときに、バロンを手助けする兵士たちが現れるが、ランダは彼らに「自らに剣を向けよ」という術をかけ、兵士たちはみんな自決してしまう。

 結局は「ランダ」と「バロン」の終わりなき戦いになっていく…(フェードアウト)。


 この話は、聖獣「バロン」と魔女「ランダ」の果てなき戦いを通して、善と悪、聖と邪、生と死という二元論的対立を表現しているのだそうだ。
 2つのものが同時に存在しながら、世の中は成立しているのだ、ということを表しているのだろう。…したがって、結論は出ない、出さないまま終わる。

 …なんかしっくりこないまま、デンパサール市内を観光することに。

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