欧州の鉄道技術・日本の鉄道技術
【鉄道旅行等】10-鉄道網

鉄道網の整備

国土をカバー

北陸新幹線、九州新幹線長崎ルート、中央新幹線の整備が進んでおりますので、東京と各地のアクセス向上が話題となっています。

鉄道整備については、人文系や経済分野の方が研究成果が多く公表されておりますから、ここでは、こうしたものと被らない内容のものをまとめます。


【注】このページも作成中です。作業時間がなかなかとれず・・

日本の場合

日本では「全国新幹線鉄道整備法」(1970年法律第71号)により整備が進められてきております。新幹線整備が、普通の鉄道と違うのは、国土交通大臣が主体的に建設を計画して進める点です。

さらに、日本の場合には、多くの国鉄系在来線と軌間が異なっており、上下分離で運営される(下側は鉄道建設・施設整備支援機構(JRTT)が保有する)こともさまざまな相違を生んでいます。

全国新幹線整備法では、運輸大臣が基本計画を定め(四国や山陰等を含む11路線)、さらに「整備計画」を定めて新幹線整備を行います。1973年に決定された整備計画による5路線が「整備新幹線」と呼ばれるもので、2024年4月時点で未開業なのは北海道(新函館北斗〜札幌)、北陸(金沢〜大阪)、九州新幹線西九州(長崎)ルート(博多〜長崎)です。これら整備新幹線は、JRTTが線路や駅等の施設を建設、保有し、開業後に営業主体となるJRさんに施設を貸し付ける上下分離方式により運営されるのですが、 建設費用は、既に開業している東北、北陸、九州新幹線の施設使用料、既設新幹線の譲渡収入、公共事業関係費によって国と地方公共団体が負担することが申し合わされています。このように、建設費用は国だけではなく、地方公共団体も、鉄道事業者も負担しないとならないことから、新幹線及び既存の在来線の両方の収支を踏まえて検討することが必要となっています。

整備新幹線の建設にあたり創設されたこのスキームにより、費用負担及び住民の足の問題から、並行在来線の存廃又は運営主体が協議されるのですが、新規整備される高速鉄道と在来線とが同じ軌間の国の場合には、34-高速鉄道の在来線線路走行で述べているように並行在来線問題は生じません(費用負担問題はあります)。

ヨーロッパ地域

ヨーロッパの鉄道整備は、航空網、鉄道網、自動車交通網や水運網も含んだ総合的な、欧州単一市場(European Single Market)政策に基づき、財政的な裏付けとなる基金も設けた上で整備が進められています(欧州運輸総局DG-MOVEによる地図はこちら)。鉄道では、単一欧州鉄道網指令(2012/34/EU)や、TSIという技術基準の共通化、ヨーロッパの貨物鉄道網構築 (EU)913/2010)も、この欧州単一市場政策の一部として行われています。

整備を進めることが決定している、TEN-Tと呼ばれる幹線鉄道では、欧州統一基準であるTSIの定める、高規格で、統一的な鉄道路線整備が進められます。

フランスの路線網

フランスのヨーロッパの領土は96県に分かれており、海を隔てたコルス島の2県を除くと94県が大陸部にあります。これらの県庁所在地からパリ市まで、鉄道で行こうとする場合の乗り換え回数を示したものが図1です。

【図1】フランス 県庁所在地から首都までの鉄道乗り換え回数

首都のパリは図1の上部中央寄りの赤い点の部分です。黄緑色は乗り換えなし、深緑色は乗り換え1回でパリにアクセスできることを表しています。ただし、夜行列車は除いています。

フランスは六角形に例えられる国土をしているため、幹線と幹線の間の部分にある県では、一旦幹線に出る必要があるため乗り換え1回(深緑色)となる県は多くなっています。

赤茶色に塗色している、南東部の高地にあるArdèche(アルデッシュ)県にいたっては、1960年代の鉄道衰退により、現在は観光列車を除くと県内に鉄道がない状態になっています。ただ、車で行けばヴァランス(Valence)からすぐ行ける、中世を感じる風光明媚な土地となっています。