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- 1.インターオペラビリティ指令、評価モジュール
- 2.共通安全指令(2016/798/EC)について
- 3.列車遅延時の払い戻し手続きの向上
- 4.車両保守認証
- 5.規格化は鉄道から始まった
- 6.SMS(安全マネジメントシステムと、メーカーの参加)
- 7.各国規則のTSIへの統合(EMCについて)
- 8.TSIを解釈する組織NB-RAIL
- 9.NoBoとRAMS認証機関の関係
- 10.安全文化
- 11.鉄道関係の欧州指令 一覧表
- 12.TSIを適用しない路線
目次
安全文化(safety culture)確立の推進
欧州鉄道庁の提唱モデル
どんなに安全上優れた組織や仕組み、設備が導入されても、組織の一人一人の思考や行動が従来通りであったら結局何も変わらない恐れがあることから、欧州においては鉄道分野に限らずに広汎な産業部門において、安全を守ることを根付かせ、行動変容を促すための仕組みとして、「Safety Culture」(安全文化)と総称する取り組みが、競うように進められています。
「安全文化」確立の必要性自体は、機能安全規格であるIEC 61508及び自動車分野の機能安全規格ISO26262で言及されているものです。
ページ6においてSMS(Safety Management System)を紹介しましたが、このSMSも、安全文化を組織的に達成するためのツールの一つです。詳しくは欧州鉄道庁が、Introduction to the European
Railway Safety Culture Modelというリンク先の文書を公表しており、ここで「安全文化モデル」を提唱しております。
これによると、組織の「文化(風土)」となった考え方は強固で安定したものになるため、安全の「文化」化が必須であるとして、3つの骨格(building Blocks)からなる)からなる「安全文モデル」を提唱しています。ちなみに、(1)行動パターン (2)Cultural Enablar(文化の構築者・参加者、と訳すべきでしょうか) (3)鉄道の安全原則 の3つが上がっています。
図1は上記リンク先の文書のp10の抜粋です。この図の後に、関係者の実際の行動につながるようにする組織的や意識の構築を行う仕掛けと評価(可視化)が必要だということから、メソッドや、評価について展開されています。
Source:欧州鉄道庁(ERA) Introduction to the European Railway Safety Culture Model
当たり前のことの可視化
上述の欧州鉄道庁のモデルをみると、当たり前のことをちょっと細かく書いて名前を付けている、という印象をお持ちになる方も多いと思います。
しかし、後述するように鉄道運行事業者さんをはじめとして、行政機関、標準化機関のような一見安全性と無関係そうなところも含め、多くの組織で安全文化を定着させる取り組みが実施されており(プログラムも明文化されています)、そして、それを評価する取り組みが進められています。
実際にどのように実現しているかについては、定型化されたものはありませんし(欧州鉄道庁の図1のモデルは、提唱されているものです)、評価方法も現状ではまちまちですけれど、各組織の取り組みが進められていることは利用者も感じられるようになっています。
例えば、何らかのサービスの利用後に「Safety culture確立のため、お客様の声を送ってください」というアンケートが表示されることや、次項に示すような「安全文化」の評価の可視化されたものが公表されていることから、詳しくは分からなくても、積極的に安全性向上に取り組んでいることが利用者も実感できるようになっています。
日本からみると、「組織に安全文化が定着していると、安全を達成する行動が行われる」・・と聞くと、「そんなレベル??」と聞き返したくなるほどですけれど、今後向上していくことが期待できそう(な気がする)上に、こうした安全マネジメントが明文化されていると、「日本や中国では「Safety Culture」に取り組んでいない」・・・などと宣伝されてしまうのではないかと心配になってしまいます。
鉄道運行事業者さんの取り組み
はじめにSNCFさんの事例を紹介します。社内のプログラムに基づき、安全文化(safety culture)について評価を行っていることが紹介されています。
引用可否が不明のため、欧州鉄道庁のサイト上のSNCF(フランス国鉄)さんの資料を参照ください。SNCFの安全文化プログラムはこちらです。
リンク先に紹介されているのは、安全を高めるためのsafety managementを行う6つのスキーム(PRISME)と、その成熟度(達成度)をレーダーチャートにしたものが紹介(p22)されています。
以下、工事中です。
機能安全規格による安全文化の確立
機能安全規格とは、プログラムが内蔵され複雑な機能を実現する、安全性に関するシステム(E/E/PEと通称されます)の安全性を確立するための手順を示した規格です。
E/E/PEは、従来のシステムよりずっと複雑な機能を有しているため、従来とは異なるアプローチで安全性を確保しようとしています。
本サイト上で紹介しているRAMSも機能安全規格の一つで、鉄道分野に特化した内容を持っております。
ISO26262シリーズは、自動車分野の機能安全規格です。
済みません.以下作成中です.