私が裁判官だったころ (4) 2001.6.5

刑事事件の処理が遅れる

私の担当は、刑事単独事件が中心です。
他には、民事合議、執行事件などもあります。
家で記録読み、判決書きにとられる時間は、平均して一日に2~3時間ほどでしょうか。
これは、裁判官としては、多くはないでしょう。
土日は、割と休めます。
裁判官は、一般的に、民事裁判官の方が刑事裁判よりも忙しいようです。
だからといって、刑事裁判が楽だというわけではありません。
刑事裁判は、法廷は厳しく、緊張するのです。

1981年11月初旬のことでした。
どうやら、私が担当している刑事事件の未済が増えつつあるらしく、本庁刑事部から指摘されているらしい。
事件数が気になってきました。

12月初旬
本庁の所長が土浦を訪れ、昼食会がありました。
その席で、11月末日で締めた刑事事件の未済表が配られました。
まるで刑事事件の未処理問題が、土浦支部の最大の問題ででもあるかのようでした。
刑事事件担当の私にとっては、自分が責められるようであり、決して気持ちのいいものではありません。
それも、事前に私に対する相談はなかったのですよ。

ところが、配られた表を見ると、11月にかなり事件が落ちており、何も案ずるほどのことはなかったのです。
しかしながら、これらの準備が、刑事事件の未済表のまさに当事者である私に何らの話も無くなされていたことには、問題を感じました。
私の立場を気遣ってのこととも解釈できますが、他面、私の弁解を述べる場がないということにもなります。
そこで、昼食会の席上、私は、
「所長からの注意等があったために、11月に大量に事件が落ちたのではなく、落ちる時期が来たから落ちたものであること」、
「未済はある程度減ったが、実感として、負担が多いこと、改善できることはやって欲しいこと」
等と、発言せざるを得なかったのです。
仮に黙っておれば、誰からも、どこからも伝わらず、何も変わらないであろうと思ったから・・・

木枯らし会

12月7日
栃木県小山市で、木枯らし会が開かれました。
参加者7名。
集まった仲間に、私の事件数のことなどを、話してみました。
私の知りたかったことは、他庁との比較で、私の事件数が多いのかどうか、ということでした。

私の抱えている事件数を聞くと、他の方は、多いといって驚いていました。
そして、事務の配分の見直し、働きかけをすべきだといってくれました。

私自身は、今のところ、事務分配を問題にする気はありませんでした。
忙しいとの実感はありますが、他の庁の実情をそんなには知らないわけだし、仮に多いとしても、2倍多いと言うわけではなく、せいぜい2~3割のことだろうし、
今の状態で何とかやって行けそうに思うし・・・
でも、話を聞いて頂けて、気晴らしにはなりました。

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