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借金の相談

Q1: サラ金の借金が増えて、返せなくなりました。やり直しのための方法にはどのようなものがあるのですか。
Q2: 破産しないで立ち直る方法として、任意整理という方法があるそうですが、どのような方法ですか。
Q3: ヤミ金に追われています。何か方法はあるでしょうか。
Q4: 住宅ローンが返せなくなりそうです。何かよい方法はないでしょうか。
Q5: 借金が多くなり、会社の経営が行き詰まりました。立て直す方法があるでしょうか。
Q6: 2005年に破産法が改正されたそうですが、どのような点が使い易くなったのですか。
Q7: 知人から保証人になってくれと頼まれていますが、どのような点に注意すべきですか。

町や村の相談

Q8: 近所に高層マンションが建つ計画がありますが、住民の意見は反映されないのでしょうか。
Q9: ワンルーム・マンション計画に賛成できないのですが、方法は?
Q10: 私の住む町が、税金で無謀な大型建築を進めようとしています。止める方法はないでしょうか?
Q11: ラブ・ホテル建築反対運動をしていますが、業者は、「法律に違反していないから問題ない」の一点張りです。どうしようもないでしょうか。
  

その他の相談

Q12: 2006年5月から、新会社法になりましたが、改めて何かしなければならないのですか。
Q13: 離婚するときにはどのような問題がありますか。
Q14: 2007年から、夫婦の年金が分割されると聞きましたが、それまで離婚を待った方がよいでしょうか。
Q15: 遺言の書き方を教えて下さい。
Q16: 遺言を預っていますが、どうすればよいでしょうか
Q17: 死刑制度は必要だと思いますか

その他の相談

Q18: 弁護士として、どのようなことを心掛けていますか。
Q19: 合気道をやっているのは何故ですか。


A1: サラ金の借金が増えて、返せなくなりました。やり直しのための方法にはどのようなものがあるのですか。



弁護士のところには、ときどき、「サラ金に追われている。じゃんじゃん電話が掛かってきている。明日払う金が無い」と言って相談を申し入れてくる方がおられます。
こういう方は、電話帳を見て電話してくる場合がほとんど。
「弁護士事務所に何件も電話したが、全部断られた」と言われることも多い。
そりゃそうでしょう。
相手はサラ金、そして明日払う金がないというのですから・・・
こういう場合は、本人だけで解決することは困難です。

ともかく、事務所に来てもらいます。
話を聞くと、本当に困っている。
例えば、「月収20万ある。しかし、その中から15万円を返済に回している」などと言うのですから。
他に「アパート代が5万」などという。
ちょっと待って下さい。それでは食費が無いですよ。
貴方は一体、何を食べているのですか。

こういう場合は、足りない分を、更に借り入れているのです。
しかも高金利で。
カードがあり、支払いの実績があれば、こういうやり繰りが可能なのです。
しかしながらこれは将来を先食いしている訳ですので、いずれ借り入れ不可となったときが、破綻のとき。
本人もそのことは十分わかっている。
分かっているけど、やめられない。
なにしろ、支払日が迫っているのですから。
本人だけでは、解決できない、と述べた所以です。

弁護士に相談すると、弁護士はたちどころに解決策を授けてくれます。
但しそれには条件があります。
ひとつは、借金について正直にすべてを話してくれること。
それと、弁護士と約束したことは守ってくれること。
弁護士はこのことは、くどいほど念を押します。
何故か。
それは、弁護士が間に入ってサラ金と交渉するときに、これが必要だからです。
そうでないと、「2階に上がって梯子を外される」ことにならないとも限らない。
なにしろ、多くの場合、依頼者とは初対面なのですから。
さて、弁護士が授ける解決方法とは何でしょうか。
それは、次のとおりです。

① 任意整理
② 破産申立て
③ 個人再生の申立て


③は、平成13年4月に導入された新しい制度です。
なかなか有力な制度ですので、今後活用するつもりです。

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A2: 破産しないで立ち直る方法として、任意整理という方法があるそうですが、どのような方法ですか。



「明日払う金が無い」と言って弁護士に相談に見えた方。
この方の置かれた状況は、次ぎの通りです。

○ 借金の返済期日が目前に迫っており、支払いをしなければならない
○ しかしながら借金を返すと生活費が足りなくなる
○ 仕方なく、足りない分をよその業者から借りる

これでなんとかしのいでいる。
しかしながら、これでは自転車操業です。
漕ぐのを止めると、倒れてしまう。
かといって漕ぎ続けると、借金は雪だるま式に増えていってしまう・・・

※ これを書いていて、我が国の財政赤字を思い出してしまいました。
何となく似ていますね。

相談にみえた方から、弁護士は、始めに、1ヶ月に支払いに回せる金額を確認します。
その3年分。
これがひとつの目安となります。

※ サラ金に分割支払いをする場合、私の経験では、「3年間」が一応の基準のようです。
「3年間」以内であれば、交渉は比較的スムースに行きますが、「3年間」をこえるときは、直ちには応じていただけない場合が多い。

次に借金の方です。
総額はいくらでしょうか。
レシートがあれば、なんとかなる。
無いときは、本人の記憶が頼り。
会社名と残金を思い出して戴きます。

総額の概算が出来ました。
ここで、「利息制限法による引き直し計算」をします。
ややこしいことは省きますが、この方法で再計算をすることにより、借金の総額を減らすことができる場合があるのです。
この計算には、これまでの返済の経過の詳細な資料が必要となります。
多くの場合、債務者は詳しい資料を保管していません。
そこで、サラ金に資料の送付を請求します。
サラ金にとっては、出してしまうと再計算され、不利になりますので、簡単には出してくれません。
この交渉がなかなかやっかいなのですが、省きます。

さて資料を元に、引き直し計算が出来ました。
かなり減額することが出来ました。
なんとかなりそうです。
後は、弁護士がサラ金と交渉し、分割案をまとめます。
3年間の分割払いです。
元金だけの支払いとし、この間の利息については免除をお願いします。
これはサラ金側にとっては、かなりきつい条件でしょう。
それでも、なんとか応じていただけるのは、間に弁護士が入ることにより、信頼していただけるからでしょうか。
分割払いが決まりました。

支払いは数年間に渡ります。
でも、つらくとも頑張れば、借金が無くなるのです。
再出発が出来るのです。
このことは、理解して戴けるようです。


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A3: ヤミ金に追われています。何か方法はあるでしょうか。



こんな相談がありました。
借りた金の総額は、50万円ほど、
それなのに返済金は、利息分だけで、月に10万円を越えるというのです。
聞いてみると、

8万円借りた業者に対して、10日で8000円(1割)の利息を支払っている。
10日に1割、すなわち、「といち」です。

他の20万円借りた業者に対しては、1週間で2万円の利息を支払っている。
1週間で2万円、月に8万円以上、
これは、「といち」よりも凄い。

もうひとつの借入業者は、先日、警察に逮捕されたとのこと、
あまりの高金利が、違法で、刑罰に触れたためだそうです。
相談にきた本人が、被害者として、警察で事情聴取されたと述べていました。
警察沙汰になったので、多分、この業者からは、今後の請求はこないだろうと思われます。

そんなわけで、
借りた金の総額は、50万円ほどなのに、
返済金は、利息の支払いだけで、月に10万円を越えていたわけです。

サラ金よりも悪質な業者に、なぜ、金を借りたのでしょうか。
聞いてみました。

本人の説明では、
昨年、本人が、自己破産したという。
それは、知人の保証人になったため、とのこと。
破産したことにより、確かに借金はちゃらになった(支払わなくてよくなった)。
その代わり・・・
どこからも金を借りることが出来なくなったというのです。
サラ金も相手にしてくれない・・・


そんなときに、息子が大学に入り、50万円必要になった。

どこからも、金を借りるあてはない・・・
そんなときに、目に入ったのが、
「破産した人にも貸します」
との公告だったそうです。
これに飛びついたのでした。
その結果は・・・
冒頭に述べた通りです。

説明を聞き終えた弁護士は、
相談者に、
今後の交渉は、すべて、弁護士である私がしますから、
あなたは、「すべて弁護士に任せた」とだけ、伝えて下さい、
と言いました。
相談者は、ホッとした顔を見せました。
「何かあったら、お願いします」
と、述べて、帰られました。

弁護士が受任したときは、すぐに、債権者に対して、書面で、「受任通知」を発送します。
そのためには、債権者の住所を知る必要があります。

ところが、上記の債権者は、住所を明らかにしておりません。
電話番号は、判ります。

さっそく、電話をしました。
「債務整理を受任したこと」
「書面を送るので、住所を知らせてほしいこと」
を、伝えました。

反応は、
無視、です。
こちらの電話番号を伝えようとしたのですが、
電話を切られてしまいました。

その直後、
相談者に対して、その債権者から電話が入ったそうです。
相談者からの電話で、知りました。
相談者は、弁護士の電話番号を伝えたとのことです。

その後、債権者からは、連絡はありません。

それにしても、破産者を相手に金を貸すとは、
凄い仕事があるものです。


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A4: 住宅ローンが返せなくなりそうです。何かよい方法はないでしょうか。



返せない借金の返し方について

一言で言うと、
「借りた金では返すな!」
ということになるでしょうか・・・

借金を返すために、
また借金をする・・・

一方は減っても、
他方に新たな借金ができる・・・

これでは、
いつまで経っても終わりません・・・

それどころか、
金利がどんどん、
増えて行きます・・・

住宅ローンがあると、
苦しさは倍化します・・・

苦労して買った家は、
手放せません。

家族の思い出がたくさんある、
マイホーム・・・

家を手放すことは、
人生を失うほどのつらさがあります。

住宅ローンを支払うために、
借金を重ねる・・・

そんなことになっていきます。

そんな苦しみからの、
出口はあるのでしょうか・・・

あります。

それは、
個人再生手続です。

この手続を使うと、
最大で約80%の借金を減額できるのです。

例えば、
1000万円の借金があったとしますね。
80%カットすると、
残るのは20%になります。

これを、3年間分割で支払うことになります。

但し、住宅ローン自体は減額することはできません。
減額できるのは、住宅ローン以外の借金です。

すなわち、この制度では、
家を手放さないために住宅ローンの支払を続けつつ、
住宅ローン以外の債権を圧縮するという効果があることになります。


いかがですか。

給料が上がることを前提に、
住宅ローンを組んだものの、
その後給料が上がらずに予定が狂ったケース・・・

住宅ローンの支払が苦しくなって、
借金をしたところ、
こんどはその支払に追われるようになったケース・・・

そんなときは、
住宅ローン付き個人再生手続があることを、
思い出して下さい。


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A5: 借金が多くなり、会社の経営が行き詰まりました。立て直す方法があるでしょうか。



企業再生のテクニック
そんなものがあるのでしょうか

ポイントは二つ、
①単年度決算で黒字であること、
②本気で取組むこと、

①は会社の問題、②は人の問題です。

この二つが揃えば、累積赤字に悩み、借金の返済に負われている企業であっても、
大丈夫、再生できます。
但し、3年間は耐えること・・・が条件、

解説しますと、
「単年度黒字」であれば
、 金融機関は、企業を倒産させるよりは、企業を継続させて(つまり生かして)回収することを選択します。
取引先についても同じです。
但し、現金決済になることは覚悟しなければならないでしょう。

次に、人の問題・・・
誠実であること、
と、
数字に明るいこと、
が、必要です。


再建には、
少なくとも3年以上の長期間が必要です。
その間、企業を守りぬける人であること・・・
大切なのは、人です。

この二つの条件が揃えば、
企業は再建できます。

必要なテクニックはいろいろとありますが、
弁護士に相談すればよいことです。

「企業再生ファンドが増加」などの、
ニュースが目に付くようになりました。

やり直しのきく時代なのです。


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A6: 2005年に破産法が改正されたそうですが、どのような点が使い易くなったのですか。



新しい破産法について

破産法が改正されました。
2005年1月1日、つまり、今年始めから、施行されています。


これまで小規模の改正はありましたが、今回は、これまでとは比較にならないほどの大改正です。

一言でいうと、破産する立場の方にとってずいぶんと使いやすくなりました。

例えば、これまで破産するときは、全財産を差し出すのが通例でした。
そして、債務をゼロにしていただいたわけです。

これは、いわば当然のことです。
破産して債務免除を受けながら、本人に財産が残るのはおかしいからです。

理屈はその通りなのですが、実は困った問題がありました。
それは、本人の今後の生活です。

全財産を出してしまうと、翌日から食っていけなくなってしまうからです。

そんなわけで、少しであれば財産を残すことを認めよう・・・
その額は、1か月分の生活費が妥当だろう・・・

ということで、これまでは約20万円を手元に残すことまでは認められていました。

しかしながら、1ヶ月はすぐ経ってしまう。
この不景気の中、すぐに仕事は見つからない・・・

「1か月分 20万円」では、とても苦しく、再出発が難しい・・・
これが悩みの種でした。

今回の改正で、その額が3ヶ月分約100万円に広がりました。
良かったと思います。
3ヶ月の間に、次の生活設計を立てなさい・・・と、いうことですね。

ほかにも多くの改正がありますが、使いやすくなったことは間違いありません。

失敗してもやり直しのできる社会、
七転び八起きの社会
夜逃げしなくても良い社会・・・


破産法は、困った債務者を助ける制度だと、私は理解しています。


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A7: 知人から保証人になってくれと頼まれていますが、どのような点に注意すべきですか。



今回は、保証についてお話します。

保証が問題になるのは、むろんお金を借りる場合です(会社に入る時の「身元保証」もありますが、これは除きます)。
この保証というのは、金を貸す側にとっては、まことに便利な制度です。
安心して貸せますから…
借りる側にとっても、有りがたい制度です。
本来であれば、金を借りられないところを、保証人のおかげで、借りられるわけですから。
このように便利な制度なのですが、唯1人困る人がいます。
それが誰かはお分かりですね。
むろん、保証人です。
弁護士のところには、
「債務者が事業に失敗し、債権者から私に請求が来ている。絶対大丈夫だというのを信じて保証人になった。なんとかならないだろうか」
と相談が、よくあります。
これに対しては、
「残念ながら、良い方法はありません。放っておくと遅延金利が高いので、早めに支払い、後は債務者から回収するほかありません」
としか、答えるほかないのです。
しかし、債務者からの回収は、ほとんどの場合期待できません。
自分の借金であれば、諦めもつく。
しかし、自分が費消したわけでもない金の支払いをすることほど馬鹿らしいことはない。
ですから、保証は、余程のことがない限り、絶対にしてはならないということです。
どんなに親しい友人から頼まれたのであっても。
よほどの場合というのは、
①親子、兄弟、夫婦等、相互扶養の関係にある場合。
  その場合でも、損害を受けてもやむを得ないと考える範囲に止めること。
②一緒に事業をしており、その関係で借金する場合。
 つまり、運命共同体とでもいうべき場合。
③最初から金を与える覚悟ができている場合。
などです。
やむを得ず保証する場合は、金額の限度を設定すべきことは当然です。
又、保証料を定めておくのも、一つの方法です。
弁護士の経験から見ますと、上記の「余程の場合」でもないのに、保証しているケース、
「絶対に迷惑をかけないから」と言われて「信用した」ケースが、余りにも多すぎます。
これは、保証に対する認識不足と考えるほかありません。
ですから弁護士は、「保証」に関しては、ぜひ学校教育に取り入れて、「義務教育」の期間に教えるべきだと考えます。
それだけでなく、「クレジット・カード」についても(最近クレジットによる破産が若い人の間で急増している)です。
世の中に出て、失敗しないための最低の知識、ルールなのですから。


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A8: 近所に高層マンションが建つ計画がありますが、住民の意見は反映されないのでしょうか。



業者が、強引に、マンション建設に着手しようとする場合、
これに対する、法律的な手段としては、
① 建設禁止の仮処分
② 民事調停
③ 示談斡旋
などの方法があります。

①②は裁判所、③は弁護士会に申立てます。

建築に反対する法律的な理由としては、
建築基準法違反
日照権違反、
電波障害、
環境破壊
眺望権違反

などが、考えられます。

しかしながら、
業者が建築基準法に違反していることは、通常は無いか、
仮に違反があったとしても、住民側がこれを発見・指摘することは、建築に詳しい方でもない限り、容易なことではありません。

※近時、マンションの耐震構造検査のごまかしが社会問題になっており、専門家の信頼性なるものが著しく低下していますが、
かといって、素人がマンションの耐震構造検査のごまかしを見破ることは至難の技です。

ですから、法的な検討と併せて、周辺住民の意見を聞いて、
住民運動という形を取ることが、現実的な方法として考えられます。



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A9: ワンルーム・マンション計画に賛成できないのですが、方法は?



ワンルーム・マンションは、
①入居者が地域に馴染もうとしない、
②マナーを守らない、
などが予想されるためか、周辺からはあまり歓迎されないようです。

しかしながら、上記の理由だけでは、建築を止めることは困難です。

そうしますと、建築を止めるのではなく、
入居者に町内のルールを守らせるような工夫をすることが、前向きな方法ではないでしょうか。
その方法としては、町内のルール(町内会費の支払、ゴミの出し方、回覧板の扱い、など)を記載した書面を遵守する旨の合意書などを、予め、建設者及び管理者から、徴収しておくのがよいでしょう。
特に、町内会費は、一括して、マンション管理者から徴収すれば、取りはぐれがありません。

このような取決めは、マンション完成の前に済ませておくことがコツです。


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A10: 私の住む町が、税金で無謀な大型建築を進めようとしています。止める方法はないでしょうか?



市町村の税金の無駄使いを止めさせる方法としては、
①住民監査請求
②住民訴訟

という方法があります。

これらは、いわば、住民による行政の監視であり、
地方自治法が定めている方法です。

①の住民監査請求は、
「違法または不当な公金の支出」等があるときに、
市町村の住民が、監査委員に対して、必要な措置を求める方法です。
住民から請求を受けた監査委員は、
請求に理由があると判断したときは、行政機関に対し必要な措置をなすべきとの勧告をなします。
請求に理由がないと判断したときは、その理由を書面で請求者に通知します。

住民監査請求をした者が、監査委員の判断に不満がある場合は、
次の方法として、裁判所に②の住民訴訟を申立てることになります。
但し、この場合は裁判ですので、「違法な行為」であることが要件となります(「不当な行為」は除かれるということです)。

以上が、住民による是正措置の仕組みです。

ここで気をつけなければいけないのは、
①には1年間、②には30日間(監査結果の通知から)の「期間制限」があることです。
制限期間を過ぎると、それだけで、門前払いされてしまいます。

これらの方法は広く利用されていますが、
市町村の監査委員が行政当局と懇意であり(癒着の発生)、監査委員による適正な監査が期待できないこと、
住民側には、行政内部の資料が少なく、裁判になっても、十分な証拠が出せないこと、

などの欠陥も見受けられるようです。

さらに、本質的な問題としては、
住民訴訟では、違法なことは正せても不当なことは正せないということです。

ですから、市長が、
税金を使って、無駄な公共施設を作ろうとしている、
これを止めさせたいが、違法とまではいえない場合は(無駄使いは不当ではありますが、違法ではありません)、
住民訴訟は無力です。

この場合の方法は、なんでしょうか。
そう、選挙なのです。
選挙で、そのような市長と、賛成した議員を、落選させるのです。
これが、住民自治の本来の姿なのですね、


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A11: ラブ・ホテル建築反対運動をしていますが、業者は、「法律に違反していないから問題ない」の一点張りです。どうしようもないでしょうか。



私が住む東郷町は、
緑豊かな落ち着いた町です。

そこに、異様なものが建てられました。
西洋風の大きなお城です。

郊外ホテルと称していますが、
どうやら、実態はラブホテルらしい・・・

緑豊かな落ち着いた町の、
そのホテルがある一角だけは、
異様な雰囲気を漂わせています。

このホテルの計画が持ち上がったとき、

周辺の住民から反対運動が巻き起こりました。

住民側は業者に対し、
建設中止を求めたのですが、
業者側はこれを無視

「法律に違反していない」
「法を守っている限り、建てる権利がある」
何が悪いと言う態度でした。

そんな対立が続き、

住民に押されて、東郷町長は、
業者に対して、
「建設中止命令」を出しました。

それでも、業者は、
建築中止命令を無視し、
ホテル建築を強行しました。

同時に、業者は、
裁判所に、
中止命令が無効であることの確認を求めて、
裁判所に訴訟を起こしました。

そして
平成17年5月26日
名古屋地方裁判所の判決がなされました。

なんと、
東郷町が勝ったのです!

判決では、
「地域の実情に応じて規制し、良好な生活環境の維持、発展を図ることは自治体本来の責任である」として、
東郷町勝訴を言い渡したのでした。

「建築基準法に違反してない。
だから、何を建てようが自由だ、権利だ」

との、業者の主張は、
通りませんでした。

でも、
ラブホテルは
既に完成しています。

中止命令を無視して建てたのだから、
取壊すべきだ・・・
との見解も有力です。

控訴され、
訴訟は続くでしょう・・・

果たして
名古屋高裁は、
どのような判断をするでしょうか・・・

それにしても、

周辺住民の反対や、
町の中止命令を、
無視して、

「権利だから」といって、
ラブホテルを造る・・・

そこに、
人の迷惑を省みない
エゴを感じるのは
私だけではないと思います。

それでも、これまでは、

このような場合に、
建築を止める方法がなかったのです。

裁判でも、
ずっと、
負けていました。

その意味では、
町の中止命令を

建築基準法より優先させた
名古屋地裁の判決は、
画期的な判決といえます。


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A12: 2006年5月から、新会社法になりましたが、改めて何かしなければならないのですか。



5月1日から、「会社法」になりました。
新会社法は、
全部で1000条近い大法律です。
会社法になることは、
本音をいえば、ショックです。
なぜって、
これまでの知識が役に立たなくなるからです。
これから、1000条近い
会社法を勉強か・・・やれやれ・・・
これが本音
でも、そうも言っておれません
弁護士に対しては
さっそく、新法についての質問がきます
これに答えねばならないのです。
そんなわけで、新会社法を勉強しました。
その成果を、わかり易く書いてみます。

問い
新会社法になって、従来の会社は何をすべきでしょうか
答え
特にしなければいけないことは、当面はありません。
解説
新会社法により、会社の制度は大きく変わりました。
しかしながら、従来からある会社は尊重されており、特になにかをしなければならないことはないようです。
これは、「みなし規定」があるからです。

例えば、有限会社は廃止されてすべて株式会社になるのですが、
「現に存在する有限会社は、会社法の規定による株式会社として存続する」 「旧有限会社の定款、社員、持分及び出資1口を、存続する株式会社の定款、株主、株式及び1株とみなす」
との規定があるので、
なにもしなくても、当然に読み替えられているのですね。
但し、従来の有限会社は、今後とも「その商号中に有限会社という文字を用いなければならない」とされていますが・・・

そんなわけですので、新会社法になっても、特にしなければいけないことは、当面はないようです。



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A13: 離婚するときにはどのような問題がありますか。



ちまたの話によると、アメリカでは夫婦2組に1組、日本でも4組に1組の割合で離婚する時代。
となると、他人事とばかりも言っておれません。
夫婦の話合いで離婚することを合意し、役所に届け出るのが、いわゆる協議離婚。
ほとんどの離婚の場合がこれに該当します。
しかし、諸条件がかみ合わず、当事者だけではどうしても解決できない場合も時にはあります。
今回は、話合いがまとまらず、最後の手段として、裁判所に離婚を申し立てるケースを取り上げてみたいと思います。
離婚事件は、夫婦のいずれかが家庭裁判所に申し立てることによって、開始します。
最初に「調停」手続きを経ることが必要とされています。
調停は、男女2名の調停委員が、当事者双方から、交代で、それぞれの言い分を聞くところから始まります。
双方の言い分は、かなり食い違うのが普通。
というよりも、双方の言い分が一致しておれば、ここまでの争いにはならないわけです。
離婚の争点は、通常、次の通り。
離婚「する」のか、「しない」のか、
離婚するとして、未成年の子供がいる場合、その「親権者」になるのはどちらか。
子供の養育費の額をいくらにするのか。
夫婦の財産をどう分けるのか(財産分与)
慰謝料をどう決めるか。
など。
調停による離婚は、当事者双方において合意が出来た場合にのみ、成立します。
調停委員に出来るのは、双方の言い分を聞いた第三者として、アドバイスをすることまでにとどまり、結論を押し付けることは、許されていません。
調停が、第三者をまじえた話合いの場であることが、お分かり戴けたでしょうか。
双方の言い分が食い違い、合意が出来ないときは、調停は打ち切られます。
これを「調停不調」と呼びます。
それでは「調停不調」の後はどうなるのでしょうか。
「合意」によらずに決着をつけるには、地方裁判所における離婚訴訟しかありません。
話がだんだん堅苦しくなってくるようです。
なお、特殊な例ですが、相手が所在不明の時は、「協議」も「合意」も出来ません。
従ってこの場合は、訴訟して離婚判決を得る以外に方法はありません。
「離婚」もいざ裁判となると、簡単なものではありません。
心当たりのある方は、もう一度、夫婦の関係を振り返って見られてはいかがでしょうか。


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A14: 2007年から、夫婦の年金が分割されると聞きましたが、それまで離婚を待った方がよいでしょうか。



(※2005年04月26日の記事です。)
現在離婚を考えている方は、
あと2年待った方が、
よいかも知れませんよ。

というのは、

年金分割制度が、
平成19年4月から、
施行されるからです。

年金分割制度とは、
夫婦が離婚した場合において、
年金に差異がある場合、
これを公平に分割する制度です。

分割の割合については、
当事者の話し合いで決めるのが原則ですが、
話し合いがまとまらない場合は、
家庭裁判所に申立てて、決めてもらうことになります。

注意点をまとめると、次の通りとなります。
①年金分割は、夫婦が離婚する場合に行うものであり、婚姻中はできない。
②いまだ年金受給年齢に達していなくても、年金分割は可能である。
③離婚から2年経過してしまうと、年金分割はできない。

私は、年金分割は、
公平な制度として、
高く評価しています。

もう、5年以上前のことですが、
高齢でかつ病弱な女性の離婚事件を、
担当したことがありました。

夫には、
月額20万円ほどの厚生年金がありますが、
妻は月額3万円ほどの国民年金だけ・・・
そんなケースでした。

裁判所に対して、
「夫婦として長い期間を過ごしたこと。
夫の年金には妻の隠された寄与があること。
だから、離婚に際しては、
年金を分割してください」
と、お願いしました。

しかしながら、
裁判所から返ってきたのは、
「そのような制度はありません」
との言葉でした。
「制度が無いことは、分かっています。
しかし、現実に困っている人がいる。
それを救うのが、裁判所の仕事ではないでしょうか」

と、食い下がりましたが、

裁判所には、聞いてはいただけませんでした。
制度がない以上、
裁判所に無理な要求をしていたことになるのでしょうね・・・

このときに、
無力感に襲われるとともに、
年金制度が不平等であることについて、
痛切に感じさせられたことを、
はっきり覚えています。

それから、数年・・・

年金分割制度が、
ついに、
日の目をみたのです。

上記の経過もあり、
私にとっても、
感慨深いものがあります。

年金分割制度は、
フェアで公平な制度であり
制度の実現を喜んでいます。


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A15: 遺言の書き方を教えて下さい。



前回「遺言の保管場所」について書きましたところ、ご年輩の方から、「もう遺産を受け取る立場は終わっている。関心があるのはむしろ遺言の書き方の方である」との声が寄せられました。 考えてみると、それにも一理ありますので、今回は、遺言の書き方について述べてみたいと思います。
「自筆証書遺言」について
もっとも手軽であり、かつ、費用がかからないのが、「自筆証書遺言」です。
文字通り、自分で書くものであり、気が変われば書き直すことも簡単です。
毎年正月に、家族との関係を振り返りつつ、遺言を書き直すことを習慣になさっている方もあるようですが、その場合の遺言は、当然手軽であり、かつ、費用がかからない「自筆証書遺言」のはずです。 「自筆証書遺言」は簡単だと言いましたが、それでも一定の様式は必要です。
下記にまとめておきましたので、参考になさってください。
様式通りでないと、せっかくの遺言が無効と判断されてしまいますので、ご注意ください。
遺言に様式が必要なことは、前記のとおりですが、私が体験した限りでは、仮に様式に若干不備な点があっても、その遺言書の内容が本人の意思であることが明らかであれば(つまり、偽造の疑い、あるい は強制されて書いた疑いがないことです)、遺言者の意思が尊重されているようです。
ですから、様式不備を畏れず、とにかく書いてみることかもしれません。

自筆証書遺言書作成の注意事項
①必ず全文を自筆で書くこと、パソコン、ワープロは駄目
②訂正はしないこと、書き誤った場合は、新たに書き直してください
③作成の日付を忘れないこと
④実印で押捺すること

※認印でもよく、又、最高裁は指印でも足りるとの判断を示しました(平成1年2月16日判決)。しかし紛争の発生自体を避けるという意味において、実印の使用をお勧めします
⑤遺言執行者がいないと登記手続が困難ですので、不動産があるときは必ず遺言執行者を指定しておいてください
⑥書き終えたら、封筒に入れて、封印してください。開封は家庭裁判所で行います
⑦遺言の保管者は誰が良いか慎重に決めること

※ むろんご自分で保管してもかまわない訳ですが、葬儀等にまぎれて紛失して遺言書が日の目を見ないことになっては困るので、そうならないための配慮が必要ということです。
 

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A16: 遺言を預っていますが、どうすればよいでしょうか



遺言書を発見したとき
遺言書は、一体どこにおいてあるのでしょうか。
遺言書を持って相談にこられる方の話を総合しますと、大体、仏壇あるいは金庫等から発見なさる場合が多いようです。
貴方が遺言書を発見したとします。
中には一体何が書いてあるのだろう、そういえば親の言うことを聞かなかったなあ、私のことはどうかいてあるのだろうか…
ふるえる手で封を開けます。つまり開封します。
さて、一体何が書いてあったでしょうか。
ここで少し待って下さい。
あわててはいけません。
貴方は既に間違いを犯しました。何でしょうか。
そうです。開封です。
貴方が勝手に開封してはいけなかったのです。
民法1004条は、次のように規定しています。
「封印のある遺言書は、家庭裁判所において、相続人又はその代理人の立会いを以ってしなければ、これを開封することができない」
どうです。分かりましたか。
遺言書の開封は、家庭裁判所においてなすべきものと法律によって決められているのです。
家庭裁判所で遺言書を検査する手続きを「遺言書の検認」といいます。憶えておいて下さい。
これをしないと、遺言書に記載された故人の意思の実現が困難になることがありますので、ご注意下さい。
しまった。そんなことは知らなかった。
開封してしまった、どうしよう…
でもご心配なく。
すぐに家庭裁判所に対して、遺言書の検認手続きを申し立てて下さい。 
たいていの場合それ以上問題にはなりません。
実際上、遺言書を発見すると開封したくなるのが人情のようで、開封した遺言書を持って相談に見えるケースがほとんどです。
但し、一旦開封した遺言書は、場合によってはその記載内容について、関係者の疑いを招くことが無いとはいえないこと、それと、裁判所外で開封したことについて5万円の過料に処せられることがあり得 ますので、ご注意下さい。


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A17: 死刑制度は必要だと思いますか



朝刊に、
「死刑容認派81パーセント、
過去最高、凶悪事件の増加影響」
との、記事が出ていました。

先日も、
通り魔的な犯行で、家族を失った遺族の方が、
マスコミの差し出すマイクに向かって、
「犯人は許せない。死刑にすべきだ」
と述べた姿が報道されていました。


確かに、最近は、凶悪事件が増えているように思えます。
しかも、無抵抗の女性、子供、老人が犯行の標的にされたり、
通り魔的な犯罪が目立つ傾向が見受けられ、
何かしら、社会全体の、たがが緩んできたようにすら、思えます。

そんな不安の中で、
重罰により、犯罪を抑止すべきだ、
という世論が形成されているのでしょう。

私は、世論の大勢とは、
少し異なった見解を持っています。


社会は、多数の人が集まって構成されています。
そうである以上、
そのなかから、成功者が出る反面で、
必ず、一定数の敗者が発生します。

このことは、どのような社会であっても、避けられません。
つまり、人間の社会は、
構造的に、一定数の敗者を生み出すのです。


そうですよね。

そうすると、社会は、
このような場合に対する、
セーフティ・ネットを、もっていなければ、
健全な社会とは言えないであろう・・・

セーフティ・ネットとは、
例えば、
失業者に対する職場であり、
ホームレスに対する住まいであり、
刑務所を出た人に対する落ち着き先であり、

つまり、
敗者、失敗者に対する、
休息の場、
やり直しの場、
再出発の機会、
を備えている仕組みではないでしょうか。


社会が、
このようなセーフティ・ネットを備えておれば、
それは健全な社会であり、
そのような社会であれば、
行き先の無い、絶望的な動機から、犯罪に走ろうというものに対して、
抑止力になるのではないでしょうか。

ですから、
犯罪が避けられなかったときは、
我々の社会が備えているセーフティ・ネットを見直すことが、
重要だと思います。

犯人を重罰に処することで、対処することは、
一面的であろう・・・
と、考えます。

世界的には、
アメリカを除く先進国の趨勢は、
死刑廃止に向かっており、

韓国も、近く、
死刑制度を廃止するそうです。

人の命を奪う社会は、
人を大切にする社会とは言えないと思います。



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A18: 弁護士として、どのようなことを心掛けていますか。



フェアであること、ルールを守る姿勢を大切にすること
コネ、既得権とか政治力といったものに頼ることは、好まない
力に頼る解決も、好まない
法、裁判においては、基本的に、弱者を守る視点を忘れてはならないこと
LOHAS(Life styles of Health and Sustainabilityの略。 健康と環境に配慮し、持続可能な社会生活を心掛ける生活スタイルのこと)に共感しています。


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A19: 合気道をやっているのは何故ですか。



合気道を始めたのは30代の終わりからです。
その前は、もっぱらテニスをしていました。
テニスでは、愛知県弁護士会の、チャンピオンになったこともあります。

合気道を始めた理由の一つは、
以前、オーム真理教の事件を追っていた阪本弁護士夫婦と赤ちゃんが殺されるという、痛ましい事件が起こったことも、影響しています。

弁護士は、けっこう、危ない仕事なのですね。
護身術は必要だと思います。
私も、危険に巻き込まれたことがあります。

世の中、理屈が大切ですが、
理屈だけでは通らないのが、世の中です。

そんなわけで始めた合気道ですが、
始めてから気がついたのですが、
合気道は、争いに勝つ手段ではなく、
争いを避ける手段なのですね。

争いは、
勝つよりも、避ける方が良いのですよね。

合気道は、
毎週、日曜日、午前中
東郷町体育館で練習しています。

新しい参加者、大歓迎ですので、
興味のある方は、お問合わせ下さい。


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