あしあとを記したホームページです
“環境問題は私たち共通の関心事です。全世界のホテルでは毎日何万トンものタオルを洗って水を浪費しています。バスタオルを今日も続けて使ってくださる方はタオルかけに、洗って欲しい方はバスタブに入れて下さい。あなたのちょっとした選択が地球を救います”
これは世界中にチェーンを持つビジネスホテルの浴室にあったメッセージだ。私は、親しい仲間に会えたようでうれしかった。
高層住宅に住んだ折、階上の洗濯機は毎朝六時半から、私が家を出る九時近くになっても唸(うな)り続けている。階上の住人はおばあさんと赤ちゃんに若夫婦。洗濯の量は想像できるのだが、それにしても水と電気…費やされるエネルギーの途方の無さに、私が埋め合わせようと、入浴しながらの手洗いに切り換えて以来、むしろ手洗いの洗濯を楽しんでいるからだ。
私は旅先でトイレットペーパーを集めている。先進国の中で最も紙質が悪いのはスイス。ユングフラウの山頂でさえトイレットペーパーは、ゴワゴワでうす鼠(ねずみ)色、ボール紙の裏張りのようだった。その手触りと色合いは八年前に訪れたタイのアユタヤ遺跡のトイレ番から手渡されたチリ紙とほとんど同じであった。
ユングフラウの トイレットペーパーは、真っ白の紙から何度も使われて辿(たど)り着いた最終ゴールの姿であり、アユタヤのそれは、これから生活用工業製品を次々と生み出し、チリ紙も真っ白になろうとする、途上国の紙のスタートの姿だったのだろう。白くなってはいけないと、私たちに言う資格は無い。しかし観光立国として、資源小国として再資源化できるものは全て資源化しようと、薬のカプセルのアルミ箔(はく)に至るまでリサイクルシステムに乗せているスイスの紙の終着点の姿に、感動もするのだ。
トイレットペーパーを通して地球環境の問題を、南北問題を考えながら、地球をこのまま次の世代に伝えるために“持続可能な”ライフスタイルへ転換しようと努力する外の世界の真剣さを、日本は島国だから知らなかったでは済まされないと思うのだ。
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