あしあとを記したホームページです
“もっと幸せな生き方をデザインする姿勢を持ち続けること”という提言が「全国デザイン会議94 ’in 静岡」でなされたのはこの二月である。デザインの役割が重要視されながらその意味をとらえにくい今日、デザインとは何かが語り合われたのだという。
日本で、しかも静岡で、さまざまな分野のデザイナーによって“この表現”が生みだされたことがうれしくてたまらなかった。
サンデーボランティアの呼び掛けに応じて、目の不自由な人たちと街を歩いたのはもう6年も前になる。中心街は整備され、街の様子は豪華さを増している。しかしピカピカの床では盲導犬が足を滑らせて歩けないのだ。おなかの大きい女性も、足腰の弱った女性も同じ思いをするだろう。”美しいデザインとは何か”という問いが頭から離れなくなった。
“ノーマライゼーション”という言葉を耳にする機会が増えたが、障害のある人も無い人も同じように暮らせる環境をつくろうという運動から生みだされた提唱だ。“もっと幸せな生き方をデザインする姿勢を持ち続けること”はすばらしい日本語訳だと思うのだ。
知的ハンディキャップを持った子供たちのための施設作りのスウェーデンの指針は、ノーマライゼーションの考え方をよく表している。子供たちは「男女両性の世界で生活できるよう」「食事や飲み物を家族と同様の小グループで食べられるよう」「自由時間を過ごす方法を自分で選べるよう」「余暇の過ごし方は一人一人に合わせて設計されるよう」はその一部だが、“幸せになりたい”という人間的な素朴な願いにあふれている。 スウェーデンの福祉政策とデザイン運動は車の両輪になって進められたという本の一節を思い起こした。
多くの人が何らかのハンディキャップを抱える高齢社会は、デザインにかかわる人たちが “もっと幸せな生き方をデザイン”しようと胸に秘める時、今までとは異なる美しさで、私たちの暮しは彩られるのだろう。それが楽しみだ。
www.yuko-yamagcti.net