今日は、誕生日。
何か良いことが起こらないかな、なんて思う。
ビクトリアで貰ったカードを早速開けてみると、ジョンとマーガレットの連名でお誕生日おめでとうとサインされていた。うれしい。
さて、今日の天気は空が重くのしかかってくるように、濃い灰色の雲で覆われ、雪も降っている。車等の交通機関を持たない私達は、ともかく歩ける程度の観光名所へ行こうと、バーミリアン湖へ行こうと計画。やはり、バンフは車か、ツアーバスを利用しないと町から離れた観光名所には行けない。ずうっと、町の中だけで過ごすのは、ちょっと無理だ。後は、自転車を借りてサイクリング等で、ボウ川沿いのコースで楽しめる。しかし、この日は雪で積もり、サイクリングなんて、とんでもない。
たくさんの服を重ねて、厚着をして出発。昨日買った暖かい帽子があって大助かり。耳まですっぽり頭から被って、バーミリアン湖へ歩く。途中、ブリュースターの事務所があったので、バーミリアン湖への道を聞くことにした。しかし、ここで英語の発音で障害に会ってしまった。
よく、外国では、ハンバーガーって言っても、発音が違くて通じないと言われているけれど、私は「バーミリアン湖」の発音で、相手にまったく通じなかった。どうイントネーションを変えても相手に通じない。「ミリ」を大きく発音したり、「バー」をこもった言い方で発音したが何やっても相手は「???」。はあ・・・、もう駄目だ。最近、結構英語が話せるじゃん。なんて自画自賛したが、一挙に自信が崩れてしまった私だった。(笑)
しかたなく、発音が通じないから聞けなかったと、先輩へ報告。「まあ、仕方ない。行こっか」と地図を見ながら先を行くことにした。しかし、私の心の中では、違う意味でのちょっとした不満があった。せっかくの誕生日なのに、何でこの寒い雪の中を歩かなけりゃならないの!?
「バーミリアン湖は歩くには遠いのよ。」という言葉から、暖かいところに避難してのんびりしたかった!
ちょっと、ふてくされた態度で、無言で雪の中を進むと、遊歩道のような道が現れた。その道は、林の中へ続いている。皆、無言でそこに入っていった。実は、先ほどから風が強まり、吹雪の中を歩くような感じになった。「何で・・何で誕生日に吹雪の中を歩くの?」帰りたいという気持ちを顔に全面に出しながらふてくされて後に続く。(でも寒さのため、帽子は深々と被り、顔もマフラーで覆っていたので、気づかれていない・・・)
ところで、私はトイレが近い人間であることは、ここまで飛ばさずに読んでいる方ならご承知であろう(笑)どこまで歩くか分からないなあと思いながら、目の前に駐車場とトイレのサインが見えた。さっそく、トイレへ行くーと断って行く。すると、そこは水洗ではなかった。珍しいなあ、と外国のトイレ体験話でも日記に書こうかなあとのんびり思う。
さて、風景を楽しみながら、歩く・・ではなく、滑らないように歩くために、ひたすら真っ白い下の雪を見ながら歩く。すると、道路に出た。辺りを見回すと下に、シャーベット状に凍った湖らしきものが見えた。「あれかいな?」と冷めた目で見る。あれが
誕生日にこんな寒い思いをさせた、にっくきバーミリアン湖に違いない。
空の濃い灰色を映しているのか、シャーベット状の湖は、私の偏見も混じって、全然面白い場所ではなかった。天気が良ければ、素晴らしい景色に違いない。しかし、雪が降っているわ、風が寒いわ、空はどんより、景色もどんより、誕生日に何でこんな寂しい所へ来る必要があるんだ〜〜。と心で叫んでいると、目の前で先輩2人が、湖の近くまで来て「わー、すごいね。凍ってるよ」と喜んでいた。2人が喜んでいるなら、来た甲斐があったかな。
ほらっ寂しく感じる風景でしょう!
さて、来た道をもどり、バンフの町で昼食を食べる。
「今日は誕生日だから奢ってあげる、何が食べたい?」
さて、日常余り食べられないものを選びますか?大好きなものを食べますか? と選択を迫られたらどちらを選びますか? 私はもちろん、あまり食べる機会のないものを選ぶ。外国で日本料理? 絶対選ばないだろう。(でも、アボガドの寿司とか、日本では食べられないネタがある場合は、例外だ)さっそく、地元アルバータ州の肉を出すという「グリズリーハウス」へ入る。フォンデューも楽しめる。ガイドにはガラガラ蛇なんて書いてあるし、どんな味なのかな。楽しみ。
わくわくしてメニューを見て選んだものは、フォンデュー。ちーとみんな高かったのだ。先輩からハイってプレゼントも貰った。今日の寒い中歩かされた思いも吹き飛ぶぐらい嬉しい。やはり、誕生日は良い日だ。プレゼントは今も私の部屋に置かれている。
この日だけは、何を買っても良し!と自分の欲しいものを考えて買い物に出た。結局、読めもしないエイゴの小説を3冊買う。日本で買えば1冊1000円以上するのだ。安い安い。いつか、頑張って読んでみるぞとニコニコして買う。せっかくの誕生日にアクセサリーではなく、読めもしない本を買う私だった。
エイゴが読めなくても本が好きなのだ。
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