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谷行《たにこう》

四五番目
季節  秋
作者  不明(善竹氏信ともいわれる)
典拠  不明
作物  台(もちの立木つけ)
前シテ  伎楽鬼神《ぎがくきじん》(面・小べし見《こべしみ》叉はしかみ)
ツレ  松若の母(面・曲見《しゃくみ》または深井《しゃくみ》)
後シテ  役の行者《えんのぎょうじゃ》(面・小悪尉《こあくじょう》)
子方  松若
ワキ  山伏《やまぶし》
ワキヅレ  小先達《こせんだち》
立衆  山伏5人 乃至七人

物語

今熊野にすむ山伏は仲間とともに峰入りと言う深い山で行う厳しい修行に行くことになりました。山伏には松若と言う弟子がありましたが、まだ幼いので今回はおいてゆくことに決めて、病気の母とともに都に居る松若のところへ暇乞いに行きます。
しかし、松若は母の病気が直るように峰入りの供をして祈願したいと言い張ります。
病気の母は嘆き悲しみ、皆反対しますが松若の決心は堅くとうとう一緒に行くことになりました。
葛城山まで来た時に、松若は風邪のような症状で具合が悪くなってしまいます。
峰入りの道中の病気は仏罰であると言われて谷に落して生き埋めにするのが山伏の法なのです。これを谷行と言います。師匠である山伏はただの疲れだと言ってかばいますが赦されず、松若は谷行にされてしまいます。
師匠は嘆き悲しみ、自分も谷行にせよと言ってその場を動こうとしません。
山伏達はその気持ちを察して、皆で開山の祖である優婆塞《うばそく》や不動明王に祈ります。
すると役の行者が現れて、松若は親孝行であるから命を助けようと言って伎楽鬼神をよびます。伎楽鬼神は松若をうめた木や石や土をどけて松若を救い出します。役の行者は松若の孝心ほめて師匠にかえし、伎楽鬼神らとともに峰々をのぼり雲霧を伝って人目には見えない岩橋を渡って消えてゆきました。

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