Original Ogre Battle Tarot
 
XII
THE HANGED MAN
 
  XII THE HANGED MAN 〔吊し人〕
 
  ◆ヴァイス
 
  ■作成者名   ZONさん
  ■作成者サイト VESPER
 
  ■作者コメント
     ハングドマンの意味が自分的にヴァイスに合うなーと思い
     選んでみました。
     彼はデニムの進む道によって大きく半生の変わる人です。
     その不条理さや暗さを出したいと思ってたのですが
     何かやりすぎたような気がします。
     微妙な絵ですいません。
     素敵な企画ありがとうございました。

愚者〕 〔魔術師〕 〔女教皇〕 〔女帝〕 〔皇帝〕 〔法王〕 〔恋人たち〕 〔戦車
〕 〔隠者〕 〔運命の輪〕 〔正義〕 〔吊し人〕 〔死神〕 〔節制〕 〔悪魔
〕 〔〕 〔〕 〔太陽〕 〔審判〕 〔世界〕 〔魔法の杖〕 〔〕 〔〕 〔五芒星
 
正位置と逆位置 〔ウェイト版より The Rider Waite Talot Deck〕
このアルカナのテーマは、認識です。
このアルカナは、現実認識が誤っていることを意味します。
正位置は正しい現実認識が回復されることを意味し、逆位置はそれが回復しないままであることを暗示しています。
 
 
●正位置のキーワード
  自己犠牲、放棄、宙に浮いた状況、停止、困難
 
 
●逆位置のキーワード
  犠牲が報われない、骨折り損、間違った期待、報われない愛、無駄、盲点
 

タロットの解説 〔ウェイト版より The Rider Waite Tarot Deck〕
若い男が両手を縛られ、木の枝から逆さまに吊り下げられています。しかし不思議なことに、この若い男は苦しそうな顔をしていません。むしろ謎めいた笑みを浮かべています。
この若い男も吊るされた時には、苦しかったのです。
しかし、彼はその苦しみの後、それに優る何かを見出したのです。それが彼が微笑んでいる理由なのです。
逆立ちをすると景色が上下逆になります。視点が変わると、同じ景色が違った印象を与えます。これと同じように価値観が変わると、これまで当り前と思ってきたことや自分の生き方がまるで違ったように見えてきます。
これまで一心不乱に働いて、仕事やお金のことしか考えていなかった人が、大きな病気をした後でがらっと人が変わり、家族や自分のことを大切にしだすのも、このような変化の一例です。
人間は何か大きなショックを受けた時、人生を眺める観点ががらりと変わってしまうことがあるのです。
木の苗は、成長すると枝を茂らせ、やがて実を実らせます。
同じように、人間も成長すると純化されて、魂をいう実を実らせます。
吊るされている男は、その象徴でもあるのです。
男を吊るすために使われた木は枝を刈られています。それは彼の人生の失敗や挫折を表しています。魂は失敗や挫折を経験し、それを乗り越えることによって、初めて成長するのです。
刈り取られた枝の一本が横にかかげられています。
刈られても緑の葉が茂っています。これは、このような経験が必ず報われることを意味するためです。
彼の頭には後光が射しています。これは、彼の魂の成長が神に認められたことを意味しています。
神は、人生の価値を何で量るのでしょうか?
神は、良い実かどうかによって、その木が良い木であるかどうかを判断されるのです。
若い男は、世間的には成功を収めていないかもしれませんが、神はその魂を見てその成長を喜ばれ、その人生が意義あるものであったことを認められたのです。
 
光と闇の神話 〔古代ペルシア神話より〕
気付くと彼の前に、一人の天使が立っていた。
若者は木に逆さ吊りにされていた。
「私が君をしっかりと縛って、木に吊り下げたのだ。君をそのままにして立ち去らねばならない。君は恐ろしい罪を犯したのだ。永遠に許されることはないだろう。そうやって永遠に罰を受けるのだ。」
そう言って、天使は彼方に飛び去ってしまった。
 
一人残された若者は、吊るされたまま、その姿を見送った。
恐ろしい絶望感が彼をおそった。自分がどんな罪を犯したというのか、彼にはさっぱり見当がつかなかった。
悔しさと空腹と逆さ吊りの苦しさで、涙が流れた。
 
数日すると、不思議なことが起こった。
何かが体の中から出て行こうとしているのだ。全身がなんだかむずむずした。
全身のけいれんするような激しい動きがピークに達した時、バリッという音が聞こえ、何かがどさっと地面に落ちる音がした。
 
その瞬間、数日前に彼を吊るした天使が舞い降りてきて、何かを捕まえた。
「さあ、降ろしてあげよう。」そう言って、天使が彼を降ろしてくれた。
「見たまえ。」そう言って、天使は先ほど捕まえたものを見せてくれた。
 
それは卑しい笑いを浮かべた、猿のような顔をした悪魔だった。
その邪悪な姿は、彼に吐き気をもよおさせた。
「こいつは、君の体の中に住みついていた悪魔だ。苦しくなって君の体から離脱しようとしたところを捕まえたのさ。この前、君に言ったことは全て嘘だ。こいつを騙して絶望させる必要があったのだ。許してくれたまえ。君に記憶を取り戻させてやるのが、私の役目だったのだ。さあ、そこの木陰で休みなさい。悪魔がいなくなったので、徐々に記憶が甦ってくるはずだ。」
 
彼は言われた通り、木陰に身を横たえた。
しばらくすると、色々なことがはっきりとしてきた。次々と記憶が甦ってきた。
こんなにたくさんのことを自分が忘れていたというのが信じられなかった。
 
激しく戦っている光と闇、コスモスの創造、幸運の矢を射る天使達、あらゆる記憶が次から次へとパノラマのように浮かび上がってきた。
そして彼は自分の本性を知った。
若者は、隠者の言った一つの遺骸とは、始元の戦いに敗れた光のことで、それはつまり自分の魂のことだったことに気付いたのだった。

 
 
 
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