Original Ogre Battle Tarot
 
VIII
STRENGTH
 
  VIII STRENGTH 〔力〕
 
  ◆風のシスティーナ
 
  ■作成者名   kiriさん
  ■作成者サイト 
 
  ■作者コメント
     『力〜STRENGTH』のカードには「自分の影に勝つ力」などの
     象徴である女性と「荒れ狂う本能的欲望」の象徴であるライオンが
     描かれているということなので、システィーナをその女性に、
     ドラゴンをライオンに見立てて描いてみました。
     (オクシオーヌは既出だったので・・・)
     システィーナには「自分の影に勝つ力」が、ドラゴンには
     ライオン以上に「荒れ狂う本能的欲望」があるような気がします。

愚者〕 〔魔術師〕 〔女教皇〕 〔女帝〕 〔皇帝〕 〔法王〕 〔恋人たち〕 〔戦車
〕 〔隠者〕 〔運命の輪〕 〔正義〕 〔吊し人〕 〔死神〕 〔節制〕 〔悪魔
〕 〔〕 〔〕 〔太陽〕 〔審判〕 〔世界〕 〔魔法の杖〕 〔〕 〔〕 〔五芒星
 
正位置と逆位置 〔ウェイト版より The Rider Waite Talot Deck〕
このアルカナのテーマは、勝利に向けた毅然たる決意です。
正位置では、それが良い結果を生み始めることを暗示し、逆位置では、まだそのような決意が固まっていない状態や、決意が弱いために忍耐が続かないことを意味しています。
 
 
●正位置のキーワード
  内面的力、精神の肉体への優位、信念、徳性、大恋愛、束縛からの解放、自由、独立
 
 
●逆位置のキーワード
  無理、実力不足、欲望に負ける、努力を怠る、忍耐が続かない、集中出来ない、諦める、
  自信がない、弱さ、チャンスを逃す
 

タロットの解説 〔ウェイト版より The Rider Waite Tarot Deck〕
花飾りをつけた若い女性が、ライオンの口をつかんでいます。彼女はライオンの口をつかんでいるにも関わらず、平静で落ち着いているように見えます。
ライオンは錬金術では、燃え上がる欲望と言われ、荒れ狂う本能的欲望を象徴するのに用います。
彼女は、普通の人ならば屈してしまうような、自分の中の欲望や暗い情念をコントロールする力を表しています。
彼女は、自分の影に勝つ力、劣等感を克服する力、思い出したくない過去を振り返る勇気、醜い自分の真の姿に対面する勇気などを象徴しているのです。
ライオンの口に手をかけるのは、大変危険なことです。
ライオンに手を食いちぎられるかも知れないからです。
このアルカナでは、自分の内面にあるくらい影と対決する勇気を、このライオンの口に手をかけるということで象徴しているのです。
このような決意をなぜ女性で象徴しているのでしょうか。
このような力を生み出すものは正しい知識です。真理を知っているということが、彼女に自信と確信を与えているのです。
「知る」ということは、相手を受け入れるという行為です。
それで、女性で象徴しているのです。
彼女の力は、静かで揺るぎない確信です。このような確信は、必ず目的を達成します。そのことを背景の山が象徴しています。
彼女の頭の花飾りは、彼女で象徴される勇気を讃えています。
彼女は、ライオンを殺そうとしているのではありません。
手なづけようとしているのです。そのことを、手元にはさんでいる花輪が示しています。
 
光と闇の神話 〔古代ペルシア神話より〕
ある夜、若者は夢を見た。夢を見るのは久しぶりだった。
彼は、広い開けた大地に立っていた。
遠くには青く霞む高い山が見えた。
 
彼が山を見つめて立っていると、一人の天使が若者を迎えた。
「私は、あなたに会う機会が来るのを待っていました。」
天使は、ちょっと言葉を切ってから続けた。
「あなたが今のような心理状態になるのを随分長く待ちました。これまでは、あなたの心の中に壁があって、私は入り込むことが出来ませんでした。でも今晩は違いました。」
 
「あなたは何か信念とか、勇気を試される試練にぶつかったのですね。これまで、私が侵入することを妨げていた壁が今晩は消えていました。さあ、あなたが求めている力を与えてあげましょう。あまり時間がありません。」
そう言って、彼女は何か呪文を唱えた。すると若者は自分の体が急に燃えるように熱くなったのを感じた。
 
「熱い!助けてくれ!」
若者は叫びながら、胸をかきむしった。若者の体から炎が噴き出していた。
だが、その炎は普通の炎とは違っていた。まるで生きているようだった。
燃え上がるというより、身をよじりながら若者の体から逃げ出そうとしているように見えた。
 
炎はすべるように彼の体から抜け出て、少し離れた所に集まった。
やがて、それは荒れ狂う一頭のライオンの姿になった。天使が言った。
「あのライオンは、あなたの中にあった燃える欲望です。あのライオンは、あなたの中の闇の物質を食べて、あなたの中で燃える欲望として荒れ狂っていたのです。
その炎が、あなたの精神を酔わせていたのです。」
 
ライオンはこちらに飛びかかろうとしていた。
天使が言った。
「今、私の力であなたからライオンを分離させていますが、いつまでも押さえておくわけにはいきません。私が力を緩めれば、すぐにあなたの中に飛び込んで、あなたに融合してしまうでしょう。あなたはあのライオンを戦わねばなりません。」
 
そう言って、彼に花輪をくれた。
「その花輪をライオンの首にかけるのです。そうすれば、ライオンは大人しくなり、消滅します。あのライオンは幻です。繰り返します。あのライオンは幻で、実体がありません。私の言葉を信じて、一瞬たりとも疑わなければ、ライオンは決してあなたを傷つけることはありません。」
 
彼はライオンを見た。ライオンは低い唸り声をあげていた。
どう見ても幻には見えなかった。
「恐がってはいけません。あなたに勇気を与えてあげるには、これしか方法がないのです。それを分かって下さい。勇気とはそういう性質のものなのです。さあ、行くのです。私を信じて下さい。」
 
こう言って、天使は若者の目をまっすぐに見つめた。
その目は清く澄んで、きらきらと輝いていた。
彼女の目の中には、荒鷲の軍旗がひるがえっていた。
それは、コスモクラトール=ミトラの旗印であった。

 
 
 
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