能取岬

 北支ハイヤーの運ちゃんは色んなことを教えてくれた。
 中でもとびきりだったのは「能取(のとろ)岬から海を見ると、360度見渡す限りの流氷でな。あそこで見るのが一番綺麗だと思うぞ。」という一言だった。

 次の日、定期観光バスに乗って、能取岬に向かった。
 きれーに晴れている。エラく人見知りする、臆病な犬と一緒に写真をパチリ。きゃんきゃん吠えて、ふーふーと激しく息をしている。おかげでその犬の顔には氷の粒がいっぱいくっついていた。吐いた息が凍ったらしい。


 「他にお客さんいないですからね。ちょっと多めに時間とりますから、ゆっくり見てきていいですよ。」

 本当に絶景だった。
 知床連山を遠くに眺む。雲一つない。空はウソみたいに青い。眼下に広がるのは、地平線までの雪野原。

 …雪野原??

 海面が見えぬほど押し寄せている流氷。その上に雪が降り、見渡す限りの雪原を作り出していたのだ。
 すごい。知床まで歩いて行けそうだ!

 興奮してシャッターを切りまくった
 流氷は今日もぎっしりと岸に押し寄せている。

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