【地球bW】
水の惑星・・地球
「地球は青かった」人類で初めて地球を大気圏外から見た、宇宙飛行士ガガーリンの有名な言葉・・
地球表面を広く覆う海洋の存在を端的に表現している。惑星の中で唯一水圏が存在する地球。
「水の惑星」「青い惑星」と呼ばれる。
地球は太陽から、微妙に条件が重なった都合のよい距離に位置してることが水を存在させていると考えられている。
金星は、太陽からの受熱量が多く二酸化炭素(CO2)を主成分とする100気圧近い濃い大気から温室効果が著しく、
表面温度は約500℃の高温で、水蒸気は宇宙空間から逃げてしまい液体の水は存在できない。
地球の外側にある火星は、太陽からの受熱量が少ないため、たとえ雪氷が存在できても液体の水の存在はあり得ない。
地球は太陽からほどよい距離に存在し、適度の温度が保たれていて、また地球の自転周期が比較的短いことも、
昼夜の温度差を小さくしており、気体の水蒸気も液体の水も、さらに固体の雪や氷も共存できている。
さらに地球自体の質量が水の存在にたいへん都合の良い大きさになってる。大気を宇宙空間へ逃がさないための
充分な重力を持っていて、窒素と酸素を主成分とする1気圧の大気になっている。
火星の場合は、質量が地球の1/9、重力が1/2.6と小さいために、二酸化炭素を主成分とする大気は1/150気圧とうすく、
さらに温室効果も小さいことなどから、火星の表面温度は赤道で20℃〜−100℃まで変化する。
月では質量が地球の1/81、重力は地球の1/6で大気を引きとめることができない。
したがって月には大気が存在しない。そのため太陽からの受熱量が地球と同じでも、表面温度の変化は大きく、
さらに自転周期が長いことも重なって昼間は120℃夜間は−160℃にも達する。
約46億年前に誕生した地球、初期の地球では長期間にわたり高温で、内部からは火山ガスににた多量の気体を
たえず放出しH2O、CO2、N2を主成分とする原始大気をつくりあげていったと考えられている。
この原始大気は、地表がしだいに冷えて温度を下げ、水の沸点以下になると、大気中の水蒸気は凝結して
多量の雨となって地表に降り注ぎ、約40億年前までに原始の海洋が誕生したとされている。
その後、原始海洋の中で葉緑素を持つ藻類の光合成によるO2が大気中に放出され、しだいに濃度を増し
成層圏にオゾン(O3)層を形成していった。このオゾン層の存在で有害な紫外線がさえぎられて、陸上にも生物が
生存できる状況が生まれた。原始の大気中に大量にあったとされるCO2は海に溶け込み、石灰藻等の生物の働きに
よって炭酸カルシウム(CaCO2)として固定されていった。
このように、地球は太陽からの距離、それ自体の大きさ、質量などを保持しながら地球表面に大気を生み出し、
海水の中から生物が発生・進化し、やがて陸上での生物の生存をも可能にしていった。
動植物や人類などが生存可能な地球環境を、長大な時間をかけてつくりあげたのは、地球上の水の存在だった。
さて、今地球表面に満々とたたえられている水の量はどのような変遷をたどって現在の水量になったのであろうか。
『原始の海水が地球表面に誕生した初期以降の比較的短時間に、現在の海水量の大部分が生まれた。』という
考えが広く支持されているようだ。
地球上の水の総量は14億キロ立方米前後とする見方が一般的だ。
最大の水量は水圏全体の97.5%を占める海水である。
残りの水は陸水と呼ばれ、河川水、湖沼水、地下水、雪氷等に区分している。陸水のうち約70%は雪氷で、
南極大陸やグリーンランドなどに平均2000m以上の厚さの大陸氷床として存在している。残りの29%は地下水、
河川や湖沼などの地表水及び土壌水は陸水全体の0.7%にすぎないと考えられている。
(大気中にも、水蒸気として僅かな水が存在する。)
人類を初めとする陸上生物は、地球の水圏の中では微量にすぎない河川水、湖沼水を利用しあって生きている。
地球の表面積は約5.10億ku、この内海洋は3.61億ku、陸地は1.49億kuで、海洋と陸地の比は2.42:1、
海洋は地球表面の3/4を占めていることになる。
この海の最大の深さはマリアナ海溝の10,924m、海洋の平均水深は3,795m。
話しはそれるが地上での最大高度はエベレストの8,848m、地球表面の凹凸は約20kmとなり、
これは地球半径の約0.3%にすぎない。ちなみに陸地の平均高度は840m。
地球上の水は絶えず循環している。
海洋水や地表水からは、連続的に蒸発が起こり、さらに樹木などの植物は常に蒸散をおこない、
水蒸気となって大気中にとどまる。そのほとんどは凝結して雲となり、大気中に10日間前後滞留してから、
雨や雪などになって海洋や陸地に達する。
陸地に降水した一部は河川水や湖沼水になり、さらに一部は地中に入り土壌水や地下水になる。
また、雪や氷として数10日〜数万年以上地表に滞留するものもある。
土壌水や地下水は植物などに利用されたり、湧水などとして地表や河川に流れ出す。
地表水などの多くは海に入り、そこから蒸発して大気にもどる。
地球上の水の一定量はたえず循環している。
降水量と蒸発・蒸散量は均衡を保ち、水の移動は常に収支が合っている。
いま、地球(人類)の水は危機を〜
「水不足の圧力は世界人口の三分の一に達し、2025年には三人のうち二人に及ぶ」
今年の国連の報告だ。
発展途上国の著しい人口増と貧困、食糧を得るため木を切り農地を開く、それによって水需要は増え、
緑地の減少は大地の貯水能力を衰えさせる。工業化や都市の開発も水需要を増す。流域開発で水が汚染されると
利用水が減り、貧困層は汚れた水を使わざるを得なくなる。こうして悪循環は止めどがなくなる。
一方で、水害が頻繁に起きている。開発によって、雨水は地下に貯留せず一気にあふれる。
地球が営々と築いてきた水の循環を人工的に崩してしまっている。
水害、汚染、水不足。人類はいま水の危機をむかえてしまった。「水の惑星」が苦悩しているのだ。
生命を誕生させた根元の水、人類はその水の循環を自らの手で破壊しつつある。
根本的な対策は、緑の復活をはかることだろう。山林は水を貯め、浄化する。治水にもなる。
穀物1トンを作るのに、千トンの水が必要と言われる。
地球上を循環する資源・・水・・・私達が大切に接しさえすれば、永続的は恵みをもたらすものなのだ。
地球環境破壊から脱することにもなる。
深刻な水不足はアジア、アフリカなどに多い。富の偏在、耕作地のそれ、さらに水の〜〜人類の苦悩を見る。
21世紀・・それは20世紀の限りない悪弊を克服する世紀と捉えたい。
富や利便だけで得られないものが多々あるということを心底から多くの人たちが認識したい。
それは、良好な環境であり、大気であり、心であり地球そのものである。
何時までも青く輝く「水の惑星」であり続けたい。
h.
***世界の水の使用量は年に3兆5700億トン(95年)***
参考文献:地球の水圏−海洋と陸水 :東海大学出版会
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