グリーンウッド氏の

詩歌・川柳

グリーンウッド氏は詩、短歌、俳句の類は詠むことはまれにしかない。1994年11月13日に横須賀に永久保存されている戦艦三笠を訪問してのちの1995年 の年賀状に次のような言葉を綴った。

ああ汝は知らず

バルチック艦隊の海の藻屑となるは

艦船の数でなきことを

ああ汝は知らず

プリンスオブウェールズの轟沈は

大艦巨砲によらずと

かくして時は過ぎ行く

最近は会社の先輩が梅雪と号して俳句、川柳の梅雪選を週に数回ラウンドテ−ブル21経 由で配信してくれるのを愉しんでいる。

2007年10月7日、約1週間、八甲田山・八幡平・岩手山の3名山を攻略するために奥 州の山々にこもって帰宅し、溜まった新聞を読破したとき、梅雪さんから次の問題を提示された。

「( )( )へば ( )( )し 秋の風」

芭蕉の俳句の括弧内に欠字をいれなさいという2007/10/5の毎日夕刊「虫食い俳句」である。

これをもてあそんでいるうちに頭に浮かんだいくつかの川柳を紹介しよう。

ウィキペディア 書き込む役所 秋の風           1

ウィキペディアは誰 でも作成に貢献できるというメリットがあるため、 短期間で大発展し、群集の叡智を集約するマス・コラボレーションの成功例であるとたたえられた。しかし悪意ある書き込みにも悩むようになった。そこで書き 込んだ人を特定できるようにWikiScannerというソフトが開発された。そのような仕掛けがあることを知らない暇な役人がウィキペディアの内容を自 分の利益に合致させるように書き換えたことが明らかになって大恥をかいた。

元軍人の「絶対に自決を命じたことはありません」という裁判の結果をふまえ、御用学者を委員に命じた審議会を楯にし、密室で行われる文部省の教科書検定に 沖縄県民が立ち上がってビックリ。「大臣には検定を変える権限がありません」と立ち往生した 渡海文部大臣を歌って。

無誤謬の 教科書検定 立往生          2

これは梅雪さんから座布団一枚いただいた。号を「座一」としようかしら。

日本の役所は無誤謬を建て前としている。愚民を導くエリート意識か らでたと思っていたが天皇を頂点とする国家体制にその源があるとの説を最近読んだ。統帥権は天皇にあり、親補職は天皇が直接辞令を出す。彼らの責任を追及すると天 皇にまで責任がいってしまうのでだれも責任をとれずに、責任は中に浮く構造になっているのだという。そこで更に一句。

無誤謬は 統帥権の 残渣とは         3

P波を検知して本震が到達するまでの期間にラジオやTVで速報を出そうという気象庁の試みが実施された日の午前2時頃、 箱根地方で震度4の地震があった。地震の方で気を利かしてご祝儀地震を発生させたのかと思い、さっそく作動したのか興味をもったのだが、正式稼動はその日 の午前9:00であったという。

地震すぎ 地震速報 聞きました         4

次の制御棒挿入・・・は専門的過ぎて分かりにくいと思う。ご興味のある方は弊論文「浜岡原発で危惧される制御棒挿入障害」 を御一読願います。マスコミがこれを話題にしないのは勉強不足。

大地震 制御棒挿入 できません       5

2007年10月20日、NHKの中越沖地震後の原発問題討論会で広域の放射能汚染で首都圏に住めなくなるような事故がありうることを無視 して「温暖化防止には原発しかない」というロジックをエネ庁長官が壊れたレコードのように展開したのを 「耳たこ」だなと思って聞いた。そのあと発言した2006年の耐震設計審査指針改訂時の原子力安全委員長だった近藤駿介東大大学院工学系教授が原発以外の風力発電やソーラーセルをは からずも「敵」と呼んでいるのを目撃してショックを受けた。そこで一 句。

風力は 原発の敵 教授いう      6

守屋防衛事務次官の首を切ろうとした小池百合子防衛大臣を支持せず、辞任に追いやり、結局、パニックに陥って自滅して退陣した美しい国を標榜した安倍元首 相を揶揄して。

ムラ社会 次官のクビも 切れず降り      7

日本のような農耕ムラ社会(ゲマインシャフト)では仲間 のクビを切るというのは最大の難事であるのに比し、アメリカのような狩猟民族の社会 (ゲゼルシャフト)ではリーダーが絶大な権限を持っているかわりにその集団の生存を危うくする何かがあれば一発でクビになる。

ムラ文化である日本が太平洋戦争に負けたのは失敗した軍官僚のクビを切らずにその地位にとどまらせるどころか昇進までさせていたことにあると認識されてい る。戦後、政府スタッフたる役人は軍官僚を除き、首も切られずにそのまま居残り、無能をさらし続けるということが生じたわけである。防衛事務次官のクビを 防衛大臣が切れないということを継続している日本というムラ社会は狩猟民族の社会に戦争をしかけても負けるのは必定

安倍内閣が役所の無駄を省こうと各省が発行する白書を整理しようと始めたのだが、推進者がやめてこれを引きついだ自民党は役所連合軍に押し切られたらし い。

自民党 白書の整理 できもせず      8

中西輝政によれば昭和20年以降、各省の官房長には「白い手帳」と「黒い手帳」が代々受け継がれているという。白い手帳は、若いエリート官僚をお見合いさ せる令嬢のリスト。黒い手帳は、大臣として自分の役所にやってくる政治家を押さえ込むための、カネや女性問題などの弱点のプロファイリングであるという。 行政改革をせんとする内閣が現れればたちまちこの黒い手帳から情報が流れ出すことにあいなる。公務員制度改革に手をつけた安倍は虎の尾を踏んで自滅したと いうことのようだ。安倍にもかわゆいところがあったのだ。そこで一句。

公務員 敵に回して スキャンダル      9

中西輝政は小泉前首相は行政改革は口ばかりで何もしなかったから、長期政権を維持できたのだという。

あまりにも芸はないが、白い手帳に関しては;

令嬢は 白い手帳で 玉の輿      10

今時いったいどのくらいが白い手帳のお世話になっているのだろうか?

NHKの日曜連続ドラマ「風林火山」もいよいよ佳境の「川中島の戦い」に入る。そこでナレーションを担当した若い女性アナ氏、第4次戦場となった 八幡原を「やわたはら」と読んだ。 八幡製鉄じゃないんだよ。神仏習合時代の「南無八幡大菩薩」の八幡だ。NHKのディレクターを勤 めたO氏に話すと「おれがやめてからNHKの質も落ちたよ」と。

NHKアナ はちまんぱらを やわたはら      11

2007年10月22日、 新潟県関川村という36戸しかない小村で、村の和を保つためという恒例の運動会に参加しなかった11戸を有力者が村八分にしたところ、差別された側が訴訟 に訴え出て勝った。ところが訴訟に負けた村の有力者がその裁判費用と賠償金は原告を除く村民の折半だと言い出した。有力者の言いなりになってきた村民は ビックリ。そんな金ないよ!でもこの構図、どこかの国に似ていません?

村八分 賠償金は 折半で     12

藤沢周平の代表的小説「風 の果て」は故郷、庄内平野にある鶴岡市がモデルとなっている。小説の主人公、桑山又左衛門は逼迫する藩の財政を立て直すために、大櫛山(朧月山) の水源から広大な荒れ地「太蔵が原」に水路を開削し、「太蔵が原」の開墾に成功するストーリーだ。大櫛山は月山をモデルにし、「太蔵が原」は月山西北部山 麓の旧櫛引町の延田原ではないかと言われている。この開墾地には「天保堰」というものが実在している。この灌漑により不毛な原野は水田になり、地下水を涵 養するようになったという。灌漑用水が涵養する地下水は鶴岡市の水道の供給源だったのだが、地下水が涸れるたわけでもないのに鶴岡市は国土交通省直轄の赤 川系の多目的ダムである月山ダムに水源を切り替えたため 、料金が上がり、水質が低下して、うまい水を飲めなくなった住民は困惑しているという。国土交通省が無駄な月山ダムを建設した尻拭いに鶴岡市の市民はつき 合わされたのだ。市民が市のしていることを監視せず、放っておいたため、自業自得という面もある。どこかの小村の有力者が村八分を指導するのに唯々諾々と 従っておいて賠償金を折半させられた村民と同類の話だ。そこで一 句。

周平が 月山ダムに 泣いている      13

赤福餅が最近日本中のどこでも手にはいるようになったのはどういうことかと思っていたら 、ついにその秘密が明らかになった。次から次にでてくる疑惑を塗誤しようとあがいてみたが、それも次々に暴露されて醜態を晒してしまった。時代が変わった ことに気がつかなかった経営陣の失態であろう。

赤福が あがいて恥の 上塗りか      14

赤福の名前の由来は 赤心慶福(せきしんけいふく)と聞いて。黒心来凶だろうから黒凶とでも改名したら。

赤福の 名前にあぐら いっときの      15

2007年10月23日、米補給艦ペスコへの給油量の報告書の間違いを知っていて握りつぶした海上幕僚監部の防衛課長の隠蔽工作も知らず、 退職した元課長を片山さつき議員の秘書にしていた福田首相筆頭とする自民党のふがいなさを嘆じて:

役人に おんぶにだっこ 自民党     16

民間企業では発注は事前審査で発注する業務を処理できる能力を持つ企業を数社選んで競争入札ベースで発注先を決めている。発注後、万一、不幸にも発注先が 能力不足と判明したら、支援して完成させるか、発注先を早急に別の企業に振り向けて損害を最小にすべく、企業の総力を上げて取り組んで損失を最小にしよう とするのが常識である。この仕掛けは国の発注でも同じはずであるが、自衛隊の場合には万一発注先が能力不足と判明しても、 部下の発注担当者にキズがつくことを恐れて泣き寝入りするのだという。かくして税金の無駄使いが発生するのだ。実戦は米軍に任せている軍隊だからそのよう なことをしても、不具合は表面化しない。こうして腐敗は深く浸透してゆくのである。守屋事務次官など氷山の一画だろう。

国家より 部下大切と 幕僚長     17

NTTを筆頭とする日本の携帯電話の規格は日本独自の閉鎖的なもので、海外の電話機メーカーには参入障壁となって守られたマーケットとなっていた。電話会 社は傘下の国産メーカーから高コストの電話 機を買い上げ、ただ同然でユーザーに配り、高い通信料でそれを償却してきた。唯々諾々とこれに従って利益を上げてきた極楽鳥ならぬ国産メーカーが製造する 電話機は世界市場からは見向きもされず、狭い日本市場で寒々とシェア争いして いるローカルメーカーに成り下がってしまった。自業自得、同情の余地なしである。スマートフォンなど高機能のものを買おうとしても無料で配布した電話機の 償却費を延々と支払わせれている身にとって 二重支払いから逃れる道はただ同然でユーザーに配られる、低機能の電話機を使い続けるしかないのだ。かくして技術革新にも遅れを生じつつある。NTTの罪 は重いのだ。いずれ見捨てられる運命にあるのだろう。

ドア閉じて 世界忘れた 極楽鳥     18

2007年10月25日、山本五十六はミッドウェーを攻略することで米空母部隊を誘い出し、一挙に補足撃滅するという戦略をたて、南雲の空 母艦隊に出撃を命ずる。しかし山本の目的を理解せず、ミッドウェーの基地を攻撃してから占領するのだと思い込んでいた南雲司令部は空母などミッドウェー周 辺に居ないと思いこんで基地爆撃用の爆弾を着装していた。重巡「筑摩」から 都間信大尉<兵66期>の筑摩一号機が飛んだのだが、偵察機なのに雲の上を飛んでアメリカの機動部隊を見落とした。さらに敵索敵機と遭遇しな がら報告をしなかった。艦載機だったので、すぐ近くに空母がいる事は自明の理であるにもかかわらずである。隣の索敵地点を飛んだ重巡「利根」 利根4号偵察機が帰り道にようやく見つけるのだが、時すでに遅し、敵空母攻撃のタイミングを逸し、同じ頃、日本の機動部隊を探していたエンタープライズの 急降下爆撃機の隊長、マクラスキー少左の推理に負けて返り討ちに合うのである。このように南雲司令部は敵空母は居ないという「集団催眠」にかかっていて主 力空母4隻を失ったのだ。戦後、航空自衛隊に入った 都間信大尉は自分の雲の上を飛ぶという索敵原則違反のせいで太平洋戦争に負けたと認めているが、当時、都間信大尉の索敵原則違反をとがめたものはなく、手 柄をたてた重巡「利根」の索敵機が空母を伴わない艦隊だと第一報を入れたため、ミッドウェー攻撃爆弾から空母攻撃の水雷に換装するチャンスを失ったと責め られたという。そこで一句。

ミッドウェー 雲の上とぶ 索敵機     19

2007年10月28日、 社会保険庁は申請主義なので申請なければ年金の支払いも訂正もなにもしない。文部省は密室で教科書検定しておきながら、それに過誤があったからといって、 教科書会社の申請なくしてはなにもせぬという。保険会社も複雑な保険を契約させておいて請求が無ければ支払わず知らん振り。権力・権限を持つ側はえてして 傲慢、怠慢、横暴であること明白。そこで一句。

お役所は シンセシンセで なにもせず       20

情報の非対称性理論やゲーム理論を基礎にメカニズム・デザイン理論を作って2007年のノーベ ル経済学賞を受賞した人に続いてだれか政府機構デザイン理論を作ってくれないか?国民栄誉賞ものだと思うのだが。

2007年10月30日、衆院テロ対策特別委員会での討論を聞いていて浮かんだ一句。

我が国は テロから逃げて あぶら売る      21

民主党議員がインド洋で米軍に給油するよりもっと有効なテロ対策があるのではないかと質問したとき、そうだ!我が国はテロ対策に真に有効な行動をとらず、 逃げて米軍の背後で給油してごまかしているのだと思い至ったからである。結果、我々の税金を無駄にしていることになる。これは守屋防衛事務次官が癒着業者 からゴルフ接待を200回うけた以上の政府の怠慢ではないのか?社民党阿部知子議員の質問と発言は妥当で説得力があった。

アメリカでは艦船の航海日誌は永久保存である。グリーンウッド氏もこれにならって航海日誌はサーバーコストを支払える間は公開しようと思っている。しかし 日本の海上自衛隊では4年の保管期間を過ぎたら破棄して良いことになっているという。日影者の活動など保管してもしょうがないという感覚なのだろうか、は たまた太平洋戦争の記録も全て敗戦時に責任を逃れるために破棄されたことに遠因があるのだろうか?ところが、その保管期間も過ぎていないのに左官クラスの 勝手な判断で破棄していたことがインド洋給油問題で発覚してしまった。

自衛艦 航海日誌 すでに破棄      22

2007年11月18日、久しぶりに新横浜に向かう横浜市営地下鉄で女性専用車をみてフト思う。

冤罪で 男専用 車両ほし   23

2007年12月5日、守屋事務次官の汚職発覚の後、防衛省が汚職防止教育のビデオを作っていたと知って

ビデオより トップの姿 見てならう   24

2008年1月29日、過激な捕鯨反対活動団体シーシェパードに農水省の調査捕鯨の欺瞞性を暴かれて、日本悪玉のイメージを世界に宣伝され るのをみて。

すでに日本の捕鯨業は消滅し、国民特に若い世代がクジラを食べる習慣もないのに、税金を無駄につかって、意味もない調査捕鯨という名目の捕鯨を続行し、売 れない鯨肉を 多量に確保して、PCBの濃縮した肉を食べるリスクを国民に押し付け、日本国の環境保護姿勢に疑問符をつけられる意味があるのかと自問した。

国民の「外国にとやかく言われる筋はない、手前らも牛を殺しているではないか」という感情に悪乗りしてチャッカリと日本鯨類研究所などの自分らの天下り先 確保をしている農水省の役人の陰謀なのではとフト気がついた時に浮かんだ一句である。

捕鯨調査船は原子力船「むつ」のような腐臭を発している。字余りはご愛嬌。

天下り 節税よりも 調査捕鯨  25

調査捕鯨は農水省の下部機構、日本鯨研究所が旧捕鯨大手3社が合併した共同船舶の船5-6隻と船員300名を借り上げて行っている。この共同船舶は大手水 産会社が反捕鯨運動の対象になるのを嫌って手を引いたため、農水省の傘下にはいった国策会社で一応黒字だそう である。ところが日本鯨研究所の方は5,000トンに水揚げを増やしてから赤字だそうだ。在庫が5,969トンに達した2006年に値下げしても 4,000トンに下がりはしたが、下げ停まって推移しているようだ。赤字なのになぜ税金をつかって頑張るかつらつら考えるに価格はマーケットが決めるとい うことに気がつかず、社会主義的計画経済思想に汚染された役人の思考回路が垣間見える。社保庁が需要もないのに全国に保養施設を作ったのと同じである。加 うるに何も変えたくないという役人の惰性が実情なのだろうが、農水役人の天下り先を確保するためと勘ぐられてもしょうがないだろう。町村官房長官が「環境 テロだ!」などとテレビの前で見えを切ってみせるのは役人の傀儡のように見えて悲しい。

傀儡が 環境テロと 見えをきる  26

勝手に想像していては失礼と調べてみると日本鯨類研究所の理事長、専務理事、理事には常勤に最終官職が元水産庁次長、水産庁増殖推進部室長、とプロパー各 1名の計3名。非常勤に水産庁漁政部漁業保険課長、水産庁振興部振興課長が各1名、大学教授2名、日本捕鯨協会長代理、共同船舶株式会社代表取締役社長、 産経新聞客員論説委員、TBS編成局アナウンス部担当局次長 各1名の計10名が任命されていた。理事長報酬月額115万円、退職金は月額x在任年数x3.5である。

師匠の梅雪さんから25番の字余りは引っかかるので

天下る 調査捕鯨が 隠れ蓑   梅雪

がいいだろうと教えてもらった。

2008年2月11日、世論調査をすると鯨肉など食さなくなったのに国民の過半数は依然、捕鯨賛成であるという。それも若年層は反対、高齢 者に賛成が多いとのこと。

大多数の日本人が鯨肉を食し始めたのは白米のご飯と同じく、明治維新以後、陸軍の兵にタンパク源を供給するためであったそうだ。それと敗戦後の食料難の一 時期で、私の記憶ではその独特の鯨臭に辟易した思い出がある。

このように鯨を食するのは日本の古来の伝統ではなかったようである。植民地拡大に奔走する列強に対抗するための富国強兵政策の手段として始めたのであろ う。先日もNHKの番組で観たが、土佐の漁民は鯨を捕獲せず、鯨と協力してカツオ猟をしているようだ。「鯨肉食は古来の日本文化で外国にとやかく言われる 筋合いではない」と古い世代が反発するのは明治政府以降の洗脳の結果であるというのがどうも真相のよう。 古い世代も役人と同じく惰性に流されている。

洗脳された我々より古い世代が消え去れば鯨肉に執着した思いも消え去るのであろう。

洗脳の 効果バツグン 捕鯨支持   27

師匠の梅雪さんから次のような返歌がありました。

「 グリーンウッドさんの『捕鯨』についての経緯を聞いて、思い出した歌があります。『鉾をおさめて 』という歌で、藤原義江が歌っている有名な歌です。昭和3年、時雨音羽作詞、中山晋平作曲です。そこで一句できました」

鉾おさめ 日の丸揚げた 男たち      梅雪

我々の先輩が列強を撃退したことは確かで、アジアが自信を持ち始めたのもそのおかげであろう。鯨はその残滓であったわけだ。

2008年2月18日、梅雪さんがから

カレンダー 印はあるが 意味不明   脳トレ川柳(毎日新聞)

という川柳を教えてもらった。これを読んで数年前、高校の同窓会出席のため、遠路銀座まで出かけたところ、ホテルの会場では別の会が開催されている。変だ と調べると1ヶ月前の同じ日に開催されていたことが判明 したことを思い出し、一句。

カレンダー 印はあるが 月違い  28

2008年2月21日、師匠の梅雪さんから26番に関し、「句は一人歩きを始めます。その場合、その句を読む人は解説無しで読むことになり ます。グリーンウッドさんのこの句も単独に読む場合は、その思いと別の解釈をするかも知れません。調査捕鯨については、結局

身勝手に 鯨怒りを 吹き上げる   梅雪

といったところですね」と指摘される。ミセスグリーンウッドにも解説なしに理解できないようでは川柳になっていないと酷評されている。そんなこと知らない わけではないが、ボツにせずあえて公表したのは「川柳もどき」を餌にして解説文を読んでもらいたいという不純な動機があっためでした。おそまつ。

2008年2月22日、国際統一ルールに従う海上衝突予防法では夜間右手から赤色の舷灯(ポートサ イド)を見せて接近する横切り船 を見た場合はこれを避けなければならないことになっている。

初代艦長であり三菱重工で完工したときの儀装委員長でもある舩渡健(ふなと けん)1佐(52才、通常は艦 長は2佐であるから大物)が指揮する護衛艦「あたご」はこのルールに従わず、右手から接近する漁船団のなかに自動操縦を解除せず、高速で真っ直ぐ突っ込ん だ。そして 針路保持船であるマグロはえ縄漁船清徳丸を粉砕した。防衛省が大臣を通じて青灯を見たという都合の良い話しだけを公表したのをみて

そこのけと あたごが通る  闇の海  29

漁船側が公表したGPS記録から推察するに、青灯は国際統一ルール通り、粉砕された船の後をゆく漁船が間に合わないと判断し、やむを得ず、左に舵を取り直 し、スターボードを自衛艦にさらした時のものであるようだ。これをもって護衛艦が自分には回避義務がなかったと主張するには無理がある。

2008年2月25日、漁船側のGPSには航跡記録が残っているのに、護衛艦側のレーダーには記録は残っていないという。レーダー員は漁船 群が表示されているのを見ているのだが、自動追尾のための印をつけなかったため、記録が残らなかったのだそうだ。レーダー員は当直士官からフォロー(継続 監視)の指示がなければマークする必要はないことのようだ。レーダー記録がなくともGPS記録が残っていて、海上保安庁が押収し、解析中という。

見張り員は前直の担当から引継ぎ、視認したにも関わらず、漁船は回避できると勝手に判断し、継続した目視を継続せず、当 直士官である長岩友久水雷長(34才)に報告しなかったという。(ルールでは見張り員は勝手な判断はせず全て見たままを報告することになっている ので指示しない当直士官の責任となる)当直士官は引継ぎのとき、漁船船団が前方にいることは引継いだが、見張り員やレーダー員にフォローの指示を出さず、 混雑が予想される海域でかつ漁船団に近づいているのに自動操縦を解除しなかったという。

通常、当直士官は責任感ゆえにインセンティブが高く、専門の操船要員ではない見張り員より早く、相手船を視認して見張り員やレーダー員にフォローの指示を 出すという。ましてや相手が船団であれば一隻を回避すると次の危機を生むことになるので、大きく船団を避けるのが賢明な策という。そしてそのような時は当 直士官は艦長に報告し、艦長は事態把握のために艦橋に上がるのが本来のあり方という。

舩渡健艦長が日ごろ「つまらぬことで俺を煩わすな」という人であれば、当直士官が報告を遠慮したことも考えられる。航空業界のコックピット・リソースマネジメ ントでは機長と福操縦士の協力関係は権威勾配をなくすとうまくゆくという。ANAがJALより事故がすくないのもここに起因するという。

そこのけと 当直士官 立ちつくす   30

レ-ダーも 裸眼も捨てた 護衛艦     31

護衛艦 怖さしらずの 暴走よ      32

危機回避 漁船まかせの 護衛艦     33

船でも、航空機でも、ヘリでも、自動車でも背景が見えない一様な空間ではコリジョン・コースにある相手はいつまでも動かず同じコンパス方位に見えるもの だ。まして夜間では灯火しか見えず、これが極端になる。人間工学的には動かない相手は危機意識を呼び覚まさないという落とし穴がある。当直士官も見張り員 もそのような錯覚に陥っていた可能性がある。

見張りはね あなたまかせの 護衛艦    34

野放しの 見張りの役を チェックせず    35

海上衝突予防法では目視とレーダーを照らし合わせながら危機回避の方法を探る系統的な観察が求められている。ところが護衛艦では伝令をバイパスして見張り 員⇔当直士官⇔レーダー員と双方向のコミュニケーションをしながらシフトの10名が相互チェックしながら操船するというシステムになっていない。見張り員 がチョンボして報告しなくとも当直士官が疑問を持って直接問いかければ済むことだ。伝令とか白いテーブルクロスなどアナクロな権威勾配を作り出す仕掛けな どさっさと廃すべきだろう。

伝令は 権威の仕掛け やめられず      36

塩爺こと塩川正十郎前財務相がテレビでいつもまっとうなコメントをしているので尊敬していたのだが、漁船も悪かったという発言をしていたと友人から聞き、 物事が分かっていない人だとわかり、友人ともどもすっかり失望している。

2008年2月27日、そもそも新造船の初代乗組員は選ばれた人という意識を持つが、それが行過ぎて驕慢となったのだろう。事故当時は3佐 クラスが任命される航海長から引継いだ通常1尉クラスの水雷長が当直士官だったという。海上保安部の事故調査開始前の事故直後の10:00に事故直前の当 直士官だった 後潟桂太郎航海長(36才)をヘリでよびつけ、石破防衛大臣室で増田次官、斉藤統合幕僚長、吉川海上幕僚長ともども報告させていることが判明。そのとき航 海長は衝突2分まえに見張りが漁船を発見したとか青色の光を見たとか都合のよい情報のみを報告。これを石破大臣がそのまま公表した。しかし同日16:18 にはこれが誤報であり、実は発見は12分前だったと護衛艦隊幕僚長から海幕に報告があがった。12分前であれば、航海長の引継ぎ時間に相当するため、航海 長が責任逃れの報告をしたとも考えられる。複数のソースに照合もせず、鵜呑みにした大臣、次官、幕僚長らは間が抜けている。そこで一句

いつわりの 報告せしは 航海長     37

当事者の 言葉信じた おえらさん    38

浦賀水道に入れば総員配置体制になる直前に艦長が仮眠していたので罷免は当然だが。航海長、水雷長、見張り員はなにもしなかった点でより罪は重い。そして 大臣、次官、幕僚長らはお人よしだったということになる。

2008年2月29日、遺族にあやまりに行った艦長があの海域にあれほど漁船が多いという認識を持っていなかったということを言った。艦長 は岐阜大学工学部出身だという。儀装委員長には適任であるが、航海の経験はその分足りないかもしれない。そうするとキャリアパスの設計がまずかったという ことにもなるのではないか?(3月21日防衛省が発表した中間報告では見張り員が漁船を視認したのは12分前とか2分前に緑灯を視認という航海長報告はそ の後、確認されていないという。9分前には見張り員は当直士官に白灯と赤灯が右20-40度があることを報告している。従って当直士官の判断が甘いことに なる。後進いっぱいと命令した時に衝突音を聞いている。舵は切っていない。雨が降ってきたので右ウィングに居た見張り員は艦橋に入ったとの報道もある)

2008年3月16日、過去10年間、米国の貿易収支が巨額になっているにもかかわらず、ドルの価値が安定していることを不思議に思ってい た。最近サブプライム問題でようやくドルが100円以下に暴落しはじめた。このようなとき、たまたまエマニュエル・トッドの「帝国以後 アメリカ・システムの 崩壊」を読んだ。この本を読むと、米国という国家はかってのローマ帝国のようなものとの理解は実は幻で、世界はその真の姿に今、気がつき始めてい るということが理解できる。サブプライム問題は単なるきっかけで、構造的に米国は手遅れで米国の次の大統領に誰がなっても大した期待はもてないと気がつ く。日本がECを見習いつつ、独自に中国とロシアとの関係をしっかり構築してゆくことの重要性の認識に思い至るのである。

ドル下落 米帝国は イルージョン    39

2008年4月4日、財務省出身者を日銀総裁に指名しようとした福田首相が2回も野党に拒否されるのをみて。

日銀と 首相あやつる 財務省   40

2008年4月13日、梅雪さんから「脳トレ川柳(毎日新聞)」「もの忘れ することのない 腹時計」を教えてもらって一句

腹時計 狂いがでずに メタボかな     41

過食・運動不足はいけませんね。

2008年5月20日、水産白書が公刊されたそうだが、国際的な魚の人気で輸入魚を競り負けして買えなくなった。従って国民は近海漁を食べ るようにとのお達しである。初鰹は7切れを食べるべしとのことだ。そんなこと役人から言われなくたって自由経済下にあるのだから高くなれば勝手に安いもの を食べるさ。いまだに人民は愚民と思っているのだろうか。

初がつお 食べる数まで 指図され   42

初がつお 指図されれば 食細る   43

マグロが買いまけしたのでその代替として食えというだけのことで根性がさもしい。マグロが口にはい りにくくなったのは事実なのだから、機会をとらえてイワシとかサンマといったなら私もそうだと素直に同意して川柳で水産庁を揶揄することもなかっただろう と思う。

欧米各国は資源量を調べ、魚種毎、漁業者毎に漁獲量を割り当てている。しかし水産庁はサンマを含め 8種類の魚の漁獲高の上限を定めるだけで先を争ってとるオリンピック方式を採用している。水産庁はサンマの資源量は80万トンと多いにもかかわらず値崩れ を心配する漁業者には配慮して上限を30万トンとおさえて無駄にしている。もっと捕獲し、養殖用の抗酸化剤のエトキシン含有の輸入のマグロの代わり食べる べきであると小松正之農学博士は指摘しているが、彼の意見は水産白書に採用されたのかな。

2008年9月8日、久しぶりに3句。このところ毎日パソコンの前に座って、2年越しの論文グローバル・ ヒーティングの黙示録」 の改定三昧。妻はぬれ落ち葉が見えないのでハピー。そこで一句。

定年後 託爺室に 閉じこもり     44

その妻は合唱だ、俳句だ、お茶だといつも不在。

妻元気 趣味で梯子と 今日も留守    45

毎月1回、Wakwak山歩 会の仲間と登山を継続しているが

山仲間 薬常食 がんばるぞ      46

おそまつ。

2008年9月15日、梅雪氏から送られた「脳トレ川柳(毎日新聞)」の

余生って もっとヒマかと 思ってた   

は実感に一致する。日々いそがしく働いていたころは

どうやって 働く時間 作ったのか    47

と不思議に思う。

2009年2月27日、プロバイダーのアサヒネットが新しいスパムメール・ブロック・サービスを開始したとたん毎日100通舞い込んでい たガセ・メールが一日に1通程度に激減した。これで安心と思いきや、なにかさびしく感ずる。そこで一首

ガゼメール ばったり途絶えて 寂寥感   48

2010年1月8日、引退すると郵送されてくるものは広告と大学の同窓会からの何とかの記念事業への賛助金の奉加帳だけになる。そこで一 首。

引退後 変らぬものは 奉加帳    49

2010年3月4日元北米トヨタ社長のジム・プレス氏が「トヨタ失速の根底には財 務重視の人間にトヨタが乗っ取られたことにある」と暗に経理・営業畑出身の奥田社長以降の流れを批判しているのを新聞で知り、かねてよりの駄文「千代田化工OB会」 に書いた流れに一致すると加筆しているときに浮かんだ一句。

変わらぬは  文系優位  滅び道    50

まあ、これが今の日本の平均的な実態をうまく総括してはいないだろうか?

2010年3月5日、学士会報No.881 2010-IIの草樹会詠草で一見意味不明で、なにのことかと考えてしまう句があった。

マドンナの その後の噂 鮟鱇鍋   新三几

2010年9月57日、今年の夏は100年に1度の猛暑だという。1ヶ月、490kWの電力料金11,261円を支払って空調24時間とめ ない自宅を一歩も出なかった。9月に入り、海抜1,700m故に空調機が装備されていない八ヶ岳高原ロッジにでかけて、その猛暑を知る。

クーラーや 避暑に来て知る 暑さかな   51

2011年3月15日、首相が東電が今撤退するなら東電はこの世から消えるであろうと警告したと知り、少しまともになったかなとおもいつつ 満州で勝手なことをした関東軍が移民をすてて真っ先に逃げ出したのを思い出し、東電の名が消えたら関電がふさわしい名前だと思って

真っ先に 退却するのは 関東軍        52

2011年3月30日、福島第一の4,5号炉から流れ出した海水の放射線強度は法定の1,000倍以上だと発表したのち、これは少しである と言葉を継いだのをみて

千倍でも 少しであると 保安院           53

2011年4月17日、花見の季節がいつのまに過ぎ、残された大きなつけをみて一句

原発や つけでのんだり 花見酒          54

2011年6月8日、 原発の事故確率は隕石 が落下する程度だという数値は1974年のラスムッセン報告書(WASH-1400)で使われたFT分析によって計算されたものだ。システムは多重化する と信頼性が増すという原理を利用している。この原理は単なる数学で問題ないのだが、どのような失敗の連鎖が生じるか仮定しないと計算出ない。結果としてこ の手法は都合の良い数字がでるようにイベントツリーを構築し、好都合な要素の故障確率をつかって隕石程度として安全神話を作ったにすぎない。しかし実際に はカオス理論が教えるように神ならぬ人間はどのようなことが生じるかは予想できないのだ。事故確率はその影響の大きさとべき乗分布にのるという ことしか分からぬ。しかるに福島後原発を安全にできるという発言がいまだに旧原子力村の住民からでてくる。ちなみに原子力村の住人かどうかのリトマス試験 紙として隕石という言葉をつかうかどうかで分かる。

隕石と 口にするのは 村出身   55

2011年6月12日朝日川柳に選ばれた「節電を 不買と申す わが家では」と見て一首。

節電は 原発抜きで 生きるため    56

2012年3月22日、佐高信は社畜という造語を作った。「アトムカルト」は政畜、官畜、学畜と社畜の談合だ。 無知蒙昧の民畜はなすすべを知らず。

 アトムカルト 政官学と 社畜談合     57

2015年2月9日、午後は素晴らしい天気になったのでカノープスが見えるはずと、2階の私の室の窓から大島の方向を肉眼で見るとシリウスの右下の大島の左手の空にかすかに赤い星がチカチカ見えた。午后9:00には大島より少し東の空に大島の三原山より少し高く、妖しく揺らいでいた。

寒空に  妖しく揺らぐ カノープス     68

October 11, 2007

Rev. February 9, 2015


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