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1182

行政機構の巧妙な仕組み

2008/01/29

1 下克上:国民は政治家を政治家は官僚を代理人(エージェント)としているが、代理人が依頼人を裏切る例は古今に満ち溢れている

2 傀儡大臣:多くの政治家は運よければ官僚の傀儡と化して利権追求を図る

3 インセンティブ:人はアメとムチで動く。憲法のさだめにより行政は自動的に租税というアメをうるが、虚構の無謬性神話に守られて役人へのムチは失われたままである

4 利益相反:行政府の多くが業界規制と業界育成という利益相反的機能を巧みに使い分けて業界との癒着と利権拡大を図ってきた

5 局所最適:組織の壁を越えての全体最適をめざさず、省益・局益の局所最適化をめざす

6 年功序列型終身雇用:年功序列型終身雇用の維持が目的化し、官製法人乱造と、天下りがやまない

7 ガバナンス:会計検査院という機能不全の監視機能しかなく、組織の暴走を防ぐ仕組みはない

8 非情と強欲:行政機構の目的が官僚の互助繁栄と化しているため、自らは強欲、民には酷薄となっている

この冷酷な行政機構の桎梏から国民を救済する政治家は救国の英雄たらん

朝日新聞2008/1/29「経済気象台」四知

捕鯨反対活動団体シーシェパードやグリーンピースがクローズアップしてくれた欺瞞性一杯の調査捕鯨も年功序列型終身雇用の維持が目的化し、官製法人乱造と、天下りがやまない例の一つであろう。

調査捕鯨は農水省の下部機構、日本鯨研究所が旧捕鯨大手3社が合併した共同船舶の船5-6隻と船員300名を借り上げて行っている。この共同船舶は大手水産会社が反捕鯨運動の対象になるのを嫌って手を引いたため、農水省の傘下にはいった国策会社で一応黒字 という。ところが日本鯨研究所の方は5,000トンに水揚げを増やしてから赤字だそうだ。在庫が5,969トンに達した2006年に値下げしても4,000トンに下がりはしたが 、下げ停まって推移しているようだ。赤字なのになぜ税金をつかって頑張るかつらつら考えるに価格はマーケットが決めるということに気がつかず、社会主義的計画経済思想に汚染された役人の思考回路が垣間見える。社保庁が需要もないのに全国に保養施設を作ったのと同じである。加うるに何も変えたくないという役人の惰性が実情なのだろうが、農水役人の天下り先を確保するためと勘ぐられてもしょうがないだろう。某官房長官が「環境テロだ!」などとテレビの前で見えを切ってみせるのは役人の傀儡のように見えて悲しい。

傀儡が 環境テロと 見えをきる

勝手に想像していては失礼と調べてみると日本鯨類研究所(所員50名)の常勤の理事長、専務理事、理事3名には最終官職が元水産庁次長、水産庁増殖推進部室長とプロパー各1名。非常勤に水産庁漁政部漁業保険課長、水産庁振興部振興課長 が各1名、大学教授2名、日本捕鯨協会長代理、共同船舶株式会社代表取締役社長、産経新聞客員論説委員、TBS編成局アナウンス部担当局次長 各1名の計10名が任命されていた。理事長報酬月額115万円、退職金は月額x在任年数x3.5である。

米国の議員たちが従軍慰安婦に続き、調査捕鯨を問題にしはじめたので米国の植民地たる日本の政治家もいよいよこの鯨問題に取り組まなければいけないであろう。燃料補給問題についで大切なことになるのかな?でも市民レベルから問題視する意見がでてこないのはまことに残念。我が国の市民意識は低いなーと思う。野党たる民社党も共産党も 見当ちがいのところを攻めてまったくだめ。

先日も民社党のあるオバサン議員が「農水省はもっとしっかり水源涵養林を洪水防止の観点から森林管理をしなければいけない。間伐をしっかりせよ!!」と発言している。これもおかしな話しで、間伐は杉林など戦後の拡大造林で植林した建築用材としての杉の植林地の管理のことで 水源涵養林には当てはまらない。杉林は保水性も悪く、水源涵養林にはあまり役立たずである。むしろ地すべりの原因になって大勢の人が犠牲になっているわけで、もし洪水防止したいなら杉を伐採して広葉樹林にしなければいけないわけである。そういうことも勉強せずに間伐について質問する人もどうかしているし、答弁するほうもなにも分からずに、「ハイ、しっかりやります」なんて答えているので 双方の勉強不足に失望してスイッチを切った。

グリーンピース・ジャパン事務局長の星川淳氏が朝日の「私の視点」に「国際社会の大きな批判・非難を浴びながら国庫補助による調査捕鯨を続けることが、本当に日本の国益にかなうかを、日本の納税者・有権者と日本政府のあいだてたたかわされなければならないのである」といっているのに賛同である。調査のためなら10頭くらい殺せばよいだろうに「RESERCH」という看板をかかげた立派な船でなぜ1,000頭殺さねばならないのか国際的に合理的な説明はできまい。立派な船の償却と船員の給与を支払うためであろうか。そしてなによりトップに座る3名の天下り役人の報酬と退職金を確保する目的のためと思われてもやむをえないのでは?だから「偽」という看板をかかげたゴムボートに付きまとわれるのであろう。

世論調査をすると鯨肉など食さなくなったのに国民の過半数は依然、捕鯨賛成であるという。それも若年層は反対、高齢者に賛成が多いとのこと。 大多数の日本人が鯨肉を食し始めたのは白米のご飯と同じく、明治維新以後、陸軍の兵にタンパク源を供給するためであったそうだ。それと敗戦後の食料難の一時期で、私の記憶ではその独特の鯨臭に辟易した思い出がある。 このように鯨を食するのは日本の古来の伝統ではなかったようである。植民地拡大に奔走する列強に対抗するための富国強兵政策の手段として始めたのであろう。先日もNHKの番組で観たが、土佐の漁民は鯨を捕獲せず、鯨と協力してカツオ猟をしているようだ。「鯨肉食は古来の日本文化で外国にとやかく言われる筋合いではない」と古い世代が反発するのは明治政府以降の洗脳の結果であるというのがどうも真相のよう。 洗脳された我々より古い世代が消え去れば鯨肉に執着した思いも消え去るのであろう。

日本鯨類研究所など存在意義を失った機構は廃止すればよいのではないかと思う。どこかの大学でひっそり研究するのが適切でしかも良い研究ができるだろう。そして余った税金は別に使えるというもの。日本人は野蛮などというイメージを振りまくこともなくなり、国民福祉になる。

公務員制度改革懇委員会の委員長堺屋氏は「官僚が政策の選択枝を示し、政治家が決定するのがあるべき姿。実体は官僚が内閣の意向と違う根回しをし、国会議員が勝手に官僚を使っている。これを大臣の集中管理にする。天下り防止としてはキャリア制度を代えて総合職とし、管理職は総合職、一般職、民間出身者から登用できるようにし、人事 庁で集中管理する。職務上知りえた秘守義務対象の情報を故意にながして世論誘導するなどルール違反が目にあまるのでこの防止に捜査や処罰ができようにした」という。これで上手く行くかどうか??

Rev. February 19, 2008


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