陶芸始めちゃいました

vol.4  笠間の旅

1泊2日メンバー3名/犬猫庵、ゆう文、コンさん。
目的1/笠間焼を見学、作陶体験。
目的2/阿字ケ浦のアンコウ鍋を食す。
おまけ1/浜田庄司展を見る。
おまけ2/笠間のくるみいなり寿司。

【出発前に】東京からわずか100キロ、笠間は日本三大稲荷神社のひとつとして有名だが、もうひとつ笠間は関東では最も歴史ある陶芸の町であり現在も300軒近い陶芸家や窯元が活躍する陶器の故郷なのだ。偶然だが笠間の茨城県陶芸美術館で(益子焼の)浜田庄司展が見られるのも幸運だ。

---------------- スケジュール -------------------

1日目 笠間

1 犬猫庵の車をうちの車庫に置き、愛車メルセデス号で笠間に行く。途中新宿駅南口でゆう文を拾い常磐道に乗る。1時間30分ほどで笠間に到着。曇天で外は寒いです。

 まずはJR水戸線の笠間駅に行き、笠間観光マップと観光周遊バスルートマップを入手する。地図によると国道R355とR50のあいだの広汎なエリアに陶芸ゆかりの施設が集中していて、歩きでもいいが、ここは車や周遊バスを利用した方よさそうだ。


笠間稲荷で旅の安寧を祈願


笠間稲荷

大鳥居

2 まずは笠間稲荷。神社の周辺に有料駐車場があこちにあるので、神社に近いよさげな所を探していたら、なんのことはない神社の敷地内に無料駐車場があるではないか。小雨がぱらついてきたが参拝を済ませ仲店を冷やかし大鳥居まで出ると門前通りには例によってお土産屋さんが軒を連ねる。まあ、残念ですがお店屋さんはすべてパスです。



いなり寿司

 ただし、たった一軒…。お稲荷さんといえばキツネ、という因縁で笠間には「いなり寿司」を扱った店がたくさんあるが、素通り出来ないのは、やはり鳥居斜め前のくるみいなり寿司の「二ッ木」でしょう。お勧めは名物の「胡桃いなり」。甘い味付けの飴色の油揚げ、酢めしのなかに胡桃と白ごまが入りなんとも甘く香ばしいのですわ。1コ100円。もう絶品!

二ッ木くるみ稲荷寿司

片山2

3 国道R355をいくと陶芸店がたくさん並ぶが、毎度ながら(笠間は初めてだが)ご当地の共販センターを覗く。笠間らしい日用品が大量に展示販売されている。この時期(1月末から3月3日まで)はひな祭りの季節で、笠間では「かさまの陶雛」と銘打って、行く先々でかわいい笠間焼のオリジナルおひな様が見られて楽しい。

 笠間のシンボル的な世界最大の花瓶を見て笠間芸術の森公園へ。ここは広大な敷地に茨城県陶芸美術館や、笠間陶芸の丘など陶磁器にまつわる施設がある。茨城県陶芸美術館では、板谷波山、「練上げ」の天才松井康成の大作が常設されている。今日はプラス(益子焼の)浜田庄司展を見る。う〜む、絵描き志望だったんですね。学生時代より挿絵を雑誌に投稿していたんですね。いい意味で彼を見る目が変りました。


大鳥居

4 【歴史】笠間焼は、古く江戸時代安永中(1772年)に当時信楽の陶工長右衛門より伝わった。この地に良い粘土があるとわかり長右衛門の指導で半右衛門が窯煙をあげた。半右衛門の跡を継いだ久野瀬兵衛益信ははるか信楽の地を訪ね陶工吉三郎を招請しさらに窯業を発展させ日用雑器を焼いた。これが(笠間焼の前進)箱田焼。明治2年、田中友三郎が甕(かめ)や摺り鉢などの日用雑器生産に当たり、東京中心に積極的に販路を広げた結果、笠間焼が広く関東一円でも知られるようになった。

現在は工芸陶器の産地として生れ変り、笠間市内に200軒、近隣を入れると300軒ほどの窯元や陶芸家が活躍している。  「陶製ふくだ」は笠間の重鎮で、世界盛大の花瓶を焼く窯や、登り窯も備える。歴史も古く、敷地内に笠間焼歴史館もあわせ持ちその収容物700余点。江戸時代からの陶器を収めていて迫力がある。

春風万里荘

5 午後3時ころ、「春風万里荘」を訪れる。北鎌倉の星岡窯から移築した北大路魯山人の旧宅で、茅葺きの巨大な母屋のほか、魯山人がその粋で集めたデザインを施した室内は趣がある。自ら焼いた陶磁器のあさがお便器が珍しいし、凝ったタイルばりの広い風呂があるがこの織部の陶板も魯山人の自作だ。母屋の前には山水風雅な日本庭園も広がり散歩にちょうどいいのでしょうが、ブルブルッ、今日は寒すぎる!

春風万里荘門春風万里荘母屋

阿字ケ浦のアンコウ鍋

浜田館

6 アンコウ鍋で温まりたい。暗くなる前に旅館に着きたいので高速に乗る。黄昏時に「浜田館」に到着。浜田館は寒風吹きすさぶ太平洋に面した旅館で、冬場11〜2月は「アンコウ料理」で有名なのだ。別室で仲井さんよりアンコウ鍋を前にして魚の部位の説明と食べ方のレクチャーがある。「これが皮、こちらが歯ぐき、これがアン肝です。まず野菜から…」一応耳を傾けるが、みんな空腹で早く食いたいのである。

あんこうアンコウ鍋

 おろし生姜を加えるとあんこう独特の臭みが消える。残った濃厚なコラーゲン汁にご飯を加え雑炊を作るが、これがまた旨く体がポカポカ温まります。DHAが豊富なので記憶力の衰える年代にはうってつけかも。「浜田館」は1泊2食付き10,500円(平日税込)、と平日は安いのだが、風呂が狭いのがマイナス点でたまたま学生の運動部合宿などに遭遇するともう万事休すなんです。


2日目 笠間焼手びねり体験

7 今日は快晴、小春日和でうって変わって暖かい。再び笠間に戻り、午前中は例の巨大花瓶の「製陶ふくだ」で陶芸体験をします。午後は笠間日動美術館を見学した後、市井の窯元や昨日見かけた骨董屋を何軒か見て帰る予定です。  「製陶ふくだ」は昨日行った春風万里荘のすぐ近く。屋内でも出来るが、今日は屋外のひさしの下で笠間土の手びねりです。この土はちょっとねっとり。手になじみ成形しやすいが、屋外のせいかすぐに乾いてきて固くなる。指でならしてもなかなか平にならないぞ。

軒下で作陶

 笠間粘土は、風化によってできた鉄分を多く含む蛙目(がいろめ)粘土と呼ばれる陶土によって作られる。別の窯元で聞いた話だが、純笠間産の土は掘り尽くされてもうあまりないので新しい地層を探しているという。

片山大久保 コン粘土の作品

8 犬猫庵は板作りで花瓶と皿、ゆう文は花瓶と徳利、コンさんは井戸茶碗をひとつ作った。井戸茶碗はロクロでひいても手びねりでもいい形にするのが難しい。コンさんの作品はいい形に仕上がったが「落として割れまして」とのわび状つきで別のどんぶり鉢を一つ送ってきた(怒怒!)。「製陶ふくだ」」の陶芸体験は、所要時間は1〜3時間までOK。粘土800gで1,000円(焼成代含む/返送宅急便別)。焼き上がりまでは1ヵ月ほど。

笠間で出来上がった作品はこちら。笠間焼作品2



福田ふくだの登り窯

9 午後は笠間日動美術館に行ったがこれはよかった。フランス印象派からアンディーウォーホル、画家のパレットコレクションや野外彫刻までかなりよい作品が蒐集されていて楽しめた。帰り際に再び「二ッ木」に寄り「くるみいなり寿司」をお土産に10コ買った。クセになります。

ウォーホル古い笠間のかめ

 道すがらの骨董屋で白化粧した地に緑釉と飴通を流しがけした昔ながらの笠間焼の甕(かめ)を見つけ、二つあるうちの大きい方を購入した。値切って負てもらったが、気に入っています。庭に野ざらししてますが、雨の日などいい景色出してます。笠間で見た一番いい焼き物はこのカメかも。



■東日本大震災によりお亡くなりになられました方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。被災された皆様には、心よりお見舞い申し上 げますともに、被災地の一日も早い復興をお祈り申し上げます。


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