陶芸始めちゃいました

vol.10  信楽の旅

2泊3日。メンバー4名/犬猫庵、ゆう文、コンさん、マコト。
目的1/信楽で古信楽を見学、信楽焼作陶体験。
おまけ1/滋賀近江牛を食す。

【出発前に】 信楽といえばタヌキの置物だが、wikipedia によると、信楽焼の狸は明治時代に陶芸家の藤原銕造氏が作ったものが最初と言われている。1951(昭和26)年、昭和天皇が信楽町を行幸したとき、日の丸の小旗を持った沿道のたくさんの信楽狸に歓迎され全国に知れ渡った。今では狸の置物は、信楽焼の代名詞のような存在となり、信楽高原鐵道の車体にもタヌキのキャラクターが描かれている。だが、信楽の陶芸関係者のなかには「信楽は狸だけじゃない!」とアピールする人も。さて、タヌキ以上の逸品にお目にかかれるか。

駅入り口電車

---------------- 信楽焼の旅 スケジュール -------------------

  〜3日目

1 旅程の3日目、朝食を済ませてひと休みした9時、電話で呼んだ伊賀三交タクシーでいざ、信楽へ出発。 ひと山を越えるのに40分、なんと6,000円もかかりました。 山を隔ててお隣どうしとはいえ、事ほど左様に伊賀と信楽を隔てる山脈は(むかしから)過酷だったのです。

信楽駅前

  タクシーは出発点となる信楽高原鐵道・信楽駅に到着。 さすが信楽、巨大な狸がタスキ掛けで出迎えてくれました。 が、「たぬき休むでぇ」ってなに? 聞いてみると11月8日は働きづめの狸たちの休養日なのだそう。巨大狸といえば、以前に訪れた 「 益子焼共販センター 」 とどちらが大きいかといえば、う〜ん益子の勝ち、でしょうか。 ともあれ、さっそく駅の案内コーナーで「マップ Let's 信楽!」をゲット。 10時、町全体が陶芸そのものと言われる信楽の町探索のスタートです。


駅前の巨大タヌキ

2 信楽の町は、駅の正面の道を真直ぐ進み、信楽川(写真左下)を渡り、国道307を越え、さらに直進すると(駅から10分ほど)で新宮神社。 ここが起点となり窯元散策コースが3つに分かれる。距離はたいしてないので半日あれば全部をゆっくり見学できる。 信楽川沿いも陶芸店があり散策コースとなっている。 これらを駅正面左側とすると、右側に陶芸の森や紫香楽宮があるが、少し遠いので今回は予定に入れず。
川新宮神社

 ここが散策道のスタート地点

出発〜

 さてさて、本日は甲賀信楽伝統産業会館などで古信楽の名品を味わい、いにしえより陶器のふるさととして名を馳せる、大小あまたの窯元を心行くまで味わうことです。 作陶体験は耳目をたっぷり肥やしたのち、明日の午前中を予定しております。 では、レッツらゴー!


甲賀市信楽伝統産業会館


信楽伝統産業会館ゆう文マコト

3 始めに駅から5分、甲賀市信楽伝統産業会館で信楽焼の全体像を教わり、スライドとビデオでその歴史と技法のレクチャーを受ける。 時代のある古陶は味わい深く見ていて飽きない。 煎餅壺は歴史を語り、青すだれは庶民の生活を映し出している。 毎度のディザイアーでわが家にもぜひひとつ欲しいところです。 鑑定団ならウン百万はしそうなシロモノばかりで叶わぬ夢である。

館の陳列大1 館の陳列大2
コンさん犬 

 さて、見ていて飽きないと言いながら早くも古信楽見過ぎで、小山混さんはもうお腹がいっぱい。 館を出ると道の両側には陶芸店が何軒もあります。 道一杯、軒下いっぱいに品物を並べています。 ワン公が店番する店も。ふつうの民家の庭先にも大きな壺やかめがさりげなく置いてあります。

民家たぬきのお店  お店の陳列大

谷寛窯

谷寛窯外観谷寛窯12

4 低い山間の道をぶらぶら行くと、信楽「谷寛窯」に突き当たりました。谷寛窯は、明治の師範学校を移築した建物の中に工房とギャラリーがある。遠くからでも目立つのが重油窯の煙突。現在は使われていないが、建物の中の二階から窯や室内全体が俯瞰できる。一周すると穴窯、ガス窯など、合計8つの煙突が発見できるそうだ。
谷寛窯谷寛窯  おっとここでゴジラを発見! 陶器でできた信楽焼の風合いたっぷりのゴジラが展示してある。谷寛窯に併設された、ギャラリー「陶ほうざん」は明治時代の木造建築のゆったりくつろいだ中で信楽焼を満喫できる。ショップを見学した後、2階の片隅の茶店でコーヒーをいただく(100円)。

谷寛窯谷寛窯

5 器店、「蓮月」に立ち寄る。軒先にならんだ大きな水瓶や壺、波打った屋根瓦、江戸時代の古い民家を利用した店舗。日々の暮らしを楽しむためのうつわが並びます。ここのオーナーは女性。蓮月という店の名前も、幕末京都の女流歌人「大田垣蓮月」さんにちなんだという。別館の蓮月ギャラリーでは、地元作家を中心とした企画展を行い、敷地内に蓮月窯がある。


蓮月

6 【歴史】 信楽焼は日本六古窯のひとつ。信楽の陶土は、約200万年前ごろ古代琵琶湖に堆積した山土が淡水の中で生成された世界でも稀有で良質な粘土だそう。地名の由来は奈良時代、木材の産地であったので「茂る木」から「しがらき」になった説と、焼物を教えてくれた朝鮮人の言葉で山に囲まれた土地という意味の「シダラ」が語源という説がある。 焼物の発祥は、天平14(742)年、聖武天皇の紫香楽宮造営にあたりで瓦を焼いたのが始まりといわれるから1200年の歴史だ。 鎌倉時代中期から、穴窯によって本格的陶器が焼かれるようになり、室町・桃山時代には、茶道の発展とともに茶器の生産も活発になった。 江戸時代には、登り窯が登場し大物陶器が焼かれ、水壺、ミソ壺など庶民の日用品が作られ、 明治になると、酒器、神仏具などの小物も焼かれた。 火鉢の生産は昭和30年頃まで主力製品として全国に供給されたという。



7  道すがらの田んぼの横に大きな狸が三匹ならんでいる。めざす宗陶苑はすぐ近い。そういえば谷寛窯も入り口付近に大きな狸がおりました。ゆう文とマコトに狸と並んでくれ! とお願い。ゆう文は「こんなことやらせるのか? おいおい勘弁してくれよ〜!」てな顔をしてる。

マコトゆう文


しがらき焼・宗陶苑

 そして大勢の狸軍団のお迎えで 「宗陶苑」 に到着です。 本日はこちらで現在使用中の巨大登り窯や古陶資料館、ギャラリー売店などを拝見し、明日あらためて信楽焼の作陶体験で再訪します。

  宗陶園全体大

8 宗陶苑の登り窯は江戸時代に築窯され、現在も年間5回焼成されるホンモノの窯だ。現役の登り窯では最大級の11室を備えている。中を見ると次回に火を入れる作品が並べられている。窯の中段の横の部屋では陶芸の職人?さんが作陶作業中だった。

宗陶園の登り窯 登り窯登り窯の内部

 窯を見学し中庭に出ると「どちらからですか?」と作務衣姿の方から声がかかる。「東京から勉強に来ました」と言うと別棟の屋敷に案内してくれた。その表札は上田宗壽さん、宗陶苑の当主です。座敷では陶芸のあれこれ、陶芸家八木一夫さん、日本画家下村良之介さんらが作陶に訪れた話などを聞かせて頂きました。

茶室玄関上田宗壽さん

9 そうこうするうちに秋の日のつるべ落とし、そろそろお腹がすいてきました。 めざす今夜の宿は「ペンション紫香楽」。信楽川沿いの陶芸店を覗きながらぶらぶら散策して帰るとほんの15分ほどで着いた。ペンションだが(コテージA)宿泊¥6,300プラス夕食3,234円、朝食809円=合計10,350円とペンションにしては高め。夕食は近江牛と地産食材を信楽焼食器で美味しくいただきました。値段の割に風呂が家庭用で小さいのが最大の残念でした。皆さんややお疲れの様子で早めに消灯となりました。

夕暮れの町マコト


  4日目

10 明け方からガサゴソ五月蝿いので目が覚めると犬猫庵が新聞紙やポリ袋にお土産などをまとめている。まだ6時前だよ!。早起きシニアはお静かに願いたい。あと2時間余、もっと寝かせてくれ〜。

ペンション紫香楽信楽橋

 本日も秋晴れ。 信楽の空はぬけるように青い。 ペンション紫香楽(写真左)をあとに宗陶苑へ。 信楽作陶体験は10時30分から2時間の予定。 道すがら、前日何軒か見かけたが店内には入らなかった陶芸材料店が気になり、のぞいてみる。「ごめんくださ〜い」

粘土が一杯粘土1

 伝統産業会館前の丸二陶料さんに入るとど〜んと積んである粘土の山。じっくり価格をチェックしたいところだが、土の価値や特徴がいまいち分かってないので、分析は今後にまかせるとして、資料写真のみアップしておきます。 釉薬や焼き上がり見本、へらや弓、カンナなどの小道具、ロクロや電気窯などをチェック。

粘土粘土
粘土粘土
粘土粘土
粘土粘土

 チェック終了。


ふたたび宗陶苑


11 二日目の宗陶苑では、昨日見てない狸の成形工場? 乾燥小屋を見学。 焼成前の灰色の土狸が西安の兵馬俑のようにずら〜と並んでいて不気味〜。 陶芸教室は小高い山際の建物の2階にあり、室内は広い。 窓からは宗陶苑の広い中庭や大物置き場が一望。

入り口大物作品
粘土のタヌキ粘土のタヌキ2

しがらき作陶体験


 さて本日の先生は、宗陶苑の吉田勝さん。 コンさんは細ヒモづくりで「壺」を作るが、手回しろくろで肩まで立ち上げたが壺口が歪んでうまく閉じられない。信楽の並土はしっとりしているが扱いにくかった。自分の未熟さ加減は、先生が手を添えるととすぐバランスが直ってしまうのでよくわかる。もっと上手くなりたいものだ。
コンさんゆう文
犬猫マコト作陶
全員小1吉田勝さん

 ゆう文は「湯呑み」と「巾着」、マコトは大きめの「茶碗」を作った。犬猫庵は一人だけ値段の高い「長石粒入りの荒めの信楽土」を選んで「抹茶碗」を作った。う〜む、何やら期するところがあるようです。

 みなさん、タイムリミットが近づいていますゾ!

宗陶園全員作陶大

 焼き方は「登り窯コース=土800g焼成代含み¥2,100を選択。 今回はすべて無釉焼締めで焼成してもらいました。 送られてきた信楽作品はこちら。信楽焼4作品


信楽の町は小さいが……

宗陶園全員記念撮影

 さて作陶体験が終わり、宗陶苑の中庭でたぬきと記念撮影してお別れ。 信楽駅で切符を買ったあと、駅近くの「魚松 たぬき茶屋」で昼メシ。 民謡をスピーカーでガンガン流し外にいても焼き肉と松茸の香りがぷんぷん漂ってくる元気一杯の食堂だった。

たぬき茶屋松茸

 帰りのルートは、信楽14:24発(信楽高原鉄道) → 貴生川14:47着、15:00発(近江鉄道本線) → 米原16:36着。16:54発・新幹線ひかり424号(¥11,630) → 東京19:10着で解散。

信楽駅ホーム

 信楽駅のホームにはたぬきが並んで見送ってくれた。今回は3泊4日(うち車中1泊)で2つの陶芸の里を満喫した。それぞれ日帰りで見きれるコースを正味3日かけているので、古窯の地と本物の古伊賀と古信楽を時間をかけてじっくり見ることができました。
 今旅のコンさんの感想…。 「信楽の町は小さいが、たぬきは大きい!」



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