陶芸始めちゃいました

vol.11  金沢・九谷焼の旅

2泊3日。メンバー5名/犬猫庵、ゆう文、コンさん、マコト、マチコさん。
目的1/金沢の城下町、寺井町九谷陶芸村を見学。
目的2/吉田屋窯で絵付け体験。
おまけ1/古都の和菓子を味わう。

【出発前に】  いよいよ九谷の青手に挑戦します。 九谷は赤絵もいいが、何といってもこってり盛られた緑や黄色のガラス質の青手でしょう。 今回、古九谷の再興に人生をかけた吉田屋伝右衛門の窯跡で、昔ながらの和絵の具で絵付けが出来ることになりました。 みなさん下絵の準備も怠りなく、絵付けには(ふつうなら30〜40分あればのところ)なんとたっぷり2時間を予定しました。

---------------- 九谷の旅 スケジュール -------------------

 1日目 金沢

1 8月某日。JR東京駅7:00発。Maxとき303号(¥13,530)→ 8:11越後湯沢着 → 8:20発・はくたか2号 → 金沢駅10:53着。


金沢駅

 金沢駅前の巨大なモニュメントゲートをくぐって町へ出る。 最初の目的地は近江市場。 駅からは快晴の炎天下を歩いて(汗だく!)約20分、近江町市場は新鮮な魚介類から加賀野菜まで、約180もの店が所狭しと軒を並べる通称「金沢の台所」。 活気が溢れる市場は美味しいものを求める地元の人や観光客で大にぎわい。 コンさんはコロッケをつまみ、ゆう文は生ジュースでのどを潤す。

近江市場近江市場2


ひがし茶屋街

2 市バスで国の重要伝統的建造物群保存地区の茶屋街へ。 金沢には三大茶屋街(ひがし、にし、主計町)があり、今回はひがし茶屋街へ。 こちらは文政3年(1820年)、加賀藩12代藩主前田斉広の公許を得、「にし茶屋街」と共に誕生。 現在でも料亭や芸妓置屋が立ち並び、藩政期の独特の面影が味わえます。 古い町並みの中に和菓子屋や、小さいレストランやカフェもあります。

ひがし茶屋街

3 江戸時代のまま残るお茶屋「志摩」に入る(入館料400円)。 二階に上がる。 遊芸を主体としたお茶屋特有のつくりで天井が低い。 奥には茶席「寒村庵」があり、ここで坪庭を眺めながらお茶を一服いただきました。 このお抹茶に付いてくる上生菓子はお茶席にしか出さない菓子司「吉はし」の生菓子で、金沢でも定評があるそうです。 (生菓子付き700円、お干菓子付き500円)金平糖がついていました。


志摩1志摩2 志摩3志摩4

4  昼は洋風食堂「自由軒」で昔風チキンライスを食す。 ひがし茶屋街の入り口にあり、創業は1909年というから100年以上の老舗だ。 外壁は石煉瓦造りで、店先にはメニュー見本がディスプレイされている。 ハヤシライスやクリームコロッケなど「これぞ洋食!」という料理が並んでいて、ゆう文はオムライスを頼んだが、どれにもうれしい「みそ汁」がついきます。


自由軒1自由軒2

  茶屋街を出て浅野川の梅の橋を渡る。 この橋は泉鏡花の『義血侠血』の舞台になった昔ながらの一見木造風の味わいのある橋。 次に向った先は「大樋美術館」。 裏千家に同道した初代長左衛門から現代まで、加賀金沢の茶道文化にふれる美術館。 楽家から贈られた飴釉、そして歴代の名品を中心に大樋焼340年の作品を展示している(入館料700円)。
 ちょっと歩きすぎて疲れたので、タクシーでホテルに帰り早めにチェックイン。

町並み梅の橋
大樋1大樋2

  1時間ほど休息してからムックと出発。 近くの県立美術館で九谷焼のあれこれを見学。 道すがら兼六園に木陰と涼を求めて散策。 長町武家屋敷の町並みをそぞろ歩き(本物もあるがおよそ安い造りで失望!)、甘味処・菓遊庵で休憩、最中とお茶を頂く。 夕方の香林坊は夏の夜祭りでどっと繰り出した人出と行列。

小山混と兼六園兼六園2
町並み町並み

夜は夕食後、再び街に出て犬猫庵一押しの「倫敦屋酒場」でくつろぐ。 重厚な店内はミニチュアボトルで壁面がぎっしり。わいわいがやがやと話し声や笑い声が絶えない小粋な町の酒場。 こだわりはシングルモルトなんでしょうが、能登緋鳥もも肉のローストはうまかった。 年金のウエルシティ金沢泊(1泊2食¥9,800)

倫敦屋小山混と倫敦屋


 2日目 九谷へ

九谷陶芸村


 本日はうす曇り。 金沢駅9:31発〜寺井町9:52着。バス約30分で「泉台」下車。 町というより農村の丘を10分ほど登ると九谷陶芸村。 おいおい、日曜日なのに人の気配もなく閑散としています。

寺井町九谷陶芸村

 「陶芸村美術館」では古九谷から青手、赤手、金襴手など、九谷焼の代表的な作品と、現代九谷の新しい作品を同時に鑑賞することができる。 古九谷の絵付けの展示があり、ここで絵付けの段取りが理解できる。 ロビーにある竹腰潤氏の作品がよかった。

美術館竹腰潤
美術館美術館
美術館美術館
美術館美術館


 【歴史】  九谷焼の歴史は、江戸の初期の1655(明暦元)年、加賀の支藩だった大聖寺藩の初代藩主・前田利治が、 九谷の山中町の金山から磁鉱が発見されたのに着目し、錬金役の後藤才次郎に肥前有田で製陶を学ばせ、九谷に窯を築いたのが始まり。

 ところが、九谷の窯は1730(享保15)年ごろに突然、閉窯。 この間に焼かれたものが後世、「古九谷」と呼ばれ、日本の色絵磁器の代表として独特の力強い様式美が高く評価されている。
 古九谷の廃窯から約80年後、加賀藩営で金沢に春日山窯が開かれ、再興九谷の時代に入ります。 春日山窯の木米(もくべい)風、古九谷の再興を目指した『吉田屋窯』、赤絵細描画の宮本窯、金襴手の永楽窯など数多くの窯が出現し、それぞれに素晴らしい画風を作り出してきました。

美術館美術館
美術館美術館

 明治時代に入ってからは、九谷庄三(くたに・しょうざ)の彩色金襴手が有名となり、大量の九谷焼が海外へ輸出されました。 今日の九谷焼は、各時代の窯の上絵付けの作風を源流に、地道な生産が続けられているという。

 隣接する九谷焼団地は九谷焼の製造・卸業16社のショールームが軒を並べた、九谷業界唯一のショッピングモール。
 だが、寺井町駅も九谷陶芸村も九谷焼のメッカという雰囲気まったくなく、現実は、残念だが「九谷焼廃れたり」と感じる寂れようだった。
 寺井15:34発→加賀温泉駅15:53着。予約のときにお願いした送迎バスが加賀温泉駅前で待っており、今夜の宿、山代温泉の「かんぽの宿・山代(1泊2食¥12,500)」へ16:20着。 雲行きが怪しくなってきた。


山代温泉

10 山代温泉は開湯約1300年の歴史を誇る名湯で、ここは大浴場と露天風呂が楽しめる天然温泉の石風呂が気持ちいい。

山代温泉 夕飯カラオケ

 夕食は、秋の味覚宝楽蒸し焼き、牛すき焼き、松茸茶碗蒸しなど旬の食材の豪華盛り。 山海の幸堪能の後はルーム貸し切りでカラオケですっちゃ。 ゆう文はムード歌謡、コンさんはビートルズ、マチコさんはリンダで「♪狙い撃ち」、まぁ〜元気でなことです。


 3日目 吉田屋窯へ

山代温泉と魯山人

11 午前中は山代温泉を散策する。 小さい町なのでゆっくり見て回っても小一時間。 小雨が降っていたがどうやら上がりそうだ。 まずは「魯山人寓居跡・いろは草庵」。 北大路魯山人が大正4年の半年ほど生活したこの家は吉野家旅館の元別荘で、明治初期に建てられた木造瓦葺の2階建て。 山代の旦那衆には、茶人や、書画・骨董などに造詣が深い風雅な人たちが多く、この別荘は文化サロン的な場所だったそう。

魯山人寓居跡 魯山人寓居跡魯山人

 座布団にあぐらをかき、お茶を頂く。 中庭を眺めると左手が茶室。 魯山人が刻字看板を彫った仕事部屋、書や絵を描いた書斎、囲炉裏の間、茶室・展示室(土蔵)などを見学した。 (入館料大人500円)

魯山人居間 魯山人寓居跡魯山人

総湯でひとっ風呂


12 雲間に青空が見えてきた。 次は山代温泉の名物、外湯の「総湯」。旧総湯は現在修理中。 新しい総湯は明治時代の総湯を復元し、「旧吉野屋旅館」の門を活用、外観や内装だけでなく、入浴しながら温泉の歴史や文化が楽しめるいわば「体験型温泉博物館」。

魯山人寓居跡魯山人

 さっそくひと風呂浴びる。泉質は弱アルカリ性、ナトリウム・カルシウムー硫酸塩・塩化物温泉。大人420円。 開放感のある浴室からは、中庭や薬王院の緑が楽しめる。 いい湯でひと汗かいた後は冷えた牛乳でのどを潤す。 (先代の円楽師匠で)ぷはっ、バカウマ!


13 すぐ近くに「須田菁華窯」。 初代は三十代の北大路魯山人に九谷焼を手ほどきした。 現在は四代目。ガラス戸をガラガラと開けると店内は土間と座敷。 たくさんの九谷焼が並んでいるが、奥様いわく「すべて自分のところの窯で焼いたものです」。

 
須田菁華須田菁華

 北大路魯山人は1年ほど山代温泉で過ごした。 好んで逗留した「白銀屋」や「あらや」「山下屋」「吉野屋」などには篆刻や書、陶芸作品が保存展示してある。 「白銀屋」は玄関を入ると広々とした重厚な和風空間。魯山人の好みがよ〜くわかる。

白銀


14 さて、昼は温泉通りにある蕎麦屋「加賀上杉」にイン。 旧商家を改造した店内は落ち着いた和風の造り。 売りは十割蕎麦で1日60食限定。 蕎麦の実の中心の一番粉だけを使った蕎麦は、雪のように真っ白でコシが強い。

小山混と加賀上杉

 冷や酒で乾杯し、コンさんはざる1,000円、犬猫庵はおろしそば1,100円、ゆう文は天ざる1,600円。 まあ、好きずきは別にして確かに旨い。 蕎麦を注文すると、ナラ、シタン、栗などの天然木の箸がもらえる。

蕎麦蕎麦2
蕎麦3蕎麦片山


九谷窯跡資料館

15 ひと休みの後、再興九谷で数多くの名品を生み出した「吉田屋の窯跡」を見学。 ここでマコト氏饒舌になる。 そして今旅のメーンイベント、  「九谷窯跡資料館」  にて、待望の「青手」絵付け体験(2時間半)だ。 本格的な九谷焼の「上絵の具(和絵の具)」を使って、オリジナル作品を作る。

吉田屋の窯跡
窯跡窯跡2

 当窯の絵付けは、初心者向け「初級コース」と、本格的な九谷焼「上絵付け」の基礎になる「中級コース」の2コースがあり、われわれは中級コース(7寸皿¥3000円)にトライします。


青手の絵付け体験

九谷窯跡資料館

16 ご指導頂くは当館の 嶋田正則先生。 各自かねて用意してきた下絵を7寸の白磁皿に写すことから始めます。 まずは皿を手ロクロに乗せ、お湯で薄くといた「にかわ」を刷毛塗り。乾いたあとに絵の輪郭を描きします(骨描き)。 このとき皿の面に手や指が触れるとにかわが手について(皿からとれて)しまいます。 すると線がにじんでしまうので、再度その部分ににかわを塗ります。自分もご多分に漏れず指先が触れるチョンボ。 先生が刷毛で塗り直してくれました。


先生先生
マコト

17 ①下絵の写し方は、元絵の裏側に鉛筆6Bでなぞり、鉛筆の粒子をたっぷり付けます。 ②皿にあてがい、上から再びラインをなぞれば、皿に原画が転写できる定番の転写法。 ③皿に触らないように和絵の具で骨描きして絵の輪郭を描いていきます。

 
片山清明小林 誠
小山混庄司眞智子

④緑、黄色。紫の基本3色で色を入れたいん部分に絵の具(釉)を「置いて」いきます。骨描きの輪郭絵の具に重なるように置きます。(重ならないと焼いたとき色が飛んで出ない)。 ⑤皿の上はまんべんなく釉で埋め尽くします。

ゆう文ゆう文

18 ⑥特殊な塗り方!!  絵の具は混ぜないで置きます。 皿の周りの波模様は背景を九谷の緑色にしたいのですが、刷毛でサ〜っと塗ることはできません。 線と線の間に緑色を置いていきます。 しかも骨描きの線に重なるように。 筆先で少しでもこすると絵の具が滲んでしまいます。 カニの周りの点々も同じ。 ひと筆ずつ黄色い釉を置いていきます。
   自分は「吉田屋」にこだわり、赤は使わず、黄、緑、紫、(紺青)で仕上げました。

小山混小山混

 まあ何と時間のかかることでしょうか!!  2時間半があっという間。 早く塗らないと帰りの飛行機に間に合わない?! ドライヤーでボーボー乾かしながら絵の具を置いていき、やっとのことで全面を埋め尽くすことができました! (汗)

 2カ月後に届いた
  → 作品はこちら。九谷焼5作品

   おお〜っ! かなりイケてる本格仕上げに一同、ビックリ&にんまり…。
   もう一度山代温泉に行こう、だれかが言いました。
   自分も次ぎなる作品のイメージがぼんやり浮かび、
   「九谷窯跡資料館」には是非また行きたい、
   …とそんな思いが……。

 


19 帰りの飛行機に間に合わないかも! 
 大急ぎで荷物をまとめ、すでに九谷焼のショッピングする時間もなく、15時00、呼んでもらったタクシーに飛び乗った。
 山越え、畑越え、山越え、畑越え、目指すは小松空港。 
 車の中で一息ついたら睡魔におそわれウトウト…、皆さんぐっすりです!! 
 16時00、 一時間ほどで小松空港着。 チケット発券に行くと一本早めの便に並びで空席あり、ということで便を変更 → 間もなくデパーチャーの17時15発のANA758便に搭乗 → 羽田18:25着。
 総じてのんびり旅でしたが、私の遅筆のせいで最後の最後であたふた急がせてしまいました。
 皆さんお疲れさまでした、 これにて解散。







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