陶芸始めちゃいました

vol.1  会津本郷の旅

1泊2日。メンバー3名/犬猫庵、ゆう文、コンさん
目的1/会津本郷で本郷焼を見学、作陶体験。
目的2/秘湯・宮下温泉と奥只見川の紅葉を愛でる。
おまけ/谷川岳ロープウェーと天神平

【出発前に】「今年の夏が猛暑だっただけに、美しい紅葉が期待できそう。 会津本郷での磁器手びねり、絵付けもさることながら、 会津宮下温泉と馬刺し、奥只見川の紅葉も大いに楽しみたい。

---------------- スケジュール -------------------

1 新宿南口0730発ハイウェイバスで一路会津若松へ。午後1205福島県は会津若松駅前着。快晴。

会津駅前

 駅の観光案内所で地図と観光ガイドをゲットして情報収集。駅横の食堂で昼食をとり、JR只見線1308発で会津本郷へ1322着。

ふるさと列車

2 会津本郷駅は無人駅で、この列車から降りたのは我々と2、3人。小奇麗なミニチュアサイズの駅舎だが、バスやタクシーなどの出入りする「駅前」はない。1軒の商店どころか、日曜の白昼だというのに人の気配もまったくなく閑散としている。見回しても看板や観光案内の立て札ひとつない。コカコーラの自販機すらないのだ。まわりは田畑が広がり、どこへ続くのか細い道が一本だけ駅舎からまっすぐ遠くへ延びている。 本郷は盆地なので、ぐるりに山並みが見える。 ただ空は大きく広く、晩秋の昼下がり、西の空は薄い雲がかかり少しオレンジがかっていた。まずはこの道を行くしかない。


会津本郷駅

3 一本道をしばらく行くとポツンとある雑貨店。自販機で飲み物を購入し、店のおじいさんに焼き物の里はどちらかと聞くと「さあてどこだろうなぁ」方角どころか、そういう所は知らないという。どういうこと?!地図を見ながらしばらく歩いたが道に迷い、広い県道130号に出たので結局タクシーを呼んで本郷焼きの里に運んでもらうが、あっという間だった。駅からなら車で10分ほどか。

4 【歴史】会津本郷焼は蒲生氏が会津若松城の大改修に当たって城郭の屋根瓦をつくるために播磨国(兵庫)から黒瓦工を招いたのが始まりとされ、江戸時代になって保科正之が尾張国瀬戸生まれの陶工を召し抱えて、本格的な陶器の製造が始まった。

1800年には磁器の製法も開発された。Webで調べると、本郷町は最近の町村合併により「美里町」に変わった。現在さほど広くないエリアに14の窯元があり、手びねりや絵付けの陶芸体験できる窯も8軒ほどある。メインストリートの瀬戸通りの両側に焼き物の町が広がっている。陶祖廟、清郷美術館、会津本郷焼陶磁器会館などがある。



本郷の標識

5 本郷(美里町)に入ると焼き物のお店や窯元の看板、案内図があちこちにあり、高い煉瓦の煙突がいくつか見え、町並みは焼き物の町の風体。だが古い建物はほとんどなく新しい感じ。でもまあとにかく「焼き物の町」があってホッとしました。

会津本郷焼といえば「宗像窯」のにしん鉢(写真右)が有名だが、敷地内の山際に登り窯があり、松薪による陶器・磁器の両方が焼かれている。本郷のどん詰まりにあるので、まずは「宗像窯=むなかたがま」を訪れ、戻る道すがら他の施設を見学体験するのがいいだろう。

宗像窯玄関にしん鉢 宗像窯座敷

宗像窯では座敷に上がって陶磁器を見学することができる。由緒正しき風合いの和風建築で、広い玄関を上がると左側がにしん鉢の展示の間、右側は広間ぶち抜きのスイートで中央に大きなテーブルをはじめ部屋中に花瓶や茶わんや湯のみ、大小の皿が所狭しと、しかし整然と並んでいる。裏には値札シールが付いているので、ゆっくり見て気軽に買えるのがうれしい。この日は座敷で奥さんが身知らず柿を剥いてお茶を入れてくださり、ゆっくり話を聞くことができた。

身知らず柿は、身のほど知らずなくらい沢山の実をつけるのでそう呼ばれるんじゃ」と犬猫庵。実ではなく身なんですナ。会津の特産で献上柿でもあるそうです。

座敷に商品宗像さん

6 母屋のとなりに作陶作業場があり、おりしも8代目宗像利浩氏がろくろに向かい半乾きの茶わんに高台を成形している最中だった。見学しながら写真を撮っていいですかと訊ねると「どうぞ」とうなずかれた。登り窯は作業場建物から少し離れた裏山にあり、一度敷地を出てから細い石段を少々登ったところにあった。3段ほどの登り窯で、中をのぞくとまだいくつか焼き物やサヤ鉢が入っていた。宗像窯では現在も地元会津産の「的場土」を主原料とし生掛け焼成をしている。

登り窯窯の内部


本郷焼き体験 初めて半磁器の陶土をひねる。

7 さて今回の作陶体験教室「酔月窯」は宗像窯から歩いて10分ほど。高い煉瓦の煙突が目印で白壁の大きな建物と棟続きの売店とその奥に教室がある。中庭の煙突の下あたりに白い陶石が堆く積まれているが、これをすり潰して陶土をつくるのだ。酔月窯は本郷では唯一、磁器のてびねりで一気に高台まで作り、これに呉須やコバルトで絵付けまでできるのだ。酔月窯は明治3年開窯、初代は会津藩士、現在は5代目西田理人氏。


1kgの粘土で湯のみと一輪差し花瓶を作る。


陶土

8 陶土(右は原石)は大変なめらかでずっしりと重い、ぬるっと油っぽい手触り。初めての陶土は手強かった。思い通りにならないのだ。この土は広げたり延ばしたりは容易だが縮めたりまとめたりしにくい。どういうことかというと、縦に垂直な湯のみを作ろうと指で延ばして作っていくと口縁がどんどん外に広がってご飯茶碗になってしまうのだ。どうにも土を縮められず先生(西田夫人)にアドバイスを求めるとビックリ!なんと側面をカッターで三角に切り取り、つなぎあわせて茶腕の口縁を狭くするという。ホントです!

ゆう文コンさん

先生は私の作品に似たご飯茶碗?をささっと作り、かべをカッターで切り取り手際よく切り口をつなぎ合わせる外科手術を見せてくれた。パチパチパチ、湯のみの完成です。と言っても自分のはそう簡単にはいかない。半磁器の粘土はつなぎ目には水はほとんど使わず、やわらかい粘土をつまんで押し付けくっつけあわせるのがやり方。水ぽいドベを使う益子やほかの土の扱いとは異なる。

湯のみができたので、後付けで丸い輪で高台を作ったが、なにしろ重い粘土だ、みるみるつぶれて、高台は底に埋まって見えなくなってしまった。ハハハ、やはり少しは乾かさんとダメでしょう!

手びねりする三人

9 さて絵付けだが、今作ったばかりの生乾きの作品にコバルトで直に描きます!「えっ?」ちょっと驚き!細筆でタテにラインを描いてみるが、優しく引かないと粘土に引っかかる。油っぽい粘土に筆でなぞるのは妙なタッチだ。これは白くきれいな地に青い染め付け茶碗になる予定だ。

犬猫とゆう文

2作目は一輪差し花瓶。羊かんの箱を立てたイメージで作ってみた。口縁はあえてでこぼこに。後ろにヒモをかける突起をつけた。こちらは乾燥後にアメ釉をかけてもらう。あのにしん鉢と同じ釉薬だす。(自分で施釉することはできない)

犬猫庵はみごとなニシン鉢と花瓶を、ゆう文は楕円の大皿を1点こしらえた。

只見線は本数が少ない。お土産を買ったり、宅急便の手配をしていたら時間が押して「次の列車を逃すと今晩の宿泊地会津宮下に行けない」という事態に。すると西田さんが車で駅まで送ってくださった。ありがたい、東北の人情に感謝。


酔月窯陶石

酔月窯の手びねり体験は所要1.5から2時間、500g 1,050円、1kg 2,100円(絵付け、焼き上げを含む)Webで予約すると10%Offでお得です。作品は約1ヵ月後に届きます。

届いた作品はこちらです本郷焼作品



かけ流しの天然湯につかり、あぁ極楽

宮下駅前

10 会津本郷1722発→会津宮下1834着、ふるさと荘の車が出迎えてくれる。只見川の鉄橋を渡り5分ほどで温泉着。駅から歩いては10分ほどなのだが、夜は烏も見えない真っ暗闇になるというのでお願いした次第。

1泊2食付き(ふるさとコース=かなり品数が多く食べごたえあり)で6,850円。我々は7,750円の会津名物の馬刺し付きコース。

温泉はかけ流しでやや熱め、ぬるっとすべるような湯ざわり。鉄分がありそうで浴槽でのお湯は濁りめでやや黒(緑色)っぽい。シャワーは沸かし湯なので気持ち良く身体を洗える。風呂上がりの肌はつるっつるだ。

※源泉名は赤谷温泉。ナトリウム・塩化物硫酸塩・炭酸水素塩泉、自噴、55℃。


11 翌朝は会津宮下0735発で早い。朝食が間に合わないので、おにぎり弁当を作ってもらう。一人500円返金してくれた。なんと差額ですと。律義な東北人気質に感銘!帰りも駅まで送ってくれました。

小出行き只見線只見線の紅葉

鈍行列車の窓からは右に行ったり左にいったりの只見川と紅葉を楽しむ。鉄橋が多く、ゴトンゴトンとローカル気分が心地よい。そのせいか、ゆう文は弁当以外はほとんど睡眠。ゆう文にとって移動とはつねに休息時間なのだ。

昨日ここをSLが黒煙を上げて走ったと聞いたが、ついでにこの列車も写真に撮ろうと対岸でカメラを立てている人が車窓からに何人か確認できた。

只見側の紅葉大

12 新潟県に入ると只見川の流れは幅も広がりゆったりとなり、やがて列車は1311上越線小出駅ににすべり込んだ。小出では1時間の待ちあわせ時間があるので町に出てしばし散策。

次なる目的地は水上。晴れていれば谷川岳ロープウェーで天神平に行き、曇天か雨なら、立ちより温泉で一風呂浴びて帰ろうという計画だったが、うす曇りなのでタクシーで谷川岳へ。快適な新型ロープウェーで天神平へ。

ここいらの紅葉はすでに終わっていてあたりは枯葉色の冬景色だ。ビューテラスでコーヒー。頂上では時折青空も見えたがさすがに肌寒く、空気も希薄なせいか「大空の原っぱ」上まで歩くとちょっと息苦しくなった。帰りは乗り合いバスで水上に戻り、水上1548発→高崎1651着。いつでも売っているだるま弁当を買ってさっそく平らげ、湘南新宿ラインはほとんど熟睡で、1906新宿着、解散。


2日目は朝から大半車中の人で、チョー充実の旅だったが、オヤジ連にはちょっとキビシイ行程だったね。




■東日本大震災によりお亡くなりになられました方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。被災された皆様には、心よりお見舞い申し上 げますともに、被災地の一日も早い復興をお祈り申し上げます。


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