陶芸始めちゃいました

vol.12  伊万里・有田・唐津の旅

3泊4日。メンバー5名/犬猫庵、ゆう文、コンさん、マコト氏、マチコさん。

目的1/有田・伊万里・鍋島の窯里を見学。
目的2/有田で白磁皿に染付け体験。
目的3/唐津で唐津焼き作陶+生描き体験。
おまけ1/武雄温泉のとろ湯と唐津のイカを味わう

【出発前に】 陶磁器の総本山、有田・伊万里に出発です。
 有田焼とは? 柴田古伊万里コレクションを見倒します。四方を険しい山に囲まれた伊万里=鍋島家の領内でのご用窯絵付けの片鱗に触れてみたい。
 唐津では唐津土で作陶し、生描きで絵付けを体験します。今回は行程盛りだくさん、楽しい旅にしましょう!

------------- 伊万里・有田・唐津の旅のスケジュール ---------------

 1日目 伊万里・大川内町

1 5月某日。羽田07:20発、ANA241便 → 福岡空港着(¥11.800)。空港からは午前中、有田・伊万里観光用の直行高速バスがあり、8:35発「伊万里号」に飛び乗る。ほぼ満員 → 伊万里駅前バスターミナルに10:53到着。


伊万里駅


久保初則さん

久保著書

2 伊万里に着くや(いつもの如く)唐突にマコト氏が「陶芸家であり古伊万里の研究家でもある久保初則さんに会いたい。確か地元のはず?」と言い出した。久保さんとはマコト氏が陶器に興味を持つきっかけとなった名著「肥前磁器の歴史散歩」の著者なのです。今旅行はゆるい計画がモットーであり、全員とくに異議もないので、まずは電話してみた。すると奥様が出て「久保はあいにく留守ですが、伊万里をご案内します」とおっしゃるではありませんか! これはもっけの幸いというか、出会いは旅のスパイスとやらで、是非とお願いするとすぐにワゴン車で迎えに来てくれました。



3  まずは久保さんのお店「富士陶芸」を見学。お腹がすいたのでお勧めの店はありますか?と尋ねると「美味しいお店があります」。で案内されたのはステーキハウス「伊万里牛・つじ川」。キッチンスタジオよろしくシェフが手ずから伊万里牛のステーキを調理、目の前で焼かれるお肉やエビを堪能。こんなに美味しい思いが旅行初日からできるとは、しかも帰り際にビックリ、なんとご招待でした! ほっぺが落ちそうなので頬をつねると現実でありました(笑)。

牛炎 鉄板

あとで調べてみると、佐賀牛と名のるには厳しい基準があり、その中でも一番上位のブランドが伊万里牛とのこと。 久保さん、ステーキランチごちそうさまでした。

皿だステーキ

後日マコト氏より、虎屋の羊羹にお礼状を添えて感謝の気持ちをお伝え致しました。



大川内町散策

スタート地点  

4  伊万里散策のスタート地点まで送っていただき、駐車場にて久保さんとお別れ。 この陶版大地図を起点に伊万里・鍋島の里、大川内町のぶらり散策開始です。四方を険しい山に囲まれたこの地こそは鍋島藩の領内。ご用窯、鍋島の窯元として数々の名品を生み出した秘窯の里、大川内だ。

町並み大
マコト庄司コヤマ夫妻
ひき臼説明

  入り口右の関所を入ると陶工橋の下は遊歩道で清流がせせらいでいる。鍋島青磁を砕いた唐臼小屋では「昔は臼で陶石を粉にしていたんだな〜」などと妙に感心。山際に[陶工の墓」が並んで見える。狭い道の両側や奥に窯元や売店がぎっしり並ぶ。

ゆう文庄司コ町並み小
コヤマ町並み大
後ろ姿町並み大

  上りの坂道は「鍋島藩窯坂」と呼ばれているが、その鍋島藩窯なる看板を掲げる店に来た。鍋島に限らず作陶は分業制。ここは上絵付けの家で、現在は第19代目市川光山氏の工房兼販売所だ。

マコト庄司コヤマ夫妻 皿桜桜アップ

  ご本人には会えなかったが、奥さまが丁寧にいろいろ話してくださった。当家には江戸時代に藩窯で使われていた焼き物の図案帳などが残っている。光山氏の絵の練習帳を何冊か見せて頂いたが、桜花をはじめ細かい鍋島の絵柄がびっしり描かれていてその巧みさに驚いた。


  左右の店をのぞきながら坂道を上り、関所跡を右に折れて天神橋を渡ると登り窯があった。伊万里川は細く流れているが、河岸や遊歩道に陶石をちりばめてあり、いかにも伊万里らしい風情だ。「伊万里・有田焼伝統産業会館」を見学するが、あさって再度ここを訪れ、有田焼の絵付け体験をします。

鍋島川登り窯

伊万里の大壺で有名なモザイクの鍋島藩窯橋で記念撮影。 本日は初日、軽めに上げてバスで伊万里駅に向いましょう。

鍋島藩窯橋

  宿泊は伊万里駅から歩いて600メートルの「伊万里グランドホテル」。1泊朝食付きで4,800円というリーズナブルなビジネスホテルだが、マチコさんが1人部屋でも同じ価格でしかも「大浴場」がある。これが決め手でありました。
  夕食は近くを散策して見つけた「玄界灘活魚料理・うえだ」でエビ、かに、刺身。狭いながらも活気に溢れた店だった。

路線電車活魚うえだ


 2日目 有田

九州陶磁文化館

 有田駅前には佐世保線と垂直にメーンストリートで、両側は陶磁器のお店が並ぶ。道を一歩中に入ると江戸時代からの古い町並みが保存されている。「駅前やきもの散策道」の案内にそって古い町並みを楽しんだ。

有田駅前通り
佐世保線有田駅切符売り場

  朝9時、予約しておいたレンタカー「プリウス」を有田駅横で受け取り、今朝の有田見学から明日夜の唐津までの2日間は、かなり広範囲なので車で移動することに。



 午前中後半は、佐賀県を中心とした陶磁器の膨大なコレクションで知られる「九州陶磁文化館」をゆっくり見学。有名な「柴田夫妻コレクション」など、さすがに陶芸のメッカだけあって圧巻の物量だ。トイレは便器や手洗いなどすべて伊万里焼。
  美術館のカタログと「陶芸の楽しみ方」なる本を購入。古伊万里の鑑定法が書いてあるが、これを読んで、名品ぞろいの柴田コレクションを見れば、古伊万里はもう満腹であります。(笑) 

柴田コレ
破片洗面


10 途中「古伊万里酒造」の蔵元で有田らしい面白い「酒」を発見。こちらのワンカップの容器が(プリントだが)伊万里焼のデザインという感動ものです! まずはお土産に購入です。

 
蔵元碗カップお土産

  昼は街道で黒潮ラーメンです。 午後はまず柿右衛門窯。酒井田柿右衛門は「色絵磁器」の名跡。訪問時は14代目(人間国宝)にお会いできたが、2014年現在は長男が15代目を襲名したのをNHKで見ました。 僕は色絵では13代目の色絵が好きなのだが、お住まいがとにかく素晴らしい。

  
柿右衛門屋敷き石碑

井上萬二窯 と 香蘭社

11 続いて(人間国宝)井上萬二窯を見学。柿右衛門窯のすぐ近くにあり、今回で3度目の訪問です。前年に尋ねたときは中庭で萬二さんが作品の乾燥中で気さくにお話してくださったが、本日は不在でご子息の康徳さんとパチリ。ご一緒にお願いできますか、と尋ねると「じゃあそこで」と親子二代気さくに撮影に応じてくださいました。

萬二氏と混さん中庭

11  井上萬二さんは「名器に雑念はない。あるのは技術と感覚だけ」と白磁のやわらかで清らかな造形を追い求めている。 また萬二さんは文化庁技官の小山富士夫氏をして、「あんたには推薦文を書く必要がない、「名陶 無雑」だ。 いい焼き物には雑念がない。」と言わしめた。

作品康徳さん2010年



12 雲行きが怪しくなってきた。車を駐車場において、赤絵座、今右衛門美術館、香蘭社、李参平の墓と散策。なかでも創業300年、食器はもちろん、骨壷や万華鏡など多彩な商品の製造販売している「香蘭社」の歴史あるショールームは素晴らしかった。お土産に白磁のオランダ異人絵のコーヒーカップ2客を購入。

今右衛門今右衛門玄関
香蘭社1香蘭社2

「香蘭社」のショールームは逸品がゴロゴロしていてちょっと「いいね」です!

香蘭社3

  小雨がそぼ降るなかトンバイ塀のある裏通りを散策。 ゆう文が疲れたので傍らの茶店に入りお茶タイム。最後は「泉山磁石場」。感慨深く磁石場を見回し、足下の小石をひとつ拾ってポケットに入れました。

香蘭社3
香蘭社3


有田ポーセリンパーク

13  さて現在3時半。小雨もあがり、マコト氏のたっての希望で、「有田ポーセリンパーク」に向います。入り口を入ってビックリ! 広々した庭園にドイツのツヴィンガー宮殿を模した大パレス。宮殿右ウィングでは、有田焼の江戸時代から明治の最盛期までの巨大作品が展示。初期有田焼、古伊万里・柿右衛門・鍋島藩窯様式をはじめ、江戸・明治〜現代までの400年におよぶ有田焼の歴史的な作品の数々が見られました。

ポーセリンパーク 展示窯


武雄温泉

14  今宵の宿は「武雄温泉」。車は竜宮を思わせる朱塗りの楼門横にある満車の駐車場に潜り込む。共同浴場も復原された朱塗りの新館楼閣の中にあり、大人400円。泉源は弱アルカリ単純泉で保温性に優れ、美肌をつくる泉質として有名。源泉は熱めで透明、肌にはとろりとした感触でした。この楼門は国の重要文化財だとか。

朱塗りの楼門

   九州は各地に窯があるが、武雄にも江戸文録・慶長のころより藩窯がある。見たい行きたいとマコト氏が騒いでいるが、今回は却下。
  今宵の宿「武雄温泉ハイツ」は隣接する庭園がなんと鍋島の殿様のお屋敷「御船山」。宿泊した別館の和室は明治時代の建物で風情を楽しみおおいにくつろぐことができました。




 3日目 ふたたび有田へ

有田焼の染付け体験

15 武雄温泉から伊万里に戻ります。午前10時、大川内町の、 「伊万里・有田焼伝統産業会館」 にて、染付け体験です。素焼きの白い皿に古代呉須で絵付け=染付けをします。みなさん下絵は万端用意してきました。ゆう文は鯉が餌を求めて口パクするシーンを描きたいと申します。

有田焼伝統産業会館素焼き
絵付け全員

  さて染付けは、マチコさんとゆう文は6寸皿(直径18cm)、犬猫庵は5寸皿と6寸皿とカップ2個、マコトは5寸皿とカップ、コンさんは8寸皿(直径24cm)にトライします。みんなバラバラ、だが、いずれも筆さばきには慣れた人たち、さらさらと描いていきますが、8寸皿はデカイ、埋めるのが大変です。

マチコゆう文
犬猫マコト
コン1コン2

16  素焼きに描いた染付けは、このあと透明釉をかけて1300度で焼きつければ有田焼の完成です。絵付け体験は、約30分700円から。アイテムは湯呑700円、5寸皿800円、マグカップ1000円、フリーカップ1300円、6寸皿1500円、風鈴大・小1000円、送料別途。通常はコンさんの8寸皿(3000円)はありませんが、今回特別に描かせていただきました。

 1カ月後に届いた
  → 「染付け」作品はこちら。有田焼5作品




17  2時過ぎ、次なる目的地唐津に向って出発、といっても運転手はわたし。ゆう文は熟睡? みんなは呑気でいいよね。まもなく唐津市に入るが、ここは有田と同じまだ佐賀県なんです。お城が見えて来ました、夕方のプリウス返却まで時間があるので唐津城、別名舞鶴城を見学します。城は松浦川が唐津湾に注ぐ河口の左岸にあり、こんもりした小山の上にそびえています。湾から見るとフランスのモン・サン・ミッシェルみたい。舞鶴公園側から小さなエレベーター(100円)で上り、天守閣は400円。古唐津の焼物が常設展示してあります。淡い白地にシンプルな線画の古唐津、いいです。

唐津城


中里太郎右衛門陶房


狭い路地

18 中里太郎右衛門陶房を訪問。小雨のなか土塀に囲まれた風情ある狭い道を行く。白壁の門を回ると古い登り窯がある。この道すがらはココロに残った。 12代目太郎右衛門氏は「叩き」で古唐津を復興させ人間国宝。13代目が2009年に亡くなり、現在は14代目。12代目(無庵)は、大モノは板で叩いて作陶し、左右非対称の微妙なひずみの中に美を見いだしたりした。よく見かける「松、唐草、梅」などの唐津の絵柄です。

門構え昔の窯
コン3室内

19 17時トヨタレンタカーに車返却。2日間で総額22,000円。さすがにハイブリッド車でガソリン代は500円!でした。タクシーで今夜の宿「国民宿舎虹の松原ホテル」へ。その名のごとく名勝「虹の松原」のど真ん中にあり、部屋の窓からは先ほどの唐津城が海の上にみえる絶景です。ただし当館には大浴場がないので? 割引券をもらって近くの「鏡山温泉茶屋・美人の湯」まで出張入浴(大人600円)。泉質は単純温泉、樽風呂や露天風呂もあり結構な湯加減でした。

 
風呂1風呂2



 4日目 有田から唐津へ

唐津窯元、鏡山窯で作陶

鏡山窯


20 虹の松原ホテルから朝の散歩です。JR筑肥線の「虹ノ松原駅」の線路をまたいで10分ほどで唐津窯元鏡山窯。中央に座敷があり横にご当主井上東也さん(2013年12月永眠)が微笑む。鏡山窯の体験道場と窯はこの館の道を挟んだ鏡山の中腹にあります。さて手ロクロと粘土が目の前に体験開始。先生はご子息で陶芸家の井上公之さん。唐津の土は黄土色でねっとりしているが乾燥は早そう。

井上公之ゆう文

  早速先生が見本を作って見せてくれるが、土の真ん中を凹ませ、たちどころに茶碗に。なるほどとやってみるが、上手くいくはずはない。指で押しこねながら少しずつ立ちあげます。

コンさん片山
マチコ風マコト

21 一人2個分の粘土なので、コンさんは湯呑みを2つ作ります。先生から唐津の「叩き」を教わりました。内側に手を添え、板で叩いて丸い茶碗を四角くします。仕上げにヘソを付けました。皆さんは近ごろは手際もよろしく、一時間半ほどで作陶終了。続けて唐津の生描き絵付けです。先生が手本を見せます。こちらはさすが美術部OB、湿ったキャンバスですがさらっと筆が走ります。コンさんは夏のかき氷でおなじみの「千鳥」の描き方を習いました。

生地千鳥ヘソ付き


22  時間がまだ少々あるので登り窯や薪窯を見学。おっとラッキーなことに薪窯は焼き上がったばかりで、入り口のレンガは外したばかり。窯出し寸前の状態で窯の中はまだ熱いので自然冷却中。そのなか先生がいくつか取り出して作品を見せてくれました。手に取ったゆう文「熱っ!」と作品を落としそう、危ないあぶない。

登り窯薪
窯出し窯出し井上さん

  さて鏡山窯の作陶体験は、手びねり(1人1kg・2作品まで)=3000円、絵付け(湯呑)1100円、絵付け(皿15cm)=1500円。出来上がりまでおよそ1カ月半〜3カ月前後かかる。  ◎鏡山窯で作り、生絵付けした
      
→ 「唐津」作品はこちら。唐津5作品



鏡山窯全員集合

  唐津では名物イカ刺しをいただきました。踊り食いから始まって、最後は唐揚げでしたが、まっこと新鮮で美味しいイカ料理でした。

イカ刺し唐揚げ

23 帰路は、15:00〜鏡山窯でタクシーを呼んでもらい一路博多駅へ。一時間ほどで駅前に到着、タクシー代金8700円。時間がたっぷりあるので博多シティで博多ラーメンや長崎チャンポンを食べてくつろぐ。17:00博多駅から電車で福岡空港へ。19:15発ANA268便で〜20:50羽田着。こちらにて解散です。皆さん3泊4日の有田+伊万里+唐津の体験たっぷり旅行〜お疲れさまでした。








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