訳してもらったのを、OCRでデータ化したので、ちょっと変なところがあるかもしれません。
Brown‐Sequard(ブラウンセカール)症候群
著者MS BESS0N医師ノースイースタンオハイオ大学臨床救急医学部門助教授
掲載誌Medicine Journal 2001.3,10,2巻3号
概念
背景:プラウンセカール症候群(BS)は不完全な脊髄障害で発現し、臨床像は脊髄の半側切断(右半分または左半分の切断)の症状をを示す。頸部脊髄の障害が多い。
病態:純粋なBSはまれである。不完全な部分症状の集まりであったり、脊髄の半側切断の症状に諸症状が混在した形のことが多い。一側の皮質脊髄路(運動の命令を伝える下行性神経経路)や脊髄視床路(痛みや熱さ、冷たさなどの感覚を伝える上行性神経経路)、時には後素(触覚や位置感覚を伝える上行性経路)などが障害された結果として、一側下肢に筋力低下があるのにその側の腱反射亢進や筋緊張亢進を認めたり、健掌な筋力を持った一側下肢に温痛覚脱失を認めたりする。ただし急性期(発病初期)には腱反射亢進や筋緊張亢進を認めないことがある。
臨床
病歴:BSは脊髄への貫通創(銃、槍)の結果起こるが、他の種々の原因も記載されている。純粋なBSの典型的な臨床像を示す、脊髄の完全な半側切断の症例はまれである。不完全な半側切断によるBSと他の神経症状の混在する症例が多い。
臨床像:不完全型BSは非対称性の運動麻痺と、麻痺と反対側に目立つ痛覚脱失が特徴である。完全型BSはつぎの症状より成る。
・脊髄側索皮質脊髄路の切断により、
・障害部位より下の、障害と同じ側の筋緊張性の運動麻痺
・障害と同じ側のバピンスキー徴候
・発病初期には異常反射やバピンスキー徴候を認めないことがある。
・脊髄後索の切断により、
・障害部位より下の、障害と同じ側の触覚、振動覚、位置覚の消失
・脊髄視床路の切断により、
・障害と反対側の温痛覚脱失。これらの症状は障害部位より、2−3髄節下から足先までに認める
原因:
・脊髄腫瘍、転移性または原発性
・外傷、鋭利な傷(貫通創)または鈍器による傷
・椎間板ヘルニアや頸椎変形症の圧追による脊髄の障害
・血流障害(局所の貧血)
・感染、炎症
髄膜炎、蓄膿症、帯状へルペス、単純ヘルベス、脊髄炎、結核、梅毒、多発硬化症
・出血、硬膜下出血、硬膜外出血、脊髄内出血
鑑別(BSと区別を要するもの)
頸椎の骨折
脊髄の外傷
検査
検査室(血液、尿、髄液など)の検査:
・BSの診断は病歴と神経学的検査によって成される。検査室の検査はBSの病状を評価するのに必要ではないが、患者の臨床経過を見ていく上には役立つ。
画像検査、レントゲン撮影:
・脊椎レントゲンフィルムは、銃創や刺創による貫通創や鈍器による外傷のさいに脊椎骨の骨析の有無を診断するのに役立つ。脊椎外側の大量の骨折はBSの原因になる。
・MRIは脊髄の障害部位の広がりをはっきりさせ、非外傷性のBSとの区別に役立つ。
・CTミエログラフィーはMRIができない時や、その設備のない時には有用である。
その他の検査、処置:
・BSの患者では、身体の他の部位の障害(外傷)についても調べる必要がある。
・膀胱カテーテルによって、種々の程度の勝胱障害の見つかる場合がある。
・絶対安静が必要。
・鼻胃チュープが誤嚥を防ぐ。BS患者は急性期にイレウス(腸管麻痺)を起こし易い。
・脊椎の外傷や脊柱の不安定が考えられるときは、頸椎の固定や、下位脊柱の固定が必要。頸椎の骨折や外傷のさいには硬いカラによる固定やGardner
We11s tongs(はさんで固定する器具)が必要。
・BS患者は種々の程度の感覚障害を持っているので、(症状がなくても)腹腔内の傷の有無をCTスキャンや腹膜洗浄などで調べるべきである。
処置、ケアー
病院へ運ぶ前のケアを成功させるかぎは頸椎や他の脊椎の外傷の時にBSを疑う事で
ある。頸椎を軽く固定する。
救急室におけるケア:
・神経学的検査を含む、慎重な診察が必要。洋意深く頸椎を固定する。
・感覚麻痺のために他の外傷を発見しにくい。従って慎重な診断と画像検査が必要。
他科依頼:脳外科や整形外科の専門医の診察を依頼する。
薬物療法
薬物療法の目標は合併症を予防する事である。
薬品の種類:副腎皮質ホルモンー発病初期に多量のステロイドを投与すると、外傷性の脊髄損傷を持った患者の予後が改善される、という多くの研究報告がある。
薬品名称:メチルプレドニソロンー多形核自血球の浸潤を押さえ、毛細血管の透過性を減らして、脊髄の炎症を軽減する。
成人への投与量:
小児への投与量:
禁忌(使用してはいけない場合):ステロイドに対して過敏性のある人。ウィルス性、かび、結核性の皮膚炎のある人。
相互作用:
妊娠:
注意事項:メチルプレドニソロン投与によって、傷への感染や、消化管出血の頻度が少し高くなるという、NACSIS研究がある(統計学的に有意ではない)起こり得る合併症として、高血糖、浮腫、骨壊死、消化管潰瘍、低カリウム血症、骨粗鬆症、そう病、精神障害、発育停止、筋障害、炎症などが知られている。
追加事項
移送:高度医療センターや脊椎外傷専門病院へ送るべきである。しかし詳細な(専門医による)診察の方が優先する。。
合併症:いつでも有り得る。
予後:BSの予後は不良である。その程度は原因(炎症か、外傷か、病巣の大きさ、障害の強さ)によって決まる。早期のステロイド大量療法が有効である。
その他
落とし穴:
・BSの症状のうち、一部の症状しか出現していないときには診断を誤り易い。
・感覚脱失、運動麻痺、温度感覚の消失、振動感覚の消失のレベルをしっかりと調べる。
・身体の半側ずつの神経学的所見(感覚消失のレベル)をしっかりと調べる。
・外傷の場合、脊髄障害だけに気をとられていると、他部位、他臓器の障害を見過ごすことがある。
・よく見落とすのは腹部の傷である。腹腔内出血は常に念頭に置くこと。
・脊髄障害の症例では、常に腹腔内と骨盤内の病変を考えること。
・低血圧が神経ショック以外の原因で起こる事を忘れ易い。外傷性の脊髄障害の場合には、常に出血による低血圧を考えること。
・ステロイドを適時に使用するのを忘れ易い。最初の診察時にステロイド投与を始めるべきである。
以上です。訳していないところは、URLを見てください。
http://www.emedicine.com/emerg/topic70.htm TOPに戻る
* 関西在住の ばろん さんからの情報の提供
自宅療養で病院に通院していない方は参考にしてください。カテーテルの情報です。
http://web.kyoto-inet.or.jp/org/kanpo/3W/selfdp.html
2004/08/12
きよみ様 からの情報の提供 「脊髄梗塞とは?」
皆様にも何か参考になればと転送します。 ご質問の内容からするとかなり勉強されており、すでにご存知かと存じます
が、脊髄は脳と全身をつなぐひも状の神経で、体と脳との双方向の情報伝達を
行っています。交通事故や転落、スポーツ事故だけでなく、脊髄炎や脊髄の血管
の損傷でも障害が起こります。ご質問の前脊髄動脈症候群は、脊髄血管障害の代
表的なものです。前脊髄動脈は脊髄の前3分の2に血液を送っていますが、この
動脈が血流障害や閉塞を起こすと、両下肢のまひや感覚障害、排尿、排便障害が
起こり、最終的には脊髄実質に軟化(変性)を生じます。
原因は 動脈硬化や血栓、脂肪塞栓、血管炎、膠原病、椎間板ヘルニア、後縦
靭帯骨化症 腫瘍、脊髄動静脈奇形や、全身血液循環低下,静脈系閉塞疾患など
のほか,大動脈奇形手術,大動脈血管撮影,放射線療法などによる医原性のもの
も有るといわれていますが、原因がよくわからないことも多く、明確な治療法が
ないのが現状です。ですから、あえてあげる治療法としては、その原因を突き止
めることが第一となります。そのために脊髄造影のほかCTや MRI、血管造
影等も有用です。原因がわかり除去できるものなら手術が有効でしょう。しかし
一度変性に陥った脊髄神経を回復させることは不可能となり、以後早期の全身管
理とリハビリテーションが重要となります。具体的には、早期であれば、抗血栓
療法や高圧酸素療法等を行い、その後は運動麻痺に対してのリハビリテーショ
ン、排尿障害に対しては症状の重篤さにより、内服加療や導尿などを行います。
感覚の違和感や疼痛を訴える方も大変多く、痛み止めや漢方薬などの内服、理学
療法を用いたリハビリ加療を行ったりもします。また、この病気に限ったことで
はないのですが、永続的な麻痺や感覚障害を伴う病気の場合、精神面のケアーも
重要で、精神科的な内服加療やセラピー等も大切な治療となってきます。
前脊髄動脈症候群は以上のように症状が重篤で治療が大変困難な病気です。ご
質問のお母様の苦痛を和らげてあげれる具体的な方法を示すことができず誠に申
し訳有りませんが、少しでも参考になれば幸いです。
2007-07-31
金魚さんからの情報提供
ちょっと遅れましたが、中日新聞の第1面に
気になる記事が載っていましたので、少し
掲載します。
━━ 急性心不全薬 脊髄まひ抑制 ━━
急性心不全の治療で広く使われている薬に
胸部大動脈瘤(りゅう)の除去手術で起こる
重い合併症である脊髄まひを抑える作用が
あることが、研究で分かった。
唐辛子に含まれるカプサイシンのさまざまな
効能について研究している中で、
急性心不全治療で頻繁に使われる薬
【ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド】に
カプサイシンと似た、知覚神経を刺激する
作用があることに着目。
〜 中略 (ラットの実験結果) 〜
薬が知覚神経を刺激することで、血管での
炎症を抑え、血流をよくする物質がつくられた
ためという。
━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━
2007-10-08
「ほったまさんからの情報」
ほったまさんのご家族様お悔やみ申します。
皆さんもどうか参考になさって下さい。お願いします。
ご無沙汰しました。7月27日に投稿させてもらいましたほったまです。脊髄梗塞と診断された主人の母が9月20日急死しました。原因は床ずれからの熱で肺血症となりほんとにあっという間に逝ってしまいました。息を引き取る3時間前まて゛たぶん主治医も私たちも母も亡くなるとは思っていなかったと思います。
おっちゃんやみなさんからの励ましは家族や本人に強い希望となりました。ぎりぎりまでリハビリを頑張りたいといっていた気丈な母でした。しかし、その気持ちとは裏腹に回復期のリハビリテーションに転院することもできず肺炎や床ずれを煩って熱が続き食欲が落ち、抵抗力が亡くなっていきました。床ずれは入院して2週間足らずででき、握り拳ほどの穴が開くほどひどくなってしまいました。それでも床ずれの治療をして頂きずいぶんよくなっていたのに高熱が続きそのたびに抗生剤を色々試され耐性菌(菌が強くなって抗生剤がきかなくなっていく)となっていったのだと思います。
担当のドクターや看護士さんは大変献身的に接してはくれましたが、正直病院側の看護体制にも疑問は残っています。大学病院ということで安心していましたが、ドクターや看護士は年齢も若く、経験値が少ないためいろいろな判断や検査がかなり遅れていたのも事実です。何かを判断するのみも大先生が回って来られてからでした。
今となっては床ずれも脊髄梗塞による血流の悪さからきたのか、病院側の体制に問題があったのかかわかりません。けれどいまから同じような状況に立たれる方がいらっしゃったらこんな状況にもなると言うことを知って頂いて母の死がだれかのおお役に立てればと思い、投稿させていただきました。おっちゃんやみなさんにいい報告ができずごめんなさい。そして本当に私たち家族に最後まであきらめず元気をくださったことありがとうございました。おっちゃんもお体を大切にされてみなさんにこれからも元気を与えてあげてください。
2007-11-01
FIGO先生からの「t-PA」と言うお薬のBBSからの問いかけの返答
t-PAは脳梗塞(脳の血管がつまる病気)において、発症3時間以内に限って使用が認められています。t-PAは血栓(血の固まり)を溶かす強力な薬なので、出血する危険性があるので、3時間を越えると効果よりも危険性の方が上回ると考えられているからです。また脳梗塞に対するt-PA治療は厳密なガイドラインがあって、使ってはいけない場合が事細かに決められています。またt-PAの効果も使わない場合と比較して、症状がほとんどない人の比率を24%から39%に増加させるという程度で、必ず効果がある訳ではありません。
平成17年10月から日本でt-PAが脳梗塞に対して正式に認可されてから、全国でどのくらいの脳梗塞に使用されたかというと、脳梗塞全体の5%以下と推測されています。3時間を越えては使えないので、発症3時間以内に正確な診断がついて使用の判断ができるのには、かなり困難があるからです。
同じ血管がつまる病気である脊髄梗塞に、t-PAを使用することはかなり困難と考えられます。その理由はたくさんあります。
1)3時間以内に脊髄梗塞を診断することは、私も含めてほとんど不可能です。脊髄梗塞は稀な病気であり、脊髄が圧迫されるような病気(脊髄腫瘍、脊椎ヘルニア)の方が圧倒的に多く、それらの病気を除外診断する必要があります。
2)脊髄梗塞は脳梗塞とは起きるメカニズムが違うと思われますので、t-PAが脊髄梗塞に有効かどうかを調べる試験をする必要があります。しかし脊髄梗塞は脳梗塞と比べて200分の1程度しか患者さんがいませんし、診断も困難なので、臨床試験は不可能と推測されます。
3)脊髄梗塞のときには大動脈解離が原疾患としてあるかどうかが問題になりますが、大動脈解離がある患者さんにt-PAを使用すると致命的になることが報告されています。
4)もし私が、偶然にも発症3時間以内で他の病気が否定されて、脊髄梗塞と確実に診断できた場合でも、私はt-PAを使おうとは思いません。死亡する可能性はほとんどない脊髄梗塞の患者さんを、tーPAの合併症で死亡させてしまう危険があるからです。
残念ながら脊髄梗塞にt-PAは使えない、使うべきではないというのが、私の現状認識です。
2008/09/20
脊髄梗塞BBSにFIGO先生が青空様の書き込みにお答え下さったものです。
脊髄硬膜動静脈瘻(せきずいこうまくどうじょうみゃくろう)は、脊髄が障害されて、結果として症状は脊髄梗塞(動脈の閉塞による)と似ていますが、かなり異なる部分の多い病気です。
脊髄硬膜動静脈瘻は、動脈と静脈の間に瘻孔(ろうこう:穴ができてつながってしまうこと)ができて、動脈の高い圧力が静脈にかかってしまって、脊髄のうっ血(血液がとどこおること)が起きて、脊髄が壊死(えし)する病気です。一般の脊髄梗塞が動脈が閉塞して起きるものであるのに対して脊髄硬膜動静脈瘻は静脈に原因があって起きるので、静脈性梗塞であると表現されることもあります。
一般の脊髄梗塞が突然に発症するのに対して、脊髄硬膜動静脈瘻はゆっくりと発症しますので、だんだん両下肢のしびれや麻痺、排尿の障害が進行していくことが多い点が異なります。
また、脊髄のMRIでこの病気の可能性を見出すことはできますが、多くの場合は最終的に診断するためには脊髄血管造影が必要です。
一般の脊髄梗塞には現時点では有効な治療法はありませんが、脊髄硬膜動静脈瘻では、血管塞栓術や瘻孔を閉じる手術によって病気の進行を止めることができる場合が多いのです。
しかし手術がうまくいってもすでに起こっている脊髄の障害の一部は後遺症となることが多いです。
脊髄梗塞でも様々に痛みが残る場合があるのですが、脊髄硬膜動静脈瘻ではしびれ痛みが残ることがより多いように思います。
運動障害に対してはリハビリをすることが勧められます。しびれ痛みに対する治療は難しいのですが、若干薬が有効な場合もあります。
2008-10
脊椎脊髄、ジャーナル10「特集」脊髄梗塞の新しい展開
上記の医学書の中に脊髄梗塞が大きく特集されています。患者個人として、ささいですがネット管理者としてこんなに嬉しい事はありません。判定などが大変難しいと言われています、脊髄梗塞が画像や写真をこれ程たくさん、掲載しての特集は、先生方に心からお礼申し上げたいと思います。
https://ssl.miwapubl.com/index.php
2009-01-23 新聞記事(o-kosekiさん投稿)
世界初、ES細胞治療の臨床試験…脊髄損傷患者に注入
と言う記事が、読売のサイトに載っていました。
URLは下記
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20090123-OYT1T00805.htm?from=main5
結果が待ち遠しい、と同時に正確な評価も!
2009-02-04 読売新聞ニュース (よし1さん投稿)
ヒトiPS細胞をマウスに移植、脊髄損傷改善…慶大チーム
様々な細胞に変化できる人の「新型万能細胞(iPS細胞)」から作った神経幹細胞を、脊髄(せきずい)を損傷したマウスに移植し、症状を改善させることに慶応大学の研究チームが成功した。
ヒトiPS細胞を使って治療効果が確認されたのは世界で初めて。交通事故などで脊髄を損傷した人の治療に道を開く成果として注目される。
脊髄損傷は、背骨の中を走る中枢神経が傷つき、脚などの運動機能が失われる疾患。中枢神経が切断されると回復しないとされる。これまでマウスのiPS細胞を使って、脊髄損傷マウスの治療は成功していたが、人の細胞を移植すると免疫の拒絶反応を受け、治療は難しかった。
同大の岡野栄之教授(生理学)らは、免疫反応をなくしたマウスを活用。脊髄の一部を傷つけて後ろ脚をマヒさせた後で、ヒトiPS細胞から作った神経幹細胞を移植した。
その結果、4週間後には後ろ脚に体重をかけて前脚と連動して歩けるまでに回復した。一方、自然治癒にまかせたマウスは後ろ脚をピクピク動かせる程度で、立つのは無理だった。iPS細胞を使った再生医療では、移植した細胞のがん化が課題とされるが、7週間たっても腫瘍(しゅよう)は発生していない。
岡野教授は「今後、半年以上、腫瘍ができないことを見守り、iPS細胞の安全性を確認する必要がある。そのうえで、サルなどで実験し、人への実用化につなげていきたい」としている。
(2009年2月4日16時03分 読売新聞)
2009-2-10
歩行アシスト2008-4と2008-11ホンダ発表
Hondaは、より多くの人々に移動する喜び、活動する喜びを広げてゆきたいと考え、「歩行アシスト」の研究を開始。
ASIMOに代表される人の歩行研究から得られた知見を、私たちの身近なところで活かしたい、という夢の実現に向けて研究を続けています。現在研究中の「歩行アシスト」をご紹介します。
リズム歩行アシスト |
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脚の振り出しを補助し「歩幅と歩行のリズム」を調整
加齢などにより脚力が低下した人※の歩行をサポートする機器。
ASIMOと同様、人の歩行研究の蓄積をベースに開発したHonda独自の協調制御技術を採用し、歩行時の股関節角度センサーの情報をもとに協調制御を行い、制御CPUの指示を受けたモーターが最適なアシストを行う。これにより、歩幅・歩行リズムをコントロールすることで、歩行時の負担を軽減している。また、Honda独自開発の薄型モーターと制御システムを採用して小型化を達成し、さらにベルト着用タイプのシンプルな構造とするなど、重量を約2.8kgと軽量化して装着時の負担を軽減するとともに、さまざまな体格に対応可能な仕様としている。
※自力での歩行が可能な人
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「体重を支える力」を補助し身体にかかる負担を軽減
使用者※の体重の一部を機器が支えることで、脚の筋肉と関節(股関節、ひざ関節、足首関節)の負担を軽減する。機器は主に、シートとフレーム、靴で構成されるシンプルな構造となっており、靴を履き、シートを持ち上げるだけで、手軽に装着することができる。また、Honda独自の、人の重心方向へアシスト力を向かわせる機構と、脚の動きに合わせたアシスト力の制御により、坂道や階段の上り下り、立ち姿勢や中腰など、様々な動作・姿勢での自然なアシストを可能とした。
※自力での歩行が可能な人
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2008年4月時点 試作機
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重量:2.8kg ※Mサイズ
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駆動方式:ブラシレスDCモーター×2
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バッテリー:リチウムイオン2次電池
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一充電稼動時間:約2時間(4.5km/h
歩行時)
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サイズ(腰幅):3サイズ(S,M,L)
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例)モーター間内寸(S)312mm、(M)342mm、(L)372mm
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2008年11月時点 試作機
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重量:6.5kg
(靴、バッテリー含む)
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駆動方式:モーター×2
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バッテリー:リチウムイオン2次電池
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一充電稼動時間:約2時間(歩行、中腰姿勢などを含む)
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サイズ(適合身長):設定身長に対し±5cmの範囲
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例)Mサイズの場合 設定身長
170cm
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「歩行アシスト」を装着した
リハビリテーション(イメージ) |
機器を装着しての階段昇降
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体重支持型歩行アシスト |
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「歩行アシスト」の共同試験を実施 |
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Hondaは、加齢などにより脚力が低下した人※の歩行をサポートする「歩行アシスト」の実験機を用い、7月1日(火)より医療法人
真正会 霞ヶ関南病院(埼玉県川越市)と共同試験を実施する。
今回の試験では、霞ヶ関南病院で行われる歩行訓練者を対象としたリハビリテーションにおいて、「歩行アシスト」の適合性や有効性を検証、評価する。歩行訓練者、理学療法士、医師、および研究者のそれぞれの立場から「歩行アシスト」の効果や課題を抽出し、それらを検証する。
Hondaは、より多くの人に移動する喜びを提案するため、1999年から「歩行アシスト」の研究を開始。ASIMOと同様、人の歩行研究の蓄積をベースに開発したHonda独自の協調制御技術を採用し、非装着時と比べて歩幅を広げることで、より楽な歩行を可能とする機器である。
「歩行アシスト」は、4月に開催された「バリアフリー2008」(会場:インテックス大阪)や6月に開催された「ウェルフェア2008」(会場:ポートメッセなごや)などの総合福祉展に参考出展し、幅広いお客様に体験して頂き意見を伺うなど、有効性や課題を検証する段階に至っている。
※自力での歩行が可能な人
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■主な特長
1.手軽に使える乗用型 |
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機器につながった靴を履き、シートを持ち上げるだけで、アシストを開始できる。 |
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身体に機器を固定するベルト等がなくてもアシスト効果を得ることができる。 |
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脚の間に機器を配置する構造としたことで、幅を取らず、動きやすい。 |
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2.体重を支持するアシスト手法 |
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モーターの力により、靴とシートとの間にあるフレームをひざのように曲げ・伸ばしすることで、シートを押し上げて体重の一部を支え、脚の筋肉と、関節(股関節、ひざ関節、足首関節)の負担を軽減する。 |
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シートとフレームが体と脚の動きに追従する独自の機構を開発。アシスト力が、人の脚の力と同様に身体の重心付近に向かい、歩行や階段昇降、中腰など様々な動作・姿勢でのアシストを可能とした。 |
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3.自然なアシスト力制御 |
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靴に内蔵したセンサーなどの情報で2個のモーターを制御し、脚の動きに合わせてアシスト力の左右配分を変えることで、自然な歩行を実現する。 |
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ひざの屈伸にあわせてアシスト力を調整し、階段昇降や中腰などひざへの負担が大きな動作・姿勢での効果を高めた。 |
■試作機主要諸元
重量 |
6.5kg(靴、バッテリー含む) |
駆動方式 |
モーター×2 |
バッテリーパック |
リチウムイオン電池 |
一充電稼働時間 |
約2時間(歩行、中腰姿勢など含む) |
適合身長 |
設定身長に対し±5cmの範囲
例:Mサイズの場合 設定身長 170cm |
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