自給自足、半農半X、田舎暮らし、農的生活指向の方々に必須? 自然と共に暮らそうと思ったら山と木々があってこそ
山仕事の道具と技術、智慧は、自給自足と自衛の基本
実践的な智慧が籠もった本が出た。(`08/6/10発行)

(社)全国林業改良普及協会刊
森と暮らすNo.2「ノウハウ図解山仕事の道具」のお薦め

 自給自足的生活には、先ず道具ありき。作物栽培は勿論、山の幸の採取から猟に於いても漁でもそうだ。その様々な道具類は、昔は鍛冶屋が火造りで鍛造し鎚で打って作っていた。それに棒の材料となる木を山から採ってきて組み合わせて作られる道具が殆どだった。住処を建てるのだって、斧(ヨキ)、鋸、鉋などの手道具があって初めて建てられる。此等の道具類は全て鍛冶屋が作ったものだ。そして其の火造りの燃料は炭であり、我々の食事のその煮炊きに使う燃料は同じく炭だか薪だった。

 つまり、自給自足的な生活の基本には、鍛冶の技術と、山の森林資源が必要であるわけだ。勿論、現代に於いて全てを自給して生活をするわけではないが、もし社会変動が起こって長期間の自給を迫られる様な状況になったとしたならば、其処にはこの様なベースが必要とされることになる。そして、その様な社会現象は、近年に於いてソビエト連邦のペレストロイカに於いて実際に起こったことなのだ。ソビエトに於いて一般市民の60%位がダーチャという菜園付きの小屋(日本のログハウス位の家)を持っていたから現金が無くても生き延びたと言われている。その様なことは無い方が幸いだが、世の中の流れを見ていても経済崩壊、戦争、大規模な自然災害が何時起こってもおかしくない状況であるように見える。また、現金が無いと何事も立ちゆかない社会の仕組みになってしまっている事自体がおかしい。それは、我々のような街場で育った人間ほど強く感じる。その様な問題意識を強く持って自給自足的なアプローチをする人達がどんどん増えているわけだ。

 ん?でも、もしかすると皆さん、道具はホームセンターか農協で、手間やコストを掛けない機械加工で大量に作る普及品を買ってきて使っていたり、材はホームセンターや材木屋さんから外材を買って済ませていたりされるわけ? 結局、現金が無いと立ちゆかない自給自足的生活スタイルに留まっていて、周りに供給者が誰も居なくなったら自分独りで何もできないと言うこと??? う〜ん、それではちょっと困るでしょうね。少なくとも樹の伐採と搬出、道具類の修理ぐらいは自分達でやる気にならないと・・・ 自給自足は何も田畑から作物を得ることだけではない。家を修理したり、作業小屋を建てたり、薪を調達もあるし、柵を作ること、道の普請だってある。山の樹と道具類は必須だ。

 そして、自分の手で、山や海、大地から頂きものを得ようとすると手にする道具の良し悪しが解る。その道具の修理を行うとなると、道具の素性が解る。道具によって、作業効率や労力の多寡が異なってくる。そして、自分なりに工夫をして手を入れた道具には愛着が湧くものだ。
 その、山の恵みを頂くための道具類の使い方から修理方法についての充実したテキストが、此の森と暮らすNo.2「ノウハウ図解 山仕事の道具」だ。

 山で使う手道具、鉈、鋸、斧(よき)、とび、つる、から林業機械、チェーンソー、刈り払い機の取り扱い方法から上達法、そしてメンテナンスと修理方法までを網羅。鍛冶屋の智慧や鍛造について、鋼の見分け方、リサイクル屋での鉈、鋸、斧など古道具の買い方まで書いてある。熱可塑性樹脂カイデックスを使った鉈の鞘、道具類の鞘作りも詳しく記載。
 他にもロープの固定と解放、滑車やチルホールなどの牽引道具、木に登るためのぶり縄の固定の仕方なども写真、図入りで説明。伐木、チェーンソーワークの基本。林内作業車から高性能林業機械、軽トラにトレーラーを接続しての材の搬出、四輪バギーでの林内の見回りなどについて。森での作業着から山の作業小屋(庵作り)についても記載。

 安全面では、森での危険な生物の知識から熱中症などについてうっかりミス予防やチェーンソーなどの振動予防について。応急手当や、作業前後の身体のほぐしなどについても書かれている。※下記に目次あり
 其のどれもが、農的暮らしや自給自足的生活に於いて必要なものばかり。林業専門家の入門編に位置づけられる本なので具体的な例が多い。此等の道具類を使っている人は多いが、基本的なことを理解せずに自己流で作業を行っているケースがある。
 発行元の(社)全国林業改良普及協会は、林業のプロ相手の書籍を発行して55年。現場での智慧とノウハウに基づく内容になっているので、一般アウトドア書籍とはひと味も二味も違う。

 都会からIターン、Uターンして、田舎暮らしを始める方、自給自足的智慧に興味のある方は、1冊持っておいて損のない本だと思う。勿論、林業に携わっている方でも、新しい発見があったり、またご自身の仕事の素晴らしさを再確認することになるかも知れない。サイト管理者:高澤 拝`08/6/11

 

 うちの鉄鋳物カマドと斧(ヨキ)が載っている表紙

   愛用の手道具

1.書店に並ばない良書:

1)【紹介の理由】
 本書は、IターンやUターンで田舎に戻った山主の方々や、また此から林業に携わることになった方々向けに、実践的ノウハウを伝えるためのものであるが、その内容はそういった林業の専門家だけでなく、自給的田舎暮らしを実践している方々や、さらに一歩踏み込んだ自然派志向の方々には当に打って付けの参考図書になるものと思われる。そしてこの様な山での作業、道具や安全に関する智慧は、大災害時の我々一般市民の自衛の智慧にも通ずるはず。
 でも、此の本は、一般書店には並ばないのが残念。全国の林業関係の事業体や地方自治体などの会員向けの本なのだ(下記に購入の仕方を転記)。

 当サイトの「手打ち鉈他、造林用の良い道具類を手に入れる`01/」で紹介している“鍋屋金物店”さんの事もしっかり書いた。130年の歴史をもつ鍋屋さんは、`07年末で廃業したけれど、その廃業記念にと鍋屋のオヤジさんに言ったら笑っていた。
 道具類に関する蔵書を沢山持っており、街の共有林の保全もやってきたオヤジさんも、此の本を大絶賛。どのページを開いても役に立つことが書いてあるし、書き方が偉そうでなくて、語り掛ける様なのが良いとのこと。

 もし、書店に平積みにしてあったら、絶対手にとって買うよね、自分だったら・・・ 中身濃いもの。今は情報を寄せ集めてリライトしただけのような本が多いから、本離れの悪循環の要因になっていると思うけど、賢くなった読者層には、此の手の本を求めている人達は少なからず居るはず。また、Webでは、これだけ質の高い情報は集められないから尚更だ。

 実は何年か前にも2回ほど記事を書いている。その時は、“農”の方の売れている雑誌、“現代農業誌”の別冊だった。現代農業誌は農をやっている人は勿論、農的暮らしや自然の中での暮らし全体に関わる記事が、此の別冊には多く盛り込まれている。自分も愛読者だ。
 此の現代農業別冊は、「ノウハウ図解山仕事の道具」とともに、田舎暮らしや農的に暮らす方々へは絶対にお薦め。どちらも実体験の話し、智慧の話しが盛り沢山だ。
 その時の記事は半農半Xなどについてだが、編集長のKさんが、当初4000文字と言ってきたところを、1万何千文字もの文章をメイルで送りつけた。一回目も多少カットされただけ。二回目は、偉い先生の記事を落としてわたしの記事を載せてくれた。
 別に原稿料を稼ごうなんてせこい意図は無いけれど、書きたいこと伝えたいことが沢山ある性分なので、途中で切ったり抜いたり出来ないような文章にして提出する編集者泣かせの質の悪い素人だったのだ。今回は全林協編集部のMさんが被害者。ゴメンナサイである。でも、最終的には喜んでいただいて居るみたいだから偶にはそんなのもありということで、良いでしょ?

 そして、当サイトの鍛冶屋関連や山や農の道具類のページ観に来る人だったら、絶対にお求めになるはずと思って此処に紹介する次第である。目次と内容は、3項の“本の内容”に書いたので詳しくはそちらをご覧頂きたい。

 尤も、うちのサイトにアクセスする人は多くないからあまり営業にはならないと思うけど、それでも別ページで紹介している鍋屋さんには内容を観て、遠くから来る人が居たり全国から問い合わせがあって、結構売れたらしいから、アクセス総数からみたら契約率は高いのかも知れない。

 って、此のサイトは商用サイトじゃないけどね。勝手に紹介しているだけ。でもその紹介している好きな人達が幸せな気分になれたら嬉しいじゃないですか。後は手に入れた気に入ったものをちょっと自慢しているという傾向はあるかも知れない。ま、それで色々紹介しているということでして・・・
 それに、情報は只だと思っている人達が多いけれど、発信者が自腹切って労や犠牲を払って得た智慧や経験をWebでシェアして居ることに対して、自分達の大事なお金を使ってくれる人が居ることも有り難いと思う。只のものは其れなりにしか扱わないですものね。

 今更ながら、世の中が荒れているからこそ、良いご縁、ネットワークが大事だと思う今日この頃なのだ。此の本を購入して良かったら他の人にも薦めてやって下さいな。其れが質の高い情報を分かち合って、互いによい世界を作っていく姿勢に繋がると思いますから・・・
 結局、世の中って何処かで繋がっているから、みんなが幸せにならなければ、自分も幸せになれないのよ。一時的な幸せじゃなくてね、人生通してということ。わかったぁ?

 えっ?それにしても、随分と力が入ったこんなWebページを作るじゃないかって? え〜っと、それはですね。実はわたしも記事を書かせて貰ったからです。それも290ページ位の本の内、全部で70ページくらい書かせて貰った。だからです。はい。
 一応、私の名前も載っている。高澤 弘明:「心の自給自足が目標。よって生活要素の自給率アップも重視。因みに道具マニアではない。」、と、なっている

 例によって頭の悪そうな私のゴチャゴチャした冗長な文章(うちのサイトをブラウズしている人はご存じの通り、文法もおかしく、てにをはの使い方も変なのは学校でサボっていた報いね。だから文章の練習がてら長文のページを書きまくっているわけだけど...)は、編集者の方の手によって昇華され、かなり賢そうなスッキリした文章に変わっている。それにしても、ですます調の文章は書きにくかった。。。
 もっとも、この原稿を書いていたときは、当初40度の高熱が出て、其の後は21日間ずーっと熱を出して寝たり起きたりの状態だった。その間に四日間とか二日間とか二回も断食をしてしまったし、歯槽膿漏を併発してろくに食べられなかったので、正しく修行状態だった。そのあとの月もフラフラしながら、手道具の修理修復の作業を行い写真撮りを済ませた。其の画像も400枚くらいは撮っただろう。丁度自分の本業で大きな仕事が一段落した後、2ヶ月以上も体調不良の中で、もの作りと写真撮りなどの実作業と原稿書きに集中できた。

 そんな状態で作った原稿なので、果たしてどんなことになるのやら心配だったが、流石にプロは違いますね。上手に編集して下さった。元の原稿は掲載された分の3倍以上はあったはず。熱に浮かされて、嫁に注意されながら明け方近くまで書いていたり、寒い中を外で作業していた。逆に熱があって意識が飛んでいたからそんなに夢中で作業したのだと思う。
 なんと言っても、当初から原稿料の話なんて幾らだと聞きもしなかったし、原稿の文字数も四千文字と写真が入ったものを2点くらいということだったからね。一体何文字書いたのかはいまだに解らない。ボツになったらWebに載せればいいや、などと後先考えずに書きまくった。その中から本の編集にあった部分だけ、そして出来る限り短くと言うことで掲載された内容になった(カットになった部分だけで小冊子以上のものが出きるけど、其の部分は一般の方々に森林の仕組みや山の保全や社会の在り方などに関して深く理解して貰うための内容だったので、今回の本には確かに必要なかった。でも、その内容は智慧に関わる部分なので、また何処かでアウトプットしたいと思っている)。全部で6ページくらいの予定だったものが70ページ位の原稿になったわけ。当初の方針から外れた、そんな大量の原稿を通した編集の方は偉い!
 原稿料? とても、やった作業量と内容から考えたら・・・なので、親切な編集部のM氏は、原稿料+に足りない分は物納ということで出来上がった本書を沢山くださった。やっぱり、自給を目指すからには、物々交換、対価交換方式ですかっ!

 

2)【本書発行のバックグラウンド】
 さて、発行元の全林協(社団法人・全国林業改良普及協会)さんは、林家(林業家)や森林組合など林業事業体、自治体の林務関係向けの専門書籍、森林保全のパンフレットなど、また、月刊誌である「現代林業」、「林業新知識」を出版している公益法人。

 本ページのお薦めである、森と暮らすNo.2「ノウハウ図解山仕事の道具」は、3年間ほど掛けて6冊出版されるというシリーズ中の2番目の本になる。林野庁の補助金事業だそうだ。
・No.1:山の資産管理術(既刊)
・No.2:ノウハウ図解山仕事の道具(本書)
・No.3:森から収入を得る-林業経営・特産経営(予定)
・No.4:森の自給を楽しむ-自給林業ガイド(予定)
・No.5:森を楽しむ-あそび方ガイド(予定)
・No.6:森の環境をつくる-保護、防災、景観(予定)

 以上の6冊になる予定だそうだ。No.1の山の資産管理術は、親が山を持っていたが、自分は街に出てしまって、一体我が家の山が何処から何処までか調べようが無いという人達が、持ち山のエリアをどの様に調べるのかという手だてから始まって、山でのパートナー作りや師匠を見付けること、また森林経営については管理法から補助金制度から融資、税務から法務まで書かれている。詳しくは、社団法人・全国林業改良普及協会(全林協)書籍についてのページから→森の情報館 http://www.ringyou.or.jp/

 たしかに、わたしの知り合いにも山は持っているけれど、何処から何処までだか歩いたことが無いとか、お父さんが亡くなってしまったから女だけで何も解らないし何もできないという人達が居るので、こういったケースが全国では沢山あるはず。

 我々のような山を持たない人間や、林業に携わらない人間には、関係の無いようなシリーズだと思うかも知れないが、でも今の世の中の状況からして一概にそうは言えないと思う。

 何故なら・・・

 


2.自給と自衛のための山の保全(山や森があってこその安定した生活と幸せ):

1)【都会生活と密接な関係にある山の森林】
 豊かな森を擁する山々は、空気と水の巨大な浄化システムである 。天候を安定化させるバッファ(緩衝地帯)としての機能を持っている様だ。それと同時に都市の電力供給も、実はこういった山の森の機能にも頼っていることもご存じだろう。
 例えば福島県と新潟県との境にある田子倉ダム。奥にある奥只見ダムに続いて日本第二の水量を誇るダムである。其のダムの水量が、夏のある時期の午後になるとスーッと減るのだそうだ。すると只見町の人は、そろそろ甲子園の高校野球の試合が始まったんだと解ると言う。つまり、新潟柏崎の原発だけでは、東京に送っている電力が足りなくなるので、田子倉ダムの水門を開いて発電を始めるのだそうだ。暑い東京で家に隠ってエアコンを点けてTV観戦する人が増えるだけでその位の違いが起こるということ。
 その水も福島と新潟の山奥にあるブナの原生林を初めとした木々と土壌の豊かな大自然のダムが有ってこそ、人工のダム貯水が安定出来るわけであって、都会の便利生活と豊かな原生林とが此だけ直結していることを理解している人はあまり居ないのではないか。

 先年、地震で柏崎の原発が停止した際には、関東に送る電力が足らなくなりそうだったので、那須塩原の奥にある使用禁止中だったら水力発電も待機していたという。辛うじて供給が足りたので使わないで済んだが、地震国日本での原発運用については様々な問題があるので今後も電力供給に関しては不安が残る。

 仮に大地震でライフラインが長期間ストップしたとすると、電力供給が来ないだけで、都会のマンションやオール電化住宅は電気が止まり、一切の生活に必要な機能もストップする。受水槽のタンクも機能しないから流しからトイレの水も出ない。調理もできない。セキュリティも機能しない。外に出れば、例えお金を持っていてもレジが動かない店では買い物も出来ない。当然、銀行の口座からお金もおろせないし、ガソリンスタンドの給油機も動かない。つまり遠くに移動もできなければ、水も手に入れられない、冷房も暖房もとれない状態になるわけだ。

 もう少し想像力を働かせてシミュレーションしてみよう。此が熱波が来ている夏だったら、郊外よりも数度気温が高く、その上、建て混んでいて風も流れない都会の住宅街でどうやって過ごすのだろうか。
 今の高気密住宅は電気があることが前提の造りになっている。エアコンが無ければ、暑さ寒さを凌げないのだ。ひさしは短く窓は大きい。部屋は独立していて風の抜けが悪い。伝統的な日本家屋は北にも大きな窓や廊下があって、風が吹き抜けるようになっていたのだが、今の住宅は曲がりくねった造りなので風が通らない上に北に窓もない場合がある。
 そして新建材と鉄骨の住宅は、夏の暑い日中に照り焼きにされると、熱が何時までも籠もっているので、明け方まで家中が暑かったりする。風が入れば未だ良いものの、熱帯夜で風が通らないときに、電気も止まってエアコン、扇風機が動かなければ、団扇だけではとても過ごせない。熱中症でダウンする人が出ても仕方がない住宅の造りなのである。

 これが冬場だったらどうなのだろう。鉄骨が多用された住宅は磁場が乱れているので、身体が熱を起こせない様なのだ。これは体験的に言える。ガスも電気も止まっていたら、あとは灯油ストーブだが、近年は持っている人も少ないし、灯油の供給も期待できない。薪ストーブ?ホームセンターで安く売っているほど流行になってきたが、高気密住宅では噴き戻しがあって、家の中が煙りだらけになるという。これもまた期待できない。

 つまり都市型の生活様式では電気が長期間ストップしたなら、早々に生活自体が成り立たなくなると言うわけだ。都会の電力供給は、他県に依存して遠方から電力を送って貰っている。何処の地域が被災して、電力供給のどのラインが残るかに依って状況は変化するのだ。

 そしてまた、初めに書いた“山は天候を安定化させるバッファ(緩衝地帯)としての機能”だが、近年の降雨の状況は局地的に集中して豪雨が起こるケースが多い。以前にも新宿近辺だけ集中豪雨が起こり、アスファルトの上を一気に流れた濁流がビルの地下に流れ込んで、中にいた方が溺死した事故があった。そういった地域的な天候異変が起きるのが近年の異常気象の出方である。当地でも、自分の方は日射しも見えているのに、尾根の向こうは真っ黒い雲が覆い被さり、道路下の下水管から水が溢れて辺り一面がプールのようになったということもある。これも、水を吸い込む地面が無くなったこと、そして森林が減ったことと共に温まった都市からの上昇気流などの関連に依るものであるのだろう。
 都市集中型の市場経済に流された生活形態だと根本的な因果法則が何も見えなくなってしまうが、都市生活の基本的安定性について、実はこういった山の森の機能にも大きく頼っているのだと思う。
 

2)【農的生活とは、密接な関係にある山の森林、そして都市への食糧供給へ】
 自然と共に暮らそうと思ったら山と木々があってこそ。レベルの高い自然農を行うにも、ミネラルが多い栄養豊かな水が森から湧き出ていてこそ。海の生物も川から流れ込む栄養によって生態系が保たれているという。天候異変や自然災害が増大している現代に於いて、 ますます自然が持っている機能や大事さが我々一般市民にも理解できるようになってきた。
 木々の炭酸同化作用と水を循環させる機能と共に、その土壌に生命活動を展開する微生物から菌類、昆虫達の力があってこそ腐葉土が豊かな土となることで機能している(実は、人間の身体もビタミンとかミネラルなどの栄養素だけでなく、身体中の微生物が活性化してこそ生体が元気に機能しているのです。大自然も生命体も相似的に機能している)。

 ところが、原生林と言われる極相林を皆伐したことによって、地域の生活水が取水出来なくなったり、沢や川の水が激減したり、海岸縁の魚付き林の魚貝類が居なくなったり、また地域の気候まで変わってしまったりすることが多くの人の経験で解っている。皆伐してしまうと豊かな土壌まで流れ出してしまうので、元の森には戻らなくなってしまう。それなのに、住宅地造成やゴルフ場開発、工業団地誘致など、安易な営利活動によって森林は切り開かれ、逆に二次林は簡便なエネルギー利用源では無くなったために放って於かれ死に体となっている。

 日本の国土の70%弱が森林だそうだが、放ったらかされている里山と言われる二次林、そして手入れのされていない植林山などの広範囲の人工林がある。此等の森が健康にならないと、良い水を供給することも、また地域の天候の安定化などにも影響が出る可能性が高い。山が荒れていては農業にも影響が出るわけだから、都市生活者への食糧供給に於いても当然、影響が出るだろう。

 此の点については今頃になって身をもって体験し、そのことをやっと理解する人が増えたわけだ。此処暫くの話で言えば、中国から輸入した餃子事件があったり小麦の高騰などがあったりした。そんな事が何度もあったお陰で、食の安全性や食糧の確保についても、日頃の生活に流されて生きている一般の人達にも、やっと実感を持って問題意識が芽生えたというレベルになった。日本が駄目なら外国に頼ればよいという方法論は有り得ないのは分かり切っていることだったはず。
 そもそも、中国の奥地が砂漠化して、奥地から農業が駄目になっていることは何年も前から伝わっているし、そしてオーストラリアも旱魃で、農業用水を一切カットしたり、下水を浄化して飲み水にしている都市もある。その為に小麦が高騰したわけだ。みな、山が死んだり緑が無くなったから起きている異常気象から来る社会現象である。

 こういった事は、とっくに予想されていたことなのに、臭いものには蓋をしておく意識が強い日本人は、先々のことを予見していても見ないこと聞かないことにしてきたわけね。当サイトでは何度でも書いているけど、“痛い目に遭わなくとも解る人、痛い目に遭って解る人、痛い目に遭っても解らない人”、あなたはどれを選びますか?というわけだ。
 これは自分自身を“誤魔化さない能力”、真実を観る力(智慧の一つ:仏教では“明(めい)”という。其の反対は“無明”)があるかどうかだ。つまり想像力の問題だ。その想像力も自分のエゴの殻の中からだけ妄想する幼稚なレベルではなくて、視点を宇宙に持っていき自分自身も含めて俯瞰する意識の拡大と周波数変調の力を持った想像力である。何と共振し、自分自身をどの様に増幅させられるかが問題なのだ。つまらない欲を持って妄想すると、その欲を増幅する世界にしか波長が合わないから、そういった縁が展開し、繋がる世界や人々は同質の欲が強い人しか出会わない。そんな世界に於いて、赤信号、みんなで渡れば、とっても怖いのだ。縁は日頃認識しがたい自分自身の深層の部分、感情の歪みの部分を核に展開する。

 だからこそ、自分自身の感性か直感、身体意識というものを磨き、自分の奥深くから来る閃きを大切にしなければならない。特に社会が混沌としてきたときには、自分自身で責任を持つこと、自分の判断力を磨くことが大事だ。自給自足の基本的スタンスは、精神的な自立から始まる。その上での分かち合い、助け合いだ。自立する気持、自助努力のない依存しあいの意識レベルでは、単なる利用しあいでしかない。そういったスタンスでは、人生の振幅が大きくなるし安定性もないのが常である。だから他人や社会に対して不満や批判を述べているだけの人生に堕してしまうということ。おっとっと、またやってしまった。直ぐにそういった方向に話がずれてしまう。

 兎に角、山や森に心の波長を合わせてみて下さいな。泣いているのが解るでしょ。山や大地が、もう堪えられなくて身震いを始めているんですよ。樹が立ち枯れたり、表土が流れ出したり、渓谷が土砂で埋まったりしている。里に近いところでは、放ったらかされた山が鬱蒼となり、日が射し込まない為に、木々が細く生命力の無い状態になっている。敏感な人だったら解るだろうけど、そういった地帯は、気が澱んで重たくなり、不活性な状態になってしまっている。場のエネルギーが落ちてしまっているんだよね。ある意味、酸化環境になっていると言っても良いかも知れない。人の手が入って手入れされた森や林とは違って、生命力の無い不活性なエネルギー場になってしまっている。そんなところに入って行っても癒されない。逆に疲れるだけ。

 自分の本業の智慧を小出しにしてお教えするけど、そういった場所は環境の電気の状態がスタティック(静的)な状態でプラスイオン化(酸化)に傾いていると言えるのではないかと思う。酸化の先は腐敗、崩壊であるが、自然は自浄能力があるから崩壊までは行かないでしょうけれど。まず、土壌菌は環境の電気が励起(動的に活性化)した状態でないと元気が出ないみたいなのだ。これは人間でも同じで、腸内常在菌や体内の微生物も、身体の電気バランスが悪いと(皮膚にも電荷の分布があり、体内と体表でも電位差がある)働きも落ちるようである。
 そして、バイオフォトンと言われるように、微生物が活性化すると光を発すると言われている。だから、わたしは、活性化したフィールド、場の良いところとか、元気な人は、何故か明るく輝いているように見えるのだと思っている。林内も手入れをされて生きるものがバランスよく活性化していると明るく感じる。お日様が照っている照っていないとは関係がない。雰囲気が明るく軽い感じになるのだ。澱んでいる気も払拭される。これは部屋でも同じ、乱雑にものが置いてあり、掃除もされて居らず埃や塵が積もっていると気が澱む。気が澱んでいるところに長くいると、其処にいる人の意識も感覚も不活性になる。

 さて、人間を含め生体は微弱電流と電気を荷電したイオンのやりとりで作動している。大まかに言えば、栄養のやりとりだって、筋肉の動作だって、イオンと電流のインパルスによる。心臓の筋肉だって興奮すると数十ミリVの電気を発電しているのである。脳だって電気で動いているから、アルファ波とかベータ波という電荷変動の特定の周波数を発生しているわけね。食事する上で重要視されるミネラル分だって、つまりは金属イオンでしょ。身体の中の電気の授受に関わるから大事なのだろう。そういった体内の電気環境に依って微生物の働き具合が元気になって酵素を沢山生産できるかどうかに関わってくるはず。
 こういった電気のやりとり、イオンのやりとりは樹木や草花の光合成に於いても同じ様に起こっているようだ。電気的な切り口で光合成について観てみよう。
(※イオン:原子や分子がプラスやマイナスに電荷して不安定な状態になったものをいう。安定化するために、他の分子から電子を奪ったり、また与えたりする)

 わたしはあまり詳しいことは解らないので、科学雑誌ニュートンに丁度良い記事があるからその内容を要約してみる。

 光(フォトン:光子、別の言い方をすれば周波数の高い電磁波)が葉に当たると、植物細胞の中の葉緑体の中のチラコイド膜の受信アンテナが光を掴まえて興奮し励起する。その興奮(励起エネルギー)によって反応中枢の中の特別なクロロフィル不安定な状態になり、元に戻ろうとして電子を追い出す(光化学系2)。つまり光が当たって興奮すると電子を発生すると言うことだ。此等はナノレベルの世界に於いてタンパク質などが行う作業である。
 この葉緑体の中の空間をストロマと言い、水、イオン、タンパク質で満たされており、その中にあるチラコイドの更に内側をルーメンと言い、これまた同様に水、イオン、タンパク質で満たされている。その中で、光が電子に置き換えられて大量に発生する。
 その過程で、水分子を分解して酸素分子(O2)と水素イオン(H+)が出来る。此の水分子の分解の仕組みは今だ謎だそうだ。そして酸素は最終的に大気に放出され、電子と水素イオンは電子伝達系によって(銅イオンも介在)タンパク質複合体(光化学系1)に運び込まれる。其の後にATP合成酵素(世界最小の分子モーター)に送られ、このモーターは水分子の分解によって大量に発生した水素イオンで回転をする。そして酸素は空気中に放出されると言う原理だ。
 其のATPの回転により摩擦熱が生じ、其の蓄えられた熱エネルギーが、この後に、葉の気孔から吸い込んだ二酸化炭素CO2を葉緑体の中で電子と水素イオン、ATPを使ってデンプンを合成し作り出す元となるようだ?・・・大分端折って要約したけれど、光が葉の中で電子に変わって大量に移動する(電気というのは電子の流れ)ことによって、採り入れた二酸化炭素をデンプンにするという化学変化だ。
 ああ、大変!学校で頭を使わなかったので、これだけまとめるのにも時間が掛かってしまう。
 もっと詳しく知りたい人は、雑誌ニュートンの2008/4月号、「光合成 その仕組みとは?」CO2を吸収し、太陽光を使って地球のすべての生物を支えている、、、を買って読んで欲しい。もっと、詳しく難しく?書いてあると思う。

 そして同号のニュートンの45頁に書かれていること。“光合成は、地球の生命維持装置”植物は太陽光のエネルギーを使って光合成をし、養分をつくりだす。動物は植物を食べ、これらの遺骸は菌や細菌によって分解される。分解されたあとの物質の多くは、いずれ植物によって取りこまれる。こうして、光合成で取りこまれた炭素が循環する。植物が体内でつくる化合物には、炭素だけでなく酸素や窒素、硫黄なども含まれているため、これらの物質もそれぞれ循環する。光合成が止まれば、みずから養分をつくることのできない生物は生きていくことができない。光合成は、地球にくらす生物の命を維持しているのである。
 と書かれている。そして次の頁に、『年々増加する二酸化炭素を減らす方法は、今のところ光合成しかない』、『吸収しきれない分が大気に残り、温暖化の原因となる』と書かれている。

 あと、このニュートンには、光合成で作れらた養分は大地に染み込んで川に流れ込みという部分が、端折られていたが、其の養分を魚や動物プランクトンが吸収して、それを捕食者達が更に取りこみ循環して行くわけだ。その水が田畑に流れ込んで、其処にいるミクロの生命体を潤し、それが土壌を豊かにして土地が肥沃になるという循環もあるだろう。其処でできた作物を人間が頂くことになるわけだから、すべては光(フォトン)、葉の中で大量の電子を発生することから生命活動の基礎ができていくという言い方もできるかなと・・・

 此の、電気的な見方はわたしの個人的解釈だから、間違いがあったらゴメンね。でも、大まかには間違っていないと思うよ。

 何れにしても、林の中は手入れをしたり、材を間伐して利用して植生更新を図り、活性化した状態にしていないと、様々な生命活動が減少していくということになる。これは里山と言われる二次林や人工林についての話だ。
 これとは逆に、原生林と言われるブナ林を初めとした極相林といわれる状態の森林は、人間の手を入れるとバランスが崩れるそうだ。何千年も掛けてバランスを保った極相林は、林の進化過程の最終段階だそうだ。これ以上、変わらない安定化した状態なので、やたらに人の手を入れるとバランスが狂ってしまうという。

 つまり、手を掛けて維持しなければならない林を放ったらかしにしてバランスを崩し、手を入れてはいけない森林に手を入れてバランスを崩す、ということで、結果山が泣いているわけだ。

こういった説明は、昔の人達は言い伝えやたとえ話でその大事さを伝えてきたのだけど、人間が必要以上のパワーをもち、自分達を制御できなくなったところから、タブーを冒して森林が減ってしまい、その為に異常気象が起きてきているのでしょう。

 先に書いた、ナノの世界の不思議さや、私の電気的な切り口での説明などは、理屈ぽい人達(自分です)に納得させるために必要なだけであったり、または大きな他人のお金(税金ね)を政治的に動かす為に必要なのであって、実際に森の生命力や、大地からのメッセージを感じることが出来る人達だったら経験則や、感覚で解っていることなのだ。
 だから昔の人達は、言い換えて戒めていたのね。もしくは、実際、其処に神を感じていたのかも知れない。わたしは信仰はやっていないが、考え方が宗教的なために、前述の光合成の仕組みの不可思議な凄さを読むと、そこに人間以上の何かの存在を思ってしまう。自然界の仕組みに対しても、人間なぞ足下にも及ばない不可思議さを感じてしまう。古木や巨樹に神聖さや精を感じてしまうのだ。昔の人達は、森や山を研究したわけでもないし、理屈で山守を行ったのでもない。その中で糧を得ながら暮らしてきたのだから、人間の力以上のことを感じたときには畏怖して手を出さなかったのだろう。

 林業だって、農業だって漁業だって、どれもやること(行為、実作業)に力があるのであって、理論に力があるわけではないからね。昔みたいに、やること主体の人達(自然の中で生きている人)だったら、細かい理論や理屈は要らない。森や山や自然と交感出来る感性があればよい。大地の方から教えてくれるからだ。あとは代々積み重ねた経験則から演繹的にマクロの視点から考えれば、ミクロやナノの世界を知らなくとも、自然の法則から外れることはない。また、其の時々に起こる変動や突発的な出来事に対しては、日頃感覚を開いていておくこと、そして敏感に対応できる感性とともに実行力を持っているかどうかだ。
 故に、森や山を守る、山守はやること、実行することが中心にある。それ以外の理屈や理論は、付随的なものであり、サポートでしかない。だから林業の現場の人を大切にしたり、また現状手が足りないのだから、我々気付いた人が実際に森に入って行かなければならないわけ。わかる〜?
※こういった考え方は昔からの優れた職人の方々の智慧として伝統的に引き継がれていると思う。今回の本には主旨が違うので掲載されなかったが、元原稿にはこういった事の例をあげて書いてあったので、この様な頁にアクセスされた方の為におまけとして頁の最後に転記して於いた。ご興味がある方はご覧下さい。

 

3)【都市生活者にとっても自分達の山、森、林】
 以上の事に気付いた方々は、森林ボランティアなどを通して、山の保全に労力を提供したり、また山に入って汗をかくことで都市生活の論理を離れ、身体と心を癒している。やはり人は大地にアースをして、心の襞や身体に染みついた垢を浄化しないと豊かな精神生活を保ちにくいことが実感として理解できるようになったのだろう。
 故に市民レベルでも荒れ果てた此等の山の再生活動が活発になってきている。また、自治体では材にならない植林の山を択伐して広葉樹などに植え替え、小動物なども住める混交林の山にしていこうとしているところもある。そうすれば、山の土壌も豊かになるし、有る樹種が病気や風雪害によって枯れたとしても他の種類の木が根を張って土壌を守るから林の再生が出来るわけだ。其れが単層林だと何かの害にあった遭った時に一気にダメイジを受けて、表土が流れ出すところまで行ってしまうと元のような林に戻るのには100年やそこいらではきかないと言われているのだ。

 自分も街場に育って、野山は好きで遊び回っていたけれど、山の緑はみな同じだとしか思っていなかった。ところが山に入って知れば知るほど、大自然の不思議さに頭が下がる想いになる。そして、植生が豊かな山の中にいると元気になるのが解るし、精が強い山の恵みを頂いて食べると身体が活性化するのを感じる。そして、炭や薪で暖をとると身体の芯まで温まる。同様に調理に使うと食べ物が更に美味しいことを実感する。住環境や調理器具などは、こういった不思議さを解析して其れに近づこうとしている後追いのテクノロジーである。でも、昔から自然とともに共生してきた日本の生活には当たり前のことだったのだ。そして心は豊かで気持に余裕があり他人のことを思いやることが出来る精神生活だった。果たしてどちらが幸せだったのだろう。

 ただ、昔は食べること生き延びることに重きが置かれていたので、現代の蘇生的なテクノロジーを加えて、新旧混交のテクノロジーの下に生活を構築していけばよりレベルの高いバランスポイントが見付かるかも知れない。例えば、郊外での生活なら、昔ながらの日本家屋の方が断然住み易いが冬場が寒い。その点に於いては現代の住宅技術を組み合わせたり、また薪ストーブ、床暖房を導入するなどで解決している人達は多い。そして床暖房も生の銅パイプだったら自分達で敷設出来るし、熱源はガスや薪のハイブリッドなども工夫することが出来るから器用な人達には自分達の手で構築できるものである。銅のハンダ付け、ロウ付けなどはさほど難しいものではない。あとは、流す水のスケール対策と、断熱材蓄熱材の組合せ、そしてメンテナンス性の確保である。そう言った点に於いても自分の手で色々やろうとする人達にとって楽しい自給生活へのチャレンジとなる。そしてその点に於いても木と山は切り離せない。
 自分達で山に小屋を建てようとしている人達なら、まずは小さいレベルで、こういった床暖房やオンドルなどの導入を試してみるのは如何だろうか。自分達で工夫したり改造したりメンテナンス出来る住処というのも大事な要素だろう。

 これからの時代は、単なる登山などで山に入るだけでなく、市民一人一人が手と身体を使って山を保全する事にレベルを上げていけたらよいと願う。また、早くそうしないと、日本の山は不健康な状態を更に加速してしまうであろう。そうなってしまうと、都市生活も不安定なものになってしまう可能性が高い。例え色々なテクノロジーが進化したとしても、本当に高度な未来社会というものは、都市機能の中心部のみコンクリートに囲まれているだけで、あとは緑や山に囲まれた中で景色にバランス良く溶け込むデザインの素敵な家屋が点在する方が望ましいだろうと思う。
 さて、その前段階としてステップを踏んで進化させていかなければならないが、まず現状として、大きくは国や自治体が主導で行う森林ボランティアがあるが、市民レベルでは、放ったらかしになっている個人の持ち山を、その持ち主と縁ある人達のネットワークで、みなで山を生き返らせることが出来たら素晴らしいだろう。
 其れには、“自給”、“自衛”、“手道具”というキーワードがブレークスルーポイントになるように思えるが、皆様如何お考えになるだろうか。

 


 良い刃物の見分け方などについても書いた。

3.本の内容:
1)【書名】
 森と暮らすNo.2 ノウハウ図解 山仕事の道具
 定価 1,890円 (本体1,800円)
 ISBN 978-4-88138-203-5
 体裁 A5判 ソフトカバー 292頁

2)【可成り内容濃く役立つ記事、、、です!】
 下記は、“森と暮らすNo.2 ノウハウ図解 山仕事の道具”の目次である。編集者の方から、大見出し小見出し全部貰ったので載せてみた。その中で、青文字になっている部分が、私が書かせて貰ったパートだ。また、右側の画像の背景色が、黄色になっているものは記事に載せたものとその内容説明である。
 一章の道具の楽しみは、本サイトの鍛冶屋関連や、古道具類、リサイクル屋巡りに通ずるものだけど、更に深い智慧や、違った切り口での内容になっている。また、三章 道具の簡単修理では、古い道具類のレストアや刃が欠けた刃物類の修理の行い方を詳しく書いて於いた。此等の修理の際にはディスクグラインダーを使うのだが、失敗すると熱が入ってしまい鋼が駄目になってしまう。その注意点や作業の進め方などを詳しく書いた。
 そして、“コラム 自分で作る鞘―熱可塑性樹脂カイデックスで作る”は、コラムとは言いつつも10ページに亘って、鉈や鎌、斧などをはじめ、道具類の鞘(シース)を熱可塑性樹脂カイデックスで作る方法を詳しく書いた。カイデックスの鞘(シース)シース作りは、別ページ(東京マタギ、ナイフメーキング教室?`06/3)の東京マタギの深瀬校長※(注:下記)に教わったものだ。その他の道具類に関してのノウハウや鍛冶については、小山製作所の小山氏、鍋屋金物店のオヤジさん、そして高尾天神社の宮司であり大工の串田氏に教わった。他には、Webで智慧や経験をシェアして下さっている方々のページを参考にしたり、書籍で確認したりさせて貰った。皆様に感謝!
 これらの手道具を扱う人で、その修理方法や日頃のメンテナンス方法を教えてくれる人が側に居ない場合には、絶対に此の内容は役に立つはず。そもそも、鉈や山の道具類に、このカイデックスで鞘を作るなんて記事自体も初めてだろう。うちのサイトで書かずに本に書いたのは、ま、ご縁ですな。そもそも、全林協さんの本はプロの林業者や山での作業をする人達が対象だから、確実に役に立つことがあるだろうと、思いっ切り書かせて貰ったのだ。
 というわけで、本当にこれらの情報が欲しい人は本を買って下さいな(沢山売れたって私に印税なんて入らないから強くお薦めする理由はそういった事ではない)。

※注:東京マタギの深瀬信夫氏・沢登り、源流遡行、大イワナ釣り、深山での生活術、山菜キノコ、木の実採りなどの講習会主催、山岳渓流ガイドが職業。その詳しいことは当サイト内の他のページに色々書いてあるので興味ある方は、そちらをご覧になるか、東京マタギのオフィシャルWebサイトをご覧になって下さい。また、JKG(ジャパンナイフギルド)に所属するナイフメーカである。道具は自分で工夫して作ってしまう人。
 沢登りには、山に入る人達の安全確保技術、生活術の全てが凝縮されている。手に入れられる近年の本としては、山と渓谷社刊 登山技術全書4「沢登り」中村成勝編・写真 深瀬信夫・宗像兵一著 1800円+taxがある。濡れた滑りやすいシチュエーションでのザイルワークや登攀技術は、山奥に入る全ての人に役に立つだろう。また、細引きロープ(スリング)の使い方を知っているだけで、太いロープ(ザイル)と組み合わせて飛躍的に安全性を高める。昔はロープだけで下降する肩絡み懸垂とか和式懸垂などの方法があったが、バックアップ(保険)に細引きロープでプルージック結びなどを使えば更に安全に下降できる。また登攀時にも同じである。カラビナやハーネスなどの登攀器具が例え無くとも、足場が確保できる場所なら細引きロープがあるだけでも全然違う。

 `08/7/15日発売の、山と渓谷8月号「沢旅へのいざない」の記事の中、「渓谷での生活術」として「焚き火」と「沢での料理」、「 ゴルジュ突破用の秘密兵器:右写真」を掲載予定。
 焚き火は、雨中での焚き火や飯炊きのポイント、後始末などについて。料理は沢ならではの現地調達の料理。そして、両側が切り立った岩の底に流れる渓谷を泳いで遡るための道具についての記事になる様子。
 右写真の、その秘密兵器には、深瀬氏から教わり「ノウハウ図解 山仕事の道具」に書かせて貰った熱可塑性樹脂カイデックスで作るシース(鞘)も使われている。
 沢登りに於いて期間が長きに亘る場合は、自給率を高くして調味料や米、酒以外は現地調達になる。また、そのザイルワーク(ロープ類の扱い)は、山菜キノコ採りの安全確保技術にもなる。安全確保も自給自足のノウハウの一つである。

3)【目次】
 目次は以下の様になります。

口絵 拝見! 愛用の道具

 リサイクル屋での買い方。手に入れた山道具の紹介など。
 造林鎌や除伐鎌の棒(柄)のすげ替え方法についても書いた。

打ってよし、引いてよしの鉈
一刀両断の枝打ち鎌
ブランドを支える枝打ち鉈
山の楽しさを伝える鉈鞘

道具編

一章 道具の楽しみ

☆手道具から感じる知恵
 ・里山再生ブレークスルーは手道具で
 ・山への敷居を低くする手道具
☆道具は工夫して使う
 ・プロの道具の手入れに学ぶ
 ・楽こそものの上手なれ
 ・道具の切れ味が作業を楽にする
 ・道具の使い手の知恵 
 ・道具の修理法を身につけよう

 手道具の修理についても可成りのページ数を書いた。刃が欠けた下刈り鎌をディスクグラインダーを使って、熱で焼き鈍さずに楽に直すワンランク上の修理方法についても披露。

☆よい道具の条件
 ・生の知恵や話に触れよう
 ・切れ味が長持ちし、研ぎやすい
 ・刃物の鋼を見る
コラム 鍛造の不思議
 ・刃物に使われている鋼
 ・鍛冶屋の腕と薄い鋼 
☆見つける楽しみ
 ・どこで手道具を見つけるか
 ・鍛冶屋
 ・鋸鍛冶
 ・金物屋
 ・鍛冶屋さんの道具には愛着が湧くが……
 ・古道具探し―リサイクル屋、古道具屋、知り合いの蔵や倉庫
 ・古道具の買い方
☆道具と安全
 ・素人こそよい道具を使おう
 ・愛着ある道具を使うことが安全につながる
 ・なんでも楽しめる気持ちは安全の守り神
 ・山への感謝の気持ちで安全につなげる
 ・道具を研ぐ―自分の感覚を磨く 

 

二章 手道具

☆鉈は山仕事の基本となる手道具
☆長年林業をやってきた人の鉈
 ・枝打ちの高さ18〜22m
 ・実直な山仕事 
 ・サラリーマンでも1億円林業
☆鉈の構造 
 ・鉈の形、構造、断面 
☆鉈の使い方
 ・鉈は3本の指で握ります
 ・刃物が切れる角度 

☆枝打ち鉈のいろいろ 
☆半両の枝打ち鉈 
 ・林業地の歴史をつなぐ枝打ち鉈 
☆鉈の研ぎ方 
 ・砥石の当たり具合を意識して研ぐ 
☆いろいろな鎌
☆鎌の研ぎ方 
☆樹皮を切る廻鎌 
 ・「立ち枯らし間伐」に使う鎌 
☆繊細さと力強さを持つ鋸 
☆水入りの枝打ち鋸のケース 
☆鋸の構造
☆鋸の手入れ
☆ヨキ
 ・「割る」「切る」「打つ」
☆枝打ち斧
☆苗の植栽に使う唐鍬
 ・地形や土地によってさまざまな形
☆木材を楽に動かす「とび」と「つる」
 ・「チョンがけ」がとびの命 
☆とび・つるの現場 
 ・丸太の扱いには欠かせない

 熱可塑性樹脂カイデックスを使っての鞘作りは10ページに亘って詳しく書いた。簡単なものは、鋏とキリとガスレンジがあれば作れる。
 鳶口が付いた鉈や、鎌形の鉈は鞘に困る。それら不定形の鉈と、腰鋸を一緒に挿せる二丁差しのケースをカイデックスで作った。その上、上げ鞘、下げ鞘のどちらの向きでも入れられる画期的なもの。多分、おそらく、メイビ、日本で此ひとつだろう。
 他にも除伐鎌の鞘もカイデックスで作った。

☆伐倒補助具のいろいろ
 ・フェリングレバーの活用 
 ・シートベルトを活用し、かかり木処理 
☆ロープの種類(繊維ロープ)
 ・いろいろな場面で使える道具 
☆コラム ロープワーク
 ・ロープの結び方
 ・ロープの固定と開放
☆滑車  
 ・動滑車(スナッチ)として使えば大きな力が得られる 
 ・かかり木処理に登山用具の滑車を活用 
☆牽引の道具 
 ・伐倒方向の誘導やかかり木処理に役立つチルホール
☆木に登るための道具 
 ・地形や土地によってさまざまな形 
☆ぶり縄 
☆枝打ち工具 
 ・素人としての発想と蓄積を生かして開発
☆密度管理竿を使った調査 
 ・鋸谷式間伐の測量道具として
 

 

三章 道具の簡単修理、修復

☆道具を修理、修復で甦らせる
 ・貴重な鋼材で作られた道具を大事に使う
 ・注意!−ディスクグラインダーの刃物への当て方 
☆傷んだ口金を直す 
☆柄(棒)を挿げ替える 
☆柄の挿げ替え方 
 ・1 口金はしっかりと奥まで入れる
 ・2 目釘を打つ
 ・柄の挿げ替え方
☆斧の柄をしっかりと入れるコツー櫃(ひつ)に棒を差し込むタイプ 
 ・楔(くさび)が肝要
☆櫃に柄(棒)を入れる方法
☆砥石の整形−コンクリート板を使う
 ・砥石の面を平らにする
 ・“楽々鎌用砥石”をつくる−湾曲の度合いが強い鎌用 
☆大きく欠けた刃の整形 
☆鎌の刃を直す 
 ・ディスクグラインダーの研削では刃の焼き鈍しに要注意!!
 
・鎌の刃をディスクグラインダーで整形する方法
☆鉈の刃を整形する
☆コラム 自分で作る鞘―熱可塑性樹脂カイデックスで作る
 ・道具の形にピッタリした鞘がつくれる 
 ・水を含まず、剛性も高く、加工しやすい
 ・カイデックスで鞘づくり 
 ・使い勝手のよい鞘づくりのをお楽しみください 

 

四章 林業機械

☆チェーンソーを使う 
 ・チェーンソーは山仕事に欠かせない道具 
 ・チェーンソー操作の上達法 
☆チェーンソーの取り扱い
 ・チェーンソーの構造 
 ・小型軽量で高出力のエンジン 

 ・決められた比率の混合ガソリンを使う 
 ・使用者を守る安全装置 
 ・チェーンソーを長く使い続けるために 
☆チェーンソーの変遷 
 ・安全で、環境に配慮されたものへ
☆ソーチェーンの構造 
 ・三つのパーツで構成されたソーチェーン
☆ソーチェーンの目立て
 ・丸ヤスリで均一に刃に角度を付ける 
☆ソーチエーンの目立て補助器具や装置
☆コラム 女性だからこそチェーンソー 
☆チェーンソーを運ぶ  (大見出し)
 ・チェーンソーの背負子「ソーかるい」 
 ・おしゃれなチェーンソーバッグ  (小見出し)
☆コラム チェーンソーでつくるランプシェード 
 ・人々に木の魅力を伝えたい 
☆コラム チェーンソーアートで木の魅力を伝える
 ・豪快でスピーディーなパフォーマンス 
☆刈払機―現場に合わせた刈刃を使う 
☆コラム 刈り刃の目立て
 ・勘ではなく機械的に刃先を揃える
☆刈払機の使用の注意点 
 ・眼鏡は必ずかける
 ・操作桿の振動に注意 
☆刈払機の保管 
 ・保管するときはオイルを抜く
 ・刈払機は肥料と相性が悪い 
☆コラム チェーンソー・刈払機の修理 
 ・燃料系統を中心に整備を
 ・エンジンの不調はキヤブレターの調整を
 ・刈払機の点検
 ・買い替えの目安と修理の依頼先 
☆林内作業車を活用する 
 ・間伐材を自分で搬出 
☆高性能林業機械の普及 
☆林業機械を活用して自分の山は自分で守る 
☆小型ウインチで搬出 
☆コラム GPSを森林管理に生かす
 ・GPSとは 
 ・携帯GPSでこんなことができる
 ・携帯GPSとパソコンを使ってできること
☆携帯GPS使用についての注意点
 ・携帯GPSの利点 
 ・携帯GPSの弱点 
 ・携帯GPS使用についての注意点 

 

 

五章 乗り物

☆軽トラック―山の必需品 
☆軽トラックを活用した集材機 
☆軽トラックを活用したトレーラー 
☆荷台に道具を収納する 
☆四輪バギーで所有林を見回る 
☆モノレールで移動する 
☆コラム ヤエン(野猿)で間伐材を運ぶ 

 

六章 森の作業着

☆山に持っていく基本装備 
☆森へ行く服装 
 ・快適で好みにあった服装を 
☆機能にデザイン性も加わったヘルメット
 ・装着品でより便利に 
☆メガネ(ゴーグル)のいろいろ
 ・着用を習慣づけよう 
☆足元の準備 
 ・地形や天候で履き分けよう 
 ・地下足袋 
 ・安全靴 
 ・長靴 
☆雨対策 
 ・快適なカッパの着用 
☆コラム 枝打ち師の服装 

 

七章 山の作業小屋(庵)をつくろう

☆夫婦二人の作業小屋 
 ・「北平一恵の森」の拠点 
 ・四季を楽しむ 
☆休憩所−山の別荘 
☆曲がり木を生かした丸太小屋 
 ・仲間と建てた作業小屋が評判に 
☆老春の森の愛林小屋 
 ・第二の人生は森づくりに 
 山全体が教室 
☆焚き火の場所・山の作法 
 ・焚き火は冬の現場での楽しい思い出 
☆コラム 同じ竈の飯 
 ・山の恵みの味を引き立てる―鋳物竃 
 ・竃で薪を使って炊き、食べ、身体で森を理解する 
☆フォト チェーンソーワークの基本
☆チェーンソーワークの基本姿勢 
☆平地で丸太を使用した伐木のトレーニング 
☆チェーンソーエンジンの始動とアクセル操作 

 

安全編

八章 森であなたを守る知識

☆山仕事の環境 
 ・傾斜地での作業は足元が不安定 
 ・天候に左右される 
 ・危険な動植物が存在する 

 鉄鋳物の竈は、バラして組み直せば可搬性がある。山に畑に。  薪を使った調理は兎に角美味しい。火力も強く、燃料代はただ!

☆夏の作業で注意したいこと 
 ・水分補給とこまめな休憩を 
☆熱中症に注意 
 ・日射病と熱射病 
 ・熱疲労 
 ・疲労、睡眠不足、水分摂取不足などが招く
☆山の危険生物を知る
 ・ハチ 
 ・マムシ 
 ・ケムシ類 
 ・ツツガムシ 
 ・ウルシ類
 ・ノイバラやススキの仲間 
 ・毒のある植物・きのこ 
☆気をつけたい作業―データに見る山仕事の災害 
 ・災害発生が多いかかり木処理作業 
☆うっかりミスを防ぐには 
 ・うっかりミスと人間の意識レベル 
 ・危険予知訓練―KYT 
☆振動障害を予防する 
 ・チェーンソーの予防対策 
 ・刈払機の予防対策 
☆安全な服装 
 ・安全な山仕事のために 
 ・チェーンソーから身を守
☆装備が身を助ける
 ・ヘルメット―枝打ち 
 ・安全ズボン 

☆ハチ対策の服装 
 ・防蜂網で命を守る 
☆ハチアレルギーの症状を緩和する薬
☆事故や怪我への備え 
 ・パートナーとともに 
 ・山の救急箱 
 ・緊急の連絡体系 
 ・救急・救命講習 
☆応急手当て―人が倒れたら
 ・人が倒れたら 
 ・応急手当―止血法 

 

九章 安全に活動するために

☆森での体ほぐし―作業前 
☆森での体ほぐし―作業後 
☆作業のすすめ方 
☆安全に対するチェック 
☆かかり木の処理 
 ・かかり木のツルをはずす 
☆かかり木の事故の事例 
☆チェーンソーの講習を受けよう
 ・講習の内容 

以上


4.全林協さんの出版物:
 全林協さんでは、以下の出版物の他、林業関連の書籍を多数発行されている。詳しくは下記のオフィシャルWebサイトをご覧あれ。

 全林協さんが発行する書籍は、全て実用的なもの。プロの林業者や山主さん達が会員だから、専門的な内容が多い。
 しかし、森林ボランティアや山の保全のNPOが増えているので、間口は拡がっている。林業も転換期である認識は高いが、此からはどうやって一般市民を、山の保全の実作業に参加する気持にさせるかが要だと思う。

 天候異常が多い現代に於いて、自給と自衛は同義を持つ部分が強くなるはず。山の智慧は、自給の智慧でもある。
 もっと、小規模で良いから、一般の人間が参入しやすい技術と道具へ、平易に噛み砕いて欲しいとお願い中。

 山を借りて、その現場の周りの木で、手道具を使って作業小屋を建てるくらいの事が出来るようになれば、ますます山での保全作業が面白くなると思う。
 また、薪を使って調理する、石窯や竈などで、その美味しさを味わえば、山が身近に感じられるだろう。


 社団法人・全国林業改良普及協会(全林協)http://www.ringyou.or.jp/

 本の購入は、このオフィシャルサイトのページ内にある「森の書店」から出来る。

サイト内には、下記の関連サイト他、林業に関係するリンクが全て紹介されている。

[関連サイト]
☆web サイト「山村起業」 www.sansonkigyou.net
*8人の「山村起業家」のブログを連載中!
☆弊会書籍について→森の情報館http://www.ringyou.or.jp/
☆夢のある森林経営を考える→【rinka】http://www.rinka.info/
* 森の書店
* フォレスターネットhttp://www.foresternet.jp/

 


 
 

5.全林協さん:

 先日、都会の町中にある全林協さんへ打ち合わせに行ってきた。住所を見ていてそうかなとは思っていたのだが、官公庁街のど真ん中だった。地下鉄の国会議事堂前駅で降りて、首相官邸を横に見ながら坂を下っていった先だ。

 ビル1階のエントランスの案内板を見ると、農林水産関連の団体や大手企業の事務所などが沢山入っている。目を惹くのは、(社)責任あるまぐろ漁業推進機構とか、(社)本州鮭鱒増殖振興会、(社)全国さんま漁業協会、(社)全国大型いかつり漁業協会などだ。どうも食べ物は魚が好きなもので、そういったところに目がいってしまう。

 ところが! 名前を追っていって気がついた。「あれ? (株)山と渓谷社って、このビルの中にあるんだ!」。そういえば、山岳雑誌、山渓の住所欄に三会堂ビルと表記があったような気がする。そして家に戻って調べたら、やはりそうだった。

 あの、登山関連の書籍を出版している山と渓谷社は、全林協さんと同じビルだったのだ。わたしも山渓の書籍は沢山買っている。

 全林協さんは林業を通した山の保全関係の出版社で、山渓は山岳やアウトドア関連の出版社。山で汗をかく人のための情報が、こんな都会の一等地で発信されていることにビックリ。何事もバランスか?
 よくある話だが、都会に生活をしていて山に憧れて近くに引っ越すと、逆に山に入らなくなるということが起きる。状況に満足してしまうとパッションが失われるということがあるみたいだから、大都会の真ん中で、空気がよい山で汗かく人を想ってデスクワークするというのも、ある意味ネットワーク全体での恒常性を保つ機能かも知れない。

 さて、その全林協さんだが、手っ取り早くWebサイトに書かれていた内容を転記させて頂いて説明とする。
 以下、社団法人・全国林業改良普及協会(全林協) http://www.ringyou.or.jp/ からの引用。

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全林協とは?
社団法人・全国林業改良普及協会(全林協)は、47都道府県の林業改良普及協会(一部山林協会等含む)を会員とし、全国の森林所有者、林業関係者等を構成員として昭和28年に発足した公益法人です。
全林協は、森林・林業の改良・発展のための普及活動の実施や、国・都道府県が行う普及指導事業への支援を通じて、明るく豊かな農山村の建設、森林の多様な機能の発揮に貢献することを目的としています。
この目的を達成するため、都道府県の林業改良普及協会と連携・協力して、さまざまな事業の展開により、次のような森林・林業の改良・発展に向け、今日的な課題に対応した情報発信および普及に取り組んでいます。

森林を所有する魅力とは、どんなところにあるのでしょうか。
まず、適切な森林経営を実践することで、より多くの収益をめざす方向があります。
その一方で、収益の向上を追求しない選択もあっていいはずです。
たとえば「先祖から引き継いできた森林を、適切に整備して次代に引き継ぎたい」と思っている方や「定年後の楽しみとして森林経営にチャレンジしたい」という方もいらっしゃるでしょう。社会貢献とご自身の生き甲斐を模索する森林経営という選択もあって良いでしょう。また、森林ボランティアに森林をフィールドとして提供し、より多くの人と森林づくりを通じてコミュニケーションを愉しむ、日常とは異なる時間・空間・作業を愉しむ「豊かな」森林づくりという選択もあるでしょう。
しかし、国内の森林経営は、安い外材が大量に輸入され木材価格が低迷するなど厳しい状況にあり、せっかく所有している森林、とりわけスギ・ヒノキなどを植えた森林を、管理放棄せざるをえない方も少なくありません。
残念ながらこうしたことが森林の荒廃につながっているのです。
森林は、住宅などの不動産とは性格が異なっています。
たとえば、水を育み土砂災害などを防ぐなど、さまざまな公益的な機能を発揮して地域環境を支えています。また、地球温暖化の原因のひとつ二酸化炭素を吸収し酸素を供給するなど、数え切れないほどの働きをしています。
そのため「森林・林業基本法」では、森林の持つ多面的機能が発揮されるために森林所有者の森林整備・保全が図られるように努める責務を明記しています。
森林を所有することとは、単に個人の財産としてではなく、健全に整備していくことで結果的に地域の環境、あるいは地球環境に貢献する、ということを意味しています。
森林は、個人の森林だけで存在しているわけではありません。
所有区分上で森林が分かれていても、実際は連続する一つの森林として存在しています。つまり、「自分の所有地」という財産意識だけにとらわれ無責任な対応をすることは、隣接する所有者にも大きな迷惑をかける可能性もあります。一方、健全な森林管理をすすめていく視点からみれば、地域で一体になることは効果的な森林整備が可能となるわけです。
こうしたことからも森林所有者ひとりひとりが「地域」意識を持つことが大切になってきます。
森林を所有ということは、所有者としての価値観、生き方を反映した森林との関わりを創り出すことができるという一方で、健全に森林を管理していく責務があるということでもあります。
森林経営に関わる知識と情報があれば、夢ある森林経営に一歩近づくことができるのではないでしょうか。
「森林所有者のための初級講座」では、森林所有者や森林に関心のある方々が知っておきたい情報などを掲載します。
 以上、http://www.ringyou.or.jp/より。


 全林協編集部のM氏。編集部次長だが、名刺肩書きには、「高尾青年の山」山番、と入っている。実際に東京、高尾の山に入って保全作業を行っている方だ。
 本書の文章の優しさは、M氏のキャラクタかも知れない。でも、編集部長をはじめスタッフの方々全員が優しかった。全林協さん全体のキャラなのかも知れない。そんな方々に我が儘いっぱい振る舞ったのは誰? (^-^;;

6.出版物の入手方法:

 さて、紹介している本を手に入れる方法についてお伝えしよう。私が書くよりも、とても丁寧な説明を下さった全林協編集部のM氏のメイルを許可いただいて転記することでご勘弁。下記のご案内の通りに留意して、ご覧頂いている皆様のやりやすい方法で入手して下さい。

 以下、全林協編集部M氏からの入手方法説明メイル(引用符“>”が付いたものは私からのメイルの引用)。
--------------------------------------------------------------
お客様が全林協の出版物を入手するには以下の1)〜4)の方法があると思います。

1)単行本については、書店にお客様が注文することでお取り寄せができます。
ただ、パンフレットや月刊誌(現代林業)などの薄い冊子は、書店にたどり着くまでに、本の角が折れたりすることがあり、書店さんからの注文はその旨をお伝えして了解をいただいたうえで、対応させていただいています。

*書店さんへの取次さんを介して本が届けられます。取次については、2大取次があり、弊会は「トーハン」さんとお取引があり、もう一方の「日販」さんとはお取引がありません。
 書店さんによっては、日販さんだけとお取引されている場合があり、そのような書店さんが取次経由で注文されると、1カ月以上納品に時間が掛かることがあります。
その時は直接書店さんとお話しして何らかの手だてを取っています。

2)都内の書店ではジュンク堂さんに、全林協の本が沢山おいてあります。
またジュンク堂さんは新しい店舗(地方都市が多いです)を開くたびに全林協の本を揃えてくださっています。
たまたまジュンク堂が近くにあるという方には、本を手にとって見ていただくチャンスがあります。

> また、Web上で、購入しようとする人の場合には、
> 社団法人・全国林業改良普及協会(全林協)http://www.ringyou.or.jp/
> の中の、下記の“森の書店”からご購入できます、ということで良いでしょう
> か。
>
> [関連サイト]
> * 森の書店
> * フォレスターネット
> * 山村起業

3)”森の書店”からでよろしくお願いいたします。
「たいへん申し訳ございませんが、1回のご注文は商品代金合計800円以上からの受け付けとさせていただいております。
 送料は一律350円です。
 お買い上げ金額の合計が5,000円(税込み)以上の場合は送料無料です。」
  (ホームページより) 

お客様があれこれ細々と工夫して、800円以上にしてくださることが多いようで、お客様に助けていただいています。
本当にありがたいことです。
また、FAX (商品名、数量、お名前、電話番号、発送先住所を明記の上、FAX 03-3583-8465へ)をお送りいただくことでも 、ご注文いただけます。

4)webのお客様の選択肢として、amazon があります。
全林協の近年の単行本はほとんどamazonにあります。
こちらは、1500円以上送料無料(今回の本は定価1890円)で在庫があれば発送も素早いので、お客様にとってはいちばん使いやすいと思います。今回の書籍もすでにアッ
プしてありました。現時点でまだ画像がアップされていないようですが。

以上 


7.下記リストは、当サイト(Room full of mirrors)内の、自給や自衛のための山や農の道具に関連しそうなページリスト

 Webサイトを開設して本年`08年で12年になるが、特に道具や自給に関して意識して作ってきたわけではない。自分の趣向と共に内容を書き加え、そして日本人の精神面で足りない部分、自己確立とか自己責任などの意識の希薄さに注目してきたら、この様な自給や山関連のページが積み重なってしまった。

 サイトのトップ(INDEX)ページの一番下の方に書いたように、自給の基本は鍛冶屋が作り出す道具であることは想像力を使ってみれば解るだろう。仮に途轍もない自然災害が起きて全ての人工物が破壊されてしまい丸裸になったとしたら、欲しいものは肌に付ける衣服とそして食糧、それから雨風をしのぐための屋根や壁である。その欲しいものを手に入れるためには、先ず道具類が必要だ。石器でもなんとかなるのかもしれないけれど、出来れば鉄器が欲しい。
 取り敢えず鉄材はその辺に転がっているとして、それを加工して自分の道具とするには鍛冶の技術があれば、色々な道具類を生み出すことが出来る。刃物類は道具を生み出す道具でもある。そして山や樹が豊かなら食糧や資材が沢山あるということになる。

 別にそんなことになるとは思えないが、仮にその様な状況に置かれても自分や家族を守る力、自信があるということは、自らの魂の尊厳を護る力にもなると思う。今の時代、魂を売り渡してしまった様な人達が増えていて世の中がどんどん荒れている。その世の中を魂を傷つけずに切り抜けて行くには、“自給”のキーワードは大きな力になるだろう。

 アースチェンジとも謂われ、惑星系の変動レベルが地球全体を覆っており、地磁気の減少や、太陽の黒点活動の活発化による宇宙線の影響などが、目に見えない部分でも、地球上の天候異常や人間の精神にまで影響している。
 おそらく今後何らかの大変動が起き、今までの価値観がひっくり返る様な出来事が頻発するのかも知れない。次に来る未来社会は明るいかもしれないが、一時期には、その変動によってリセット現象が起き、今のようなスイッチポン!のオール電化文化は、暫く機能しなくなることは充分に考えられることだ。

 その時に、自給と農、そして山と森林の価値が、誰の目にも解る様になると思われる。銀行預金の多寡よりも、借金して作った立派なオール電化の住宅よりも、山や自然からの恵みを頂ける状況の方がどれだけ豊かで幸せか身体を持って理解できることと思う。また、今のような資源食い潰しの消費文明が転換されるのにも、そういった何らかの他動的な力が無いと、人間自らは革新出来ないところまで来てしまっている。ストラクチャは出来上がったときから崩壊が始まっていると言われるように、既に今の資本主義文明はメルトダウンが進んでしまっている。それは人類の集合無意識が、通常認識できない言語下で望んでいることなのかも知れないのだ。

 そんな事を感じている人達は益々増えてはいるのだが、まだ家庭菜園くらいでお茶を濁している。でも、我々には森林と山が健康に保全されていないと、その農的生活に危機を及ぼすことを真剣に理解している人は少ない。降雨しかり、川からの水の補給しかり、全ては山と森林の機能により保たれているのだ。今の時代は、我々一般市民が山の保全に参加しないと、山と森の健康は保てなくなって来ている。

 下記のページは、その解決策と言うわけではないが、こういった内容の周辺を理解する上で何らかのお役に立つかも知れない。病気をしないことも、怪我や病気を自分で治せることも自給の手段の一つと考える。車やバイクなどだって、自給的自立的なタイプってものがあるんだ。
 そして、異常気象が多い今の時代、自給は自衛につながる手段になる。我々は他者依存的でなく、それぞれが自らを守り、そして他者を助けられるくらいの地力があればと思う。国や自治体だって、市民レベルでの自衛が出来ていれば、本当に必要なところに注力が出来る。我々日本人は依存と吸い取り会いの無責任な意識レベルから脱却して、新たなる自給と分かち合いの世界に進化しないとならないと思う。わたしが好きな経済学者ラビ・バトラ教授(バトラ教授の経済予測は的中率が非常に高く、有名なところでは共産主義の崩壊について1978年に本を出版。予測した期限内にソビエト連邦、東ドイツが無くなった。資本主義は2010年前後!と予測している)は、日本の社会は、その可能性を持っているという。今回全林協さんにご縁を頂き、本ページで紹介の書籍のページ作りに携わらせて貰って、改めて山(森林)と自給との関連について更に突っ込んで考えた。今後は、当サイトのページも少しずつ整理しながら、自給と道具に関する周辺についてもっと分かり易いものに出来ればと思う。(^-^;;

 

☆鍛冶屋は自給の要。日本特有の木の文化の裏方。道具のそのまた道具を自分で作り出す世界。その関連ページ

 

 

・“山仕事の道具と技術、智慧は、自給と自衛の基本”(社)全国林業改良普及協会刊 森と暮らすNo.2「ノウハウ図解山仕事の道具」(`08/6/10発行)のお薦め-----自給自足、半農半X、田舎暮らし、農的生活指向の方々に必須? 自然と共に暮らそうと思ったら山と木々があってこそ。本書は、山主や林家向けの入門編の本だが、山の作業と道具に関わることから安全管理まで全てを網羅している。当サイト管理者も、鍛冶屋の智慧や、道具類の修理修復、熱可塑性樹脂カイデックスを使った鉈や道具類の鞘(シース)作りのページを70頁ほど書かせて貰った。実践的な智慧が籠もった本なのでお薦めする。---`08/6/11
手打ち鉈他、造林用の良い道具類を手に入れる`01/2---刃物は使ってなんぼ。使わなければ良さは解らない----`06/4/11-追記(紹介の道具類がまた更に増えた)
家にある道具で口金を火造り?---古く使い込んでボロボロになった鉈や鎌も、柄と口金を新しくすれば元通りに活躍できる。その口金を作るには?--`04/10/14
中古道具屋・砥石屋さん巡り(チベットの忿怒尊に呼ばれて)`01/3---少ない投資で充実した設備。新品? 要らんやろう。。。丹念に探せば出物があるある---`01/3/10記
鍛冶屋さんに、鍛造ナイフを作って貰った。日本の刃物と鋼の智慧“火造り打ち刃物製作過程レポート`98 + ”&“加筆修正分”---`98/12
野鍛冶のおやじさんの手から、次々と生まれる数々の道具。そこには古人から伝えられた智慧が沢山詰まっている。現代のマスプロダクションとは違う、自然と共に生きてきたテクノロジーが残っていた。ちょっと前の世代では、生きていたこの智慧が、なぜもっと大切にされないのだろう。
ある日の小山製作所`01/2---火造り打ち刃物製作過程レポート`98 + の“+”の部分、追加その一弾。こんな火造りの方法もあるということ..... `01/2/8記
フイゴに呼ばれて`01/2---鍛冶の神に見込まれてしまったのだろうか。欲しかった鞴の上物が格安で----!`01/2/21記
火造り遊び`01/6---長野からMちゃんが鍛造ナイフを造りに来た。オイ、止せよ、アブねえなあ。ナイフ振り回すな.....って (^^;;
やっぱり、切り傷にはアロンアルファでしょ!--新しく出来たナイフの仕上がりを調べるために、自分の指で試したバカな奴の話。恥ずかしいので知り合いだけにと思っていたけれど、此の切った指の修理方法は結構有効なことが経時変化で解ったので、敢えて恥を忍んで公開。`01/11/14

※暫く前に、アウトドア系の雑誌数誌に七輪などを使って行う簡便な鍛冶の記事が載っていた。以前から七輪や耐火煉瓦などで炉を組み、ブロアーやドライヤーなどを使って送風して炭を熾して簡単な小物の鍛冶を行う人が居た。日本の鍛冶の智慧というものは、相当にレベルが高い。

 

☆軽トラだって、リアにデフロック機構が付いていれば柔なRV車よりオフロード性能は高い?
 CT110ハンターカブは、形はカブだが、副変速機とアンダーガードとブロックタイヤを装備しオフロードユーティリティレベルが高い。どちらも燃費が良く、そして小型で荷物が沢山積める。
 山奥や災害時には此等の小型で踏破性の高いトランスポータは有効である。でも、ガソリンが無ければ、MTB、リアカー、フレーム式背負い子、あとは手足ね。

 

 

 

 

 

 4WD軽トラも、デフロック機構が付いているタイプなら半端なSUVよりも踏破性が高い。

・CT110ハンターカブのその後---整備と部品交換:大震災などの初動に関してオフロードバイクが有効であることは、消防のレスキュー隊にトライアル車が配備されていることからも解る。ハンターカブは、名の如く当初は山の中でハンターが使用することなどのイメイジをアドバルーンにしてリリースされた。1960年代終わり頃にライフルケースを装備したCT110の前身、CT50の広告を観たことがある。他の使用用途としては牧場などがあり、道無き道を行ける様に副変速機やガード類も付いた仕様である。そしてそのコンセプトとして、ベースが商用バイクのカブだから、大きな荷台も付いて荷物が大量に積めることが目的だ。そんなユーティリティレベルの高いものだから、災害時用に各自治体が導入しても良さそうなバイクなんだけど・・・輸出用も生産中止? こういう時期だからこそ日本で再販しませんか、副変速機付きのCT110を、ホンダさん? 昔、国内で販売したときは、副変速機が付いていなかったことと、時代の流れが今と違っていたからで、この時代こそハンターカブCT110の出番なのでは? 売れると思いますよ。もしリリースされたら自分ももう一台買いますね。
・新規格以前の四駆軽トラのお薦め---其の二 ---スピリチュアル軽トラ-ライフ。良い“足”を手に入れたら---`05/1 デフロック機構を装備した4WD軽トラックには、素晴らしい踏破性がある。皆さんの代わりに試してみた。
・新規格以前の四駆軽トラのお薦め---其の一。身も心も軽く、農的生活には四駆軽トラ。良い“足”を手に入れる。って、ちょっと一般的でない角度からの道具としての四駆軽トラの見方。なんでそんなページまで作るかなぁ・・・`04/12/3
スバルサンバーは真のオフロードユーティリティカー? ---1996.8.21 riv-up

※上記の該当ページの画像をご覧頂けば、軽の4WD貨物自動車(旧規格のホイールベースの短いタイプ)の障害物に対する踏破性の高さがご覧頂ける。また、CT110ハンターカブのその後のページの崖に落ちたバイクの引き上げに関する記事では、山の中での重量物の引き上げや降ろしにも、ロープやカラビナだけで応用できる手法を書いてある。
 また、道を外れたオフロードでの運転技術や、誰も居ないところで車がスタックした際の自力脱出ノウハウは、これまた自給的、自立的な智慧に繋がる。この様な、自分自身でなんとか困難や障害を切り抜けるための経験に基づく智慧やノウハウを身に付け、そして道具類を装備することによって、今まで不安と恐怖感で近づけなかったエリアに安心してアクセス出来る様になる。ただし、これは自然に負荷を与えるものとしてではなく、林業者や山主が、鬱蒼として入れなくなってしまっている既存の山道や林内にアクセスするためである。
 勘違いしている人が多くいるが、人の手の入った二次林は、メンテナンスされることによって健康な林となるのである。放ったらかして藪になった山では、植生も偏る上、里に近いところで山の獣達の住処になるので、畑などの鳥獣害の被害をさらに増やす。里山には人や犬が入れないと、山自体が荒れて崩壊していく元になってしまうのだ。林道も車が入らないと直ぐに荒れていってしまう。尤も、そんなハードな山道でなくとも、今後多くの人達が森林ボランティアなどで山の保全に未舗装路の奥に入る際に於いても、滑りやすい道での車両の安全な運用方法について知っておいて貰った方が、すそ野が広がり、より多くの方々を誘うことが出来るだろう。
 また、余裕があれば、上記ページに引き続いて、山道での車の安全な運転方法や、スタックした際の自己脱出方法などの基本的智慧についてもページに書いてみたいと思う。全林協さんの編集部長が、自給関連の本も出したいという意向があると仰っていたので、場合によっては其方でご覧頂くことも出来るかも知れない。地震国の日本に於いて、不安定な道を安全に通過するための現況を見極める眼と操作の技術は、非常時に於いて多少なりとも役に立つのではないかと思う。やはり自給と自衛は繋がっているのだ。

 

☆沢登りは、原初的な深山へアクセスする遊びだ。激流を徒渉し、滝壺を泳ぎ、大滝を登攀し、崖を高巻いたりザイルを使って下降を行う。
 沢登りは道無き道、険しい深山の渓谷を登攀していくために、最低限の荷物と装備でもって臨むミニマムの生活形態である。山で山菜キノコ、木の実を採り、渓魚を釣って食料とし、少ない食材と調味料にて美味しい食事を生み出す。夜営は基本的にはテントは持たず、極軽量のタープやブルーシートで雨風を凌ぐ。沢登りには、人間が山奥で移動しながら確実に生きていく上での智慧が沢山ある。

 

 

 

 

 

・騙された渓(メタボリック沢登り)ぎょうじゃにんにくぎょうざはどうじゃ?の巻 2008年7月:沢には原初の汚されていない美しい風景があり、そして美味しいものが沢山ある。天気にも恵まれ、楽しい仲間たちと行けば、それは天国さ。それにしても荷物重てぇなあ。一泊なのになんでこんな荷物背負ってるんだろ。足下が良きゃいいけど、ちょっと滑ったら滑落だぜ。俺等なんか勘違いしていないかなー。
・東京マタギ深瀬教室の仲間とのキノコ&蕎麦の会 `07/11/20---裏々キノコ教室:性格悪い奴はキノコ採れない伝説。楽しい仲間とのキノコ採りの風景と、少しばかり美味しく出来るようになった蕎麦打ちのプチ自慢。性格悪い奴ほど能書きが多い!!!って、、、誰のこと?
・東京マタギ、ナイフメーキング教室?`06/3:熱可塑性樹脂カイデックスを使ったシース(鞘)作り& 山菜キノコ採り教室の風景--`06/3/18
「白井氏にレザーシースを作って貰った」を`06/4/13追記。
・東京マタギ深瀬工房製ナイフ、山包丁--まいどお世話になっている深瀬校長のナイフの紹介ページを作ってしまった。沢屋さんにはピッタリよ。---`01/11/28
・`03/7 丹沢本谷川水系キュウハ沢「巻き巻き」の巻き:久々に行ったキュウハ沢(中級の沢を初級にしてやるぞ)
・2000年5月某日某所、東京マタギの沢登り講習会の前夜 :講習会の前夜に必ず執り行われる儀式
99/5/23 丹沢、神の川水系伊勢沢:ほとぼり冷めたかなあと思って載せたけど。またまた能書き満載
・丹沢本谷川水系キュウハ沢`99/6/6:沢登りの滑落から学ぶ、量子力学、神、そしてシンクロニシティの実際・・・ホログラフィックな観点から見る。
・山岳渓流ガイド:東京マタギの講習会`97/`98
・本間沢での事故教訓談。M・N氏へのメイルのリプライを転記。
・小川谷廊下遡行2:ちょっと柔らかかったガバホールドの巻`98/7/26分
・奥秩父笛吹川 東沢 釜の沢 遡行:鍋を担いだ沢登りレポート `97/10/11分
・本間沢遡行後日談(F10直下で血だらけのタオルを発見)`97/9/2分 
・丹沢-小川谷廊下Uターン(傷ついたこころの巻)`97/8/9分
・ど素人3人組、早戸川本間沢に怖い思い顛末記 `96/6 :渓流釣りをやったぐらいの素人が沢登りを甘くみると地獄を見る。でも、面白い!登山みたいに登るライン(登山道)が決まっていないのが良いね。
・東北渓流釣り旅行記:山はいいなあ!会社を辞めて1年半遊んでいました
・渓流ウォッチング---川面を叩くフライマン他---マスコミや業界が作った流行に乗せられやすいタイプの人が多いように見える遊びを通して、日本人の意識下を陽の下にひっぱり出す。鱒が反射するあなたの心

「深瀬信夫のアウトドア教室」:東京マタギのオフィシャルサイト。最初、鍋奉行のT原氏がこのHP、東京マタギのファンサイトとしてページを作った。其れを元に、近年はマタギもテクノロジーを採り入れ、ご自身でもって情報発信出来るようになったので、HPの内容を更新して更に充実させている。ページの中の教室レポートは、我々が「表」と言っている正式な講習会のレポート。深瀬校長と仲間内で行うものは「裏」教室ね。一般の受講者の方はこの東京マタギのオフィシャルサイト記載の各「表」教室にご参加下さい。

東京マタギ、深瀬信夫の『アウトドア教室』山岳渓流ガイド2008年予定表:仲間が作っているページ。キノコ採り裏教室のレポートなどなどがリンクされている。許可を得てインデックスページでなく直にページリンク。

※沢登りのクライミング&安全確保技術は、ロッククライミングと違い、より少ない装備と用具の応用から成り立っている。例えば、アッセンダー(登高器)は金属製の器具を使わずに、スリング(シュリンゲ)という細引きロープを輪にしたものを使う。スリングが三本あれば、垂直のザイルを登ることが出来る。そのスリングは支点確保のハーケンに使うだけでなく、木に回して支点にしたり、生えている細い篠竹などを束ねて支点にすることなどにも使える。また、薪材などに回して沢山運べるのでテン場(泊まり場)での薪集めにも重宝するのだ。
 これらのザイル、ロープ類とカラビナを併せて、滝や崖の登下降だけでなく、激流の徒渉及び、渓谷の空中を架線の様にして人間や荷物を対岸に渉す流星法、高所での事故者のレスキューなどの手法は、山奥に入る人達にとっても、また震災時にも、二階や上の階に取り残された人達を安全に地上に降ろしたり、上に登っていく技術にも繋がる。大きな災害時には、消防もレスキューも自治体も対応しきれないから、自分達で急ぎなんとか乗り越えなければならない場面がある。そんな時に手をこまねいていて悔やんでも取り返しが付かないだろう。興味がある方は、然るべき指導者が居る講習会で安全に技術を習得されると良い。

 

☆電気やガスなどのライフラインがストップしたら調理も出来ない? カセットコンロ? 長期に亘ったらどうするの? 薪や炭があって、調理器具も熱効率の良い(蓄熱量の多い)鉄鋳物や土鍋などなどを使って自然の火で調理したものは、それだけでも凄く美味しい。調味料で人工的に付けた味ではなく、素材そのもの味が生きている。身体が喜ぶものは、咽の通りも良い。
 外食すると食が進まず何か変なのは、食欲がないんじゃなくて、身体が拒否する食べ物が多すぎるから! 薪や炭で炊いたり焼いたものを食べてご覧よ。偽物ばかり採り入れていると人間も偽物になりますぜ。
 薪を自分で調達したり、炭焼きに挑戦する人達は増えている。

 

 

 

 

 

 

飯炊き用の鋳物竈をスモーカーに転用 :鋳物の飯炊き竈は骨董コレクションで買った訳ではない。電気ガスなどが無くても生活できる基盤を確保しておく為だったが、そんな事態になる前に、燻製器(スモーカー)にも転用されて自家製ベーコン作りに大活躍。---`06/2/27 ついでに竈本来の使用方法に則って、大豆を炊いて味噌作りを行った(鉄鋳物の羽釜のメンテナンス完了)を4/12に追記
パン屋さんに居た猫の“ニャに”の画像&石窯作りワークショップの画像若干 ---薪で焼く石窯焼きのパン屋さんに居た猫のキャラが何とも言えず良い。そのパン屋さんはホンマモンの“薪窯(薪で焚く石窯)”+“天然酵母”、“国産小麦”、“全粒粉”使用の四拍子。此よね此。あとは、友人が行った石窯作りのワークショップ画像をちょっと---`06/2/28 【ニャン何だコイツは〜?】を追加。招き猫のニャにの実の名は“ふにゃゴロ〜”を`06/4/12追記

サバイバルお箸セット & チタン製野外調理 セット(発色加工チタン材は、水を美味しく、空気も綺麗に、体調も整える?)`99
料理を美味しくする調理器具、不味くする調理機器具`99--バカチンのわたくしめは、またまたスキレットを買い込んでしまい、鉄鋳物の大小スキレットがこれで全部で10台。錆びたらどーすんの。でも、その後、100円ショップの14cmスキレットに合う蓋を、他の鋳物スキレットの蓋を改造して使える様にしたら、その格好良さ可愛さに大満足。その他、リサイクル屋さんでチタンのフライパンを100円で見付けてウッヒッヒ。
鍋でご飯を炊く男:ステンレス多層鍋を使いこなせ`99(栄養を壊さない逃がさない健康調理法)

※わたしの作る料理を美味しいと言ってくれる人は結構多い。でも、料理が上手な訳じゃない。道具だね道具。やっぱり道具で料理の味は全然違う。でも、火加減とかタイミング、段取りで全然結果が異なるから、道具も使いこなさないと猫に小判、アームチェアフィッシャマンにJeepってところかな。

`08/6/10 高澤 弘明@凡梵庵 記


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おまけ:本書用に書いた元原稿の一部(掲載されなかった原稿の一部)を転記する。こんな頁をご覧になる方へ大サービスね。(高澤)


-----略------

※注について:
※1“資源搾取的なテクノロジーの発達”について:
 例えば原子力発電はクリーンなエネルギーと言われていますが、発電所を運用する上でイニシャルの部分では石油に於ける火力発電が無いと発電所は動かないわけです。其の部分で石油が相当に消費された上で原子力発電がおこなわれるそうです。そして、当然の事ながら廃棄物の問題ですね。大地震が起きたら何時放射能漏れが起こるか分からないわけで、誰にも保証など出来るわけがありません。これをクリーンエネルギーと言うのは欺瞞でしかないと思えてしまいます。
 こういった事と相似的に、先端分野の研究所では億、千、百万円の単位の施設や計測システム、コンピュータが、何時も使い捨てのサイクルにあります。技術革新が早いサイクルであるからという見方をしますけれども、それよりも利益を上げたり実績を早く残そうという商業主義の論理に偏っていて、研究費も人類の進歩や地球環境の役に立つ地道な基礎研究には細々としか割り当てられずに、逆にお金になる研究、それも破壊的なリスクが大きいテクノロジーをろくな検証もしない、、、そういったものに物凄いお金(我々の納める税金なども含めて)が使われています。心ある研究者の方々は居られますが、大勢が地に足が着かない現場(自然環境も含めて)から遊離した机上の研究を頭の中だけで行う傾向が強いために研究の方向が混迷しているように見受けられます。

 その点、後述する京大名誉教授の河野先生は専門が植物と言うことだけでなく、実際に世界中の山奥をこんなにもかと言うほど歩き回られているので、実績と言葉に非常に力があります。机上の学問だけでなくフィールドでの検証、そして自分達の実生活に基づいた智慧の上でのテクノロジーの進歩が大事だと思います。項の最後に記載しました引用文献表の「木のこころ仏のこころ」の故松久朋琳氏との対談の中で故西岡常一棟梁が仰っています。「第一流の人が造っていると思いますが、建築家でもないし、芸術家でもありませんで、職人ですよ。職人の中から芸術が生まれて、芸術家といわれる人の中からは芸術は生まれへん、ということです。」「本当の達人は職人の中にある、ということですわ。」 
 此の対談は、運慶をはじめとした昔からの仏師が造った仏像や法隆寺の寺社建築を前にされたもので、芸術というもの以前に祈りがあるということ、そして今でいう職人、千年以上も前の工人達が作り上げたもののなかに本物の芸術があるという話の流れでした。そして薬師寺西塔の再建に際して、学者さん達との論争が有名ですけれど、千年以上保つ建築が古代の学者達によって造られたものではなく、智慧と工法をもった工人達が造り上げたものであり、いまの学者さん達はそれを後追いで机上において論じているだけであるという内容が語られています。つまり学者さん達がいくら賢くても千年以上保つ建物は建てられないというお話ですね。この対談は昭和六十年に行われましたが、其の時点で建築に使うコンクリートは50年程度しか保たないが、千年生の木を智慧を使って建てれば千年保つ建物が建てられると語られています。ところが、当時50年は保つというコンクリートは、場合によっては其の半分くらいの年数しか保たないことが現在解っています。近代文明の工法はその程度であるわけです。

 これについて、自分のささやかな経験と知識をお伝えします。コンクリートも水分を含んでいます。その水分が酸化(プラスイオン化)して結合力が弱くなると崩壊が早くなるようです。自分の仕事である土地の磁場を改良する仕事では、そういった酸化環境を還元環境に改善する手法もあり、環境の電気というものに注目して電子と正孔を常に励起した状態にするものです。
 その土地や場が、酸化環境になりやすい、また酸化環境そのものと言った場所が可成り多くあります。田畑だって、何をやっても上手く行かない土地というものがあります。そういった酸化環境、電気的に言えば電子を奪う環境だと、水分も酸化(水が腐る)し易いために、コンクリートだって保たないし、建築材の木も腐りやすいので、その状況が好きな腐朽菌や白蟻が発生しやすい環境になります。
 建築の基礎もベタ基礎にして、敷地をコンクリートで覆ってしまえば、地面の土が呼吸できませんから、土が腐ります。そういう土地を掘ってみれば、悪臭ともに死んだ土壌が表れます。そういった環境では土壌菌の働きなんか期待できませんから、土地全体が暗く思い雰囲気になってしまうのです。土壌菌は、この様な酸化環境に於いては電気的に活性化していないので、その機能を発揮も出来ず、存在自体も少なくなってしまうのでしょう。

 大地というのは地電流が様々に流れています。また、岩盤や粘土質などで流れない土地もあります。帯電層という静電気が溜まりやすい土地もあります。また地下水脈によっても、地表に対して様々な影響を与えます。川や地下水脈は、電位差があり上流に向かって電気が流れています。簡単に書きましたが、大地にはこういった要素が幾つも絡み合って、その土地の質が構成されます。
 現代科学は、ミクロの部分とか、枝葉の部分の研究は物凄く進んでいます。ただ、マクロの観点からの研究は殆ど机上の理論的なものばかりが多く現場から遊離しがちなものとなっているようです。統合する智慧に欠ける嫌いが強いでしょう。
 そういった観点からみまして、千年経った用材にも水分が含まれており、如何に此の水分が酸化しないようにするかというのも古代の工法にはあったように見受けられます。
 こういった事は科学的手法ではなくとも古代人の経験や直感、言い伝え、口伝などによって確立されていたテクノロジーと思われます。自然との循環サイクルに於ける共生的なテクノロジーです。今で言うサスティナブルなテクノロジーです。しかしながら、現代人は千年保つ建築物を建てる智慧も技法無くなってしまいました。此の地球には我々が何気なく見過ごしている古代の不可思議なテクノロジーが沢山残されています。それは自然との共生的な智慧故、特別なものと思われずに我々の価値観の外に押し出されてしまっていますが、いまの技術、テクノロジーでは再現できないものが多々あるそうです。

 高度成長経済の中のテクノロジー信仰の負の部分が表出してきて、故西岡棟梁をはじめとして多くの智慧深い方々の啓蒙により、生き方の質の方向転換が相当以前から始まっています。自分も影響を受けて方向転換を図り、この様な原稿を書かせて貰ったり、またインターネットで発信させて貰ったりしています。同様の価値観を持った方々が、年齢を問わず年輩の方々から若い方々まで、同じ価値観や方向性、智慧やヴィジョンを分かち合って下さいます。みな安穏と保証を得ながら生きようとする人達ではなく、先が解らないが夢がある生き方に身を投じ、色々な意味でのリスクを背負って人生を切り開こうとされる方々です。

 山や森と共に農的に生きることは逃げ道ではありません。生物として当たり前の地に足が着いた生き方をもう一度取り戻すためのチャレンジです。特に今のような世の中においては益々其の感は強いでしょう。昔からの智慧とそして蘇生的なテクノロジーを融合、再統合させて、豊かな心の下に皆で楽しく暮らせる文化を創っていけたらと思います。蘇生的なテクノロジーはポジティブなバイオ関連のテクノロジーやエネルギー関連に於いて飛躍的に進歩していますから、ある意味未来は明るいでしょう。

 しかしながら、こういった事を運用する人間の心がお粗末であっては何時また危機的な状態に陥らないとも限りません。何時の世も道具が悪いわけではありません。お金が悪いわけではありません。刃物だって千年保つ建築には必要なわけです(木の細胞膜の状態を良く保ち、雨風から凌ぐのには、鋭い刃物でスパッと切り取る鉋掛けを行った用材でないと千年保つようには出来ないそうです:動力を使った道具類では表面が毛羽立ってしまい水や湿気を吸いやすいため)。其の刃物でもお金でもテクノロジーでも悪用したり、欲のために使ったりすれば、自分自身の首を絞めます。ですからこういったものを手に入れることよりもまず、人の心、魂を磨くことが大事なわけです。いくら経済や政治の仕組みを替えても、そこに入る人間が腐るようだと直ぐに元の木阿弥です。だから我々一人一人が魂を磨き、自分自身が変わることによって社会の底上げをしなければ、世の中、何も変わっていかないというのは道理です。

※2エコロジカルな先端テクノロジーと共に昔ながらの農と林の智慧がバランス良く融合について:
 農薬だけでなく肥料さえも一切使わずに、美味しくて、その上、気が入った生命力の強い農作物を作って市場に出している農業者の人達が日本にも少なからず居ます。下記に先年書いたテキストから関係のある部分をご参考に転記しますが、植物には常温原子転換ができる能力がありそうなのです。
 土壌は有機物と水と微生物に拠って富栄養化されますが、肥料を沢山やればよい作物が出来るわけでもありません。今の日本の農業は、農薬や化学肥料を使ったものは論外として、それでも肥料をやりすぎて締まりが無く生命力のない作物が良いものとされているように見受けられます。つまり見た目がよい、ある程度の味がする商品を製造している感が強いのです。
 ところが、下記に引用する元となった多少のボカシ程度しか施肥しない陰陽農法においても、無肥料農法と言われている人達の農法に於いても、薬類を使わないのにあまり虫が寄りつかないと言います。植物に生命力が充実しているときには、分泌される成分によって虫に食われる害を防ぐ力があるそうです。逆に生命力のない場合には虫食いでボロボロになるそうです。ですから有機栽培などといっても虫が沢山付く様なら、それは本来の生命力を損なうやり方を行っているのであり、肥料をやって逆に脆弱な作物にしていると言えるのだそうです。現代っ子と同じですね。
 それを陰陽農法では、陰に傾くと虫が寄るといいます。わたしも昨年自宅で陰陽農法の手法によってイチゴ栽培をやってみましたが、初めてイチゴを作ったにしては大成功でした。仲間も同じ年に、25mのイチゴハウスを二棟建て(私と二人で作りました)が初年から素晴らしいイチゴが出来て、都内の有名な有機栽培無農薬栽培のもののみを扱うナチュラルハウスというチェーン店の一番大きな青山店に出荷しています。また、彼は夏野菜も同店に卸していますが、何れも肥料はボカシを少々使うだけでして、追肥という概念も無いので殆ど肥料をやらずに、自然の摂理の中で作物栽培を行っています。つまり肥料代も農薬代も掛からずに、設備も最低限のもので充分な此の農法は非常にエコロジカルであり、人間が天から授かった本来の農に近いところにいるのでは無いかと思われます。
 ただ、此等の手法は手先だけの技術ではありません、陰陽農法の人も、何故だろう?と考えること、感じることを大事にしています。そして、無肥料栽培のサイトの方も同様ですが、土地の持っている場のエネルギーとか、良い水ということを基本に置いている様です。

 自分たちの仕事に関係しますが、仲間のところでは、土壌の地電流をコントロールして電気的に活性化した場を作って土壌菌を活性化させる手法を用いること、また電気的に活性化した水を葉面撒布して与えて作物を育てるなども行っています(他にも畜産にも此等の手法を導入して実績を上げています)。植物が行う光合成も太陽からの光子を受け取り、興奮して葉の中のクロロフィルで大量の電子に置き換えるわけです。その電子によって水分を電気分解して水素イオンと酸素分子になり、酸素は大気中に放出されて我々の呼吸によって吸われます。そして葉の中で作られた大量の電子と水素イオンは、ATPから澱粉を作り出すのに使われると言うサイクルだそうです。
 我々の生体も微弱電流で作動していますし、細胞内のイオンチャンネルはK+(カリウムイオン)などプラスにマイナスに荷電したイオンに依って栄養の出し入れが行われています。また、人間が興奮すると例えば心臓の筋肉から数十mmボルトの電圧が発生しているといますし、皮膚と体内では電位差があります。
 そして土壌菌もそうですが、生体内の常在菌も電気的に活性化させてやると、その働きが良くなることも経験値としてあります。我々の身体が必要とするミネラル成分は、各種の金属イオンであり、電荷を荷電しているものです。それらが結合したり分解したりして電子のやりとりを行ったり、栄養を身体に吸収出来るようにしているわけですから、地球上の生命は電気の授受によって活動していることが理解できるでしょう。
 それを栽培の現場に於いて積極的に活用しようとする手法があります。土壌と大気中の電気的活性化と微生物の活性化の手法です。自分も仕事の一つとして今後はアグリサポートの方面にも力を入れ、電気的に活性化したフィールドや水などを作り出す手法を提供する事業を仲間と共に行っていく予定です。
 但し、植物も生命体ですから、こういった環境と共に、育てる人の心というのも大事であり、愛情を注ぐと病虫害に強かったり育成が良くなると言う例は枚挙に遑がないほどです。小手先のテクノロジーだけではなくて、意識下レベルの微細な世界に於けるテクノロジーについても改めて見直しが必要でしょう。その植物という生命体の根本的な生命力の元は肥料などの栄養だけでなく、意識の向きという部分にもっと光が当てられないと片手落ちの技術論でしかなくなるのではないでしょうか。

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添付は以上