飯炊き用の鋳物竈をスモーカーに転用

・鉄鋳物の竈での薫製、炭火でベーコン作り。何れの相乗効果もあり輻射熱(遠赤外線)で美味しいベーコンが `06/2/27
・ついでに竈本来の使用方法に則って、大豆を炊いて味噌作りを行った(鉄鋳物の羽釜のメンテナンス完了) `06/4//5 


 前回、鋳物の竈は薫製器(スモーカー)に転用されて、旨いベーコンが出来るようになったが、今度は竈本来の使用方法に則って大豆を茹でて味噌作りを行った。
 其処で考えたこと・・・薪で竃の火を焚く事の熱効率の良さ、それから、なんというランニングコストの低さ。建築端材や細い薪数本で釜がグラグラと煮立つ。ところが、ガスレンジで同じ釜の湯を沸かしたときには、えらく長い時間掛かった。我々の文化的生活(こんなん死語か?)って果たして何? お金ばかり掛かって効率が悪いなんて事が多すぎない? 何か騙されていないか? 自分達で世界を狭くしている事を知らずにいる。知ろうとしない事の罪ってあるかも... 
 ところで、(あの電磁波の発生量が物凄い)IHで味噌作り出来るくらいの鍋に対応できるのか?使えるでかい鍋はあるのか?出来なければ家で味噌作りはやらないということに。。。まあやらないよね普通.....現代の生活では。でも、それは常にお金が沢山掛かるということ。現金がないと何も回っていかないということ。一般的にお金を稼いで沢山持っていれば、一見自由を得ているような気分になれるが、其れはそのまま生命を守り維持していく根本の力があるという事とイコールなわけではない。傍目には物理的には自由であるように見えるために自分自身は自由を謳歌しているように勘違いできるが、其の中身である精神は、経済社会の隷属的な状態であることには変わりない。つまりマインドコントロールされている訳よね。だから、如何なる状況でも生の基本的なところを自分自身でコントロール出来る地力があってこそ、精神の、そして魂の自由があるのではないかと考える。多寡が味噌作りでそんな大袈裟なことを考えてしまう今日この頃である。バカだねえ〜。 ま、春だしね。

【鋳物の竈が良い!】

 中古道具屋・砥石屋さん巡り`01/3のページに書いたリサイクル屋さんにでゲットしておいたご飯を炊く為の鋳物の竈(かまど)だが、別に骨董趣味でコレクションした訳ではない。日頃リビングに置いてあると、そんな風に勘違いされるのだが、左の画像の様に遊んでばかりではなく、遂に?やっと?竈が本領を発揮する時が来た。

 さて、鋳物の竈と言っても知らない人は多いかも知れない、、、勿論年輩者の方々はご存じだろうが我々の様にWeb検索をしてこんなページに辿り着く人達は観た事もない人が多いのではないだろうか。・・・って、自分自身知らなかったところをリサイクル屋さんで観て初めて知り手に入れたという訳だが。
 だけれども、自分が子供の頃は横浜の外れの方でも粘土で作った竈はまだ現役だったから、此の鋳物の竈は何処かで眼にしているのかも知れない。

 左の画像の鉄鋳物の竈には鉄のお釜(羽釜)が乗っている。先の手に入れた経緯の内容を書いたページにも書いたが、決して骨董趣味で欲しかった訳ではなく、鉄釜で炊いたご飯の美味しさを味わいたかったのと、万が一ライフラインが止まった時でも美味しいご飯が大量に炊ける事が出来る様に保険の意味で持っていたかったからだ。尤も、家には多層構造のステンレス鍋などが色々あるので焚き火等で飯を炊く事に不自由はしないのだが(此等の鍋は蝋燭数本でも煮炊き出来る)、大量に炊けるものも念のために用意しておこうと考えたので手に入れておいた訳。先の別ページに詳しく書いたが、リサイクル屋さんで16000円で手に入れたのだけれど、それは正真正銘の程度の良い鉄釜込みなので、大きさから言えば新品の半額以下、1/3に近い価格だったことになる。

 で、何時もリビングの片隅に鎮座坐していたのだが、ベーコンの燻製を自前でやろうと思い立って、最終的にこの竈がその道具になった。余計なお金を掛けるよりも有るもので工夫、というわけね。これまた大した話ではないのだけれど、こんなものが裏の倉庫に眠っているという方も居られるかも知れないのでご参考にアップしてみた。この間も、嫁さんの実家近くの農家を潰すという話を聞いていたのだが、頼んでおいた知人から竈が出たぞと言う連絡があったので貰いに行った。この写真にある自分のものとは比較にならないくらい錆腐っていたが、それでも使用に耐えうる程度だったので貰ってきて、陶芸の先生宅に持っていって差し上げた。濁酒を作る際、米を蒸すのに有ったらいいなと言っていたからだ。その時に自分の竈に欠品していた煙突用の口が出た竈のものが合うのを発見。お陰様で、これで完品になった(スマン!先生・・・ところが後日、河原で土筆採りをしていたら竈の残骸が捨ててあって、煙突用の部品もあったのでゲット。気にしていると見付かるもんだね〜)。この時、他にも鋤鍬や竹籠多数貰ってきて嫁さんのオトッツァンに上げた。農家を潰すとお宝が沢山出てくる。そういったものを見ていると、ホントに昔のものは質が高い事。竹籠などの造りや処理の丁寧さは今の時代ではお目に掛かれない。

こんな感じで運用している
竈は各部品に別れる

此のバラバラに分解できるというのが持ち運びにもメンテナンスにも便利なんだよねえ。
ベーコン作りで豚さんの脂がベトベトでも薪を焚くと全部焼けてしまうし木灰で綺麗に。

【鉄鋳物竈をスモーカーにする際に準備したもの】
 兎に角、お金を掛けないでベーコンの燻製を作りたかった。それで手持ちの竈を使う事を思いついたのだが、その為に新たに購入したものは以下のものだけで済んだ。
・直径42cmステンレスボウル:2000円弱
・調理用温度計:1300円位。後になってホームセンターのアウトドアのところに800円強で同じ様なものがあった。またリサイクル屋さんを探したが、此の手のものはなかったね。
・燻製を吊す為の側:下の方の写真の植木鉢用の鉄の円い枠、100円ショップで購入
・S字フック:100円ショップで3つ入りのを取り敢えず二つ。200円也

以上、使ったのは3500円くらいかな。あとは手持ちのもので済ます。

・28cm焼き網:簀の子の代わり
・100円ショップ鉄鍋:円い鋳物の鍋。スモークチップを載せる為
・耐火レンガ:煙突穴を塞いだり開けたりするダンパー用
・ドライヤー:火力調整用。手押しフイゴを持っていないので、この際だから自宅なので電気に頼る。山だったら団扇か手押しフイゴか火吹き竹ね
・炭
・チップ:自作。友達や嫁さんのお父さんから、リンゴの木やサクランボの木を伐採したものを貰った。無くなったら、また知人のところから桜の木を貰ってこよう。ま、山の手入れを手伝えば、薪や燻煙材の入手にお金は掛からないからタップリと使えるし。

 以上、手持ちのもの。何れを買ったとしても大した金額にはならない。

 さて、以上で燻製の準備が出来た訳だ。

 開いている上の口が、本来薪をくべるところ。今回はスモークチップを供給する口になっている。下は灰掻き。
 其の本来灰掻きのところには炭をくべて燃やす。火力調整はドライヤーで。電気がなければ手押し鞴。

 

焚き口からチップを追加
初回。網では扱いにくいと判明

【実際の運用に際して】
 通常の薪を入れる焚き口からチップを入れる様になっているが、チップをいれる器は最底面に五徳を置いて、その上に100円ショップで以前買った鉄鋳物の円い鍋を乗せている。灰掻きのところから炭を入れたり炭を動かし火の調整をする。火力が足りない時にはドライヤーの風で火を熾す。此等、焚き口や灰掻き出しの蓋を開けたり閉めたりするのと、煙突口の上に置いたレンガを使って蓋をしたり隙間を開けたりして温度調整を行う。あまりに温度が上がりすぎた時には、ステンレスボウルをずらして熱気を逃す事で対応。炭火も上手く調整できると、30分程度放っておいても60度とか70度とか辺りである程度固定したまま出来る。

焼き網を中間の台に。その上に、100円ショップの金属植木鉢ガイド
その植木鉢ガイドに肉を吊す。今回は1kgだが、あと二つ、全部で3kgは吊せそうだ

 燻製するバラ肉を設置する方法は色々とやってみたが、簡便には上の画像の用に円い枠をもった植木鉢の金属ガイドを使って吊している。吊すのには銅の番線を横に渡して張ったものにS字フックを引っかける形にしている。何時もバラ肉を1kgずつ処理しているので、あと2本渡せば、全部で3kg同時に燻製が出来る。また、もっと大量に、そして大きなものを燻製したい時には、現在使用している42cm直径のボウルではなく、もっと高さのあるものを使用すればよい。市販のペールの大きなものか、それとも自作するかで背の高い大きなものを用意すれば対応可能だ。その場合、冬場の寒い時期には保温用の部材を巻くなどの対策も必用になるだろう。

チップを削る鉈は、別ページに書いた様に自分でレストアしたもの
ベーコンの出来上がり。

【結果】
 最初は温度が上がりすぎて、燻製なのか半ローストなのか解らない状態だったが、温度計の設置位置や、五徳の高さなどを調整して、庫内温度とチップへの熱量調整が上手になってからマアマアのベーコンが出来る様になった。

 まあ、何れにしても炭火でやる訳だから手間が掛かるよね。普通薫製機を作る場合には熱源を電熱器でサーモスタットでコントロールするみたいだけど、手持ちの竈でお金掛けないでやろうと言うのが目的なのであくまでも炭。炭火が好きだし。それに炭の火ぐらい自由に扱えないとね。
 あとは遠赤効果があるかもね、と思ったから。鋳物の竈も蓄熱性が良く輻射熱を持つ素材だし、その上、炭火だったら、例え燻煙庫内空間を測っている温度計が同じ温度であったとしても、調理素材内の奥まで熱が届くといったら輻射熱効果が高いものの方が有利でしょ。実際に良い出来具合だもんね。
 現に燻製初チャレンジの時から失敗とは言うものの全部美味しく出来ている。もっとも、ベーコンの燻製は易しい部類だそうだし、また家は塩はマジで海水天日干しの自然乾燥塩(通常天日干しなんていったって、時間短縮の為に釜で煮沸している塩が殆ど)を使っているから味がよいのは保証付き。最初の失敗作からどれもこれも、食べた人はみんな美味しいと言っていた(尤も、今の市販ベーコンが不味すぎるんだよね)。

 でも、此の火をいじりながら、そしてチップを削りながら燻煙の様子を探って上手に仕上げていくというのは結構楽しいわ。美味しいものが出来て、また調理してワイワイと食べるのが待っているしね。

 ということで珍しい飯炊き竈も活躍しているという報告でした。バカと道具は使い様ってことで・・・貧乏人は貧乏人なりに楽しくて美味しいんだよね。

by Recycler `06/2/27


 パイプからちょこっと出ているネジのところがアース口。此処から地面にプラスの電気を流してしまうのがミソらしい。水を流すだけで電気が起こるという水力発電をやるという。
 中は樹脂の何かが入っているが、水が右回転で通るのもミソらしい。電流計で測ったら確かに100mVくらいの電気が発電していた。水道メータの直ぐ後ろに付けるものなので、家中が此の水になるのが有り難い(磁化水とは全然テクノロジーが違うみたい)。

【竈で大豆を炊いて味噌作り】竈本来の使い方をやっと・・・ディレカという活水器の水と、本物の天日干しの天然塩を使って薪で炊いた大豆使用のお味噌

 左隅が電子チャージャー。その奥に碍子で絶縁されたステンレスの90L位のタンクがある。これが電子水生成器。今は売っているのかどうか。新品で80万円くらいはしたはず。アタッチメントを使えば、食品加工や植物栽培、電子風呂など電子水生成以外にも色々使える。
 ディレカの技術は、あのスーパーカミオカンデの純水を作るときにも応用されたという噂。欧米や東南アジアでも結構売れているらしい。

 前から味噌作りをやりたいと言っていたのだが、時間がとれずに春になってしまった。前から友人が教えてくれると言っていたので、負んぶに抱っこで、そいつの家に行けばいいのかと思っていところ、そうではなくてうちでやるという。水はディレカという活水器を取り付けたので、可成り美味しくて活性した水になっているし、または電子水生成器もあるので、兎に角水が良いところでやるということになった。でもって、結局、奴は此の竈も使いたかったわけね。
 その様な流れで自分の家で味噌作りをやることになって、前日に大豆を預かって水に漬けて於いた。今回は電子水は使わずに、水道の蛇口からそのまま汲める(家中何処でも)ディレカという活水器の水にした。このディレカという活水器はフィルターなどの交換部品が必要ない上に、ランニングコストも掛からないものなので気に入った。以前から使っている電子水もかなり質の高い水になるのだが、タンクの蛇口からしか水が採れないのと、電極になる備長炭を大量に使用して、それを1,2年に一度交換しないとならないからだ。電子水もディレカのどちらも農業や畜産でも実績があり、野菜や果物の出来も出来が良くなるばかりでなく、畜産に於いては、此等の水を飲ませていると畜舎の匂いが軽減されたり肉質も良くなるので可成りの農業者が使用している。
 ベーコン作りに手を染めた流れ上、先日、其れを確かめるべく、ディレカを使って豚を育てているイサムポークというところのバラ肉を取り寄せたが、まず滅茶苦茶良かった。そのイサムポークのバラ肉をベーコンにして味にうるさい人達に配ったが大絶賛の嵐だった。兎に角、脂身が美味しい。また此の豚肉の件については、あちこちの肉を取り寄せたりして試しているので、肉質と養豚の状況については、項を別にして書きたいと思っているが、うちと同じ此のディレカという活水器を使っているイサムポークさんには育てている豚さんのオシッコを、畑をやっている人達がお金を出して買いに来るらしい。その位に豚さんの状態が良いんだからやはり効果があるのだろう。

 勿論、うちでも日常的に蛇口の水を飲んでいて味がよいのは実感しているのだが、蕎麦打ちなどで美味しくできるのも此の水のお陰なのかも。もっとも、上手に電子チャージした電子水の方が備長炭から溶出するミネラル分が多いせいか美味しく感じるが、家中の水を電子水に出来るわけではないので洗濯などには使えない。よっぽど大型の1000Lタンクとかにすれば別だけど、、って、実はそういうのを見たことがある、伊勢神宮の神様の為の田畑が伊勢にあるんだけれど、其処の施設の中には2000L位のタンクが2本も設置してあって大型の電子チャージャーで電子水を作っていた(普通の人は中に入れません)。農業者の方でも、500Lのタンクを用意して田圃に流し込んで使っている人も多い(美味しいお米が採れることは勿論だが、天候が不順だったり、また病虫害が酷いときに、他のものと比べて強い稲になるので条件が悪いときほど差が出やすい)。そこへいくと此のディレカの水は蛇口を捻って普通に洗濯に使える様になるので、今、我が家では一切洗剤を使わずに塩と水だけで洗濯をしている。で、ちゃんと綺麗に汚れが落ちている(なんでも水分子の角度が165度を持っていて浸透力が凄く良いらしいのだ。此の角度がシャドーエネルギーと言って高エネルギーを持っているとのこと)。

 此等の話は此の項とはあまり関係ない話だがちょっと自慢。うちはローテクだけで工夫している訳ではないのよ。貧乏ながらも創造的な先端技術のものは真偽を見定めた上で、本物の製品は積極的に採り入れる。つまり生活様式を、伝統的なものと先端技術とでアウフヘーベンしているのね。暴力的なテクノロジーの進歩、哲学を持たないテクノロジー等とそれらを闇雲に受け容れて仕舞うような、また簡単に頼り、そして依存するような生活形態に対しては批判的だけれど、理念や哲学に根ざしたテクノロジーは、、、実は大好き。
 確かに電子水にしたって此のディレカにしたって水の味が可成り変わるからね。それもフィルターなど無しで水の電気的特性を変えただけでね。で、ディレカは初期投資だけで、あとはお金が一切掛からないというので納得。また開発者の方の意向でマルチレベル商法の業者や関連商品を扱う人は一切取引をしないというのも良い。水関係の業者の人には結構変な人居るからね。
 あと販売の人が言っていたがF総研関連とは取引をしないとのこと。なんでも昔からの知己だったが、最近おかしくなってきてついにはディレカを恰好だけパクった発電力もない水の味も良くならない活水器擬きまで売り出す始末だそうだ。わたしも実物を見た。実物は似ても似つかない安っぽいものだった。F関係で直接本人と付き合いがある人を4人くらい知っているが、多くの人は宣伝してくれて自分の商売には良いので表だって非難はしないが裏の話は色々聞く。
 ま、そんな話は何処にでもあるもので、大体カリスマみたいな人間を奉る連中は自分達にも弱いところや狡いところがあることが多いからね。それでも、今の社会には何かしらの役目を果たしているから一概に否定するものでも無いと思う。まあ、本物本物と騒ぐ人ほど自分自身が本物じゃあないのよ。誠意がモットーなんて言っている人ほど誠意が無かったりするし。つまり偉そうな高説は、その人のテーマ、自分自身が成りたい希望を述べているのね。別べーじにも沢山書いたけど、言っていることとやっていることを観察し見てれば解るでしょ。大抵は逆だから。その人自身の成長のテーマで無いことを、自分の意識のギャップに引っかからない事をわざわざ言わないね。乗り越えてしまっている人は何も言わずに当たり前のことを実行しているし。わざわざ理念を大きな声で言う人、また特定の批判意識を持っている人は、結局他人を通して自分自身を見ているわけ。他人や自分自身の現在の環境はその人自身の鏡なのね。だから当サイトのindexページのタイトルは“Room full of mirrors”。周りは全て鏡ということ。そういう眼で見れば、他人に偉そうに能書き垂れている内容と逆がその人の中身と言うことで。。。えっ、わたし?はい。わたしは似非です。似非なんとか? さて、正体がバレちゃったところで軌道修正。話を元に戻そう。(^-^;;

 そして其のディレカ水で味噌作りをやった。果たして結果は如何に?(ど素人が大袈裟にいうほどのことはなくて、電子水などは昔から食品製造業に採り入れられていたし、ディレカは現在どんどん導入されているみたいだ。お豆腐屋さん達も導入していて、ディレカで活性化したお水を使うと良いお豆腐が出来ているそうだ。また、ディレカを使って洗剤を使わないクリーニング屋さんも営業しているという。こういう地球に優しいものは、ドンドン宣伝して上げたくなってしまう。ディレカの大元の開発者のWebサイトはこちら

 

薪でやると早い!
味噌作り用の臼

 おっと、味噌作りの前に数日掛けて鉄鋳物の羽釜を使えるようにメンテした。リサイクル屋さんで買ってきたときに、ドリルに付けたワイヤブラシで擦って錆落としはざっとやってあったが、食品を入れて煮炊きできるほどになっていなかった。

 そこで、改めてちゃんとメンテをしようと、知り合いの昔の人達に聞いてみたが、みんなうろ覚えでハッキリしないことを言っている。なので、Webで検索するが、近年データーベースとしても充実してきた感があるインターネット上でも、僅かに載っているだけ。それもトータルで鉄鋳物のメンテについて書かれているわけではない。辛うじて南部鉄鋳物関連のサイトで茶道で使う風炉や、あとは鉄瓶についてのメンテについて書かれているが、深く錆びたものを復旧する話は載っていなかった。

【鉄鋳物の釜のメンテナンス】
 それでも、鍛冶の師匠の小山氏に聞いた木灰や藁灰を煮るという話し、、、以前にも聞いたような覚えのある手法とWeb上に載っていたお茶の葉を煮てタンニンと鉄を反応させてコーティングする手法をやることにした。
・先ず、木灰などはないので、長火鉢に溜まった炭の灰を羽釜にタップリと入れて煮出した。其の後にドリルに付けたワイヤーブラシで擦ると、可成り綺麗になって鉄の地肌が出てきた。
・もう一度、灰で煮てみた。此の時点で鉄の黒っぽい地肌が出ていた。
・そこで、お茶の葉を入れて沸かそうと、ガスレンジ上で沸かしはじめると、レンジの火が時々ジュウーという音と共に赤い色になっている。良く観ると、釜の底から水が垂れてレンジに落ちているのがわかった。窯の中を覗くと、微かに気泡が上がっている。釜の底のどこかに皹が入っていて水が僅かながら漏れている様子。あちゃ〜、参ったね。綺麗になり過ぎて皹が開いちゃったんだね。
・でも慌てず思案する。前に知り合いの宮司爺に鉄瓶の水漏れに米のとぎ汁が良いなんて聞いた様な気がするので、此の羽釜にもお湯を張って米を二掴みほど入れて煮てみた。水は可成り入っていたのだが蒸発してお粥になってしまったが、幸い効果があったのか水漏れは解消した。
・その上で、お茶の葉や紅茶のティーバッグを煮出すのを3回ほど繰り返した。最初の時点で、直ぐに湯が真っ黒になってタンニンと鉄分が反応していることが解った。暫く煮て放っておくと、湯を開けてみると内側が可成り黒くなっている。口の方まで入れて3度繰り返したら、下の画像のように黒くなった。
 以上でメンテが無事終了。このタンニンによるコーティングは釜を使用していると薄くなってくるので、その際にはまたお茶の葉を煮出す必要があるそうだ。

 当初はWebで様々なキーワードで鉄や鋳物鉄の錆取りについて検索するとバイクのタンク内の錆取りの記事と鋳物シリンダーの錆取りが殆どで、あとはボイラーなどのメンテについてなので、薬品を使う内容ばかりだった。その中で身近にあるサンポールが効く内容があったので、やろうかと思って別ページに記載の鍋屋金物店のオヤジさんに聞いたところ、そりゃあダメだろうな、薬品は止めた方が良い、と言われた。もし、やっていたら効きすぎて孔が開いたかもね。

 

 お茶の葉っぱを煮出してコーティング。可成り黒くなった
 今回のメンテを行う前は外側の錆びた茶色のところと同じ状態だった

 昔の人には当たり前のことだったのでしょうけれど、自分らの世代にはあまり縁のないノウハウだった。錆を灰をお湯で煮て落とす?お茶を煮出してタンニン鉄でコーティング。ひび割れは米のとぎ汁か粥を煮る? それで錆びた鉄の釜が食べ物用に使えるようになるとは・・・

【臼と杵】
 さて、臼と杵だ。実は、これを最初から用意しておいた訳ではない。大豆を潰すのには友人がミキサーでやろうと言っていて持ち込んできてあった。此方では小さい当たり鉢とバーミックスを用意してあった。そして、いざ大豆が炊きあがって、やってみたらそんなもんではかったるくてやっていられない。わたしはミキサーで大豆なんか潰したことが無いから知らなかったのだが、水分が無いとダメだという。すると煮汁を使ってやると柔らかいミソになってしまうと言う。なのでこれらの道具は却下。

 仕方がないので知り合いの宮司で大工の爺に電話をする。神社の山で正月やイベントの時に餅つきを良くやっているからだ。「Kさん、味噌作りやるのに臼と杵貸して!」『それだったら味噌用のがあるぞ。何時やるんだ?』「もうやっているんだけど、ミキサーじゃあダメでさ〜。」『当たり前だろ!大豆潰すんだったら臼と杵が一番早いんだ。俺等は味噌は自分のところで作って居たから良く知っているんだ。』「じゃあ、これから直ぐに取りに行くから。」

 と、車で30分くらいのK氏の作業場に向かった。仕方がないので、という其の理由は、味噌作りをやることは前から言っていたんだが、だったら俺を呼べ、教えてやるから、という様な事をすぐ言うし、友達も味噌作りはずーっとやっているので味噌くらいで宮司オヤジの能書きを聞きたくもない為に内緒で味噌作りを始めていたという経緯にあった。
 なので腰を低くしてお伺いする。倉庫の奥に仕舞ってあった臼を出すのは一苦労。思っていたよりでかい臼だ。板を敷いて何とか引っぱり出して、そして同じように板を敷いてやっとジムニーの荷台に二人掛かりで押し上げて積む。大きいので無理矢理リアゲートを閉める羽目に。でも、これで一安心。
 宮司オヤジに、「これからパスタで昼飯作って喰うけど来る?」と言ったら、御神輿の飾り金具を作る作業にも疲れたので気分転換に来るという。其れでもって、丁度宮司の彼女も来たので大所帯と一気になってしまった。家に戻って、臼と杵をよく洗って大豆つきの準備だけしておく。その後で食事。友人夫婦と子供と宮司と彼女、それから我々夫婦の全7人分。折角だから世界中を回っている別の友達がフランスで自分達の手で収穫して絞ったという旨いオリーブオイルを使ったサラダは嫁さんが作ってあったので、私が急いでパスタの準備。地のツクシのパスタと手作りベーコンのカルボナーラの2種類。豪華だねえ。こんな量は嫁さんには作れないから私が作る。段取りと手際の良さが必要だし力が無い嫁さんに此の量のパスタを段取り良く作るのは無理。んで、皆さん大絶賛。手の込んだものは出来ないけれど、自然素材が多いうちの料理は美味しいよ〜。で、アルコールも少々。旨いものを食って貰ったことで、内緒で味噌作りを始めた因縁は解消。そして盛り上がったところで作業開始。

 

ミソ用の臼と杵を貸してくれた宮司オヤジ
米麹と天日干し天然塩と潰した大豆を混ぜる

 それで、やってみれば臼と杵は、大豆を潰すのに滅茶苦茶楽だし早い。綺麗に潰れる。それに電気代も掛からない。こんな良いもの他に無いじゃん。知り合い達は電気餅つき器やミンチを挽く機械でやるらしい。それでコツコツやれば上手に出来るのだそうだ。それはそれで良い。でも、此の臼と杵はビックリしたね。
 結局、竈で鉄の羽釜を使って薪で大豆を炊いて、臼と杵で潰した大豆に麹と天日干しの塩を使った、昔ながらのやり方で味噌作りをやったことになった。そして、それが結構簡単で早いし楽だった。もっと多くの人が認識して良い事実だと思う。なのでこんな事を書きたくなったのね。ただ、こんな道具が揃えられるかが問題なんだけど、持っている人達は無駄にしないように、そして知り合いにそういうものを持っている人が居たらみんなで活用させて貰うととても素敵だと思う。そして其れは子供達の教育にも良いことだろう。ロボットのような人間を増やす様な社会はもう沢山だしね。

 ただ、此の臼と杵も使いやすかったのは事実だが、それは宮司オヤジにやり方を教わったからだ。上の写真では臼の正面に向いてしまっているが、宮司オヤジは大豆を潰すときにはもうちょっと臼に対して横向きに立って、杵を脇に持つような形で、膝を曲げて身体全体を上下に動かしながら、杵を臼の縁から真ん中に向かって滑り下ろして大豆を潰した。その運動を前進しながら臼の周りを回ることで、入っている大豆全体を潰す作業を繰り返す。時に真ん中に盛り上がった大豆の山を潰して縁に寄せて、おなじ動作を繰り返すことで満遍なく大豆を潰した。
 その上で、麹と塩を混ぜたものと大豆の茹で汁を入れて、更に擦り潰しながらよく混ぜる工程を行う。これで、綺麗にねっとりした味噌の元の出来上がり。

 

 友達の息子。田舎オヤジになる教育を受けている最中。親は学校なんかろくに行かなくたって良いんだという。
 味噌団子を作って瓶の底から空気が入らないように叩き付けて詰めていく。

 今回、5kgの大豆でトータル20kgくらいの味噌が出来たのかな。うちの分は6kgくらいだったみたいだ。味噌を詰めた一番上に塩を振っておくのを忘れた。また熊笹を載せておくと黴対策に良いと言うが、友達や知人達は黴びたことがないのでやらなかった。また、時期も遅れ遅れで4月になってしまったが、まあそれもよし。今年中にまた味噌作りをやろうと言うことになっている。何度もやってみた方が色々な味噌が作れるからということで。

 それに、臼と杵は宮司オヤジから貰ってしまったので活用しないと只のオブジェ?になってしまう。何しろケヤキの多分100年位のものらしく、大きさは直径70cmの高さが50cmあるもの。独り抱えては持ち上げられない。臼はどこか大きな家から出たもので、それを宮司オヤジが貰っておいたらしい。杵は樫材だが、其処の同じ家のものでは無いとのこと。自分は他にも持っているからと珍しく気っぷの良いところをみせた。おかしいなあ?何時もと違うなー。もっとも倉庫に戻すのも邪魔だからな... でも、うちでも仕舞うところが無くて邪魔。嫁さんに店の店頭に置けといったら邪魔だからと却下。仕方がないので暫定的にリビングに置くことに。何れ工夫してテーブルにも使えるようにしようか・・・


【鋳物の竈について】
 中古道具屋・砥石屋さん巡り`01/3のページに2年ほど前に載せた此の鋳物の竈。其処に“またまた何時ものリサイクル屋さんで、珍しい鉄の飯炊き釜、鋳物の竃(かまど)付きを購入”と書いた。だが、今回鉄の釜をメンテするに当たって改めて調べたら一般的には羽釜と呼ぶことを再度認識。

 以下は前述のページに書いた文章だが転記する。
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※鉄釜は一般名称では羽釜ということがやっと解った。竈に乗るように羽のような縁が付いているからだそうなのだが、言われれば確かに羽釜と言っていたような覚えが。。。サイズを測ってみると口の内径28cm、胴の内径が30cm、深さが24cmくらい。確かお湯を張るときに飯盒で6杯くらい入った(もしかすると7杯かも)ので、1.8*6=10.8リットル。三升炊きは出来るものだ。このサイズの鉄鋳物の羽釜をWebで調べてみると、安いところで二万円くらい。高めのところでは三万円を超えていた。
 それで、上記の鍋屋さんにあった竈のカタログから同じくらいの竈のサイズをみると、定価ベースで23000円。それに新品の鉄鋳物の羽釜を足すと合わせて四万円は軽く超してしまうではないか。なら中古で16000円は妥当なところだったか。それにカタログのものよりは竈の造りが良さ気だしね。おっと、木の蓋も買えば三千円くらいはする。
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 そんな様に書いたのだが、リサイクル屋さんに最初に買った時は、こういうものが今も新品で売っているとは思いもしなかった。それで、先のページにも書いた様に他のページ“手打ち鉈他、造林用の良い道具類を手に入れる`01/2”に載せている近くの鍋屋金物店さんに聞いたところ、自分のところでも売っているという。まだ、使う人が居たんだねえ。こういうのアウトドア雑誌なんかには載らないからね。我々は何も知らないって事ですわ。

 で、リサイクル品を格安で手に入れて、いざ使ってみれば非常に優秀じゃないの。それで、再度鍋屋金物店さんに行って、鋳物の竈で味噌作ったら凄くやりやすかった話をした。そうしたら、今でも竈を買う人が結構居るそうな。先日も津久井中野の町が持っている共有林を手入れしている人達が購入して山へ持っていって煮物やら色々やったら凄く良かったと言っていたとのこと。やはり薪数本で煮炊き出来るので熱効率が良いのにビックリしていたそうだ。分解して持ち運びが出来るのも便利なんだよね。でかいものだと筍を茹でるのにも楽だしね。

 

 その先日売ったというのは上の画像の表の一番下の大きなタイプ。釜輪の内径が39cmというもの。三万円弱で売ったそうだ。此のタイプのものは自分の持っているものと同じ火口と灰掻きの口が上下にあるもので、昔からあるタイプ。

 こちらは左下の画像にあるカタログのもの。簡易型。灰掻きの部分が無く直接焼けた灰や炭が地面に落ちる。最初は左のカタログのものが此の上の画像の竈かと思っていたのだが、再度鍋屋さんに教えて貰ったところ、左下のものだった。

 鍋屋さんによると竈の釜輪の内径と羽釜は近しい数字のピッタリのものを選ぶよりも羽が乗る範囲で大きめの竈を選んだ方が良いという。その方が火が羽釜の脇まで回るので熱が良く入って熱効率が良いそうだ。うちにあるものは釜輪の内径は34.5cmで羽釜の胴回り直径は内径が30cmなので31cm無いくらい。竈の構造上、そういった感じの方が胴回りまで熱が回りやすいのだろう。

 この竈と釜と蓋を揃えると結構な値段になるが、それでも此でないと煮炊き出来ないものを処理する人も多いようだ。町中では使わないが地方や農家では今だ需要があるんだね。知らなかったです。ご免なさい。それでもって使ってみれば我々みたいな街場の人間で、それでも農的生活に憧れるものにとってはとても便利なものと思うもの。もっと知られていても良いのにと考える。

 

 右はつい先日、またまたリサイクル屋さんで見付けた蒸し器、、、というか以前から置いてあったのだけど興味がなかったので見過ごしていたもの。
 なんとなく閃いてサイズも確かめずに直径36cmの鉄平型の重たいフライパンと併せて三千円と当初言っていたのを二千円までまけて貰って買ってきたもの。
 そして持って帰ってきて28cm口の羽釜と合わせたら正しくピッタリ。安定して乗っている。これで蒸しものまで出来る。何やるんだ?濁酒作りか。

 あと平型のフライパンを買ってきたのは、此の竈にダッチオーブンを載せて調理できるようにアタッチする台を作ろうと思ったから。使いやすいかどうかは解らないけれど取り敢えず試してみなくちゃね。

 以上の様に考えも及ばなかったほど優秀な性能を持っている鋳物の竈と鉄羽釜であった。それから臼と杵もね。ほんと我々は何にも知らずに育ったんだよね。今更だけど認識を改めた。
 そしてそんな人間だからこそ、こんなページを作ろうという気になったのだろう。こういうものはもっと多くの人が知っていて良いと思う。身の回りに有る人にとっては当たり前のことかも知れないけれど、知らない人間にとってみれば、こういった昔のモノ(と勝手に思い込んでいる)がこの様に優秀だとはね〜。有る意味カルチャーショックだったかも知れない。我々にとって外国のことを知るということは当たり前で、先進諸国のことについては情報が多いためにあまり新鮮味が無いのだが(メディアの情報はアメリカに偏りすぎているから一方的な偏ったものとしか言えないが)、その情報が無い文化については驚くことが沢山ある。でも、自分の足下の当たり前のことで、こんなに違うんだという事を認識したのはうれしい誤算?だった。

 そんなこんなで、最新のものがどんな時でも使いやすくて性能が良いという訳では無いという事の認識をまたまた改めたという話。勿論、小規模の調理には其れに適したものはあるが、やっぱり火は欠かせない。ロボットとしてではなく魂をもった存在として人生を主導的に生きて行くには、気の入った生きたものの生命力を分けていただくことが肝心要である。食べて元気が出たり感動したりするものを口から入れること。感謝の念をもって食事が頂けること。その一つの道具としてお薦めしますぜ、此の竈と羽釜。皆さんのご近所でも手にはいるところが有るはずだからお調べになっては如何? 此方の多摩地方や神奈川県西部なら別ページに書いた“手打ち鉈他、造林用の良い道具類を手に入れる`01/2”に載せている鍋屋金物店さんに尋ねても良いだろうし、多分、少し大きい金物屋さんだったら置いてあるのではないかと思うのでお調べになってみるのが良いと思う。

 今はメディアに乗せられた変なアウトドアブームを卒業して地に足が付いたエコロジカルな生活や農的生活に向かっている人が多いから、こういった道具を再度生活の中に採り入れていくのにも違和感が無くなっているはず(農文協刊の別冊現代農業誌:季刊などにはそういう生活をしている人達の具体的な智慧が載っている)。薪ストーブなどが使える環境になっている人達も多いので直ぐにでもこういった竈は使えるであろう。自分達でも気が付いた位だから、多くの人達も使って居るであろうこういった便利で経済的な道具類がドンドン少数派になって消えていかないように此処にアピールする次第である。押し付けられた経済優先、お金優先の生活を我々が選ばなくて済むためには、鍛冶屋とかこういった道具類などが消えないように守っていかなければならないと考えるからね。
 こんな事を考えるのは春だからではないよ。何時も美味しいもの感動するものを食べたいからね。勿論其れは素晴らしい料理人が作ったものではなくて、自分達で作ったものでである。腕じゃなくて素材の良さ処理の良さで旬のもの、酸化していない、気の入った生きたものが食べたいからだ。

by Recycler `06/4/12


【ベーコンの出来具合】
 さて、今回4kgほど試してみた燻製で、味的には昔私らが食べていたベーコンの味が自分達で出来るようになりました。勿論、メチャ美味しいです。でも白い脂身がどうしても多いんですよね。
 今回ベーコンを作るに際して嫁さんのお店でお付き合いしているお肉屋さんと、割と近いところにあるWebでも上質のハムやベーコンを販売しているお肉屋さんの両方で豚肉を仕入れましたが、何れにしても今のブタバラは脂身が多い様に思えます。昔のと違いますね。昔のベーコンはもっと赤いところが多かったですから。
 先のとても上品で美味しいベーコンやハム、ソーセージを作っている誠意あるお店のものでも、昔のベーコンと比較すると脂身が多めなんですよね。なので、思うのは今の養豚のやり方だとそういう肉質になってしまうのでは無いでしょうか。

 と言うのは、うちで使っているステンレス多層構造鍋では、以前は豚肉でしたら油無しでこんがり美味しく焼けて居たのですが、近年の豚肉は油無しで焼き始めると水分ばかりが滲み出てきてこんがり焼けなくなってしまいました。此の話は、以前新潟に行った時に同じように調理して、行った先のチタン加工会社の社長と豚肉を食べながら話をしていたら、一言、今の豚は水豚だからなと言われました。つまり養豚の根本が変わってしまったみたいです。

 ということで、先日、嫁さんとの会議で、次は昔ながらの養豚をしているところの豚さんのお肉を売っているところを探そうと言うことになり、近くの村には豚を放牧して散歩させている養豚をしている業者さんが居るので、豚を飼いたいといっている友達と、今度覗きに行ってくることにしました。
 また畜産に於いても、水や飼料など動物に与えるもので、動物たちの健康や肉質がガラッと変わって良くなってしまう方法を使って効果を上げている農家の方々も居られますから、そういうところのお肉が手にはいるかどうか調べてみたいと思います。また、面白い結果が出たらこのページにアップしますね。

 

 その先日売ったというのは上の画像の表の一番下の大きなタイプ。釜輪の内径が39cmというもの。三万円弱で売ったそうだ。此のタイプのものは自分の持っているものと同じ火口と灰掻きの口が上下にあるもので、昔からあるタイプ。

 こちらは左下の画像にあるカタログのもの。簡易型。灰掻きの部分が無く直接焼けた灰や炭が地面に落ちる。最初は左のカタログのものが此の上の画像の竈かと思っていたのだが、再度鍋屋さんに教えて貰ったところ、左下のものだった。

 

【プロのベーコン、プロ(本物?)の商品】
 先に書いた上品でとても美味しいベーコンやハム、ソーセージを売っているお店は相模原市上溝のクライフさんと言います。ドイツに修行に行ったお兄さんが作る此等のものはとても美味しいです。ベーコンは火を通さないでそのまま食べると何とも言われぬ美味しさです。またフライパンなどで軽く火に当てるだけで更に美味しいジューシーなベーコンになります。乾塩法(今のスーパーで売っているベーコンは違いますよね)で添加物などを押さえて作られているので、スーパーストアなどで売られているベーコンやハムとは世界が違います。焼き上がったばかりのものを食べた日には本当に幸せな気分になりますね。
 また、ハムやベーコンの切りさしが出ている時もあり、其れを買ってくると普段は買えない様なお高いハムもアラカルトで入っているので、お客さんが泊まった時の朝食に出せてとても重宝、、、というかその美味しさにビックリされます。とは言っても、そんなもん何時も食べている訳ではないんですよ〜、偶に行った時に目についたら買ってくる、クライフさんの切りさしお徳用が安くてビックリの美味しさなんです。

 それでもって、なんでそんなに美味しいお店があるのにベーコンを作る気になったかというと、クライフさんのベーコンが特別高いとか味がどうこうという訳ではないんです。逆に質と味から言ったら安くて良心的なものだと思います。
 だけれど、家で調理するときに、例えばカルボナーラとかBLTサンドに使うにはちょっと塩味が足りないんですよね〜。もう、それだけ。自分達で食べる時は、これらのモノは塩っ気がガツンと効いた方が嬉しいので、じゃあ自分たちで作ってみようと思った訳です。

 で、最初は遠慮して、嫁さんのお蕎麦屋さんで付き合いのあるお肉屋さん、、此処も質の良い国産豚を出してくれますが、、、のお肉を使ってみました。そして次ぎに心臓に毛を生やして、クライフさんに行って、「今日はベーコンを買いに来たのではなくて、自分でベーコンを作りたいので豚のバラ肉下さい!」と、燻製部門のお兄さんに挨拶をしてから、お店のカウンターのお肉部門のお父さんの方に大きな声でお願いしましたら、「良いところを出して上げるからね。」とお願いした豚バラ2kgを奥で切って計ってくれました。kg当たり1400円弱です。綺麗に処理してくれてあるので、肉を洗わずにそのまま孔開けをして塩やスパイスを擦り込めるものでしたね。

 その時に、クライフの燻煙部門のお兄さんに教えて貰ったのですが、ドイツだと1kg当たり20gのお塩なんだそうです。でもクライフさんでは日本向けに10%ほど少な目にしているとのこと。なので、あの上品なお味なんだよねと合点。でも、そこで疑問が一つ。燻製の本や、昔のアウトドア雑誌のフィールド&ストリーム(日本版)をひっくり返して読んでいると、kg当たり35gの塩と書いてある事が多いですね。それで塩漬けをしたあとに3時間ほど水で塩抜きをするというのが常套的のようですし。この辺の量と処理の仕方の違いがどの様なのか、今度行ったら聞いてみよう。教えてくれるだろうなクライフさんだったら。。。帰り際に、「良いベーコンが作れるといいですね。(^-^)」と言ってくれたお兄さんだからね。
 流石、良いものを作っている職人さんは自信があるし、素人との棲み分けが出来ているから変な嫌らしさは微塵もないのかもね。そもそも、クライフさんのお兄さんもお父さんも、女性陣もみんな顔が良い。別に顔が良ければ性格がいいなんて事はないけれど、良い仕事をしている人達は顔が輝いていますよ。それも作られたモノではなくて内面からの光がね。

 そう言う観点から見ると、うちの近所はこういった美味しい隠れたお店があちこちにあるので、なかなか侮れないんだよね。個人商店のスーパーみたいなお店でもマグロなんかの解凍が上手で状態が良く、そしてメチャ安くて美味しいなんてお店が隠れているし(都内の魚屋なんかより全然美味しいよ〜)。
 はたまた、可愛いおじいちゃんとおばあちゃんがやっている、とてもこんなところにお店があるとは思えないなんてところにあるケーキ屋さんが滅茶苦茶上品で美味しかったりするからビックリするんです。おじいちゃんはケーキ屋さんじゃなくて、ホテルだかレストランで修行した人みたい。
 ショートケーキは特にお薦め。砂糖が可成り控えめなのは勿論。生クリームもパウンドケーキもフワッとして凄く美味しい。都内の美味しいケーキを食べている人達に出すと可成りビックリされるから楽しいね。口コミでお客さんが付いているので、こんなところに書かなくて良いかもしれないけれど、まあこれもご縁だから、近くの方は寄ってご覧になると良いと思います。津久井の城山町役場がある通りが津久井街道と斜めに合流するところで、三角地帯の何軒かある商店の其の一番奥に隠れています。エリーゼさんと言います。誰が食べても美味しいと言いますよ。絶対美味しいです。

【一昔前の食との違い】
 結局ね、今は大型のスーパーストアとかコンビニとかがやたらに増えてしまって不味いものばっかり売っている訳だよね。それが当たり前になってしまって舌がおかしくなってしまっているのが現状。現代の文化の歪さだね。今の母親達を育てた大人達が賢くなかったら不味くて身体に悪いものを食べても平気にしてしまったのが原因でしょ。結局、便利簡単に踊らされて手抜きの食事をしてきたから。お金がやたらに掛かる生活が当たり前で、そのお金を稼ぐのに忙しくて生活の基本的な事に手が回らなくなってしまったし、更に一カ所で買い物が済み値段も安い(安くする為にはインチキをしている?)からついそんなところで済ませてしまっているのでしょう。

 今回のベーコン作りでも解ったけど、結局昔我々が食べていたものは美味しかったんだよね。当たり前の作り方で作っていたということなんだろうけど、今の時代では本物という言い方になってしまう。それだけ偽物が多いということね。
 それでも先に書いたような個人商店が結構あるので、出来るだけそういうところのものを食べるようにして、そういったお店が長続きするように助け合わなければならないと思いますが如何。今のような文化のままではこの先世の中が悪くなる一方でしょ。実はうちの嫁さんの両親は蕎麦屋を営んでいて、其れこそ毎朝枯れ節で出汁を採ったり体に悪いものは出来るだけ使わないようにし、また野菜も自家菜園で作り、お店で無農薬のものを出せるように工夫していたんですね。だからそのお店で食べても身体に素直に入っていくのが解るし食後の嫌な感じは全然無かったのね。
 嫁さんもそういう中で育ってきたから私とも食の感じが合うので結局一緒に暮らす事になったわけだけど、昨年末に長年の仕事で身体がボロボロになったオッカさんがギブアップしてお店をやめる事になってしまったんですよ。その後紆余曲折はありましたけど、結局娘である嫁さんが引き継ぐ事になって、オトッツァンに最初から仕込んで貰う事に。嫁さんが今度は事業主になってオトッツァンと二人だけで再開店する事にしたんですね。本当は出すものの内容(結構手間を掛けている)からして3人居ないと切り盛り出来ないんだけど自分達の出来る範囲(人を雇うと価格に反映しちゃうでしょ)でやろうということにしたんです。この店が無くなると困るというお客さん達が可成り居るので其れに応えるということと、そして嫁さんが両親の技術をしっかりと学び、安心して食べられる美味しいものを受け継いで伝えるということの決心を今になってやっとしたので蕎麦屋再開となりました。果たしてどうなりますことやら。周りはみんな私に手伝えだのやれだの申しますけど、どうもルーチンワークが出来ない体質なので私にはとても無理! それに嫁さんの自立の為にも自分の力で仕事をやった方が良いしね。まあ、奴が一人前になったら少しは手伝っても良いんだけど、精神的に自立していないで一緒に仕事すると面倒で仕方がないからね・・・まあ、暫くはオトッツァンと二人で頑張って貰いましょう。

`06/3/1:追記

【バラ肉の脂についての私見】
 さて、先に書いたバラ肉の脂身の件だが、昨日蕎麦屋の再開店に際して知り合いの宮司爺と食べに行った帰りに、仲間の石窯作りの先生も加えて三人で近隣の村に養豚を見に行く事にした。その養豚をしているところは山の中腹にあって、以前登山をしに林道を登っている際に豚を山道で歩かせているのを見たからなんです。なので豚を飼いたいと言っている石窯作りの仲間が見てみたいと言っていたので丁度タイミングが良く行ってみたというわけ。

チップを削る鉈は、別ページに書いた様に自分でレストアしたもの
出来上がり。
 

 

`06/3/10:追記

 


・パン屋さんに居た猫の“ニャに”の画像&石窯作りワークショップの画像若干 `06/2/28---薪で焼く石窯焼きのパン屋さんに居た猫のキャラが何とも言えず良い。そのパン屋さんはホンマモンの“薪窯(薪で焚く石窯)”+“天然酵母”、“国産小麦”、“全粒粉”使用の四拍子。此よね此。あとは、友人が行った石窯作りのワークショップ画像をちょっと。
・飯炊き用の鋳物竈をスモーカーに転用`06/2/27
---鋳物の飯炊き竈は骨董コレクションで買った訳ではない。電気ガスなどが無くても生活できる基盤を確保しておく為だったが、そんな事態になる前に、燻製器(スモーカー)にも転用されて大活躍。
・暖める為の智慧、二点`06/2/22---ペットボトルに60度のお湯を入れると布も被せずに丁度良い湯たんぽになる。また円柱形石油ストーブに耐火レンガを巻いて遠赤外線の輻射熱の恩恵を受けられる様に改造。
・鍋でご飯を炊く男:ステンレス多層鍋を使いこなせ(栄養を壊さない逃がさない健康調理法)
・料理を美味しくする調理器具、不味くする調理機器具
・家にある道具で口金を火造り?---古く使い込んでボロボロになった鉈や鎌も、柄と口金を新しくすれば元通りに活躍できる。その口金を作るには?
・手打ち鉈他、造林用の良い道具類を手に入れる`01/2---刃物は使ってなんぼ。使わなければ良さは解らない
・中古道具屋・砥石屋さん巡り`01/3---少ない投資で充実した設備。新品? 要らんやろう。。。丹念に探せば出物があるある
・やっぱり、切り傷にはアロンアルファでしょ!--`01/11/14---新しく出来たナイフの仕上がりを調べるために、自分の指で試したバカな奴の話。恥ずかしいので知り合いだけにと思っていたけれど、此の切った指の修理方法は結構有効なことが経時変化で解ったので、敢えて恥を忍んで公開。
・東京マタギ、ナイフメーキング教室?`06/3:熱可塑性樹脂カイデックスを使ったシース(鞘)作り& 山菜キノコ採り教室の風景
・小さいけれど本物。ミニ沼田鉈「鍛冶屋の誇りが籠もっている鉈?」`06/8---“趣味のミニ鉈”とは書いてありますけれど
・東京マタギ深瀬教室の仲間とのキノコ&蕎麦の会 `07/11/20---裏々キノコ教室:性格悪い奴はキノコ採れない伝説。楽しい仲間とのキノコ採りの風景と、少しばかり美味しく出来るようになった蕎麦打ちのプチ自慢。性格悪い奴ほど能書きが多い!!!って、、、誰のこと?
・CT110ハンターカブのその後---整備と部品交換。たかがCT、されどCT。足(たる)を知れと言われても...
・新規格以前の四駆軽トラのお薦め---其の二 ---スピリチュアル軽トラ-ライフ。良い“足”を手に入れたら---`05/1
・“山仕事の道具と技術、智慧は、自給と自衛の基本”(社)全国林業改良普及協会刊 森と暮らすNo.2「ノウハウ図解山仕事の道具」(`08/6/10発行)のお薦め-----自給自足、半農半X、田舎暮らし、農的生活指向の方々に必須? 自然と共に暮らそうと思ったら山と木々があってこそ。本書は、山主や林家向けの入門編の本だが、山の作業と道具に関わることから安全管理まで全てを網羅している。当サイト管理者も、鍛冶屋の智慧や、道具類の修理修復、熱可塑性樹脂カイデックスを使った鉈や道具類の鞘(シース)作りのページを70頁ほど書かせて貰った。実践的な智慧が籠もった本なのでお薦めする。---`08/6/11

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