題名:早戸川本間沢に怖い思い顛末記の後日談
(F10直下で、血だらけのタオルを発見)


 さてさて、本日は6時半過ぎに目覚ましが鳴りました。でも、無視です。取り合えずトイレに行きましたが、また寝ました。ひとりで行くときは気楽なものです。

 が、暫くしてなんとか起き、顔を洗い、布団を上げ、掃除をしてから、出掛けたのは7時過ぎ。

丹沢観光センターについたのは9時過ぎだったでしょうか。支度をしていたら、農協の看板を背負った4駆RVが近づいてきて止まりました。

 なんでも、昨日の日曜日に、本間沢で滑落事故があったとのこと。気を付けていって欲しい、無理しないで欲しい、“救助がえらく大変だったから”と言っています。

 解りました、と笑顔で応えてお別れです。何処で事故ったのかなあ?出掛けから縁起でも無いなあと思いながら、、、でも気合いを入れて出発。

 遡行していくと、昨年の春に私がはまったF10の下に、脱ぎ捨てられた地下足袋や、血だらけのタオル、ビニール袋など諸々が散乱しておりました。そして、そこから尾根へは救助隊の足跡が幅広く踏み荒らされており、尾根にはショートカットのための目印や、焚き火の痕などがついていました。

 本間の頭からの尾根道は急勾配で、ウォータースライダーみたいにツルツルだから、けが人を背負っての下山は大変だったろうと思います。

 ガイドブックに騙されて、F10直登10mを基本装備で行っちゃった奴がいるのですね。

 あ〜、恐ろしい!

 U君も一人で行くときには気を付けて下さい。また、遡行記にはくれぐれも騙されないように。

 本間沢を全部直登してみて、書いてあることが嘘っぱちだと了解しました。あんなところを初心者が“基本装備”のみ(ようするにザイルとか登攀具なし)で登ったら事故るに決まってます。 くわばらくわばら。

※勿論、遡行記を書いた人は騙すつもりはないのは解ってますよ。でも、あんまり格好良いことは書かない方が良いでしょうね。うまい人が登って認識した初級レベルの滝というのと、岩登りの講習会とかちょっと沢に行ったことがあるくらいの本当の初級の人がいう初級レベルの滝は当然違うからです。

 でも、今回は遡行図が役に立ったことも、つけ加えておきます。最後の尾根への突き上げは、去年は間違えて、崩落のところを登ってしまいましたが、今回は晴れていたし、気持ちに余裕があったので、獣道を追いかけ、割と楽な尾根を登ることができました。本の遡行図があったから、素人の自分にも良いルートを探し出せたと言えます。

 改めて認識したのは、遡行図があっても自分の目で確認したうえで、遡行することです。沢登りでどの様なルートを登るかは本人のセンスと自己責任ですもんね。そんなあたりまえのことをやっと分かったのかと言われそうですが・・・

 仲間と行くときは、自己責任で行動できる人と行きたいものです。そして互いを、気遣うことも、事故を減らすために、大事な心構えといえるのではと思います。

 例えば、微妙なバランスをとって歩いているときには、ザックが枝に当たっただけでも、バランスを崩しやすいものです。気がついた人がそのことを、声をかけて教えただけでも、障害物への対応が変わってきますよね。人に気を配ることが出来るくらいの、余裕ある地力を付けたいものです。

 本間沢は家から近いし行程が短いので、気軽に行きたいときにちょこっと行っています。汗をかきに行くのに丁度良いという感じです。でも、われわれのような初心者マークの人間が道具も無しで直登するのは無謀なので、うまい人にビレイをとって貰いましょう。

 下の写真は25mのF9の1段目ですが、水流の中を行くのが一番安全。

  

 でも、ここでスタックしてしまったおじさんも居るので、素人さんがF9を舐めちゃあいけません。それにこの上の2段目は多少のテクニックもいるのでクライミングの素養がない人は巻いた方がいいと思う。

F9の2段目

 下の写真ははF10を下からみたところと、落ち口の上からの2枚を撮ったものです。下からみると、左から斜上しているバンドを上がって行くだけなのですが、右の写真、落ち口は傾斜したツルツルの溝で、素人目にはホールドがあるのかないのか解らないです。その上、水流ををまともに受けてしまうので、戻るための、ホールドが解らなくなってしまう。と、初心者のわたしは考えるのであります。この年は、何回か人を連れていったので、その時の写真です。

 この10mを落ちたのかあ、と思い自分たちの安全確保を誓うのでありました。

  

 そうそう、前にも書いたけど、この沢はヒルが多いので、行く前の準備のときに足まわりにたっぷりキンカンを塗り込んでおいた方がよいでしょう。でも、手とか腕をやられちゃった奴もいるから、諦めも必要かもね。

以上


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